初盆とは?時期や準備するもの、服装や香典など徹底ガイド

2024.10.31

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初盆(はつぼん)とは、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことです。 この記事では時期や準備するもの、服装のマナーなど、初盆に関するあれこれをご紹介します。

初盆とは?

初盆(はつぼん)とは、故人が亡くなり四十九日が過ぎたあと、初めて迎えるお盆のことです。※お盆の時期に四十九日を過ぎていない場合は、翌年のお盆が初盆となります。 お盆は祖先が家族の元へ帰ってくる期間であり、故人を供養する上でとても大切な行事の一つです。特に故人が亡くなってから初めて迎えるお盆である初盆では、手厚く供養を行います。

新盆との違い

初盆の呼び名は地域によって異なり、新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)と呼ばれることもあります。つまり、初盆と新盆の意味は全く同じです。 主に西日本では初盆、東日本では新盆と呼ばれることが多いです。

初盆の時期

初盆の時期は通常のお盆と同じ8月13日〜16日ですが、地域によって異なります。 ◆東京・神奈川・静岡の一部・東北地方など:7月13日~15日・16日 ◆北海道・東日本の一部・関西地方・沖縄など(旧盆):旧暦の7月13日~15日・16日 ◆東京都多摩地区(勝手盆):7月30日~8月1日または7月31日~8月2日 ※勝手盆とは?:養蚕業が盛んだった多摩地区は、東京盆の時期は養蚕が忙しかったことからお盆の時期をずらしたといわれています。 現在では全国的に8月13日〜16日をお盆とすることが多く、企業や店舗のお盆休みもこの時期に指定していることがほとんどです。 しかしながら初盆は、故人の住んでいた地域の習慣や都合に合わせて決めて問題ありません。

通常のお盆との違い

初盆と通常のお盆にはどのような違いがあるのでしょうか。 飾り付けなど以外の大きな違いとして、法要・会食の有無が挙げられます。

初盆通常のお盆
法要行うほぼ行わない
会食行うことが多いほぼ行わない

比較してみると、初盆は通常のお盆に比べて手厚く供養を行っていることがわかります。 通常のお盆では法要・会食ともに行わないケースが増えていますが、初盆ではどちらもしっかりと行うことが一般的です。

初盆の準備

初盆では通常のお盆と異なり法要や会食を行うため、準備すべきことが多くあります。余裕を持ってお盆の前月辺りから準備を始めましょう。 ここからは準備すべき事柄を、流れに沿ってご説明します。

日時の決定 法要・会食を行うため、僧侶と相談しながら日時を決めましょう。参加する親族が少ない場合は、先に日時を相談しておくとスムーズです。 僧侶の手配 初盆では、僧侶に棚経(たなぎょう)をあげてもらうのが一般的です。 棚経とは、家に僧侶を招き、個人の霊を祀った仏壇や精霊棚(しょうりょうだな)の前で読経してもらうことです。 お盆の時期はお寺にとっても繁忙期です。僧侶の予定を事前に確認しておき、日時を決めたら早めに連絡するようにしましょう。 参加者の把握 日時が決定したら、親族などに連絡して参加者を把握しましょう。返礼品の用意や会食の場所決めなどをするためにも、参加人数を事前に把握しておく必要があります。 会食場所の決定・予約 選択肢としては、自宅、飲食店、お寺などが挙げられます。 自宅で会食をする場合、料理は自分たちで用意するか、お弁当を頼むのが一般的です。 なお、弔事向けの料理に対応している弁当屋や飲食店もあるため、そういった店を利用する場合は事前に初盆であることを伝えておきましょう。 返礼品の用意 お供えものなどを持参してくれた参加者のために、菓子折りなどの返礼品を用意しておきます。 精霊棚などの飾りの用意 仏壇とは別で精霊棚を作ります。 精霊棚とは祖先の霊を迎える棚のことで、精霊馬や食べ物などをお供えします。 精霊棚の他にも、盆提灯や盆花などを用意して飾り付けます。 盆提灯は白提灯と絵柄が入っている提灯の二種類がありますが、初盆では白提灯を使用します。白提灯は白紋天とも呼ばれ、故人の家族が用意するものでしたが、最近は御提灯代として現金を渡すことが増えてきています。 お布施の用意 僧侶への謝礼として、お布施を用意します。宗派等によって多少異なりますが、3~5万円が相場です。 また会食に僧侶が参加しない場合、御膳料(食事の代わりとなるお布施)やお車代をプラスして用意する必要がありますが、お寺で法要を行う場合は不要です。 お布施には正確な決まりがないため、迷ったら親族やお寺に相談してみましょう。

