
目次
はじめに
【これから永代供養墓を作る方向け】永代供養のとき位牌は必要?
寺院や霊園の方針による場合
仏壇を設置するスペースがない場合
故人や家族の意向による場合
位牌を作らない場合の注意点
【これから永代供養墓を作る方向け】永代供養でも位牌を作る場合
位牌を作る理由
位牌を作る場合の選択肢
購入する前に確かめておくこと
【永代供養墓に変える方向け】既存の位牌の扱い方
自宅で保管する
位牌も永代供養してもらう
位牌を永代供養する場合の費用相場
一時的に預かってもらう
一時預かりの費用相場
閉眼供養をした上でお焚き上げしてもらう
閉眼供養(魂抜き)とは
お焚き上げの費用相場
お焚き上げ後の注意点
【永代供養墓に変える方向け】遺骨と位牌を永代供養にするときの流れ
1.墓じまいとともに、菩提寺に永代供養についても相談する
2.菩提寺で永代供養が不可能なら永代供養をするお寺を探す
3.墓じまいを行う
4.位牌や仏壇の魂抜きを行う
5.遺骨や位牌の永代供養を行う
永代供養の費用相場
まとめ
はじめに
「永代供養を選びたいけれど、位牌はどうすればいいの?」
近年、少子高齢化や核家族化の影響で、従来の墓守が難しくなり、永代供養 を選ぶ人が増えています。
永代供養は、寺院や霊園が遺族に代わって故人の供養を行うため、後継者がいなくても安心して供養を任せられる方法です。
しかし、永代供養を選ぶ際に多くの人が悩むのが、「位牌の扱い方」 です。
位牌は、故人の戒名や法名を記した仏具で、仏壇に安置して供養するための大切なものです。
日本の仏教文化において、故人を偲ぶ象徴としての役割を果たしており、日々のお参りや法要の際に用いられます。
しかし、永代供養では寺院や霊園が供養を代行するため、位牌が必要かどうか は供養のスタイルや家族の考え方によって異なります。
本記事では、「これから永代供養墓を作る方」 と 「個別墓を持っていて永代供養墓に変える方」 の2つのケースに分けて、位牌をどうするかを詳しく解説します。
【これから永代供養墓を作る方向け】永代供養のとき位牌は必要?
永代供養は、寺院や霊園が遺族に代わって供養を行うため、必ずしも位牌が必要というわけではありません。
ただし、位牌は故人を偲ぶ象徴としての役割を果たすため、作成するかどうかを慎重に検討することが大切です。
現代のライフスタイルや価値観の多様化に伴い、仏壇や位牌を持たない供養の形が広がってきています。以下は、永代供養で位牌を作らない場合の代表的なケースです。
寺院や霊園の方針による場合
永代供養を行う寺院や霊園の中でも、特に合同供養墓や合祀墓では、故人個別の位牌を安置するスペースがないため、寺院全体でまとめて供養を行う形が一般的です。
合同供養墓・合祀墓の場合:
寺院側が用意する「霊簿」や「過去帳」に故人の名前を記載し、合同で供養を行います。
納骨堂型永代供養の場合:
遺骨が個別に管理される一方で、供養は寺院全体で行われるため、位牌を作らなくても供養が可能です。
寺院によっては、電子プレートやデジタル表示で故人の名前を記録する場合もあり、従来の位牌に代わる形で故人を偲ぶことができます。
仏壇を設置するスペースがない場合
近年の住宅事情やライフスタイルの変化により、仏壇を設置するスペースが確保できない家庭も増えています。
特に都市部のマンションやコンパクトな住居に住む世帯では、従来の大きな仏壇を置くことが難しく、位牌を作らない選択をすることがあります。
仏壇を置かない供養スタイルの広がり:
従来の仏壇に代わり、写真立てやシンプルなメモリアルスペースを設けて、故人を偲ぶ家庭が増えています。
また、ミニ仏壇やモダン仏壇など、インテリアに馴染む小型の仏壇も登場しており、位牌を設置せずに供養を行うことが可能です。
この場合、位牌がなくても故人の遺影や思い出の品を飾ることで、心を込めた供養ができます。
故人や家族の意向による場合
故人が生前に「形式にとらわれない供養をしてほしい」と希望していたり、遺族がシンプルな供養を望む場合、位牌を作らないことがあります。
現代では、宗教や伝統にとらわれず、個人の価値観を尊重した供養の形が広がっています。
