デジタル終活のやり方と注意点を徹底解説!今すぐ始める新しい終活

2025.6.11

  • 終活

インターネットが普及し、私たちの生活は紙の書類や現金だけではなく、目に見えない「デジタル資産」にも大きく依存するようになりました。SNSの投稿、ネットバンキングの口座、サブスクリプションサービスの契約、スマートフォンの写真や動画――これらはすべて個人の財産であり、大切な思い出でもあります。 しかし、これらのデジタル資産は、私たちが亡くなった後どうなるのでしょうか? アクセスできずに放置されたSNSアカウント、不正利用されるネット銀行の残高、家族が開けられないスマートフォンの中の思い出の写真――こうした問題は現代ならではの新しい課題として、年々注目を集めています。 そこで今、多くの人が取り組み始めているのが「デジタル終活」です。従来の終活が不動産や預金、保険などの整理を中心としてきたのに対し、デジタル終活は目に見えない資産を整理し、残された家族が困らないよう備える活動です。 本記事では、デジタル終活の基本的な考え方から、対象となる資産の種類、具体的な進め方、注意すべきポイント、保有データの保存期間、ローカル機器とクラウド機器の管理方法までを徹底的に解説します。誰にでも訪れる「その時」のために、今できる備えを一緒に考えていきましょう。

デジタル終活とは

デジタル終活とは、自身の死後に備え、インターネットや電子機器に保存されたさまざまなデジタル情報やアカウントを整理・管理する活動を指します。現代では、パソコンやスマートフォンをはじめ、多くのオンラインサービスを日常的に利用することで、膨大なデジタル資産が生まれています。 これまでの終活は、不動産、現金、預貯金、有価証券といった「目に見える財産」が中心でした。しかし今では、形のない「見えない財産=デジタル資産」も、相続や整理の対象として非常に重要になっています。

デジタル終活が必要な理由

なぜデジタル終活がこれほど重要視されるようになったのでしょうか? 理由は大きく3つに整理できます。 1.遺族がアクセスできずに困るケースが多発している パスワードやIDが分からないと、残高確認、解約、削除、相続などの手続きが進められなくなる。SNSアカウントが乗っ取られたり、放置されたまま公開され続けるケースも。 2.不正利用・情報漏洩のリスクがある 死後のアカウント放置は、第三者による不正ログイン、なりすまし、金融犯罪に繋がる恐れがある。 3.大切な思い出や情報を確実に残すため 家族にとって重要な写真や動画、手紙、仕事の資料などが整理されないままだと、消失したり、発見できなかったりするリスクがある。

デジタル終活の対象は日々増えている 現在私たちの周囲には、SNS、クラウドストレージ、ネットバンキング、サブスクリプション、仮想通貨、電子書籍など、様々な形態のデジタル資産が存在しています。これらは今後さらに多様化し、世代や職業を問わず誰にとっても避けられない問題になりつつあります。 デジタル終活は「すべての世代に必要」 「終活=高齢者のもの」と考えがちですが、デジタル終活に関しては全年齢が対象となります。事故・病気・災害など突然の事態は年齢を問わず誰にでも起こり得るからです。若年層や働き盛りの世代でも、自分のデジタル資産を棚卸し、整理・管理する意識が求められています。

整理すべきデジタル資産

デジタル終活を行ううえで、最も重要な準備が「自分が持っているデジタル資産を把握すること」です。普段意識せず利用しているサービスも、死後に整理が必要になるケースは非常に多く存在します。ここでは、具体的にどのような資産が対象となるのかを分類して紹介します。

デジタル資産 種類

1. 金融関連のデジタル資産

金融関係のアカウントは特に重要で、資産相続や遺産分割にも直接関わります。 ・ネットバンキング口座 ネット上での預金・定期預金・投資信託・外貨預金など ・ネット証券口座 株式、債券、投資信託、ETF、FXなどの取引データ ・仮想通貨取引所・ウォレット ビットコイン、イーサリアムなど、秘密鍵の有無が生死を分ける非常に重要な資産 ・キャッシュレス決済アカウント PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、Apple Payなどに残る残高や履歴 ・ポイント・マイレージ 楽天ポイント、Tポイント、ANA・JALマイルなども実質的な資産になる場合がある

