【江別市】学びで広がる、仲間と地域の輪。 江別市蒼樹大学をご紹介

【江別市】学びで広がる、仲間と地域の輪。 江別市蒼樹大学をご紹介

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①はじめに

高齢化が進む現代において、「生涯学習」や「地域とのつながり」はシニア世代にとってますます重要なテーマとなっています。北海道江別市では、そうした想いに応える学びの場として「江別市蒼樹大学」が設けられ、多くの市民に親しまれています。

対象は65歳以上の方々。歴史や文化、健康、趣味、地域活動など幅広い分野を学ぶことができるだけでなく、同じ関心を持つ仲間との交流を深めることで、新しい発見や生きがいを育む場にもなっています。

また、修了後には自主的な学びの場「聚楽学園」へと活動を広げることもでき、卒業生が地域で活躍を続ける大きなきっかけとなっています。

本コラムでは、「江別市蒼樹大学」の設立背景や特色、講座の様子、そして学びを楽しむ受講者の姿を紹介しながら、シニア世代が“今を楽しみ、これからを前向きに生きる”ためのヒントをお届けします。
それでは、蒼樹大学の魅力に迫っていきましょう。

②江別市蒼樹大学について

高齢者に教育の機会を提供し、生きがいを得ることによって老齢期の充実した人生を送ることができるようにすることを目的に昭和47年5月に江別市蒼樹大学を開設しました。

高齢化が進む現代社会において、高齢者が積極的に社会参加し、まちづくりの一翼を担うことが求められているため、地域社会に貢献できる人材の育成を図ることをねらいとしています。

蒼樹大学に入られる方は、退職などで時間ができたので入学してみようと思う方が多いです。健康寿命は延び、人生100年時代となり、退職してからの時間は30年以上あります。その間の生きがいづくりの一つとして蒼樹大学を活用していただければと考えています。

蒼樹大学では、必ず「生涯学習とは」という基礎的な講義を皆さんに受けていただくようにしています。皆さんが普段何気なく取り組んでいることの多くが生涯学習と繋がっていること、個人の趣味から一歩踏み込んで地域サークルに所属したり、ボランティアとして活動したりすることで広がる世界があること、一歩進むのにまだまだ遅くはなく、蒼樹大学に通う皆さんの力が地域で必要とされていることを伝えることで、蒼樹大学をきっかけとして、地域で何かやってみようと前向きな気持ちになっていただければと思っています。

月に一度、「学生」に戻って勉強をしたり、体を動かしたり、隣の席の人と一緒にお弁当を食べたり。些細な楽しみを見つけていただき、蒼樹大学で得た交流の輪が、また別の活動へ繋がっていくきっかけとなれば嬉しく思います。

③江別市蒼樹大学についての活動内容

2年間にわたり、各種分野における一般教養的な講義と、各自が選択する専攻講座(コーラス・絵手紙・ふるさと学・太極拳・体操・パーカッション)を受講します。開催は5月から3月までの月1回です。教養講座は、健康・音楽・生活・歴史など多岐にわたるテーマをプログラムしています。令和6年度から新たに専攻講座にパーカッションを加え、学習内容の充実に努めています。

5月は入学式を行い、専攻講座コーラスの先生に講師を依頼し、蒼樹大学の校歌「蒼樹の丘」を練習します。6月からは毎月学習会を始める前に校歌を全員で斉唱しています。蒼樹大学の専攻講座「コーラス」を卒業された方々のうち、まだ歌を続けたいという方は「コーラス蒼樹」という名前で活動しています。5月の入学式にはコーラス蒼樹の方にも来ていただき、蒼樹大学の後輩達へ歌を披露していただいています。

3月には卒業式があり、お祝いコンサートの開催や、卒業証書の授与、卒業生・在校生の代表の方からの挨拶などを行っています。

そのほか、研修旅行や新年交礼会の開催、文集の発刊などを行っています。研修旅行は市外近郊へ日帰りでバス旅行をします。新年交礼会は専攻講座で学んだことや、日ごろ個人で学んでいることの発表を行います。そのほか、昨年はビンゴ大会やモルック大会を行いました。