初盆の流れ

ここからは、初盆を迎える当日の流れを見ていきます。なおこの記事では、一般的なお盆である8月13日〜16日に初盆を行うと想定して説明します。

初日:迎え盆(迎え日)

迎え盆とは何か?

迎え盆とは、お盆期間の初日である13日に、家族の元へ帰ってくる先祖の霊を迎える行事です。古くから日本には、亡くなった人々の霊はこの世とあの世を行き来し、お盆には家族の元に戻ってくると信じられてきました。この迎え盆の行事を通して、家族は日々の生活を守ってくれている先祖の霊に感謝し、家族の無事と安泰を祈ります。

迎え盆の意義と重要性

迎え盆には、霊が迷わず家に戻って来られるようにするための重要な意味が含まれています。日本の風習では、お盆に先祖が戻ってくることで家族が災いから守られ、繁栄と幸福が訪れると考えられてきました。迎え盆を丁寧に行うことで、先祖からの見守りを受け入れ、家族の平安を願う気持ちが表現されます。

迎え盆の準備と方法

迎え盆の準備には、迎えるためのしきたりやお供え物などがあり、家族が一丸となって準備を整えます。

1. 盆棚(精霊棚)の準備 迎え盆に向けて、仏壇の前に盆棚(精霊棚)を設け、先祖の霊を迎え入れるための場を用意します。この盆棚には野菜や果物、お菓子、花などが飾られ、家族が霊に滞在を心地よくしてもらえるよう工夫します。また、盆棚には「精霊馬」と呼ばれる、きゅうりやナスで作られた動物の飾りを置きます。きゅうりで作られた馬は速く到着するための乗り物、ナスで作られた牛はゆっくり帰るための乗り物とされ、霊の移動を象徴しています。 2. 迎え火を焚く 迎え火は、霊が迷わず帰宅できるように道しるべを照らすために行います。通常、家の門前や玄関先で火を焚き、霊が安心して帰って来られるようにします。ほおずき(鬼灯)は、迎え火のシンボルとされ、提灯のように霊が迷わないように導くものとして飾られることが多いです。 3. お墓参り 迎え盆の際に、お墓参りをする家庭も多いです。墓前で手を合わせ、線香や花を供えることで、先祖の霊を家に迎える準備が整えられます。お墓参りは先祖に感謝し、家族の健康や平和を祈る貴重な場であり、家族一緒に行うことで、絆が深まる機会にもなります。

中日:法要・お墓参り

中日である14日・15日は、参加者を集めて法要(僧侶の棚経、参加者による焼香)を行い、故人を忍んで過ごします。 法要の後は全員でお墓参りをし、最後に会食をするのが一般的な流れです。 この期間は精霊棚のお供えものを毎日交換しましょう。本来、お盆期間中は毎日三食お供えするのが丁寧ですが、難しい場合は中日の間だけでも問題ありません。

最終日:送り盆(送り日)

送り盆とは何か?

