自宅葬とは?家で送るお別れのための流れと費用、マナー解説

2024.11.15

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近年、家で葬儀を執り行う「自宅葬」が注目されています。故人と家族が過ごした家で葬儀を行うことで、時間を気にせずお別れができることが特徴です。しかし、自宅葬の準備や流れ、服装やマナーなどは一般的な葬儀と異なる点も多く、初めての方には戸惑うこともあるでしょう。本記事では、自宅葬の流れや準備、費用、服装に加えて、マナーについても詳しく解説します。

1. 自宅葬の概要

自宅葬とは? 自宅葬とは、故人の葬儀を自宅で行う形態の葬儀です。従来の葬儀場や斎場を使用せず、故人と家族が共に過ごした自宅の一室や庭先でお別れをすることで、より親密な空間の中で最後の時間を共有できるのが特徴です。家族や親しい友人を中心に少人数で執り行う場合が多く、一般的な葬儀に比べて儀式やしきたりが簡略化され、自由で柔軟な形式で進められることが多いです。

2. 自宅葬のメリットとデメリット

自宅葬は従来の葬儀場で行う葬儀とは異なり、故人との最後の時間をより身近な空間で共有できる特別な形です。ここでは、自宅葬のメリットとデメリットを紹介します。

自宅葬 メリット デメリット

メリット

1.温かく個別性の高いお別れ 自宅で行う葬儀は、故人と家族が過ごした場所で行うため、より個人的で温かな別れを感じやすいのが特徴です。アットホームな雰囲気の中、親しい方だけでゆっくりとお別れができます。親しい人たちと共に、リラックスした空間で故人を偲べる点は自宅葬ならではの魅力です。 2.シンプルで自由な形式が可能 自宅葬では、従来の葬儀のように形式にとらわれず、家族の希望に沿って葬儀の内容や進行を柔軟に決めることができます。例えば、宗教的な制約がない葬儀スタイルや、簡素で温かな別れが可能です。故人や家族の意向を反映させやすく、カスタマイズがしやすい点も大きな利点です。 3.費用の節約 自宅葬は、葬儀会場の使用料や祭壇設営費用がかからないため、費用を抑えやすいのが大きなメリットです。葬儀に必須の支出のみで構成できるため、特に会場費が高額になりがちな都市部では費用の軽減が期待できます。葬儀の規模が小さくなるため、予算に応じた葬儀が実現しやすいのも特徴です。

デメリット

1.手配や準備が多い 自宅葬を行うためには、会場設営や役所への届け出、遺体の搬送などを家族が手配する必要があります。死亡届の提出や火葬場の予約など、慣れない手続きが多いため、葬儀社のサポートを利用する方も増えています。家族が主体となって準備を進める必要があるため、負担が大きくなることもあります。 2.スペースや衛生面の問題 自宅の広さや構造によっては、参列者数に限りが出たり、近隣に配慮する必要があります。また、季節や気温によっては衛生面や遺体安置の方法にも工夫が必要です。特に夏場や温度の高い季節には、冷却シートやドライアイスなどを用意し、故人の安置環境を整える必要があります。 3.近隣住民への配慮 都市部や集合住宅では参列者が多く集まると近隣住民に迷惑がかかる可能性があるため、事前に相談しておくことが重要です。特に賃貸や集合住宅での自宅葬は、管理会社や近隣住民に対する配慮が求められます。近隣の騒音や参列者の出入りに関して、あらかじめ確認しておくことでトラブルを避けることができます。

3.自宅葬の準備と必要な手続き

自宅葬を実施するためには、いくつかの準備や役所への届け出が必要です。ここでは、自宅葬を進める際に必要な手順や選択肢について詳しく説明します。

3-1. 自宅葬を行う選択肢

葬儀社への依頼 自宅葬を行う際には、葬儀社を選ぶことが一般的です。自宅葬に対応したプランを提供している葬儀社を選べば、遺体搬送や祭壇設営、進行サポートなどの手続きを一括して任せることができます。特に初めての方や、自宅葬をスムーズに進めたい場合には、葬儀社のサポートを活用するのが安心です。 自分で準備する 自宅葬は葬儀社に頼まず自分たちのみで行うことも可能です。自力で葬儀を行う場合、以下の作業を自分たちで手配・準備する必要があります。 ・安置場所の確保と設営 故人を安置する場所を整えます。一室を清掃し、適切な温度や湿度を保つ工夫が求められます。冷却設備が必要な場合、専門業者やレンタルサービスを利用することもできます。 ・祭壇の用意 簡易的な祭壇や花を飾るなど、装飾も家族で行えます。仏壇がある場合は仏壇を中心に整え、宗教的な要素を含めたい場合には準備が必要です。 ・参列者の案内 日程や時間の調整、参列者への案内も家族が対応することになります。