ここで例として令和6年度の一年の流れを具体的に振り返っていきましょう。

5月9日 入学式・開講式

江別市 入学式

6月6日~2月6日 学習会(毎月1回)
・「命を守る“水”見直そう!水分補給」(6月6日/明治 北日本支社 中村仁美氏)

・「食品の選び方~安心な食を選ぶために」(7月4日/おべんとうことり 松本麻美氏)

・「生前整理 エンディングノート活用術」(8月1日/竹腰みはる氏)

・「防災のはなし」(9月5日/江別市防災担当 森本翔子氏)

・「トランスジェンダーと考える、多様な人々が暮らしやすい社会」(10月3日/にじいろほっかいどう 真田陽氏)

・「健康寿命をのばすための新たな医療情報」(11月7日/北海道情報大学 佐藤浩樹教授)

・「人生100年時代を生きるためのセルフマネジメント」(12月5日/越前賢一氏)

・「広報えべつができるまで」(2月6日/江別市広報広聴課 東海林樹氏)
など、多彩なテーマで専門家から学びを深めました。

10月17日 研修旅行(千歳市方面)

この研修旅行では、北海道キッコーマン、駒そば亭、サケのふるさと千歳水族館を訪問しました。

江別市 研修旅行2

江別市 研修旅行

1月9日 新年交礼会

3月13日 卒業式・閉講式

④聚楽学園の活動内容

昭和47年に設立された蒼樹大学の前身である老人大学の第1期生が昭和49年に卒業する中で、学習を継続したいという機運が高まりました。聚楽学園は、1年間の準備期間を経て、昭和50年6月に老人大学の卒業生90名が参加し、老人大学大学院としてスタートし、今年で50周年を迎えました。聚楽学園は学生自らの自主運営となっており、これまで多くの話し合いを重ねながら運営体制を進化させてきました。

蒼樹大学を卒業した67歳以上の方を対象としており、現在460名以上の方が在籍しています。蒼樹大学を卒業した方の約8割が聚楽学園へ進む道を選択しています。在学年限は8年ですが、卒業後も聴講生として学び続けることができます。

活動内容は、4月に入学式と総会、5月〜2月に毎月1回学習会を開催しており、10月には学園祭、3月には卒業式が行われます。毎月の学習会は、教養講座と専攻講座(社交ダンス・コーラス・編み物・書道・太極拳・3B体操・江別学)を受講します。そのほか、同好会(カラオケ・ウォーキング・パークゴルフ・旅・パソコン・文化)や研修旅行、毎月の広報誌の発行や一年間の活動内容をまとめた「あゆみ」の発刊などの活動も行っています。

⑤参加者の声

江別市 授業風景

毎年、一年間の活動内容をまとめた文集を発刊していますので、その中から卒業生のことばを抜粋して記載いたします。

 ・毎月変わる講座のテーマは様々な分野で、次の内容が楽しみになりました。まだまだ、知らないこと、知っておくべきことが多々あることに気付かされ興味の範囲も広がりました。

・お昼休みには、退職以来のお弁当を持参するのも楽しみで、同じ班の方との語らいも楽しく、あっという間に過ぎました。

・私が入学しようと思ったキッカケは、会社を退職して毎日好きな事をやる状況で一年が過ぎた頃でした。今は人生100年なのに「あと30年どうしようか、何をやるか考えないと。」と思った時でした。江別市の広報誌を見ていると「蒼樹大学」という老人の大学があり教養講座と専攻講座があって、新しい「生きがい」になると思い、すぐに入学申込をしました。

・2年前、私も65歳を超え、「自分なりの”働き方改革”をしよう」「これまでに経験したことがない何かをしたい」と思い始めていたときに、広報の蒼樹大学の募集に目が止まり、直ぐに申込みました。

