
【土岐市】学び直しで生活に潤いを、仲間と共に社会参加を! 土岐市はなの木大学をご紹介
公開日: 更新日:
①はじめに
近年、「生涯学習」や「学び直し」への関心が高まり、年齢に関係なく「新しいことに挑戦したい」 「地域の人とつながりたい」と考える方が増えています。岐阜県土岐市でも、そんな想いを持つ高齢者の皆さんを支える学びと交流の場として、「はなの木大学」が開かれています。
はなの木大学は、単なる学習の場にとどまらず、地域の仲間とともに趣味を楽しんだり、新たな生きがいを見つけたりと、多彩な活動を通じて人生をより豊かにするための“もう一つの学校”。学ぶ楽しさと、人とつながる温かさの両方を感じられるこの取り組みは、今、多くのシニア世代から注目されています。
この記事では、「はなの木大学」の概要や活動内容、参加者の声などを通して、地域とともに歩むシニアの学びと交流の魅力をお伝えします。「何か新しいことを始めてみたい」と感じている方にとって、きっと心に響くヒントが見つかるはずです。
②はなの木大学について
岐阜県土岐市が運営する「はなの木大学」は、地域に暮らす高齢者が生涯にわたって学び、交流できる場として、多くの支持を集めています。2025年度には、すでに186名(8月現在)の市民が入学しており、「学び直し」や「仲間づくり」に関心を寄せるシニア世代の熱意がうかがえます。
はなの木大学の目的は、大きく2つに分けられます。第一に、高齢者が新たな知識や技術を学ぶことで、生活の質を高めるとともに、社会参加を積極的に促すこと。第二に、同世代の仲間たちと集い、語り合う中で自然と仲間意識を育み、心豊かな時間を共有することです。
対象者は、土岐市内に在住するおおむね65歳以上の方です。学びの内容はその年代にふさわしく、日常生活に役立つものから地域課題に関するテーマまで幅広く設計されています。自治体が主導するだけでなく、参加者の声を取り入れながら運営されている点も大きな特徴です。
③はなの木大学の活動内容

はなの木大学の活動は、「全体学習」と「クラブ活動」という2本の柱で構成されており、それぞれが学生たちの学びと交流の場として機能しています。これらの活動を通じて、参加者は新たな知識を得るだけでなく、仲間とともに学ぶ楽しさや生活の潤いを実感することができます。
全体学習
全体学習は、年に5回程度実施され、はなの木大学に在籍する全学生が参加する共通プログラムです。講師には、地域で活躍する専門家や団体関係者を招き、シニア世代の関心や日常生活に密接したテーマを取り上げています。
今年度は、「健康や食に関する学びがしたい」という学生の声を反映し、土岐市と連携する中部薬品株式会社(バローグループ)から栄養士や薬剤師を招いた健康講座を開催。また、地域の食生活改善推進員による実践的な講座も行われ、普段の食生活を見直すきっかけとなりました。
市の人権施策の一環として、人権に関する学習を年に1回必ず実施しており、過去には部落差別を題材にした映画作品の鑑賞や、市内寺院の住職による命の尊さを学ぶ講演会なども行われています。2025年度には、土岐市制70周年記念事業として、世界的に活躍する僧侶・西村宏堂さんを講師に迎えた講演会が実施され、特別な学びの機会となりました。
また、年に1回の映画鑑賞会も恒例行事として定着しており、人気の高いプログラムです。高齢者に親しまれている映画作品を上映することで、学びと娯楽を兼ねた貴重な交流の場となっています。
なお、これらの学習テーマは、学生からの意見を運営委員会が取りまとめた上で決定されており、参加者自身が学びの内容に主体的に関われる点も大きな特長です。
クラブ活動
もう一つの活動の軸が、学生自身によって自主的に運営されるクラブ活動です。現在は、以下の10のクラブが活動しており、それぞれの趣味や興味に合わせた多様な活動が展開されています。
- パソコン
- コーラス
- 民踊
- 太極拳
- 陶芸
- 手芸
- 健康体操
- 俳句
- 絵画
- 囲碁
これらのクラブは、学生自身が会費や活動方針を決め、自主的に運営されています。活動場所は主に土岐市内の公民館や集会所が利用されており、地域の公共資源をうまく活用しています。
また、回収した入学金の一部は、各クラブへの補助金として分配されており、クラブの人数に応じて支給額が決定される仕組みです。こうしたサポート体制により、持続可能な活動運営が可能となっています。
さらに、5人以上の同好者が集まれば新しいクラブを設立することも可能であり、個人の興味関心に応じた柔軟な活動が認められています。
年間行事
はなの木大学では、毎年恒例の行事として「開校式・クラブ説明会」と「クラブ発表会」が実施されています。
・開校式・クラブ説明会(年1回)