送り盆は、お盆の最終日(多くは8月16日)に行われ、迎え入れた先祖の霊を再びあの世へ送り返すための行事です。送り盆の日には、家族が集まって送り火を焚き、霊が無事に帰れるように祈りを捧げます。送り盆を行うことで、先祖が安らかに帰れるようにし、また家族が平穏な日常を送れるように願います。

送り盆の重要性

送り盆では、戻ってきた霊が無事にあの世へ帰れるように導く意味があります。送り盆を丁寧に行うことで、霊が成仏し、家族に悪い影響が及ばないようにする役割を果たしています。送り盆の日を持って、お盆の一連の行事は終わり、家族はまた日常生活へと戻ります。

送り盆の具体的な行い方

送り盆の行事は、地域によって異なりますが、一般的には以下の方法で行われます。

1. 送り火を焚く 送り火は迎え火と同様に、霊が迷わずあの世へ戻れるよう道を照らすための火です。門前や玄関先で焚かれ、京都の五山送り火などでは山全体を灯す大規模な送り火が行われます。また、盆棚に置いた精霊馬や精霊船を火で燃やすことで、霊が無事に帰ることができるように願います。 2. 精霊馬や精霊船を使った送り 送り火を焚いた後、きゅうりやナスで作った精霊馬や、川や海に流す精霊船(しょうりょうぶね)を用いて霊を送り出すこともあります。霊が再び安らかにあの世へ帰れるように、送る際には感謝の気持ちを込めます。 3. お供え物の片付け 送り盆が終わると、仏壇や盆棚に供えていた食べ物や花を片付けます。お盆の期間中に供えられていた野菜や果物は、霊と共に家族がいただくことで、供養の一環とされます。これにより、先祖からの恵みを受け取る意味も込められています。

各地に伝わる送り盆の風習

日本各地では送り盆に特徴ある行事が行われ、独自の風習が息づいています。

京都の「五山の送り火」

京都では、8月16日に「五山の送り火」が行われ、五つの山に火を灯して霊を送ります。五山(大文字、妙法、舟形、左大文字、鳥居形)に大きな火文字が浮かび上がり、霊が無事にあの世に帰れるよう祈ります。この行事は京都の夏を象徴する風物詩で、多くの観光客が訪れます。

沖縄の「ウンケー」と「ウークイ」

沖縄では、お盆は旧暦の7月13日から15日に行われ、迎え日を「ウンケー」、送り日を「ウークイ」と呼びます。ウークイの日には家族が集まり、盛大な宴が催されます。先祖の霊を送り出すために踊りや歌で見送り、霊の安全な帰還を祈ります。

初盆の服装マナー

ここでは、初盆の法要に参加する場合の適切な服装マナーを解説します。

主催者(家族)の服装 法要や会食を行う場合、葬儀と同じように喪服を着用します。 基本的に、招く側である家族は招かれる側(参加者)よりもきっちりした服装にしておきましょう。 参加者の服装 指定がなければ喪服を着ます。平服でも問題ないと言われた場合も、楽な格好をするのではなく略礼服を選びましょう。略礼服とは礼服の中で最も格式が低いタイプの服で、一般的には黒や紺など落ち着いたカラーのスーツやワンピースを指します。アクセサリーをつける場合は、パールのネックレスやピアスなどが適切です。 ジーンズやTシャツといったカジュアルな格好はふさわしくないため、注意しましょう。 学生や子どもの服装 制服があれば着用し、制服がなければ落ち着いた色の服を選びましょう。

香典の相場

初盆は故人が亡くなってから初めて迎える特別な行事であるため、通常のお盆と異なり、法要に参加する場合は香典を用意する必要があります。相場は5000~1万円が基本です。また会食に参加する場合は、1人あたり3000~1万円を加算して包みましょう。 なお四十九日以降に香典を包む際の表書きは、仏式であれば「御仏前」や「御佛前」が基本です。

まとめ

今回は、初盆の時期や準備するもの、服装や香典などについてご紹介しました。 初盆は、通常のお盆とは異なり法要や会食など段取りが多いため、事前の準備が大切です。親族やお寺などに確認しながら慌てずに準備を進め、穏やかな気持ちで初盆を迎えましょう。 また法要に参加する場合は、マナーやしきたりをきちんと理解し、故人や遺族への心配りを忘れずに過ごしましょう。

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