・蒼樹大学については、以前から先輩の話を聞いて興味がありました。私は定年退職を迎え、高い向学心・向上心が無いままボケ防止にでもなれば良いかなぐらいの軽い気持ちで入学しました。教養講座は、高齢者にとって身近でタイムリーなテーマのものが多く今後の生活にも大いに役立つ内容であったと思います。私は自身の通勤や子供の教育の都合で札幌に近いという理由で20数年前に転居したので、江別に特別愛着心があった訳ではありませんでした。しかし、退職を機に改めて江別をもっと知りたいと思い、専攻講座は「ふるさと学」を選びました。この受講により江別がふるさとの一つと思える様になりました。

・江別で生まれ育った自分にとって故郷の事をもっと知りたいとの思いから、2年間「ふるさと学」を選択しました。令和5年2回目の講座で「江別まち検定」の事を知りました。検定用のテキストもあり、これをきっかけに更に江別の事を知ることが出来るのではないかと思い、受験する決心をして秋の受験にそなえました。その結果、見事にかなりの高成績で合格する事が出来て、良い思い出となりました。上級試験を目指してこれからも江別の事を知り続けたいと思っています。

・広報で蒼樹大学の募集が目にとまり、「これだ!」と夫の背中を押し、二人で通う事になりました。教養講座では多くの気づきと学びがあって大変勉強になりました。午後からの専攻講座はコーラスでした。素敵な先生、そして明るく愉快な仲間達。音楽を通して心から楽しめた本当に幸せな時間でした。この2年間、健康で元気に通えた事、そして夫と沢山共感し合えた事。心の財産になったと感謝しています。

・入学当時こんなに多くの方が学びを希望している事に驚きました。自分を磨こうとしている65歳以上の若人に刺激をもらいました。これからまだまだ現役と考えて良いのだと思ったからです。色々な事にチャレンジできる勇気をもらいました。これからも太極拳、色々な楽器にチャレンジしようと決めました。出来る所までチャレンジすることで楽しみながら学べる、そう思いました。本当に大学に来ている皆さんは前向きで、何かを追求している姿はいきいきしています。学ぶ事が若さを保つと知りました。

・月に一度の色々な分野の講演、班の仲間とのコミュニケーション、何気無い会話の中から思わぬ参考に成るアイディアが浮かび、退化してきている脳に刺激を受けこれからの活力に成ります。明日行く所がある、明日する事がある、常に目標を持ち健康第一に老いと向き合い、人生を楽しみながら成長していきたいと思っております。

⑥参加方法など詳細

1.対象者:市内在住の満65歳以上の方

2.申し込み方法:市ホームページや市内各所で配布される申込書に必要事項を記入し、郵送または持参(募集時期は3月)

3.費用:年間3,000円(令和7年度の場合)

※入学人数によって変動します ※専攻講座によって別途負担の場合があります

※研修旅行・新年交礼会は別途参加費を徴収します

4.注意事項:すでに江別市蒼樹大学を卒業した方の再入学はできません

⑦まとめ

江別市蒼樹大学は、学びの場であると同時に、仲間と出会い、地域とつながる大切な場でもあります。歴史や文化、健康、趣味など幅広い学びを通して、自分自身を高めることができるだけでなく、同じ志を持つ仲間と過ごす時間が日々の大きな励みとなります。

また、修了後には自主的な学びの場である「聚楽学園」へと活動の幅を広げることもでき、生涯にわたって新しい挑戦を続けるきっかけとなっています。退職後の長い時間をどう過ごすかを考えるシニア世代にとって、蒼樹大学は“学び直しの場”であると同時に、“生きがいづくりの場”でもあるのです。

「人生100年時代」と言われるいま、年齢に関わらず学び続けることは、心身の健康を保ち、地域社会に貢献しながら豊かな人生を送るための大きな力になります。蒼樹大学のような取り組みは、どの地域に暮らす方にとっても、“これからの人生を前向きに生きるためのヒント”となることでしょう。


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