無宗教の供養スタイル:
特定の宗教にこだわらない供養を希望する家庭では、位牌を作らず、写真や思い出の品を飾って故人を偲ぶスタイルが増えています。
また、お墓を持たずに散骨を選ぶ場合や、手元供養として遺骨を小さな骨壷に入れて保管する場合も、位牌を作らないことが一般的です。
シンプルな供養を希望する場合:
「手を合わせるだけで良い」「形式よりも気持ちを大切にしたい」という家族の意向により、位牌を作らずに供養を行うことも増えています。
また、遺族の負担を減らすために、お盆や命日などの特別な行事を設けず、日常の中で故人を偲ぶスタイルが選ばれることもあります。
位牌を作らない場合の注意点
位牌を作らない場合でも、故人を偲ぶ気持ちを大切にすることが重要です。
故人を身近に感じる工夫:
位牌がない分、写真立てや思い出の品を飾るなど、故人を身近に感じられる工夫をすると良いでしょう。
また、家族が集まる時に故人の話をしたり、思い出を共有することで、供養の気持ちを伝えることができます。
親族や周囲の理解を得ること:
位牌を作らない選択は、従来の習慣に慣れている親族には理解されにくい場合があります。
事前に親族と話し合い、供養の形について共有しておくことが大切です。
また、法要を行う場合には、位牌の代わりに遺影を飾るなど、工夫して供養の場を整えましょう。
【これから永代供養墓を作る方向け】永代供養でも位牌を作る場合
永代供養を選んだ場合でも、あえて位牌を作る選択をするケースがあります。
位牌は、故人を身近に感じたり、家族の絆を深めたりする象徴としての役割を果たすため、永代供養を行ってもなお位牌を用いた供養を大切にしたいと考える人が多いのです。
位牌を作る理由
1.自宅で故人を偲びたい場合
永代供養では、寺院や霊園に遺骨を預けて供養を行うため、自宅に故人を偲ぶ場所がなくなります。
そのため、自宅でも手を合わせたい、日々故人を感じたいという気持ちから、位牌を作成することがあります。
特に、家族が集まる場所に位牌を安置することで、故人との繋がりを感じやすくなります。
2.法要を自宅で行う場合
年忌法要(例:一周忌、三回忌、七回忌など)を自宅で行う場合、位牌があることで法要の形式が整います。
僧侶に来てもらい、お経を上げてもらう際にも、位牌があることで正式な供養ができるため、伝統を重んじる家庭では位牌を用意することが推奨されます。
3.仏壇を守りたい場合
家に先祖代々の仏壇がある場合、その仏壇を守り続けるために新たに位牌を作成することがあります。
仏壇には、先祖代々の位牌が並んでいることが多いため、新たに故人が亡くなった場合も、同じように位牌を作って安置することで、家族の伝統を引き継ぐことができます。
4.故人の意向を尊重する場合
故人が生前に「自宅で手を合わせてほしい」「家族と一緒にいたい」と希望していた場合、その意向を尊重して位牌を作るケースがあります。
また、家族の中で「形に残るものが欲しい」と考える人がいる場合にも、位牌を作成することで心の拠り所にすることができます。
位牌を作る場合の選択肢
1.自宅の仏壇に安置する
自宅に仏壇がある場合は、そこに位牌を安置し、日々の供養を行うことができます。
仏壇がない場合でも、ミニ仏壇やモダン仏壇など、現代のインテリアに合った小型の仏壇を用意することで、場所を取らずに供養を行うことが可能です。
2.位牌棚(メモリアルスペース)を設ける
仏壇を置くスペースがない場合や、シンプルな供養を希望する場合には、位牌棚やメモリアルスペースを設けることも選択肢の一つです。
写真立てや思い出の品と一緒に位牌を飾ることで、故人を身近に感じることができます。
3.電子位牌・デジタル位牌を利用する
近年、タブレットやデジタルフォトフレームを用いた電子位牌・デジタル位牌が登場しています。
故人の写真や動画、メッセージを表示することで、物理的な位牌を持たずに供養を行う新しいスタイルです。
遠方に住む家族とも共有できるため、現代のライフスタイルに合った供養方法として注目されています。
購入する前に確かめておくこと
1.寺院や霊園の方針
