お年玉はいくら入れる?年齢別相場と失敗しない金額の決め方、渡し方のマナーまで解説

お年玉はいくら入れる?年齢別相場と失敗しない金額の決め方、渡し方のマナーまで解説

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年末年始のお年玉は、新しい年を祝う風習ですが、「いくら渡すべきか」という悩みがつきものです。金額の相場やマナー、親族間のバランスといった考慮事項に加え、お年玉は親族間のコミュニケーションツールでもあります。

この記事では、最新の調査に基づく年齢別の相場、関係性による調整方法、ポチ袋のマナー、キャッシュレス対応、お金以外の選択肢まで、お年玉に関する疑問を総合的に解説します。単に金額を決めるだけでなく、相手の成長を祝い、良好な関係を築くための「生きたお金」として準備できるようになることが目標です。

お年玉は、単なるお小遣いではなく、「お金をどう受け取り、どう使い、どう引き継ぐか」を伝える機会でもあります。年末年始という節目に、こうした金銭観や価値観を次の世代へ手渡すことは、広い意味での終活にもつながります。

お年玉の相場一覧(年齢・学年別)

お年玉の金額は、子供の年齢(学年)を基準に決めるのが一般的です。成長段階や出費の規模に合わせて、世間の相場も上昇する傾向にあります。ここでは、未就学児から社会人までの年代別の相場と、その背景について解説します。

以下の表は、一般的なお年玉の相場目安をまとめたものです。

年齢・学年

相場金額の目安

備考・ポイント

未就学児(0~6歳)

500円 ~ 1,000円

菓子・玩具でも代用可

小学校低学年(1~3年)

1,000円 ~ 2,000円

お金を使う楽しみを知る時期

小学校高学年(4~6年)

2,000円 ~ 3,000円

欲しいものが具体的になる時期

中学生

3,000円 ~ 5,000円

行動範囲が広がり出費も増える

高校生

5,000円 ~ 10,000円

5,000円が最多のボリュームゾーン

大学生

5,000円 ~ 10,000円

渡さないケースも増える

社会人

原則不要

基本的には渡さないのがマナー

未就学児(0~6歳)

  • 相場: 500円~1,000円程度が目安です。
    • お金の価値はまだ正確には理解していないことが多いです。
  • 渡すもの・渡し方:
    • 0~2歳の乳幼児には、そもそも渡さない方も多くいらっしゃいます。
    • 形式的に渡す場合は、500円玉1枚または1,000円札1枚をポチ袋に入れて渡します。
  • 現金以外の選択肢:
    • お菓子(数量の多いもの)絵本小さな知育玩具などを「お年玉代わり」にするのも喜ばれます。
    • 硬貨の誤飲リスクを避けられ、親御さんにも安心感があります。
    • 中身よりも、ポチ袋の絵柄渡す演出を工夫するのも良いでしょう。

小学校低学年(1〜3年生)

  • 相場: 1,000円~2,000円が主流です。
    • 算数を習い始め、少しずつお金の計算ができるようになる時期です。
  • 渡す金額の目安:
    • 千円札1枚か2枚が、お子様にとって数えやすく管理しやすい金額です。
    • 親戚が多い場合、合計額が万単位になり親御さんが管理に困るケースもあるため、1,000円程度に抑えるという意見もあります。
  • 考え方: 「学年×1,000円」という計算式を用いるご家庭もありますが、低学年のうちは兄弟間のバランスを考慮し、金額差を大きくつけすぎない方が無難です。

小学校高学年(4〜6年生)

  • 相場: 2,000円~3,000円へと上昇します。
    • 欲しいもの(ゲームソフト、ファッションアイテム、漫画など)の単価が上がるためです。
    • お子様がお小遣いを数ヶ月貯めてやっと届く金額であり、特別感を感じやすいでしょう。
    • お子様自身がお金の使い道を真剣に考え始める時期です。
  • 注意点:
    • 親戚間で金額を合わせる動き(例: 「高学年になったから一律3,000円」)が活発になります。事前にすり合わせるとスムーズです。

中学生

  • 相場: 3,000円~5,000円です。最も一般的なのは5,000円です。
    • 部活動の遠征や、友人との街での食事など、親御さんの同伴なしでの行動範囲が劇的に広がります。
    • 参考書購入や遊園地代、デジタルコンテンツへの出費も増えます。
  • 考え方:
    • 5,000円あれば十分満足してもらえるラインです。
    • 義務教育期間中であり、あまりに高額な金額を渡すことに抵抗感を持つ親御さんもいらっしゃいます。