2. 契約・会員情報関連のデジタル資産

契約関連は毎月の支払いが続いていることも多く、家族が把握していないと支払いトラブルになるリスクがあります。 ・サブスクリプション契約 Netflix、Amazonプライム、Spotify、Hulu、DAZNなどの定額配信サービス ・インターネットプロバイダー契約 NTT、auひかり、ソフトバンク光など ・スマホ・携帯契約 docomo、au、SoftBank、格安SIMなどの利用契約と料金引き落とし ・各種有料会員登録 オンライン学習サービス、趣味系の有料アプリ、オンラインサロンなど

3. SNS・コミュニケーション関連のデジタル資産

SNSやコミュニケーションアプリは、故人の人生記録や思い出が集積される場でもあります。 ・SNSアカウント Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、TikTokなど ・チャット・メッセージアプリ LINE、WhatsApp、Messenger、Skype などのメッセージ履歴 ・ブログ・動画配信アカウント YouTube、note、個人ブログ、ニコニコ動画 などの配信履歴・収益情報

4. 写真や書類など思い出のデジタル資産

個人的な記録や思い出も、デジタル上に大量に保存されています。 ・写真・動画データ 家族写真、旅行動画、アルバムなど ・文書・スキャンデータ 契約書、保険証書、履歴書、年賀状データ、各種証明書 ・電子書籍・電子コンテンツ Kindle、楽天Kobo、Audibleなどの購入済コンテンツ

5. パソコンやスマホに保存されたデジタル資産

クラウド以外にも、物理的に保管しているデジタル資産も忘れてはいけません。 ・パソコン・ノートPC内のデータ ・スマートフォン・タブレット内のデータ ・外付けHDD、USBメモリ、NASサーバー ・家庭用録画機、ゲーム機内データ、IoT家電設定情報 こうして整理してみると、現代人が保有しているデジタル資産の種類は非常に多岐にわたります。デジタル終活では、これらの存在を「見える化」する作業が最初の大切な一歩となるのです。

デジタル終活の進め方

デジタル終活は「何をすればよいのか分からない」という声が多い作業です。目に見えにくいデジタル資産だからこそ、整理の順番を決めて計画的に進めることが大切です。以下に、デジタル終活の具体的な進め方を順を追って解説します。

1. デジタル資産の棚卸しを行う

最初に行うべきは資産の洗い出しです。 普段利用しているすべてのデジタルサービス・デバイスを書き出します。 ・ネットバンキング・証券口座・仮想通貨 ・SNS・ブログ・YouTubeなどのアカウント ・クラウドストレージ(Google Drive、iCloud、Dropboxなど) ・メールアカウント ・サブスクリプション契約(Netflix、Amazonプライム等) ・スマートフォン、パソコン、外付けHDD、USBメモリ ・パスワード管理アプリに保存されている情報 ポイント アプリの「インストール一覧」やクレジットカードの引き落とし明細を確認すると、漏れが見つかりやすくなります。

2. パスワードとログイン情報を整理する

デジタル終活において、最重要なのがパスワード管理です。 資産があってもログインできなければ家族は手続きができません。 ・パスワード管理アプリ(1Password、Bitwardenなど)の利用を検討 ・紙に書く場合は耐火金庫や貸金庫で厳重保管 ・二段階認証(2FA)の設定状況も記録 ・家族の中の信頼できる人にマスターパスワードを共有しておく

3. データの整理と優先順位付け

全てのデータを残す必要はありません。残したい情報・削除して良い情報を分けておくことが、遺族の負担軽減につながります。 ・残したい情報:家族写真、重要書類、仕事の記録、趣味の作品など ・削除してよい情報:不要な書類、古い作業データ、重複する写真、個人的なメモなど コツ 整理したファイルは、わかりやすい名前を付けたり、専用のHDD・USBなどにまとめておくと家族も扱いやすくなります。

4. エンディングノート・遺言書に情報を残す

整理したデジタル資産情報は紙に記録して家族に残すことが大切です。 ・エンディングノートに、アカウント一覧や管理方針を記載 ・遺言書に「デジタル資産の取り扱い方針」を盛り込む ・遺族がどこに情報があるのか把握できるよう、所在を家族に伝えておく