注意点:ご自身で行う際の負担

自宅葬を自力で行う場合、ドライアイスの手配やご遺体の安置、さらには火葬場の予約など、専門的な知識や準備が必要です。特に、故人の安置には適切な温度管理が求められ、冷却材や衛生管理を怠ると問題が発生する可能性があります。また、役所への死亡届の提出や火葬の手続きも全て家族が行う必要があります。 これらを踏まえると、基本的には葬儀社に依頼することが推奨されます。葬儀社のサポートを受けることで、専門的な手続きや設営を任せることができ、家族が故人との最後の時間に集中することが可能になります。

3-2. 必要な手続き

・死亡届の提出 故人が亡くなった後、死亡届を7日以内に提出する必要があります。市区町村役場に提出し、届出が受理されると火葬を行うための「埋火葬許可証」が発行されます。 ・火葬の手続き 自宅葬の後に火葬を行う場合、火葬場の予約が必要です。自治体が運営する火葬場は比較的安価で利用できるため、地元の火葬場の空き状況を確認しておくと良いでしょう。 葬儀社へ依頼する場合は確認と予約を代行してもらえます。 ・自治体への相談 自宅葬では、近隣住民や地域への配慮が求められることがあります。特に都市部や集合住宅では、騒音や参列者の出入りによる迷惑防止のため、自治体や管理会社への事前相談がおすすめです。

4. 自宅葬の流れ

自宅葬の流れは、臨終から葬儀後の遺骨安置まで、いくつかの段階に分かれています。以下では、一般的な自宅葬の手順をわかりやすく解説します。初めての方でも安心して準備が進められるよう、各ステップを詳しくご紹介します。

4-1.臨終後の対応 故人が亡くなられたら、医師による死亡確認を受け、「死亡診断書」を発行してもらいます。この診断書は、火葬や埋葬の手続きに必要となる重要な書類ですので、大切に保管しましょう。自宅で亡くなられた場合には、速やかにかかりつけ医や警察に連絡し、適切な指示を受けてください。 4-2. 葬儀社への連絡と搬送 葬儀社を決定していない場合には、インターネットや地域の情報を参考に、自宅葬に対応している葬儀社を探しましょう。葬儀社に連絡すると、寝台車で故人を搬送し、自宅に安置する手配を進めてくれます。 4-3. 自宅での故人安置と準備 自宅に到着後、故人を安置します。安置場所は、できるだけ清潔な一室を用意し、遺体を保護するためにドライアイスなどの処置が施されます。同時に、エンゼルケアを施したり、枕飾り(仮祭壇)を設置し、遺影やお花を飾ります。この場で故人に装束を着せたり、死化粧を施すことで、旅立ちの準備を行います。 4-4. 葬儀内容の打ち合わせ ・葬儀社と打ち合わせを行い、以下の内容を決定します。 ・葬儀日程と時間 ・喪主の選定 ・葬儀の形式(宗教的儀式の有無など) ・祭壇のデザインや規模 ・棺の種類 ・参列者への対応(料理や返礼品など) 4-5. 親族・関係者への連絡 血縁の近い親族から順番に連絡を入れます。葬儀日程が決定した後、参列してほしい方にも案内を行いましょう。特に遠方の親族には早めに連絡をすることで、移動の手配がしやすくなります。 4-6. 納棺 故人を棺に納めます。納棺時には愛用品を入れることができますが、火葬できないもの(ガラスや金属)は避けます。詳しくは依頼する葬儀社へ確認したり、火葬場に問い合わせをしましょう。 4-7. 祭壇の設営 葬儀社が祭壇を設営し、故人が好きだった花などで飾ります。 4-8. 通夜 僧侶の読経や参列者による焼香が行われ、故人を偲びます。 4-9. 通夜ぶるまい 軽食を振る舞い、思い出を語り合います。 4-10. 葬儀・告別式 僧侶の読経と焼香を行い、最後のお別れをします。初七日法要を併せて行うこともあります。 4-11. 出棺 棺を霊柩車に乗せ、火葬場へ向かいます。 4-12. 火葬・収骨 火葬を行い、遺骨を収骨します。 4-13. 精進落とし 食事を振る舞い、感謝の意を伝えます。 4-14. 後飾り祭壇への遺骨安置 自宅に後飾り祭壇を設置し、遺骨を安置します。