永代供養を行う寺院や霊園によっては、位牌の持ち込みや安置を認めていない場合があります。
特に合同供養墓や合祀墓の場合、個別の位牌を置くスペースがないため、寺院に確認しておくことが必要です。
また、納骨堂の場合でも、施設によっては位牌を置くスペースが設けられている場合があるため、事前に確認しておきましょう。
2.宗派の違い
位牌の形状や戒名の書き方は宗派によって異なります。
浄土真宗では位牌を用いず「過去帳」や「法名軸(掛け軸)」を用いるため、浄土真宗の寺院で永代供養を行う場合は位牌が不要です。
自分の家の宗派に合わせた位牌を選ぶためにも、菩提寺や宗派の教えに従って決めることが大切です。
3.位牌の種類とデザイン
位牌には「本位牌」「夫婦位牌」「家牌(先祖代々の位牌)」など、さまざまな種類があります。
また、黒塗りの漆塗りや金箔をあしらったもの、シンプルな木製のものなど、デザインも豊富です。
仏壇の雰囲気や家のインテリアに合わせて選ぶことができます。
4.費用相場の確認
位牌の価格は、材質やデザイン、彫刻の内容によって異なります。
一般的な本位牌の価格は1万円〜5万円程度ですが、高級なものでは10万円以上する場合もあります。
また、彫刻の内容や文字数によって追加料金が発生することがあるため、事前に確認しておくことが大切です。
【永代供養墓に変える方向け】既存の位牌の扱い方
墓じまいを行う場合、既存の位牌をどうするかは大きな課題の一つです。
位牌は故人の霊を祀るための重要な仏具であるため、適切に処分・供養することが求められます。
ここでは、既存の位牌の扱い方について、いくつかの選択肢を紹介します。

自宅で保管する
既存の位牌をそのまま自宅で保管し、家庭内で供養を続ける方法です。
墓じまいを行っても、仏壇を残して自宅で供養を行うことで、故人を身近に感じながら手を合わせることができます。
仏壇に安置する:
既に仏壇がある場合は、そのまま位牌を安置して供養を続けます。
日々の手を合わせる習慣を大切にしたい場合や、命日や年忌法要を自宅で行いたい場合に適しています。
ミニ仏壇やモダン仏壇を利用する:
仏壇がない場合や、従来の大きな仏壇を置くスペースがない場合には、ミニ仏壇やモダン仏壇を利用する方法があります。
インテリアに馴染むデザインやコンパクトなサイズの仏壇を選ぶことで、日常生活に取り入れやすくなります。
位牌棚やメモリアルスペースを設ける:
位牌棚やメモリアルスペースを設けて、位牌と一緒に遺影や思い出の品を飾ることで、故人を偲ぶことができます。
特に、リビングルームや家族が集まる場所に設置することで、故人との繋がりを感じやすくなります。
位牌も永代供養してもらう
既存の位牌を、遺骨と同様に永代供養してもらう方法です。
寺院によっては、位牌を預かり、合同供養や永代供養を行ってくれる場合があります。
これは、家に仏壇を置くスペースがない場合や、遺族が遠方に住んでいて供養が難しい場合に選ばれることが多い方法です。
寺院に依頼する場合:
位牌を寺院に預けると、その寺院で供養が行われます。
寺院によっては、一定期間個別に供養を行った後に合同供養に移行する場合もあるため、事前に供養の方法を確認しておきましょう。
永代供養の形式:
1.合同供養:複数の位牌をまとめて供養する形式です。位牌に個別の名前が記されることはなく、霊簿や過去帳に記載されます。
2.個別供養:一定期間(例:33回忌まで)個別に供養を行い、その後合同供養に移行する形式です。
3.お焚き上げ後の供養:閉眼供養(魂抜き)を行った後、位牌をお焚き上げし、その後合同供養を行う方法です。
位牌を永代供養する場合の費用相場
位牌の永代供養には、以下のような費用がかかることがあります。
・位牌の永代供養料:1万円〜5万円程度(寺院や地域によって異なる)
・個別供養料:個別に供養を行う場合は、1万円〜10万円程度の追加費用がかかることがあります。
・閉眼供養(魂抜き)料:5,000円〜2万円程度。僧侶に依頼して行います。
寺院によっては、供養の期間や方法によって費用が異なるため、事前に見積もりを取り、内容を確認することが大切です。