高校生

  • 相場: 5,000円前後が圧倒的なボリュームゾーンです。
    • 一部では10,000円を渡すケースも見られます。
  • 渡す金額の調整:
    • 5,000円~10,000円の間で、関係性や会う頻度によって調整するのが一般的です。
      • 例: めったに会えない甥/姪には10,000円、頻繁に会う親戚の子には5,000円といった具合です。
    • アルバイトが可能になる年齢であり、必ずしも高額である必要はありません。
  • メッセージ: 大学受験のための費用や卒業旅行の積立など、将来を見据えたお金の使い方が増えます。「受験勉強頑張ってね」といった応援のメッセージを込めることも多いです。

大学生

  • 相場: 5,000円~10,000円程度です。ご家庭や親族間の考え方で差が出やすいです。
    • 「成人してアルバイトもできるのだから不要」という考え方もあります。
    • 「学生のうちはお小遣いが必要」という考え方もあります。
  • 渡し方:
    • 渡す場合は10,000円札1枚がスマートです。「学業を応援する」という意味合いが強くなります。
  • 代替案: 渡さない場合は、成人祝いや就職祝いなど、別の節目でお祝いをすることでバランスを取る方法もあります。

社会人

  • 原則: お年玉を渡す必要はありません
    • お年玉は本来、目上の方から目下の方へ、経済的に自立していない方に渡すものという考え方があります。
    • 経済的に自立した社会人に「お年玉」という名目でお金を渡すのは、かえって失礼にあたる場合もあります。
  • お金を渡す場合:
    • 「お年玉」ではなく、「御慶(おけい)」や**「お年賀」**といった名目にします。
    • スーツや鞄など仕事に役立つ品物をプレゼントする方が適切です。
  • 社会人になったお子様が親御さんへ渡す場合:
    • この場合も「お年玉」という言葉は使わず、「お年賀」として渡すのがマナーです。
      社会人になると、「もらう側」から「渡す側」へ立場が移っていきます。この変化を意識することは、家族内でのお金の役割や責任を考える第一歩であり、人生後半のお金の向き合い方を整えるきっかけにもなります。

関係性別の相場の目安

年齢別の相場はあくまでベースラインであり、実際には「自分と相手(子供)との関係性」によって金額を微調整する必要があります。毎日顔を合わせる家族と、数年に一度しか会わない遠い親戚とでは、渡す金額の持つ意味合いが変わってくるからです。ここでは、関係性ごとに考慮すべきポイントと相場の目安を解説します。

1. 自分の子ども

  • 金額の目安・考え方
    • 家庭の教育方針や経済状況を最優先し、世間の相場よりも家庭のルールを貫くようにしてください。
  • 注意点・工夫
    • 兄弟姉妹間で不公平感が出ないよう、年齢スライド方式にするか、全員同額にするなどの工夫が必要です。
    • 金額に差をつける場合は理由を説明するか、多い分を貯金させるなどの配慮をしてください。
    • お金の使い方や管理の仕方を教える良い機会と捉えてください。

2. 甥・姪

  • 金額の目安・考え方
    • 相場の「上限寄り」で渡す傾向があります(例:小学生 3,000円〜5,000円)。
  • 注意点・工夫
    • 相手の親(自分の兄弟姉妹)とのバランスに注意し、張り切りすぎると相手に負担をかける可能性があるため配慮が必要です。
    • 事前に兄弟姉妹間で金額を取り決めておくのが、最もトラブルなく渡せる方法です。

3. 親戚の子ども(従兄弟の子など)

  • 金額の目安・考え方
    • 世間一般の相場通り、または「少し控えめ」でも問題ありません(例:小学生低学年 1,000円〜2,000円、高学年 3,000円程度)。
  • 注意点・工夫
    • 親族の集まりにおける「暗黙のルール」に合わせるようにしてください。
    • 他の親戚と差がつきすぎないよう、さりげなくリサーチすることをおすすめします。
    • 相場の下限〜中間を選べば失礼にあたりません。

4. 友人の子ども

  • 金額の目安・考え方
    • 「気持ち程度」で十分です(1,000円〜3,000円程度)。
  • 注意点・工夫
    • 高額だと友人に「お返し」の気を遣わせてしまうため避けてください。
    • 現金でなくても、図書カードやお菓子、おもちゃなどで代替できます。
    • ポチ袋に500円硬貨2枚や千円札1枚など、互いに負担のない金額がスマートです。