5. 定期的に見直し・更新をする

デジタル資産は日々増減します。一度整理して終わりではありません。 ・新たに始めたサービスは随時追加 ・解約・退会したサービスはリストから削除 ・パスワード変更時は最新情報に更新 目安 年に1回の見直し日を設定するのがおすすめです。

6. 専門家の力を借りるのも有効

もし内容が複雑すぎると感じたら、専門家に相談することも選択肢です。 ・行政書士・司法書士:相続・名義変更の手続き支援 ・弁護士:遺言作成・法律トラブル回避 ・IT専門家:パスワード整理やデータ移行支援 計画的に準備しておくことで、家族は余計な苦労をせず、故人の意向を最大限尊重できます。 デジタル終活は「今すぐ始める」ことが最大のコツです。

デジタル終活の注意点

デジタル終活は遺族の負担を減らす大切な準備ですが、整理の仕方によっては思わぬリスクやトラブルを生む場合もあります。ここでは、デジタル終活を実施する際に特に注意すべきポイントを詳しく解説します。

1. プライバシー情報の扱いに注意

デジタル資産の中には非常に個人的でセンシティブな情報が含まれます。 ・SNSやメッセージアプリのプライベートなやり取り ・メールの内容 ・写真・動画の個人的記録 ・日記やメモ帳アプリの記録 これらは第三者に開示すべきでない情報も多く、安易な情報共有はプライバシー侵害や家族間トラブルの火種になる恐れがあります。 対策 ・不要な情報は生前に削除しておく ・残したい情報は必要最小限に絞る ・家族に残す情報と残さない情報を分ける

2. 法律・利用規約に違反しない

多くのオンラインサービスでは、「契約者本人のみが利用できる」と規約に明記されています。 ・Google、Apple、SNS各社は「本人死亡時=契約終了」となる場合が多い ・ID・パスワードを無断使用すると、法律上は不正アクセスに問われる可能性もある 対策 ・各サービスの「死亡後の取り扱い」や「追悼アカウント」制度を事前に確認する ・利用規約の範囲内で、正規の相続手続きに則って対応する ・不安があれば弁護士に相談しておく

3. デジタル遺言の法的制約に注意

「遺言をデジタルデータで残せば良いのでは?」と考えがちですが、現行法では完全なデジタル遺言は法的効力を持ちません。 ・PDF・Word・クラウド保存の遺言 → 裁判上は遺言として認められない ・日本では紙の自筆証書遺言または公正証書遺言のみが有効 ・法務局による「自筆証書遺言保管制度」も紙が前提 対策 ・正式な遺言は紙媒体で作成し、法務局や公証人役場で保管 ・デジタル管理はあくまでエンディングノートや補助情報として利用 ・デジタル資産の棚卸し情報と遺言書の内容を連動させる

4. 家族間トラブルの回避

デジタル資産は形がなく価値が見えにくいため、相続時に家族間での認識の違いが起こりやすい分野です。 ・誰がアクセス権を持つのか不明確 ・SNSアカウントや思い出データの保存・削除方針の違い ・仮想通貨やネット証券の分配に関する争い 対策 ・生前に家族で話し合い、自分の意向を説明しておく ・エンディングノートに「希望する取り扱い方針」を具体的に記載 ・相続トラブルが懸念される場合は専門家に相談

5. 定期的な情報更新を忘れない

デジタル資産は常に増減します。棚卸しをしても更新しなければ情報がすぐに古くなるのが特徴です。 ・新たに作成したアカウントは追記 ・解約したサービスはリストから削除 ・パスワード変更はすぐに反映 対策 ・毎年決まった日(誕生日・年末など)に「デジタル終活の見直し日」を設定する 正しい知識を持って注意すべきポイントをおさえれば、 デジタル終活は安全に、安心して、家族の負担を大きく減らすことができます。

デジタルデータの保存期間

デジタル終活を進める上で見落とされがちなポイントがデータの保持期間です。多くの人が「放っておけば残り続ける」と思いがちですが、実際には多くのサービスが一定期間ログインがないと自動的にアカウントを削除する仕組みを導入しています。ここでは主なサービスの保持期間や注意点を整理します。

