
【金沢市】仲間と共に学び、生きがいある毎日を! 金沢市高砂大学校・大学院をご紹介
①はじめに
高齢化が進むいま、「学び直し」や「地域とのつながり」は、シニア世代にとってますます大切なテーマになっています。石川県金沢市では、こうした想いに応える学びの場として、「金沢市高砂大学校」および「高砂大学校大学院」が長年にわたり親しまれてきました。
対象は65歳以上の市民。法律や経済、歴史、文化、健康など幅広いテーマに触れながら、知識や教養を深めることができるだけでなく、受講者同士の交流を通じて人生の豊かさや生きがいを見出す場にもなっています。
さらに、大学校修了後には、より専門的な学びを求める声に応えるかたちで大学院も設けられており、多くの受講生が学び続け、地域との関わりを広げています。
本コラムでは、「高砂大学校・大学院」の開設背景や特色、講座の様子を紹介しながら、シニア世代が“今を楽しみ、これからを前向きに生きる”ためのヒントをお届けします。
それでは、高砂大学校の魅力に迫っていきましょう。
②金沢市高砂大学校・大学院について
金沢市高砂大学校、高砂大学校大学院は、金沢市中央公民館彦三館で開講しています。

高砂大学校は、昭和30年代に進行し始めた高齢化社会への対応として、学びを通じた生きがいづくりや社会参加の促進を目的に設立されました。昭和38年に施行された「老人福祉法」や、文部省による高齢者向け社会教育の推進が追い風となり、金沢市では全国に先駆けて高齢者のための学びの場づくりに取り組みました。学びを通じて人と人とがつながり、地域社会との関係を深めることを大切にしており、その理念は現在も受け継がれています。大学院は、高砂大学校の修了生から寄せられた継続的な学習への強い要望を受けて設立され、より専門的な知識を深める場として発展してきました。

1 高砂大学校
65歳以上の市民を対象に、社会の変化に対応する知識・教養の修得と受講者相互の親睦を図り、暮らしを充実させる目的で昭和38年12月から開設しています。
通年制3クラス(月・水・金)で各クラスごとに週1回、午後1時間半、29回の講義で、内容は法律、経済、健康、歴史、文化、時事解説等のほか施設見学も行っています。開設から118期を経過し、修了者は17,087人に達しています。
2 高砂大学校大学院
高砂大学校修了者からの継続学習要望にこたえ、昭和46年9月から開設しています。59期を経過し、修了者は15,283人に達しています。専門講座制で、歴史民俗科、花樹園芸科、文学美術科、悠々健康科の4科があり、通年制各科ごとに週1回、午前中の1時間半、23回実施しています。
③金沢市高砂大学校・大学院の活動内容


大学校
年間31回の講座学習計画(入学式、修了式を含む)のもと、歴史・民俗をはじめ、健康・安全、経済・社会、芸術分野など一般教養を柱として幅広く学習します。またレクリエーション、学級(班)活動も組み込まれています。
大学院
・歴史民俗科《月曜日開講》
郷土の歴史・習俗などの学習を深め、地元への愛着、理解につとめます。
(藩政時代の武家社会の様子や人々の暮らしぶりを知ったり、古文書の解読をしたりしながら郷土について学び、歴史を紐解いていきます)
・花樹園芸科《火曜日開講》
園芸に関するさまざまな知識、栽培の楽しさを学び、暮らしに生かします。(花、野菜などの栽培や、さまざまな樹木、盆栽などの魅力について幅広く学習し(実習を含む)、植物・緑との心地よい関係を築いていきます)
・文学美術科《木曜日開講》
古典や近代文学、郷土の伝統工芸や美術に親しみ、心豊かな生活を創造します。(郷土の文豪の世界に触れたり詩歌を嗜んだりすることや、美術品の鑑賞の仕方、絵画の実習などの学習を通じて芸術・文化に親しみ、情操を育んでいきます)
・悠々健康科《金曜日開講》
健康維持増進に関する学習・実技を通して、心身ともに健康な生活をめざします。(軽運動による体力作りや、健康・衛生管理の学習などを通して心身の健康についての知識や理解を深め、日々の生活の向き合い方を考えていきます)
④将来的な方針・目標
中央公民館自主グループについて

高砂大学校、同大学院の修了者がグル-プを結成し、それぞれ積極的に自主学習を続けており、合唱、手芸、ダンスなど60グループが積極的に活動しています。
中でも彦三館の高砂大学校同窓会は、令和6年度末現在の会員数は約1,700人であり、年間を通して体育まつり、作品発表会、演芸発表会等の各種事業を行っており、日頃の活動成果の発表と会員相互の親睦を図っています。
更に、福祉施設への慰問、金沢マラソンの応援や月1回高砂大学校同窓会の広報誌「たかさご新聞」の発行を行っており、令和5年度には創立60周年記念事業として式典のほか、中央公民館彦三館の前庭に枝垂桜の植樹などを行いました。
⑤参加者の声

・学ぶことすべてが楽しく、毎週受講日が楽しみでした。
・楽しく学ぶことができました。当番もあり、学生時代を思い出して楽しかったです。講座によって予習、復習をして学びました。
・あっという間の1年でした。皆さんの熱意には驚くばかり。人生楽しくという思いが感じられました。
・講義の分野が多岐にわたり、私の人生にこれまでと違った色彩を添えていただきました。大変有意義な学校生活を送ることができました。
・普段は出会うことができないさまざまな人達と交流ができました。新しい仲間を得ることができ、とてもよかったです。
⑥参加方法など詳細
大学校
1.対象者:満65歳以上の金沢市民
2.申し込み方法:市内主要施設等にて配布する入学願書を提出
3.費用:受講料は無料、資料代として年間2,000円徴収
4.注意事項:受講は指定された曜日(組)のみ可
※「組」 「班」単位での仲間づくりを重要視しているため
大学院
1.対象者:高砂大学校を修了した金沢市民
2.申し込み方法:市内主要施設等にて配布する入学願書を提出
3.費用:受講料は無料、資料代として年間2,000円徴収
4.注意事項:同年度に複数の専科の受講は不可
なお、毎年1〜2月頃に、次年度の募集要項を金沢市の広報紙、ホームページ、市内主要施設等で掲載・配布しています。受講を希望される方は、時期にあわせてご確認ください。
⑦まとめ
高砂大学校・大学院は、年齢を重ねても学びを楽しみ、仲間とともに人生を豊かにしていける場として、多くの人に長年親しまれてきました。知識を深めるだけでなく、人との交流や地域とのつながりを育むことで、毎日の暮らしに新しい喜びや生きがいをもたらしています。
「学ぶのはもう遅い」と思っている方もいるかもしれません。でも実は、学びを始めるのに年齢は関係ありません。小さな一歩からでも、自分らしい充実した時間を育んでいくことができます。
そして、こうした取り組みは金沢市だけのものではありません。あなたのまちにも、きっと同じように、学び直しや仲間との出会いを応援してくれる場があるはずです。
もし「もう一度学んでみたい」 「誰かとつながりたい」と思ったなら、その気持ちを大切にして、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
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