5. 祖父母が孫に

  • 金額の目安・考え方
    • 相場よりかなり高めになる傾向があります(10,000円以上も珍しくありません)。
  • 注意点・工夫
    • 高額すぎると子どもの金銭感覚が狂う懸念があるため、注意が必要です。
    • 親(子世代)の教育方針を尊重することが大切ですので、事前に親に相談してください。
    • 「貯金用」と「好きに使っていい分」と分けて渡すなどの配慮をすると良いでしょう。
    • 現金以外に、ランドセルや学習机など実用的な高額出費を負担する形も感謝されます。

いくら入れるか決めるためのチェックポイント

ここまで年齢別や関係性別の相場を見てきましたが、最終的に包む金額を決めるのはあなた自身です。世間の相場はあくまで目安に過ぎません。無理に相場に合わせすぎると、生活が苦しくなったり、後々の関係性に影響が出たりすることもあります。

ここでは、実際にお金を入れる前に、冷静になって確認すべき5つのチェックポイントを解説します。このポイントを押さえておけば、渡した後に後悔することを防げます。

お年玉の金額設定で考慮すべき点は以下の通りです。

自分の状況と相談する

  • お年玉は、あくまで「余裕資金」から捻出するものです。
  • 生活費を切り崩してまで高額を用意する必要はありません。
  • 転職活動中や大きな出費が重なる年は、予算を縮小しても問題ありません。
  • 子供は金額以上に「会いに来てくれたこと」を喜びます。無理のない範囲で金額を設定することが、長期的な関係維持においても重要です。

親戚間の相場を確認する

  • 親族の集まりには、「小学生は2,000円」「高校生は1万円」など、暗黙の了解(ローカルルール)が存在することが多々あります。
  • 相場から外れた金額を渡すと、空気を読めない人と思われかねません。
  • 事前に親や兄弟に「例年どうしているか」を確認しましょう。特に配偶者の実家へ初めて参加する場合は、事前確認が非常に大切です。

兄弟間の金額差

  • 兄弟姉妹に渡す場合、年齢が上がるにつれて金額も上げるのが一般的です(例:兄5,000円、弟3,000円)。これは年長者としての自覚を促したり、必要経費の差を認めたりする意味があります。
  • 年齢が近い兄弟(年子など)で金額差をつけると、喧嘩になる可能性があります。その場合は、あえて同額にするか、金額差をつける理由をはっきりと伝える配慮が必要です。

継続性を考慮する

  • お年玉は「一度上げると下げにくい」という性質があります。
  • 臨時収入があったからといって、翌年以降も維持できない高額を渡すのは避けましょう。
  • 「来年、再来年も同じ額(またはそれ以上)を出し続けられるか」を考えることは、将来の家計や老後資金を含めた長期的なお金の整理(終活)の観点からも重要です。

「高すぎて気を遣わせる」リスク

  • 相場より多ければ喜ばれるだろうという安易な考えは危険です。
  • あまりに高額なお年玉は、受け取る子供の親にとって「お返し」のプレッシャーになります。
  • 相手の親が恐縮しない程度の「常識的な範囲内」に収めることが、スマートな大人のマナーと言えます。

お年玉のポチ袋マナー

お年玉は、中身の金額だけでなく、その包み方にも日本特有の奥ゆかしいマナーが存在します。現金をそのまま手渡しするのは、「心付け」としての品格に欠け、大変失礼な行為とされています。必ず「ポチ袋」と呼ばれる小さな祝儀袋に入れて渡すのがルールです。 ここでは、意外と知らないポチ袋の選び方や、お金の入れ方、折り方の作法について詳しく解説します。

ポチ袋の選び方

ポチ袋を選ぶ際は、渡す相手の年齢や好みに合わせて選ぶことが基本です。以下のポイントを参考にしてください。

  • 無難で格式あるデザイン:
    • 伝統的な「和柄」や「干支(えと)柄」、「おめでたいモチーフ」(梅、扇など)は、年齢・性別を問わず使用でき、お正月の雰囲気を演出できます。
    • 目上の方のお子さんや、親しくない親戚のお子さんに渡す場合に適しています。
    • ストックしておくと便利です。
  • 子供向けのデザイン:
    • 幼児や小学校低学年の子供には、人気のアニメキャラクターや可愛い動物のイラストが喜ばれます。
    • ただし、キャラクターものを選ぶ際は、相手の親の教育方針にも配慮し、迷う場合は落ち着いたイラストのものを選ぶと安心です。
  • 表書きのマナー:
    • 表面左上に渡す相手の氏名(例:「〇〇ちゃんへ」「〇〇くんへ」)を記入します。
    • 裏面左下に自分の氏名(例:「〇〇おじさんより」)を記入するのが一般的です。これにより、後で誰からもらったか分からなくなるのを防ぎます。

