お歳暮

お歳暮に何を送る?相手別おすすめギフトと避けるべき品を徹底解説

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年末が近づくと、そろそろ考え始めるのが「お歳暮」の準備。毎年の恒例行事として、お世話になった方々への感謝の気持ちを形にする日本独自の風習です。しかし、「お歳暮の品物は何がいい?」「誰に贈るべき?」「相手別にどう選べば失礼がないのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

特に現代は、仕事やプライベートにおける人間関係の多様化が進み、贈り物に対する価値観も変化しています。かつては定番とされていたアイテムでも、ライフスタイルや地域性、さらには宗教的・文化的背景によって「もらっても困る」と感じる人も増えています。つまり、お歳暮は「贈ること」そのものよりも、「誰に、どのような品物を選び、どのように気持ちを伝えるか」がますます重要になってきているのです。

以下の内容を読むことで、今年のお歳暮選びに迷うことなく、相手に本当に喜ばれる贈り物を選ぶことができるようになるでしょう。大切なのは、高価な品を贈ることではなく、「あなたを大切に思っています」「いつもありがとうございます」という気持ちを誠実に届けること。その手助けとなる具体的なヒントを、これから順を追ってご紹介します。

お歳暮は誰に贈る?

お歳暮は単なる年末の贈り物ではなく、「一年間の感謝」を形にして伝える、日本独自の風習です。そのため、誰に贈るかを誤ると、かえって失礼になったり、相手に気を使わせてしまうこともあります。ここでは、お歳暮を贈るべき相手の範囲と、それぞれに対する贈り方の考え方を詳しく見ていきましょう。

1. 職場関係(上司・取引先)

ビジネスにおいては、「感謝と礼儀の象徴」としてお歳暮を贈ることが多くあります。特にお世話になった上司や先輩、重要な取引先に対しては、社会人としての礼儀を示す場とも言えます。

  • 上司へ:あまり高価すぎるものを贈ると気を使わせるため、3,000円〜5,000円程度が一般的です。相手の家族構成やライフスタイルを考慮した実用性の高い品が好まれます。
  • 取引先へ:会社名義で贈る場合と個人で贈る場合があります。ビジネス関係では「公平性」も重要なので、同業他社と差が出ないよう注意が必要です。

なお、会社の規定で「贈答禁止」としている場合もあるため、事前の確認は必須です。

2. 親戚・義理の両親・実家

親族へのお歳暮は、家族関係を円滑に保つための一助となります。特に、結婚後は義理の両親に贈るのが一般的とされ、良好な関係を築くためにもおすすめです。

  • 義両親へ:夫婦連名で贈るのが丁寧な印象を与えます。相手の健康や好みに配慮したものを選ぶと、細やかな気遣いが伝わります。
  • 実家へ:あまり形式ばらず、気持ちのこもった手土産のような贈り物でも喜ばれます。年末の帰省と合わせて持参するケースも多いです。

親戚の場合は、地域の慣習や年齢層に応じた選び方を心がけましょう。

3. 友人・知人

本来、お歳暮は「公的・半公的な関係」に対して贈るのが一般的でしたが、近年では、親しい友人や知人に贈るケースも増えています。特に、お世話になったご近所さんや共働きで助け合っている家庭などに、小さなお礼として贈ることも珍しくありません。

  • 気軽に受け取ってもらえるような価格帯(2,000円〜3,000円)で選ぶと、カジュアルながらも気持ちが伝わります。
  • 相手のライフスタイルや好みに合ったものを選ぶことが、さりげない心遣いとして伝わります。

気楽に贈れる関係であるかどうかを見極めることが大切です。

お歳暮を贈ってはいけない相手は?