1. クラウドサービスの保持期間

クラウドストレージは特に注意が必要です。長期間アクセスがなければ削除対象となります。 クラウドサービスの保持期間

サービス名非アクティブ期間対応策
Googleアカウント24か月Googleの「アカウント無効化管理ツール」を設定可能
iCloud(Apple)約12か月Apple IDが12か月間未使用の場合、30日以上の通知後にアカウントが終了・削除される可能性あり
Dropbox12か月定期ログインが推奨され、通知後に削除対象になる
Microsoftアカウント2年利用がない場合アカウント閉鎖。ただしサブスク利用などでリセット可
Amazon不明(契約中は保持)解約後の削除タイミングは明示されておらず、定期的な確認が必要

ポイント 「信頼できる連絡先」の登録や家族アカウントの連携設定が生前に可能なサービスもあります。

2. SNSアカウントの保持期間

SNSもサービスごとに異なる方針を持っています。死亡後も無期限に残る場合もあれば、遺族の申請で処理が可能な場合もあります。 ・Facebook 追悼アカウント設定が可能。管理者指定により死後の対応が簡素化される。 ・Instagram 追悼アカウント申請可。ただし、生前に管理者指定は不可。 ・X(旧Twitter) 遺族による削除申請のみ可能。放置しても基本的に自動削除は行われにくい。 ・LINE 基本的に死亡後の自動削除はなし。端末やアカウント停止処理が必要。 ポイント 各SNSの「死亡後のアカウント処理ポリシー」を事前に確認し、設定を行っておくと家族の負担軽減につながります。

3. ネットバンキング・金融資産の保持期間

金融機関は長期未利用の場合「休眠口座扱い」となる場合があります。 ・銀行口座 日本では10年以上取引がないと休眠預金となり、国が管理する「休眠預金活用制度」の対象に移行。 ・証券口座・仮想通貨口座 休眠ルールは各取引所により異なるが、相続手続きが遅れると凍結状態が長期化する。 ・仮想通貨ウォレット 秘密鍵がなければ家族でもアクセス不可。事実上失われることも多い。 ポイント 金融機関では早めの相続手続き開始が鉄則。仮想通貨は秘密鍵の適切な保管・共有が特に重要です。

4. サブスクリプション型サービスの保持期間

定額制サービスは、支払いが停止された時点でほとんどがすぐに利用停止・データ削除となります。 ・電子書籍・音楽・動画配信 契約終了で購入済データも閲覧できなくなる場合あり。 ・学習サービス・オンライン講座 退会手続きにより学習履歴・成績情報も削除される。 ・有料アプリ・クラウドソフト ライセンス期限切れで利用不可に。 ポイント サブスクリプション情報は家族が把握しにくいため、棚卸し時に契約状況を一覧化しておくことが有効です。

5. デバイス本体のデータ保持

ローカル保存データも物理劣化や故障リスクがあります。 ・HDD・SSD:10年以内に劣化することが多い ・USB・SDカード:保存条件によっては数年で読み取りエラー発生 ・NAS:常時稼働型は特に定期バックアップ必須 ポイント 大事なデータは複数メディア・複数拠点にバックアップを取り、継続的な保守を行うことが理想です。

まとめ

現代社会では、パソコンやスマートフォン、インターネットサービスの普及により、私たちの生活には膨大なデジタル資産が存在します。これらを適切に整理し、家族が困らないよう準備するのがデジタル終活です。 デジタル終活を始めるには、まず自分の保有するアカウントや契約、保存データを洗い出すことが必要です。ネットバンキング、SNS、クラウドストレージ、サブスクリプション契約、ローカル保存機器など、整理対象は多岐にわたります。パスワードやログイン情報の整理も極めて重要で、適切な管理と家族への引き継ぎ準備が欠かせません。 また、残すべきデータと削除すべきデータを分類し、エンディングノートや遺言書に自分の意向を明記しておくことも重要です。デジタル遺言については、現行法では紙の遺言書が必要であり、デジタルでの完全な遺言作成は法的効力を持ちません。補助的にエンディングノートを活用するのが現実的です。 注意点としては、プライバシーの保護、不正アクセスの防止、利用規約違反の回避、家族間の相続トラブル防止などがあります。また、各サービスには利用がないとデータが削除される保持期間もあるため、事前の確認が必要です。 デジタル資産は日々増減します。定期的な棚卸しと情報更新を習慣にすることで、家族の負担を最小限に抑え、安心して未来を迎えることができます。早めの準備が、デジタル時代の賢い終活といえるでしょう。

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