年度初めに開催される開校式では、はなの木大学の歌と土岐市民の歌の斉唱、学級長からの挨拶が行われます。この場で、コーラスクラブのメンバーがステージで成果を発表し、新入生にとっては大学生活の始まりを彩る貴重なひとときとなります。
開校式終了後には、各クラブがブース形式で活動紹介を行う説明会が開かれ、新たなクラブ選びの参考にされています。
・クラブ発表会(年1回)

年度末に開催されるクラブ発表会は、1年間の活動成果を披露する晴れの舞台です。2025年度は、ステージ発表と展示の2部構成で行われ、約80点の作品が展示されました。
- ステージ発表:コーラス、民踊、太極拳
- 作品展示:パソコン、手芸、俳句、絵画、陶芸
この発表会は、他クラブとの相互理解を深める場であると同時に、学外の人々にも大学の魅力を広く発信する貴重な機会となっています。
④将来的な目標
今後のはなの木大学の活動は学生同士の交流だけではなく、地域との交流をさらに増やしていきたいと考えています。そのために町の拠点である公民館と協力し、はなの木大学と地域社会のつながりを強めていきたいです。現在の地域との関わりは、各クラブが町のイベントに参加するのみにとどまっています。これからの活動として、地域の公民館で定期的に活動している団体と各クラブとの交流会など学生以外の人たちとも親睦を深める機会もつくっていきたいと考えています。共通の趣味を持った人と交流することで新たな発見やお互いの活動の刺激になることが期待できます。また、はなの木大学の全体学習の講師として公民館利用団体を派遣することも検討し、地域の活動にも興味を持つきっかけとしていきたいです。また、別の講座として各地域の文化や歴史に関する講座を設けるなどして地域理解を深め、興味・愛着をもってもらえるような仕組みができたらと考えています。
はなの木大学の目的である高齢者の社会参加の促進を図るため、個人の趣味の活動や学習だけでなくボランティアの活動をしてもらうことも検討していきたいと思います。各地区の清掃活動や、花植え事業などに参加してもらうことで地域貢献の意識が高まることが期待できると同時に地域住民との多世代交流につながります。
はなの木大学の学生が、生きがいをもてるような活動にするために今後はより幅広いジャンルの学習機会の提供、ボランティア活動などに参加できるような体制づくりをしていきたいと思います。
⑤参加者の声

過去の参加者の声をご紹介させていただきます。
学級長A
「近所の人と『何か活動したいね』という世間話がきっかけではなの木大学に入学しました。全体学習は高齢者向けの内容が充実しています。歳を重ねても健康でいきいき過ごすにはどうしたら良いかなどを考える機会になり、多くの学びがあります。仲間と尽きない話で盛り上がることも私にとって大切な時間となっています。せっかくあるこの学習と仲間作りの場を利用しないのはもったいないです。若い頃できなかったことに挑戦し、自分の生きがいを見つけて楽しんでみませんか。」
クラブ長B
「70歳を過ぎて何かを始めようと思ったのが入学のきっかけでした。自分にできること、健康に生きられること、人と話すことがいいなと考え、はなの木大学にしました。入学後、健康体操クラブに入り少しずつ体が動くようになってきました。健康でいておしゃべりすると気分が晴れるし、知らない人と出会い自分にないものを聞くと人生が豊かになると思います。多くの人にこの喜びを味わってほしいです。来てみると、はなの木大学の良さが分かると思います。」
⑥参加方法など詳細
1.対象者:
土岐市内在住のおおむね65歳以上の方。
2.申し込み方法:
入学申込書を土岐市役所生涯学習課に提出
3.費用:
入学金:2,000円
⑦まとめ
はなの木大学は、土岐市に暮らす高齢者が「もう一度学びたい」 「仲間と出会いたい」という思いを実現できる、まさに人生の“第2の学び舎”です。全体学習を通じて健康や人権、地域社会への理解を深めるだけでなく、クラブ活動では趣味を通じたつながりが日々の生活に彩りを加えています。
さらに、地域との連携を深めながら、公民館活動やボランティアを通じて社会参加の機会を広げていく構想も進められており、今後ますますその存在意義は高まっていくでしょう。
「何かを始めたい」 「人とつながりたい」 「もう一度学んでみたい」――そう感じている方にとって、はなの木大学のような取り組みは、これからの毎日をより前向きに、豊かにしてくれるはずです。ご自身の地域にも、同じような学びの場があるかもしれません。この機会に、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
この記事を共有