
寒中見舞いはいつ・どう書く?マナーと文例を徹底解説
公開日:
年が明け、寒さが一段と厳しくなる季節になると、日本では「寒中見舞い」を送るという昔ながらの習慣があります。年賀状に比べて利用者は少ないものの、寒中見舞いは年始の挨拶ができなかった場合や、喪中の方への配慮を込めた挨拶など、特定の状況において今もなお活用されている挨拶状です。
しかし、「寒中見舞いって年賀状と何が違うの?」「いつ送ればいいの?」「喪中の人にも送れる?」など、いざ書こうとすると疑問に思うことが多いのも事実です。また、どんな内容を書けば良いのか、どのようなマナーがあるのかを知らないと、相手に対して失礼にあたる可能性もあります。
本記事では、寒中見舞いにまつわる疑問を解消すべく、「寒中見舞いとは何か」という基本から、送る適切な時期、正しい書き方や文例、そして相手に失礼のないマナーについて、実用的かつ丁寧に解説していきます。これから寒中見舞いを書こうと考えている方、年賀状を出しそびれた方、喪中の方への配慮を考えている方にとって、役立つ情報が満載です。
特に、後半ではすぐに使える文例も紹介していますので、ビジネス・個人問わず、あなたの目的に合った寒中見舞いを作成するための参考にしていただければ幸いです。
寒中見舞いとは
寒中見舞いとは、日本の四季折々の習慣の中でも冬の寒さが最も厳しい時期に交わされる、相手を気遣うためのご挨拶状です。具体的には「寒さの中、お身体を大切にお過ごしください」といった体調を気遣う内容が中心となり、年始の挨拶ができなかった相手や、喪中で年賀状のやり取りが難しい相手に向けて送られるケースが多いです。
年賀状とは違う?寒中見舞いの役割と特徴
寒中見舞いは、年賀状と混同されがちですが、両者は大きく異なります。年賀状は「新年のお祝い」として、元旦から松の内(関東では1月7日、関西では1月15日)までに送る挨拶状であり、祝いの言葉や華やかなデザインが使われるのが特徴です。一方で、寒中見舞いは祝い事の意味合いは含まれておらず、「寒中に相手の安否を気遣う」ことが目的です。
そのため、喪中の人に対して年賀状を送るのは不適切とされますが、寒中見舞いであれば礼を失することなく季節の挨拶を伝えることができます。加えて、年賀状を出しそびれた相手や、遅れて年賀状を受け取った際のお返しとしても、寒中見舞いは適切な方法です。
寒中見舞いの種類と用途
寒中見舞いには主に以下の3つの用途があります。
- 年賀状の返礼・出しそびれた場合のフォロー
松の内を過ぎてしまった場合、寒中見舞いとして年始の挨拶をするのがマナーです。 - 喪中の人への配慮
喪中で新年の挨拶を控えた人に対し、寒中見舞いを使えば丁寧な気遣いが伝えられます。 - 寒さを労う一般的な季節の挨拶
親戚や友人など親しい関係の人に、健康を祈る意味で送ることもあります。
このように、寒中見舞いは単なる「はがき」以上に、相手への心遣いや配慮を伝えるための重要なコミュニケーション手段といえるでしょう。
現代における寒中見舞いの役割
現代では、年賀状や手紙文化の衰退とともに、寒中見舞いを出す人も減少傾向にあります。特に若年層を中心に、SNSやメールを通じて簡単に新年の挨拶を済ませることが一般的になりつつあります。そのため、かつてのように多くの人が寒中見舞いをやり取りする時代ではなくなりました。
とはいえ、寒中見舞いは形式的な年賀状よりも落ち着いた印象を与える挨拶状であり、目上の方やビジネス関係者など、きちんとした礼を重んじる相手に対しては今も有効です。特に、文章やデザインに派手さを避け、相手を気遣う姿勢を示すことで、誠実な印象を与えることができます。
このように、現代の寒中見舞いは「多くの人が出す一般的な挨拶状」というよりも、「状況に応じて丁寧な心遣いを伝えるための特別な手段」として位置づけられているのです。
寒中見舞いを送る時期はいつからいつまで?
寒中見舞いは、「寒さが最も厳しい時期に相手の健康を気遣う」ための季節の挨拶状です。しかし、送るタイミングには明確なルールとマナーがあり、それを誤ると、かえって非常識な印象を与えてしまうこともあります。
ここでは、正式な期間(暦上の寒中)と実務上のマナー(年賀状文化に基づく)の両方をふまえて、わかりやすく解説します。
暦の上での「寒中」とは?