お歳暮は感謝の気持ちを伝える美しい文化ですが、すべての人に対して贈ればよいというものではありません。相手の立場や状況によっては、お歳暮がかえって迷惑になったり、不適切とされるケースもあります。ここでは、「お歳暮を贈らないほうがよい相手」や、その理由、注意点について詳しく見ていきましょう。

1. 公務員や一部企業の社員

最も注意すべきなのが、公務員や特定の企業に勤める方々です。これらの職種では、法令や社内規定により「贈答品の受け取り自体が禁止されている」場合があります。

  • 国家公務員・地方公務員:国家公務員倫理法や地方公務員法により、利害関係者からの贈答は原則禁止されています。違反すると倫理的・法的な問題に発展する恐れがあります。
  • 一部の民間企業:特に大手企業や金融機関では、社内のコンプライアンス規定として「取引先からの贈答品を受け取らない」方針を設けていることがあります。

このような相手にお歳暮を贈ると、受け取りを辞退されるだけでなく、かえって気まずい関係になりかねません。公務員や企業の社員に贈る前には、相手の立場や社内規定を確認することが不可欠です。

2. 明確に辞退の意向を示している相手

「贈り物はご遠慮させていただいております」「お気持ちだけで十分です」など、贈答を辞退する意思を明確にしている相手に対して、お歳暮を無理に贈るのは避けるべきです。

  • 相手の意向を無視して贈ることは、善意の押し付けと受け取られる可能性があります。
  • 贈られた側に「お返ししなければならない」というプレッシャーを与えてしまい、かえって負担になってしまうこともあります。

こうした相手には、年賀状や一筆箋など、気軽な方法で感謝を伝えるほうが、誠実な対応といえるでしょう。

3. 疎遠になっている相手

過去にはお世話になったものの、現在は関係が途絶えている、または連絡をとっていない相手に対して、突然お歳暮を贈るのもおすすめできません。

  • 相手に「なぜ今さら?」という疑念や不信感を与える可能性があります。
  • 贈られた側が困惑し、「お返しをどうすればいいか」と悩ませる原因になることもあります。

お歳暮は基本的に「現在も継続的な関係がある相手」に贈るものです。感謝の気持ちを表したい場合でも、唐突なお歳暮よりも、まずは一度連絡を取って近況を伺うなど、段階を踏んだ関係再構築が大切です。

4. 喪中の相手に贈る場合の注意

喪中の方に対しても、お歳暮を贈ること自体はマナー違反ではありませんが、いくつかの注意点があります。

  • 包装や表書きに配慮:紅白の水引や「御歳暮」という表書きは避け、「寒中御見舞」「御伺い」などに変更するのが一般的です。
  • 時期にも配慮:四十九日を過ぎていない場合は、お歳暮のタイミングを遅らせることを検討しましょう。

相手の心情に寄り添うことが最優先です。形式よりも気持ちが伝わる対応を心がけましょう。

贈る相手に合わせたお歳暮の選び方

お歳暮で最も重要なのは、「相手の立場や状況に合った品物を選ぶこと」です。高すぎても気を使わせ、安すぎても礼を欠く――そのバランスをとるためには、贈る相手に応じた配慮が必要です。以下では、「上司・取引先」「義理の両親・親戚」「友人・知人」の3パターンに分けて、それぞれにふさわしいお歳暮の具体例をご紹介します。

1. 上司・取引先に贈る場合

ビジネス関係では、丁寧な印象と節度ある贈り物が求められます。実用的でありながら、上質感のある品を選びましょう。

おすすめの品物:

  • 高級焼き菓子の詰め合わせ
  • 出汁や調味料のセット
  • 缶ビールや日本酒のギフトセット
  • 煎茶やドリップコーヒーの詰め合わせ

価格帯の目安:

3,000〜5,000円前後。関係の深さに応じて5,000円を超える場合もあります。

注意点:

相手が保管や扱いに困らない「消え物(食べ物・飲み物)」が無難です。冷蔵・冷凍の必要がないものを選ぶと安心です。

2. 義理の両親・親戚に贈る場合

親族には、家庭で楽しめる内容や年末年始に役立つ食品が好まれます。形式よりも、温かみや実用性を意識した選び方がポイントです。

おすすめの品物:

  • ハムやソーセージの詰め合わせ
  • すき焼き用の国産和牛
  • おせち料理の素材になる惣菜(黒豆、数の子、佃煮など)
  • カニやエビなどの冷凍海鮮ギフト
  • ブランド米や無添加のレトルト食品

価格帯の目安:

4,000〜6,000円程度。品物の内容よりも「気持ちを伝えること」が重視されます。

注意点:

