
粗大ごみで出された仏壇もリユースへ 静岡県三島市の取り組み
公開日: 2024.8.27 更新日: 2024.10.11
こんにちは。ライターの大原です。
以前仏壇の処分方法を取り上げた際、三島市の取り組みが非常にユニークで衝撃を受けました。近年多くの自治体がごみの減量やリサイクルに取り組む中、三島市は「メルカリShops」を活用して粗大ごみをリユースするという新しいアプローチを試み、多くの成果を上げています。
今回は、その背景にある考え方や取り組みの工夫について、廃棄物対策課の山添様にお話を伺いました。
取り組みはごみのリユースに関するものですが、遺品・生前整理の中でこのような取り組みがあるのを思い出していただくこと、また、このような挑戦的な取り組みが全国に広がっていくことを願い、紹介させていただきます。
取り組みが始まった背景
三島市が粗大ごみのリユースに取り組むことになった背景には、地域のごみ問題が深く関わっています。近年、三島市のごみ排出量は減少傾向にありますが、市民一人1日当たりのごみ排出量は、県内人口10万人以上の都市のうち「4番目」に多い状況でした。また、最終処分場の残余容量もひっ迫しており、ごみの減量が課題となっていたのです。さらに、施設の消耗を抑え、より長く清掃センターを活用するためにも、粗大ごみの削減が急務でした。
こうした背景の中で、営利ではなくリユースによるごみの減量を主目的に、「メルカリShops」を活用した粗大ごみの販売を始められました。このプラットフォームを使えば、まだ使えるものを単なるごみとして処理するのではなく、必要としている人の手に渡る可能性が広がります。これにより、ごみの減量と同時にリユースの推進が可能となり、市の資源循環を促進する一石二鳥の取り組みとしてスタートしたのです。
三島市の驚異的な成果
まず、三島市が「メルカリShops」を利用して販売している粗大ごみの実績について触れましょう。2024年6月末時点で、全国37自治体の中でフォロワー数が6,243人とトップに立っています。特に直近の3ヶ月(2024年4月~6月)のデータでは、フォロワー数、販売数、販売額の3冠を達成しており、商品へのいいね数でも2位という結果を出しています。
この驚異的な成果は、計画的な努力と工夫が結実したものです。三島市の取り組みを成功に導いている3つの要因を詳しく考えます。
1. 継続的な改善とノウハウの蓄積
当初より、定期的な出品の重要性を認識され、週に1回、毎週木曜日か金曜日に出品を続けることで、フォロワーの関心を維持していました。また、購入者からのヒアリングを行い、そのフィードバックを基に商品選定や出品方法を改善しています。例えば、出品時間を昼休みなどの購入者がアクセスしやすい時間帯に変更することで、売れ行きをさらに向上させています。
さらに、商品の選定にも工夫を凝らしており、売れ残りが少ないように、過去の販売データを基にして出品する商品を決定しています。また、初めて出品する商品に対しても慎重にテストを行い、どのようなものが売れやすいかを常に分析しています。このような継続的な改善とノウハウの蓄積が、三島市の販売実績を支えているのです。
2. メディアを活用した広報戦略
三島市が成果を上げたもう一つの要因は、メディア露出を戦略的に活用した点です。山添さんは、販売開始時にメディア関係者に積極的にアプローチし、事業の魅力を伝えることで、多くのメディアに取り上げられるよう努めました。結果的に、テレビや新聞などでの報道がきっかけとなり、フォロワー数が急増し、その影響で商品の販売も加速しました。特に、メディアに取り上げられるたびにフォロワーが増加し、それがさらなる販売促進につながるという好循環が生まれました。
3. 挑戦できる環境へ
山添さんも新しい取り組みをすることに「リスクがある」と感じる方が一定数いることを当時実感されたそうです。一方で、今回の取り組みが取り上げられるにつれ、連携事業に興味を持たれた方の反響があったり、現場の職員の方が積極的な提案をしてくださるようになったとのこと。結果が出たのも大きいとは思いますが、新たな挑戦から周囲を巻き込み、より多くの意見や挑戦がされる環境にできたことは素晴らしいと思います。
今後も成功体験を積み重ねることで、市役所全体が挑戦を受け入れる文化が育まれ、さらに新しい取り組みへのモチベーションが高まるのではないでしょうか。
ごみ削減とリユース意識の醸成
三島市の取り組みは、単に粗大ごみを減らすだけでなく、市民のリユース意識を高めることにも貢献しています。実際に、市民から「この商品をぜひメルカリに出してみてほしい」といったリクエストが寄せられることもあり、リユースの輪が市全体に広がっていることを感じさせます。また、他の自治体や議員からも多くの問い合わせや視察があり、三島市の取り組みが全国的に注目されていることがわかります。
最後に
今回の三島市の成功が、他の自治体や個人にもリユース活動への意欲を喚起し、循環型社会の実現に向けた大きな一歩となることを期待しています。
また、リユースに限らず社会全体の課題に対して自由な発想で挑戦がされていくこと、それを応援する環境の醸成がされることを願っています。
このコラムが、他の自治体や個人がリユース活動に取り組む際のヒントになれば幸いです。
三島市の皆様の努力に敬意を表しつつ、今後のさらなる発展を応援しています。
実際に販売されていた仏壇の画像

2024年8月現在の様子

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