まず、寒中見舞いが該当する季節は、二十四節気における「小寒」から「立春の前日」までの期間です。これは暦上の正式な「寒中の時期」を示しています。
- 小寒(1月5日頃):寒の入り。寒中が始まる日。
- 立春(2月4日頃):暦の上では春の始まり。この前日までが「寒中」とされます。
つまり、1月5日頃〜2月3日頃が、寒中見舞いを出すのに適した「暦上の期間」となります。
実務マナーとしての「送付タイミング」は松の内明けから
ただし、実際に寒中見舞いを出す際には、もう一つ大切な基準があります。
それは、年賀状のマナーに配慮して「松の内が明けてから送る」という点です。
- 関東地方では松の内は1月7日まで
- 関西地方では松の内は1月15日まで
このため、実務的なマナーとしては、以下のような送付タイミングが推奨されます。
地域 | 松の内終了 | 寒中見舞いの送付開始目安 |
関東 | 1月7日 | 1月8日以降 |
関西 | 1月15日 | 1月16日以降 |
したがって、「寒中見舞いを出すのは1月5日からOK」と暦ではされているものの、実際には松の内が明けるのを待ってから送るのが基本的なマナーとなります。
送付タイミングにまつわる実用的な注意点
立春を過ぎたら「余寒見舞い」へ
2月4日以降は暦の上で春とされ、「寒中」ではなくなるため、この日を過ぎた後は「余寒見舞い」として挨拶状を出すのが適切です。余寒見舞いは2月中旬頃までが目安です。
ビジネスでは早めの送付がベスト
ビジネス上での寒中見舞いは、「年賀状の出しそびれ」や「遅れて届いた年賀状への返礼」として使われることが多いため、松の内が明けたらできるだけ早く送るのが信頼感につながります。特に重要な取引先には早めの対応が望まれます。
配達日を意識した投函を
週末や祝日を避けて投函し、相手の元に平日に届くように調整することで、より丁寧な印象を与えることができます。特に目上の方や取引先などには、このような細やかな配慮が信頼関係の構築につながります。
このように、寒中見舞いには「暦に基づく期間」と「慣習に基づく実務的マナー」があり、どちらも理解した上で適切なタイミングで送ることが大切です。
寒中見舞いの基本的な書き方と構成
寒中見舞いを送る際には、ただ思いついたことを書くだけではなく、相手に失礼のないように整った構成と表現が求められます。特に、ビジネスや目上の方に送る場合には、丁寧さや礼儀を意識した文面が重要です。
寒中見舞いの基本構成
寒中見舞いの文章は、一般的に以下のような構成で書かれます。
1. 季節の挨拶(書き出し)
最初の一文は、「寒中お見舞い申し上げます」から始めるのが一般的です。この表現は定型句であり、頭語や前置きの挨拶は不要です。
例:「寒中お見舞い申し上げます。」
ビジネスの場合は少し丁寧に、
「寒中お見舞い申し上げます。貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」
といった形にすることもあります。
2. 相手の健康を気遣う言葉
季節柄、相手の体調を気遣う一言を添えるのが礼儀です。書き出しの直後に入れることで、温かみのある印象になります。
例:「寒さ厳しき折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。」
「インフルエンザが流行しておりますが、ご健康にてお過ごしでしょうか。」
3. 自身の近況報告・挨拶が遅れた理由・喪中の配慮など
この部分では、なぜ寒中見舞いを送ることになったのかを簡潔に述べるのがポイントです。
- 年賀状の返礼として送る場合
「年頭のご挨拶をいただきながら、返信が遅れましたことをお詫び申し上げます。」 - 喪中で年賀状を控えた場合
「昨年、身内に不幸があったため年始のご挨拶を控えさせていただきました。」 - 出しそびれた年賀状の代わりに
「新年のご挨拶が遅れましたことをお許しください。」
受け取る相手との関係性に応じて調整しましょう。ビジネスならフォーマルに、親しい間柄なら少し柔らかく書いてもかまいません。
4. 結びの挨拶(健康・寒さへの配慮)
締めくくりには、相手の健康を祈る一言を添えるのが一般的です。ここでも寒さへの気遣いを忘れずに。
「寒さ厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。」
「本年が皆様にとって穏やかな一年となりますようお祈り申し上げます。」
5. 日付・署名(差出人情報)
文末に日付を書く場合は、「令和〇年 一月」「令和〇年 寒中」などと表記します。年賀状とは異なり、元旦や正月三が日は使わない点に注意が必要です。
また、個人宛ての場合は署名として自分の名前を、ビジネス用途であれば会社名・部署・担当者名を記載しましょう。
書き方のポイントまとめ
- 賀詞(おめでたい言葉)は避ける
例:「謹賀新年」「あけましておめでとうございます」などはNG - 相手の事情に応じた内容にする
特に喪中の方に対しては配慮を忘れずに - 簡潔で礼儀正しい文章を心がける
長文すぎると読みにくくなるため、1〜2段落でまとめるのが理想 - 手書きが好印象
印刷でも問題ありませんが、ひと言手書きで添えると丁寧さが伝わります
寒中見舞いの構成は一見複雑に見えるかもしれませんが、基本の流れを守りつつ、相手に合わせて調整することが最大のポイントです。
寒中見舞いのマナー
寒中見舞いは、相手への心遣いや礼儀を伝える大切な挨拶状です。形式がある程度決まっている一方で、相手に配慮した表現や送り方が求められる繊細な文化でもあります。