一時的に預かってもらう
事情により一時的に位牌を預けたい場合、寺院や霊園で預かってもらうことができます。
例えば、引っ越しや家のリフォーム中など、一時的に仏壇を設置できない場合や、次の供養先が決まるまでの間に利用されることが多い方法です。
・寺院での一時預かり:
寺院では、位牌を一時的に預かり、その間も供養を行ってくれる場合があります。
一定期間ごとに供養を行い、保管場所を確保してくれるため、安心して預けることが可能です。
・遺族が取りに来られるまでの保管:
遠方に住む親族が位牌を引き取る場合など、一時的に預かってもらい、後日引き取りに行くことも可能です。
この場合、事前に預かり期間を確認し、費用が発生するかどうかを確認しておきましょう。
一時預かりの費用相場
位牌の一時預かりには、以下の費用がかかることがあります。
・預かり料:年間1万円〜3万円程度(寺院や地域によって異なる)
・供養料:預かり期間中に供養を行う場合、別途供養料がかかることがあります。
寺院によっては、長期間の預かりに対して割引が適用される場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
閉眼供養をした上でお焚き上げしてもらう
閉眼供養(魂抜き)とは
閉眼供養とは、位牌や仏壇、仏具に宿っているとされる故人の魂を抜き、役目を終わらせるための儀式です。
「魂抜き」や「精抜き」とも呼ばれ、仏教では非常に重要な供養とされています。
閉眼供養を行わずに位牌を処分することは、「故人をないがしろにする」とされ、不幸を招くと考えられているため、必ず行うようにしましょう。
閉眼供養の流れ:
1.僧侶を招いてお経を上げてもらう:閉眼供養は、僧侶にお願いしてお経を上げてもらいます。この際、位牌に宿っているとされる故人の魂を仏の世界へ送り出し、位牌をただの物に戻すとされています。
2.感謝の言葉を捧げる:供養の後、家族全員で手を合わせ、これまで守ってくれた位牌に対して感謝の気持ちを伝えます。
3.閉眼供養後の扱い:閉眼供養が終わった位牌は、もはや故人の霊が宿っているものではなく、ただの木の札となります。そのため、お焚き上げをして供養することが一般的です。
僧侶への依頼方法:
閉眼供養は、菩提寺に依頼するのが一般的です。
菩提寺が遠方の場合や、付き合いがない場合には、近隣の寺院に依頼することも可能です。
その際、宗派にこだわらない場合は、宗派の異なる寺院にお願いすることもできます。
お焚き上げとは
お焚き上げとは、閉眼供養をした位牌を感謝の気持ちを込めて火にくべて焼却し、供養することです。
仏教において、火は浄化の象徴とされており、位牌を焼くことで故人の霊を天に送り、無事に成仏してもらうとされています。
お焚き上げの流れ:
1.閉眼供養を行う:まず、僧侶に依頼して閉眼供養(魂抜き)を行います。
2.お焚き上げを依頼する:閉眼供養が終わった位牌を、寺院や神社に持ち込み、お焚き上げを依頼します。
3.お焚き上げの儀式:寺院や神社でお焚き上げの儀式が行われ、位牌は火によって浄化されます。
4.感謝の気持ちを捧げる:家族全員で手を合わせ、これまで故人を守ってくれた位牌に対して感謝の気持ちを伝えます。
寺院や神社に依頼する場合:
お焚き上げは、菩提寺や永代供養を行っている寺院、または神社で行うことが一般的です。
寺院によっては、定期的に「お焚き上げ供養」を行っている場合があるため、日程を確認して依頼しましょう。
また、仏壇店や葬儀社が代行してくれる場合もあるため、相談してみると良いでしょう。
お焚き上げの費用相場
位牌のお焚き上げには、以下の費用がかかることが一般的です。
・閉眼供養(魂抜き)料:5,000円〜2万円程度(僧侶に依頼する場合)
・お焚き上げ料:5,000円〜2万円程度(寺院や神社に依頼する場合)
・セット費用:閉眼供養とお焚き上げをセットで依頼する場合、1万円〜5万円程度
費用は寺院や地域によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、複数の位牌を一度にお焚き上げする場合、割引が適用されることもあります。