お札・硬貨の準備

お年玉に入れるお金は、相手への心遣いを示すためにも、できる限り新札(ピン札)を用意しましょう。

  • 新札(ピン札)の用意:
    • 「新しい年の始まりに、新しいお札で祝福する」という心遣いが込められています。
    • 年末は銀行の両替窓口が混雑するため、早めに準備することをおすすめします。
  • 新札がない場合の対応:
    • シワや汚れが少ないきれいなお札を選び、低温でアイロンをかけるなどして、できるだけ見栄えを良くしましょう。
    • 硬貨の場合も、輝きのあるきれいなものを選びます。
  • お札の入れ方(向き):
    • お札の肖像画(人物の顔)が、ポチ袋の表側にくるように入れます。
    • 肖像画が(逆さまにならない位置)に来るように入れます。
  • お札の折り方:三つ折りを推奨
    • 基本的には「三つ折り」にします。
    • 手順:
      1. 肖像画がある面を上にして置きます。
      2. 左側から3分の1を内側に折ります。
      3. 右側から3分の1を、左側の上に被せるように折ります。
    • こうすることで、ポチ袋から出して開いたときに、肖像画が最初に目に入る形になります。
    • 四つ折りは「4=死」を連想させ嫌う人もいるため、可能な限り三つ折りで統一するのがスマートです。
  • 硬貨の入れ方:
    • 絵柄がある面を「表」とし、表が見えるように入れるのが丁寧です。

忌み数を避ける

お祝い事では、縁起の悪いとされる「忌み数(いみかず)」を避けるのがマナーです。

  • 避けるべき数字:
    • 「4」(「死」に通じる)と**「9」**(「苦」に通じる)は徹底して避けてください。
  • 金額での注意点:
    • 4,000円や9,000円という金額は避けましょう。
    • 4,000円を渡したい場合は、3,000円または5,000円に調整します。
  • 枚数での注意点:
    • 千円札4枚や9枚など、お札の枚数が「4」や「9」にならないように配慮します。
  • 一般的に好まれる金額:
    • 「1,000円」「3,000円」「5,000円」「10,000円」といった、奇数(または区切りの良い数字)を中心にするのが習わしです。
    • 偶数(2,000円など)は結婚祝いなどでは避けますが、お年玉では「夫婦」「ペア」として許容されることが多いです。

お年玉を渡すときのマナー

お年玉を渡す際にもマナーがあります。

1. 目上の人への配慮

  • お年玉は本来、「目上の人から目下の人へ」渡すものです。上司や先輩の子供に渡すのは、厳密にはマナー違反とされることがあります。
  • もし目上の方のお子さんに渡す場合は、「お年玉」ではなく「文具代」「図書代」などとして渡し、「何か好きなものを買ってあげて」と伝えると角が立ちません。
  • 金額は相手が恐縮しない程度(1,000円~3,000円程度)に留めるのが賢明です。

2. 渡すタイミングと方法

  • 新年の挨拶が済んだ後、落ち着いたタイミングで渡します。玄関先ではなく、部屋に上がってからがベストです。
  • 未就学児などお金の管理ができない場合: 親と一緒に使うよう伝え、親が見ている前で渡すか、親に直接手渡します。
  • 小学生以上の場合: 子供に直接渡しても構いませんが、親が「誰からいくらもらったか」を把握できるように、親の目の届く場所で渡すのがマナーです。親の管理を妨げるため、隠れて渡すのは避けましょう。

3. 喪中の家庭への配慮

  • 喪中は「お祝い事」を避ける期間です。「おめでとう」の言葉や、紅白の水引がついたポチ袋は避けましょう。
  • 表書きを「お年玉」ではなく「お小遣い」「文具代」とし、地味な柄や無地のポチ袋を選べば渡せます。
  • 現金の代わりに、図書カードや文房具などの「品物」を渡すのもスマートな対応です。

現金以外のお年玉という選択肢

近年、キャッシュレス化の進展や価値観の多様化により、お年玉は必ずしも「現金(紙幣・硬貨)」である必要はなくなってきました。特に遠方に住んでいて直接会えない場合や、現金を渡すことによるトラブルを避けたい場合など、現金以外の選択肢が選ばれるケースが増えています。ここでは、相手や状況に合わせて使い分けられる、現金以外のお年玉アイデアを紹介します。