はがきの選び方に注意を
寒中見舞いにふさわしいはがきは、落ち着いた色合い・デザインのものを選ぶのが基本です。
適したはがき
- 通常はがき(無地・胡蝶蘭・淡い色)
- 私製はがき(シンプルで上品なデザイン)
避けるべきはがき
- 年賀はがき(お年玉付き・干支柄など)
- 赤や金の派手な装飾のあるもの
手書きの一言が好印象
本文を印刷で整えても、最後に手書きの一言を添えるだけで印象が大きく変わります。とくにビジネスやフォーマルな相手ほど、誠意が伝わるポイントになります。
例:「まだまだ寒さが続きますので、ご自愛くださいませ。」
宛名の書き方と敬称に注意
- 個人名:〇〇様
- 会社名のみ:〇〇株式会社 御中
- 会社+個人名:〇〇株式会社 △△様
楷書で丁寧に書くことを心がけ、敬称を間違えないようにしましょう。
送り先の状況に応じた文面の配慮を
喪中の方へ
- 祝い事に触れず、体調や寒さへの気遣いを中心に。
- 故人に関する言及は控えめにするのが無難です。
ビジネス関係者へ
- 丁寧でかしこまった文体を意識する。
- 年始の挨拶や遅れたことへのお詫びも忘れずに。
寒中見舞いの文例
寒中見舞いは形式が決まっているようでいて、送る相手や場面によって文面に配慮が求められる繊細な挨拶状です。ここでは、相手との関係性や状況別にふさわしい文例を紹介します。
語調・マナー・日付表記・使用語句まで丁寧に整えていますので、必要に応じて書き換えてご活用ください。
1.寒さを気遣う一般的なご挨拶用
寒中お見舞い申し上げます。
寒さ厳しい折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
私どもはおかげさまで元気に過ごしております。
寒さが続きます折、ご自愛のうえお健やかにお過ごしくださいませ。
令和〇年一月
寒中お見舞い申し上げます。
寒さ厳しい折、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和〇年一月
2.年賀状を出しそびれた/返礼用
寒中お見舞い申し上げます。
ご丁寧な年賀状を頂きながら、ご挨拶が遅れましたことをお詫び申し上げます。
本年も変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます。
寒さ厳しい折、どうぞご自愛くださいませ。
令和〇年一月吉日
寒中お見舞い申し上げます。
松の内も明け、平常の生活に戻られた頃かと存じます。
年始のご挨拶が遅れました非礼をお詫び申し上げますとともに、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
令和〇年一月吉日
3.喪中・年始の挨拶を控えていた方への配慮用
寒中お見舞い申し上げます。
ご服喪中とのことにて、年頭のご挨拶を控えさせていただきました。
ご家族の皆様にはお寂しい中、寒さもひとしおのことと存じます。
寒さ厳しき折、どうかお身体を大切にお過ごしくださいませ。
令和〇年一月
寒中お見舞い申し上げます。
先般はご服喪とのこと、心よりお悔やみ申し上げます。
厳冬の折、ご多用のことと存じますが、どうかご自愛専一にお過ごしくださいますようお祈り申し上げます。
令和〇年一月
4.ビジネス用・取引先向け
寒中お伺い申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本年も変わらぬご厚誼をお願い申し上げますとともに、皆様のご健勝と、貴社のますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
令和〇年一月吉日
寒中お伺い申し上げます。
新春のご挨拶を差し控えさせていただき、恐縮に存じます。
貴社の益々のご発展と、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いを賜りますよう、お願い申し上げます。
令和〇年一月吉日
まとめ
寒中見舞いは、年賀状とは異なる役割を持つ、日本ならではの繊細な挨拶状です。厳しい寒さの中、相手の健康を気遣いながら礼儀正しく思いを伝える手段として、今もなお一定の場面で大切にされています。
本記事では、寒中見舞いの意味や送る時期、基本的な構成、相手や状況に応じたマナーについて詳しく解説してきました。送る期間は、暦の上では小寒(1月5日頃)から立春の前日(2月3日頃)までとされますが、実際には年賀状の時期である松の内が明けてから送るのがマナーとされています。関東では1月8日以降、関西では1月16日以降が目安です。
文面の構成としては、「寒中お見舞い申し上げます」などの季節の挨拶から始まり、相手の健康を気遣う言葉や、自身の事情(年始の挨拶が遅れた理由、喪中だったことなど)を添え、最後に再び相手の健康や安寧を祈る一言で締めくくるのが一般的です。賀詞の使用を避ける、落ち着いたデザインのはがきを選ぶ、手書きの一言を添えるなどのマナーにも注意が必要です。
また、ビジネスや喪中といった特別なシチュエーションにおいては、より慎重な言葉選びやタイミングの配慮が求められます。相手の立場や気持ちを尊重した上で、適切な表現を用いることで、寒中見舞いは単なる形式を超えた、心のこもったコミュニケーションツールとなるでしょう。
本記事で紹介した文例を参考に、あなた自身の言葉で、相手に寄り添う一通を届けてみてはいかがでしょうか。印刷や形式にとらわれすぎず、「相手を思う気持ち」を素直に表現することこそが、寒中見舞いの本質であり、最も大切なマナーなのです。
この記事を共有