お焚き上げ後の注意点
・新たな供養方法を決める:位牌をお焚き上げした後は、新たな供養方法を決めておくことが大切です。例えば、遺影を飾って手を合わせる、写真立てや思い出の品を並べてメモリアルスペースを作るなど、故人を偲ぶ場所を作ることで供養を続けられます。
・親族や家族に報告する:位牌をお焚き上げしたことを、親族や家族に報告しておきましょう。特に、伝統を重んじる家系の場合、位牌をお焚き上げすることに抵抗がある場合もあるため、事前に相談しておくとトラブルを避けられます。
・法要の有無を確認する:位牌をお焚き上げする際に、法要を行うことが推奨される場合があります。寺院や僧侶に確認し、必要であれば法要を行ってからお焚き上げを依頼しましょう。
【永代供養墓に変える方向け】遺骨と位牌を永代供養にするときの流れ
墓じまいを行う際、遺骨と位牌をどのように扱うかは重要なポイントです。
永代供養を選ぶことで、遺族の負担を軽減しつつ、故人を丁寧に供養することができます。
ここでは、遺骨と位牌を永代供養にする際の具体的な流れを解説します。
1.墓じまいとともに、菩提寺に永代供養についても相談する
まずは、現在のお墓がある菩提寺に墓じまいと永代供養について相談します。
菩提寺がある場合、その寺院に永代供養を依頼できるかを確認することが重要です。
菩提寺に依頼することで、これまでのご縁を大切にしながら、スムーズに供養を進めることができます。
相談する内容:
・墓じまいの手順と時期について
・遺骨の取り出しと永代供養の可否
・位牌の供養方法(永代供養・お焚き上げなど)
・閉眼供養(魂抜き)の依頼方法と費用
菩提寺で永代供養が可能な場合:
現在のお墓がある寺院で永代供養を行うことができる場合、その寺院に依頼することで手続きがスムーズに進みます。
特に、先祖代々の供養を続けたい場合や、宗派を変えたくない場合に適しています。
菩提寺で永代供養が不可能な場合:
菩提寺が永代供養を行っていない場合や、遠方にあってお参りが難しい場合は、次のステップとして別の寺院や霊園を探します。
2.菩提寺で永代供養が不可能なら永代供養をするお寺を探す
菩提寺で永代供養が難しい場合、他の寺院や霊園を探して永代供養を行うことが可能です。
永代供養を行っている寺院は増えており、合同供養墓、納骨堂、樹木葬など、さまざまなスタイルから選ぶことができます。
永代供養を行っている寺院や霊園を探す方法:
・インターネット検索:地域名と「永代供養」「納骨堂」「樹木葬」などのキーワードで検索する。
・葬儀社や石材店に相談する:葬儀社や石材店は、地元の寺院や霊園の情報に詳しいため、相談することで候補を紹介してもらえます。
・見学会や説明会に参加する:多くの寺院や霊園では、永代供養の見学会や説明会を開催しています。実際に訪れて雰囲気を確認することが大切です。
確認すべきポイント:
・供養のスタイル:合同供養墓、納骨堂、樹木葬など、どの形式が良いかを確認する。
・供養の期間:個別供養の期間や、合同供養に移行する時期を確認する。
・費用の内訳:永代供養料、管理費、法要費など、総額を確認する。
・宗派の確認:自分の家の宗派に合っているか、無宗教での供養が可能かを確認する。
3.墓じまいを行う
永代供養を依頼する寺院や霊園が決まったら、墓じまいを行います。
墓じまいとは、現在のお墓を撤去し、墓石を解体・処分することです。
墓じまいは専門の石材店や墓じまい業者に依頼するのが一般的で、適切な手順で進めることが重要です。
墓じまいの流れ:
1.菩提寺に墓じまいを報告する:まず、現在のお墓がある寺院に墓じまいを行うことを報告し、閉眼供養(魂抜き)の依頼をします。
2.墓じまい業者に見積もりを依頼する:石材店や墓じまい業者に依頼して見積もりを取り、費用と内容を確認します。
3.閉眼供養(魂抜き)を行う:僧侶にお願いして、お墓に宿っているとされる故人の魂を仏の世界へ送り出す儀式を行います。
4.墓石の解体・撤去を行う:閉眼供養後、墓石の解体・撤去を行い、更地に戻します。