1. 図書カード

親世代から最も歓迎される、教育的な観点からも好まれる代替品です。

  • 教育的なメリット: 現金と違い、必ず本や参考書に使われるため、教育熱心な親御さんから非常に好まれます。
  • 渡す側のメリット: 500円、1,000円といった少額でもカードのデザインがしっかりしており、見栄えが良く、渡す側の負担も少ないのが特長です。
  • 受け取る側のメリット: 幼児には絵本、学生には参考書や漫画など、自分で好きなものを選ぶ楽しみがあります。
  • 利便性: 書店だけでなく、最近では電子書籍に対応したタイプも登場し、利便性が高まっています。

2. 金券・ギフトカード

中学生や高校生など、自分で行動範囲が広がる世代に喜ばれます。

  • 人気のカード例: Amazonギフトカード、スターバックスカード、コンビニで使えるクオカードなどが特に喜ばれます。
  • 実用性の高さ: ネットショッピングや友人とのカフェ利用が日常的な世代にとって、現金と同等、あるいはそれ以上の使い勝手の良さがあります。
  • メッセージ性: 「勉強頑張ってね」など、「〇〇に使ってね」というメッセージを込めて渡すことができます。
  • 注意点: 有効期限があるものもあるため、渡す際に一言添える配慮が必要です。

3. キャッシュレス送金(PayPay、LINE Payなど)

スマートフォンの普及に伴い広がりつつある、現代的な渡し方です。

  • 最大のメリット: 遠方に住んでいて帰省できない場合でも、お正月に確実にお年玉を渡すことができます。
  • 手間を削減: 新札を用意したり、ポチ袋を買ったりする手間が省けます。
  • デジタルポチ袋: アプリによっては、お年玉専用の「ポチ袋デザイン」で送金できる機能があり、お正月の雰囲気を演出できます。
  • 必須の注意点: 相手の親御さんが、子供のスマホ決済を許可していない場合や、現金での管理を徹底したいと考えている場合があります。必ず事前に相手の親に確認を取るようにしてください。

4. ちょっとしたお菓子や文具

金銭のやり取りを避けたい、あるいは幼児などお金の価値がわからない子に渡す場合に適しています。

  • 適したシーン: 経済的な事情で金銭の授受を避けたい場合や、まだお金の価値がわからない幼児に対して有効です。
  • 具体的な例: 1,000円程度の「お菓子詰め合わせ」や「文房具セット」などがスマートです。
  • 現物の方が喜ばれる: 特に幼児に対しては、現金よりも現物の方がその場で喜んでくれることが多いです。
  • 渡し方の工夫: 「お年玉」という名目にこだわらず、「お年賀のプレゼント」として渡すことで、お互いに気負わず、温かい気持ちのやり取りができます。

金額の決め方に迷ったらどう相談する?

どれだけ相場を調べても、やはり「自分の親戚付き合いの中で正解なのか」という不安は消えないものです。そんな時は、一人で悩まずに周囲と相談・調整することが、最も確実な解決策になります。ここでは、角を立てずに金額やルールをすり合わせるための相談テクニックを紹介します。

1. 親族間で事前に金額をすり合わせる

  • 最もトラブルを避けるためには、兄弟姉妹など、子供の親同士で事前に話し合い、金額のガイドラインを設けることをお勧めします。
  • 例として、「今年から小学生は2,000円、中学生は3,000円で統一しませんか?」といった提案をしてみましょう。
  • 特に甥・姪の人数に差がある場合(一方が3人、もう一方が1人など)は、総額の負担に不公平感が出やすいため、「一律〇〇円」という協定を結ぶことで、将来的な親族関係の平穏につながります。

2. 家庭ごとの教育方針を尊重する

  • 親族間での取り決めが難しい場合は、相手の家庭の方針を尊重するスタンスで相談することが角を立てません。
  • 「うちはまだ子供にお金を持たせていないから、お年玉は500円で十分」という家庭もあれば、「お年玉で一年間のやりくりを学ばせているから、相場通り欲しい」という家庭もあります。
  • 渡す前に、相手の親に「お年玉、今年はどうされますか?何かルールはありますか?」と軽く尋ねるだけで十分です。
    • 「気持ちだけでいいよ」と言われたら、相場の下限を選ぶと良いでしょう。
    • 「任せるよ」と言われたら、相場の中間を選ぶと良いでしょう。