冷蔵・冷凍が必要な場合は、受け取り可能な日時を事前に確認しておくと親切です。

3. 友人・知人に贈る場合

気軽な関係性であれば、あまり形式張らず、ちょっとした気遣いを感じさせる品物が喜ばれます。「自分では買わないけれど、もらうとうれしい」ようなものがベストです。

おすすめの品物:

  • ジャムやはちみつの詰め合わせ
  • 焼き菓子やプリン、ゼリーなどのスイーツギフト
  • バスソルト、ハンドクリームなどの日用品ギフト
  • ドリップタイプのコーヒーやティーバッグの詰め合わせ
  • ご当地の乾麺、調味料、珍味セットなどの地方特産品

価格帯の目安:

2,000〜3,000円程度。相手が気を使わず受け取れる価格帯が理想です。

注意点:

過度に豪華すぎるものは避け、包装や手書きメッセージなどで「さりげない気遣い」を演出しましょう。

お歳暮で避けたほうがよい品物とは?

お歳暮は感謝の気持ちを表すための贈り物ですが、選ぶ品物によっては相手を困らせたり、失礼にあたることもあります。特に注意すべきなのが、「実用性があっても避けるべき品物」です。保存や好みの問題に加えて、日本ならではの“縁起”にも配慮が必要です。この章では、避けるべき品物を5つの視点からご紹介します。

1. 冷蔵・冷凍が必要な大量の食品

保存場所に困る、消費しきれない、受け取りが負担――これらが大きな理由です。

例:

  • 大容量の冷凍肉・冷凍魚介類
  • 要冷蔵の詰め合わせ(乳製品、惣菜など)

対策:

  • 冷蔵・冷凍が必要な場合は、事前に受け取り日時を相談する
  • 常温保存可能で、コンパクトなサイズを選ぶ

2. 賞味期限が極端に短い食品

忙しい年末年始に「すぐ食べてください」という品は、むしろ負担になります。

例:

  • 生菓子(ケーキや和菓子)
  • 開封後すぐに食べ切る必要がある惣菜類

対策:

  • 賞味期限が10日以上あるもの、または個包装の品を選ぶと無難

3. 縁起が悪いとされる品物

日本には古くから、「物の意味」による贈り物のタブーがあります。特に年配の方や伝統的な価値観を持つ相手には、以下のような品物は避けるべきです。

避けたほうがよい縁起物:

品物

理由

包丁・ハサミなどの刃物

「縁を切る」を連想させるため

割れ物(ガラス・陶器)

「関係が壊れる」という意味合いがある

靴・靴下・スリッパなどの履物

「相手を踏みつける」と受け取られる可能性

ハンカチ

「別れ」を意味することがあり、特に白いハンカチは避けるべきとされる

現金・商品券(※一部の場面を除く)

金額が露骨にわかり、ビジネスでは避けるべきことも

対策:

  • 実用性があっても、縁起や文化的背景を配慮する
  • 迷ったら「食品類」「日用品(消耗品)」の中から選ぶのが無難

4. 好みが分かれる食品・香りの強い日用品

好き嫌いが大きく分かれる品は、かえって相手に気を使わせてしまいます。

例:

  • 発酵食品や香辛料の強い調味料
  • 香りの強い入浴剤や柔軟剤
  • 派手なデザインの雑貨

対策:

  • 万人受けする味や香りを基準に選ぶ
  • 無香料やナチュラル系の商品を選ぶのもひとつの手

5. サイズが大きく収納に困るもの

もらって嬉しいけれど、「置き場所がない」「収納しづらい」といった実用面での困りごとも無視できません。

例:

  • 大型の調理器具や食器セット
  • 多段になった豪華すぎる詰め合わせ
  • 極端に変わった形状の包装

対策:

  • シンプルで場所をとらない商品や、使い切りサイズを意識する

お歳暮選びにおいて重要なのは、「贈ること」よりも「受け取る側の立場に立つこと」です。相手の年齢・家族構成・価値観・生活環境を考慮したうえで、感謝の気持ちが自然に伝わる、心配りのある品物を選びましょう。