5.墓地の管理者に返還する:墓地の管理者(寺院や霊園)に土地を返還し、名義変更などの手続きを行います。
墓じまいの費用相場:
・墓石の解体・撤去費用:20万円〜100万円程度(墓石の大きさや地域によって異なる)
・閉眼供養(魂抜き)費用:1万円〜5万円程度(僧侶に依頼する場合)
・土地の返還手続き費用:数千円〜1万円程度(管理者によって異なる)
4.位牌や仏壇の魂抜きを行う
墓じまいと同時に、位牌や仏壇を処分する場合には、魂抜き(閉眼供養)を行う必要があります。
仏教では、位牌や仏壇には故人の霊が宿っていると考えられているため、役目を終えた際には魂を抜いて仏の世界へ送り出す儀式が必要です。
魂抜きを行わずに処分すると、故人を粗末に扱ったことになり、不幸を招くとされているため、必ず行いましょう。
魂抜き(閉眼供養)とは
魂抜きとは、位牌や仏壇に宿っているとされる故人の霊を抜き、役目を終わらせるための儀式です。
「閉眼供養(へいがんくよう)」や「精抜き(たまぬき)」とも呼ばれ、仏教では非常に重要な儀式とされています。
・魂抜きの目的:
位牌や仏壇は、故人の霊が宿る神聖なものとされているため、そのまま処分することはタブーとされています。
魂抜きを行うことで、位牌や仏壇を単なる物に戻し、その後お焚き上げや処分をすることが許されるとされています。
・魂抜きの流れ:
1.僧侶を招いてお経を上げてもらう:魂抜きは、菩提寺または近隣の寺院の僧侶に依頼して行います。お経を上げて、位牌や仏壇に宿っているとされる故人の霊を仏の世界へ送り出します。
2.感謝の言葉を捧げる:家族全員で手を合わせ、これまで故人を守ってくれた位牌や仏壇に感謝の気持ちを伝えます。
3.閉眼供養後の扱い:魂抜きが終わった位牌や仏壇は、もはや霊が宿っているものではなく、ただの物となります。そのため、お焚き上げをするか、一般の粗大ごみとして処分することが可能です。
魂抜きの費用相場
魂抜きの費用は、依頼する寺院や地域によって異なりますが、以下が一般的な相場です。
・菩提寺に依頼する場合:5,000円〜3万円程度
・他の寺院に依頼する場合:1万円〜5万円程度
・僧侶派遣サービスを利用する場合:1万5,000円〜5万円程度
また、位牌や仏壇の数が多い場合や、遠方への出張を依頼する場合には、追加料金が発生することがあります。
事前に見積もりを取り、内容を確認することが大切です。
魂抜き後の選択肢
魂抜きが終わった後、位牌や仏壇の処分方法にはいくつかの選択肢があります。
1.お焚き上げをする:
魂抜き後、寺院や神社に持ち込み、お焚き上げをしてもらうことで、感謝の気持ちを込めて供養します。費用は5,000円〜2万円程度が相場です。
2.粗大ごみとして処分する:
魂抜きを終えた仏壇は、単なる物として扱えるため、粗大ごみとして自治体に回収を依頼することが可能です。その際、感謝の気持ちを込めてから処分するようにしましょう。
3.仏壇店や専門業者に引き取ってもらう:仏壇店や専門業者では、古い仏壇の引き取りサービスを行っている場合があります。新しい仏壇を購入する場合には、古い仏壇を無料で引き取ってもらえることもあります。
5.遺骨や位牌の永代供養を行う
墓じまいを行った後、取り出した遺骨や魂抜きを終えた位牌を永代供養することで、故人を長く供養することができます。
永代供養は、寺院や霊園が遺族に代わって供養を行うため、後継者がいない場合や遠方に住んでいてお参りが難しい場合に最適です。
ここでは、遺骨と位牌の永代供養を行う際の手順と注意点を解説します。
永代供養の方法と種類
永代供養には、遺骨と位牌をどのように供養するかによって、さまざまなスタイルがあります。
以下は、代表的な永代供養の方法です。
1.合同供養墓(合祀墓)
複数の故人の遺骨を一緒に納め、合同で供養を行う方法です。
費用が比較的安く、管理は寺院が行うため、遺族に負担がかかりません。
ただし、他の方の遺骨と一緒に供養されるため、個別の墓石や名前の刻印がない場合もあります。
2.納骨堂型永代供養
屋内施設に遺骨を個別に納め、一定期間(例:33回忌まで)個別供養を行った後、合同供養に移行する方法です。