5. 自宅葬にかかる費用と注意点

5-1. 自宅葬の費用相場

自宅葬の費用相場は、40万円から100万円が一般的です。これは依頼する内容や葬儀社のサービスにより増減します。葬儀のシンプルな形式にすることで費用を抑えることができ、特に会場費や祭壇の装飾費用がかからないため、一般的な葬儀に比べて費用の面での負担が軽減される傾向にあります。

5-2. 費用内訳

1.葬儀社への依頼費用 葬儀社のサービス内容によって、費用は40万円~100万円ほどになります。祭壇の設置、遺体の搬送、式の進行サポートなどが含まれ、選択するプランや規模によって異なります。 2.火葬費用 火葬場の利用料は、地域により異なりますが、一般的には無料〜15万円程度です。自治体によっては無料の火葬場もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。 3.備品や祭壇費用 自宅に設ける仮祭壇や花飾りなどの費用も必要に応じてかかります。シンプルなものから、華やかな祭壇まで、希望に応じて設定できます。

5-3. 注意点

・追加費用に注意 基本プランに含まれていない追加サービスを希望する場合には別途料金が発生します。契約時に見積もりをしっかり確認するようにしましょう。 ・自治体の支援制度の確認 生活困窮者向けの葬儀費用支援制度がある自治体もあるため、必要に応じて役所に問い合わせてみましょう。

6. 自宅葬の服装とマナー

6-1. 参列者の服装

自宅葬では、一般的な葬儀と同じく喪服が基本となりますが、家族や故人の意向に応じて柔軟に考えて構いません。 ・喪服(ブラックフォーマル) 伝統的なブラックフォーマルの服装が最も無難です。男性であれば黒のスーツに黒いネクタイ、女性であれば黒いワンピースやスーツなどが適しています。自宅葬だからといってカジュアルすぎる服装は控え、礼儀を重んじた服装を心がけましょう。 ・ダークカラーの服装 喪服を着用しない場合でも、なるべく黒やグレー、ネイビーなどのダークカラーの服装を選ぶのが一般的です。特にカジュアルな服装を許されている場合でも、落ち着いた色味で、露出の少ないスタイルが良いでしょう。 ・アクセサリーや装飾品 派手なアクセサリーや装飾品は避け、シンプルなものにとどめます。女性であれば、結婚指輪やシンプルなパールのネックレス程度が適切です。

6-2. 喪主や親族の服装

喪主や親族の服装は、一般的には参列者よりもフォーマルさを保つのが望ましいとされています。自宅葬ではあるものの、喪主として礼儀を重んじた服装を心がけると、参列者の方々に良い印象を与えます。 ・フォーマルな喪服(第一喪服) 通常の葬儀と同様に、喪主や主な親族は格式のあるフォーマルな喪服を選びましょう。男性はモーニング、女性は黒の和服や洋装の喪服が一般的です。 ・子供の服装 お子様の服装は、黒やダークカラーのシンプルな服装を選びましょう。小さなお子様であれば、あまり厳格にする必要はありませんが、礼儀を重んじた装いが基本です。

6-3. 自宅葬での香典について

自宅葬の際にも、一般的な葬儀と同様に香典を持参することがマナーとされています。ただし、故人やご遺族の意向で香典を辞退するケースもあるため、事前に確認しておきましょう。ご遺族が香典を辞退されていない場合は、香典を用意して持参するようにしましょう。

7. まとめ

自宅葬は、故人と過ごした空間で最後の時間を過ごす特別な葬儀スタイルです。自宅葬は準備における負担が増える一方で、故人を温かく見送れる点が魅力です。葬儀社のサポートを活用し、必要な手続きをスムーズに行いながら、家族が大切な別れの時間に集中できるような配慮を心がけましょう。

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