3. 祖父母からの高額なお年玉への対応

  • 祖父母からの「孫に渡したい」という気持ちは強いため、金額そのものの減額をお願いすると、機嫌を損ねてしまうことがあります。
  • この場合は、金額ではなく「管理方法」で調整します。
  • 祖父母には好きな金額を渡してもらい、その後で親が「これは貯金」「これはお小遣い」と仕分けるのが現実的です。
  • もしご自身が祖父母の立場であるなら、お金を渡す際に「これはお父さん・お母さんと相談して使いなさいね」と一言添えるだけで、親の立場を立てることができます。

4. 学生や新社会人は無理のない金額で

  • あなたが学生や新社会人で収入が安定していない場合、無理に親世代と同じ金額を出す必要はありません。
  • 親戚も、若いあなたが無理をして高額なお年玉を包むことは望んでいません。
  • 「まだ修行中の身なので、少なくてごめんね」と素直に伝えて、1,000円〜2,000円程度を包むか、あるいはお金ではなく一緒に遊んであげるだけでも、子供にとっては十分なお年玉になります。
  • 見栄を張らず、今の自分ができる範囲でお祝いの気持ちを表すことが大切です。

子どもの金融教育としてのお年玉の活用

お年玉は、子供が一年で最も大きな金額を手にする機会であり、絶好の「金融教育(マネーリテラシー教育)」のチャンスでもあります。単に「欲しかったおもちゃを買って終わり」にするのではなく、お金の使い方や価値を学ぶ教材として活用する方法が注目されています。

1. ほしいものを買う力を身につける(金銭の価値感覚)

  • 予算管理の練習:もらったお年玉の総額を把握させ、その限られた予算内で「何が買えるか」「本当に欲しいものは何か」を考えさせ、リストアップさせましょう。
  • 選択と葛藤の経験:欲しいものが予算オーバーの場合、「諦める」「お小遣いを貯めてから買う」といった選択をさせます。この経験が、健全な金銭感覚を養います。
  • 親の役割:口を出しすぎず、失敗も含めて見守ることが大切です。無駄遣いも「お金は使えばなくなる」という重要な学びになります。

2. 貯金・積立の習慣づくり

  • ルール設定:「半分は使う、半分は貯金」など、使う分と貯める分のルールを設ける家庭が多いです。
  • 視覚化:ただ親が管理するのではなく、子供名義の通帳を作り、一緒に銀行へ行って入金しましょう。通帳の数字が増える様子を見ることで、貯金の楽しさや達成感を感じられます。
  • 目標設定:「将来の大学資金」「車を買うため」など、貯金の長期的な目標を話し合うきっかけにしましょう。

3. 毎月のお小遣い管理の練習に使う(中高生向き)

  • 一年分の管理:お年玉を「一年分のお小遣い」として一括で渡し、子供自身に12ヶ月間の使い方を計画・管理させる方法です。
  • 計画性と自制心:毎月定額をもらうのではなく、大きなお金をどう配分するかを計画させることで、計画性や自制心が養われます。
  • 貴重な予行演習:最初に使いすぎて後半苦しくなる経験も、社会に出る前の貴重な予行演習となります。

4. 少額投資で金銭感覚を広げる(中高生・現代の活用法)

  • 投資体験のきっかけ:投資教育への関心が高まる中、お年玉の一部を使って、ジュニアNISA(制度終了後は課税口座等)やポイント投資などの少額投資を体験させる家庭が増えています。
  • 経済への関心:「お金を働かせて増やす」という感覚や、経済の動きに関心を持つきっかけとなります。

子どもにお金の使い方を伝えることは、同時に「自分たちはどんな価値観でお金と向き合ってきたか」を伝えることでもあります。こうした積み重ねが、将来の相続や老後の話を自然にできる関係づくり=終活の土台になります。

まとめ

お年玉は、単なる金銭の授受ではなく、子どもの成長を祝う大切なコミュニケーションです。相場やマナーは円滑な関係を築くための補助線に過ぎません。

最も大切なのは、子どもの年齢や環境、そして渡す側の状況や親族間の調和を考慮し、最適な金額と方法を選ぶことです。金額の多寡より、ポチ袋選びや新札の用意といった過程に愛情を込めることが重要です。

また、現金以外や金融教育としての活用など、新しい形も柔軟に取り入れ、お年玉をより意義深いものにしましょう。この記事を参考に、迷いを払拭し、晴れやかな笑顔でお年玉を手渡し、最高のお正月をスタートさせてください。


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