名前を刻んだプレートがあるなど、個別供養の期間が設けられる点が特徴です。
位牌も一緒に安置することができる場合があり、自宅に仏壇を置けない場合に適しています。
3.樹木葬型永代供養
墓石の代わりに樹木をシンボルとして供養する方法です。自然志向の高まりから人気が出ており、森林の中に埋葬するスタイルが一般的です。
個別の墓石はなく、自然に還る形で供養されます。位牌は自宅に保管するか、寺院に預けて供養してもらうことができます。
4.散骨型永代供養
遺骨を粉末状にし、海や山などに撒く方法です。
寺院が定期的に供養を行う場合もあり、墓石の管理が不要なため、自由な供養スタイルを希望する人に選ばれます。
位牌は自宅で保管するか、お焚き上げをして供養を行います。
遺骨の永代供養を行う手順
遺骨を永代供養する場合、以下の手順で進めることが一般的です。
供養先の寺院や霊園を決める:
まず、永代供養を依頼する寺院や霊園を選びます。
合同供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨など、希望する供養スタイルに合わせて選びましょう。
事前に見学をして、供養の方法や費用、宗派などを確認することが大切です。
遺骨の移動準備を行う:
墓じまいを行った後、遺骨を新しい供養先に移動します。
その際、改葬許可証が必要となるため、現在の墓地がある市区町村役場に申請して取得します。
改葬許可証を取得せずに遺骨を移動することは法律で禁じられているため、必ず申請しましょう。
供養先に納骨を行う:
改葬許可証を持参し、永代供養を依頼した寺院や霊園に遺骨を納めます。
納骨の際には、納骨式を行うことが一般的で、僧侶にお願いしてお経を上げてもらいます。
納骨式の有無や費用は、供養先によって異なるため、事前に確認しましょう。
永代供養料の支払い:
永代供養料を支払い、供養の契約を結びます。
供養の期間(例:33回忌まで)や、個別供養から合同供養に移行する時期などを確認しておきましょう。
位牌の永代供養を行う手順
位牌も遺骨と同様に、永代供養を依頼することが可能です。
位牌を永代供養する場合、以下の手順で進めます。
1.閉眼供養(魂抜き)を行う:
位牌に宿っているとされる故人の霊を抜き、役目を終わらせるために、閉眼供養を行います。
僧侶にお願いしてお経を上げてもらい、位牌を単なる物に戻します。
閉眼供養を行わずに位牌を処分することはタブーとされているため、必ず行いましょう。
2.供養先に位牌を預ける:
位牌を永代供養する寺院に預け、供養を依頼します。
合同供養として他の位牌と一緒に供養される場合や、一定期間個別供養を行った後に合同供養に移行する場合があります。
3.位牌の永代供養料を支払う:
位牌の永代供養料を支払い、供養を依頼します。
位牌の供養期間や供養の方法を事前に確認しておくことが大切です。
4.合同供養またはお焚き上げを行う:
永代供養の形式によっては、位牌をお焚き上げして供養する場合があります。
お焚き上げは、火によって位牌を浄化し、故人の霊を天に送る儀式です。
供養の形式は寺院によって異なるため、事前に確認しましょう。
永代供養の費用相場
永代供養の費用は、供養の方法や寺院によって異なりますが、以下が一般的な相場です。
・合同供養墓(合祀墓):10万円〜30万円程度
・納骨堂型永代供養:20万円〜100万円程度(個別供養期間により異なる)
・樹木葬型永代供養:30万円〜80万円程度
・位牌の永代供養料:1万円〜5万円程度
まとめ
永代供養を選ぶ際、位牌の扱い方にはさまざまな選択肢があります。
位牌を作らない場合でも、寺院や霊園が定期的に供養を行うため、安心して供養を任せることができます。
一方で、故人を身近に偲びたい場合や、自宅でも手を合わせたい場合には、位牌を作成して仏壇に安置する方法もあります。
現代のライフスタイルに合った新しい供養の形を見つけ、故人を心を込めて偲ぶ方法を選びましょう¥
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