お歳暮を贈る際に押さえておきたいマナー

お歳暮は単なる贈り物ではなく、「感謝の気持ち」を相手に伝えるための日本文化に根ざした習慣です。そのため、贈る品物の内容だけでなく、「贈る時期」「包装」「贈り方」といったマナーを正しく守ることが、相手に失礼のない、好印象な贈答につながります。

1. 贈る時期:12月初旬〜20日頃までが一般的

お歳暮は「年末のご挨拶」として贈るものですが、地域によって適切な時期に微妙な違いがあります。

地域

贈る期間

関東地方

12月1日〜12月20日ごろ

関西地方

12月10日〜12月20日ごろ

最も避けたいのは「年末ぎりぎり」や「年明け後」に届いてしまうこと。遅れてしまった場合は、「寒中御見舞」として贈るのがマナーとされています。

2. 熨斗(のし)・水引の種類と書き方

お歳暮のギフトには、必ず「熨斗(のし)」を付けるのが一般的です。水引や表書きには決まりがあります。

水引の種類:

  • 紅白の蝶結び(水引が結び直せるもの)
    • 意味:何度あっても良い祝い事としてのお歳暮には適しています

表書きの書き方:

  • 水引の上段:御歳暮
  • 水引の下段:贈り主の姓のみまたはフルネーム

※家族連名で贈る場合は、「◯◯・◯◯」や「◯◯家」と記載します。

3. 贈り方:持参と宅配、どちらが良い?

お歳暮はもともと、直接持参するのが正式な形ですが、現代では宅配便を使うのが一般的になっています。状況に応じて使い分けましょう。

直接持参する場合:

  • 訪問前に日時を相談するのがマナー
  • 訪問先での滞在は長居せず、挨拶と簡単な言葉を添えて渡す
  • 熨斗を「外のし(包装紙の外にのし紙)」にするのが一般的

宅配で贈る場合:

  • のし紙を「内のし(包装紙の内側にのし紙)」にすることが多い
  • 送り状に「今年もお世話になりました」などの挨拶文を添えると丁寧

4. 挨拶状やメッセージカードを添えると好印象

お歳暮は品物だけで済ませるより、手書きの挨拶状やメッセージカードを添えることで、さらに心が伝わります。

文例(ビジネス用):

本年も格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。
心ばかりではございますが、年末のご挨拶としてお届けいたします。
来年も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

文例(親戚・友人用):

今年も一年、大変お世話になりました。
心ばかりの品をお届けいたします。ご家族皆さまでご笑納いただけましたら幸いです。

お歳暮は、単なるギフトではなく“関係性を築く行為”の一部です。マナーを守って丁寧に対応することで、贈る側の人柄や信頼感がより深く伝わります。正しい形式を押さえることが、あなたの気持ちをより明確に、より温かく届ける手助けとなるでしょう。

まとめ

お歳暮は、日頃の感謝の気持ちを伝えるための大切な習慣です。しかし、その意味を正しく理解せずに贈ってしまうと、相手に気を使わせたり、かえって関係を損ねることにもなりかねません。誰に、どんなタイミングで、どのような品を贈るかは、すべて「思いやり」に基づいた判断が求められます。

贈る相手によって、選ぶべき品物や価格帯も変わります。上司や取引先には節度ある高級感のある品を、親戚や義理の両親には家族で楽しめる実用的な食品を、友人や知人には気軽に受け取れるようなカジュアルなギフトを選ぶと、相手の立場にふさわしい心遣いが伝わるでしょう。

一方で、贈るべきではない相手や、避けたほうが良い品物もあります。保存に困る食品や好みが分かれる品、縁起の悪い刃物や割れ物などは、実用性があっても敬遠される可能性があるため注意が必要です。

また、贈る時期や熨斗の形式、挨拶状の添え方など、基本的なマナーを守ることで、贈り物の印象がより良いものになります。ただの形式ではなく、「相手を思う気持ち」が伝わるかどうかが、お歳暮の成否を分けるポイントです。

お歳暮は物ではなく「心」を届ける文化です。感謝と敬意を形にする手段として、丁寧に、そして誠実に準備することが、長く信頼される関係づくりにつながっていきます。

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