
未成年が相続人になるときの注意点|特別代理人の必要性と手続きのすべて
公開日: 2024.5.24 更新日: 2025.5.1
目次
未成年が相続人になるとき、まず知っておくべきこと
なぜ特別代理人が必要なのか?|親が代理人になれない理由
親は本来、子どもの法定代理人
でも「親も相続人」の場合は“利益相反”になる
【例外】親が相続放棄した場合など、特別代理人が不要なケースも
特別代理人とは?役割と選任される人の条件
特別代理人の役割|「中立の立場」で未成年の利益を守る
誰がなれるの?|祖父母・親族・弁護士などが候補に
家庭裁判所が選任し、本人の同意は不要
特別代理人の選任手続き|準備から家庭裁判所の審理まで
必要書類一覧と取得方法
選任申立ての流れ(申請~審理~決定)
費用の目安|申立手数料・弁護士報酬がかかることも
特別代理人を立てずに進めるとどうなる?|協議の無効リスク
未成年者が相続放棄する場合の注意点
相続放棄は法定代理人(親)が家庭裁判所に申立て
放棄で親の取り分が増える場合は「特別代理人」必要
【全員放棄】親と子で放棄する場合の流れ
未成年者控除を活用した相続税の軽減方法
未成年者控除とは|相続税額から最大180万円の控除
要件と申請方法
相続に詳しい弁護士に相談すべきケースとは
トラブルになりそうな場合(複数相続人・遺言書なしなど)
相続放棄・名義変更など併せて行うケース
特別代理人選任の手続きを一括で任せたいとき
まとめ|未成年の相続には必ず「特別代理人」の検討を
未成年が相続人になるとき、まず知っておくべきこと
相続というと、高齢者の財産を大人たちが引き継ぐイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、実際には未成年が相続人になるケースも決して珍しくありません。たとえば、父親が亡くなり、その子どもがまだ未成年だった場合などです。このようなとき、未成年者が財産を相続するには、特別な注意が必要です。
法律上、未成年者は単独で法律行為を行うことができません。そのため、相続における重要な手続きである「遺産分割協議」にも、自分で参加して有効な意思表示をすることができません。代わりに、通常は親が法定代理人として手続きを進めることになります。
しかし、親もまた相続人である場合、単純に親が代理人として子の分を代表するわけにはいきません。というのも、親自身も相続財産を受け取る立場であることから、「利益相反」が発生するためです。このようなケースでは、家庭裁判所に申立てを行い、第三者である「特別代理人」を選任してもらう必要があります。
つまり、親がいても、すぐに遺産分割ができるとは限らないのです。未成年が相続人になる場合は、「特別代理人」が必要になる可能性があるという事実をまず理解しておきましょう。
なぜ特別代理人が必要なのか?|親が代理人になれない理由
親は本来、子どもの法定代理人
未成年者には民法上の制限があるため、法的な行為を単独で行うことができません。このため、通常は親が「法定代理人」として、子どもの代わりにさまざまな手続きを行います。たとえば、契約の締結、財産管理、さらには学校の入学手続きや医療同意書への署名も、親が代行します。
相続においても、未成年の子どもに代わって遺産分割協議に参加し、必要書類に署名・押印するのは、一般的には親の役割です。
でも「親も相続人」の場合は“利益相反”になる
しかし、相続の場面で親もまた相続人である場合には、事態は複雑になります。なぜなら、親自身が財産を取得する立場にあるため、子どもの利益と親自身の利益が対立する可能性があるからです。
たとえば、親が多めに財産を取得しようとすれば、それだけ子どもの取り分が減ることになります。このように、代理人が自身の利益を優先させる恐れがある状況を「利益相反」と呼びます。法律上、利益相反があるときには、その代理行為は無効とされる可能性があるため、第三者である「特別代理人」の選任が必要となるのです。
この仕組みは、未成年者の利益を最大限に保護するために設けられています。つまり、たとえ親が誠実であっても、制度的に「中立的な立場」の代理人を立てることが求められるのです。
【例外】親が相続放棄した場合など、特別代理人が不要なケースも
すべてのケースで特別代理人が必要というわけではありません。たとえば、親が相続放棄をしている場合、親はもはや相続人ではないため、利益相反の問題は生じません。このようなケースでは、親がそのまま子どもの法定代理人として、手続きを進めることが可能です。
また、親子の間で相続分が完全に一致しており、かつ遺産分割に争いがない場合には、家庭裁判所の判断で特別代理人を立てずに手続きを進めることが認められるケースもあります。ただし、このような判断は個別事情によるものであり、家庭裁判所の判断が必要になるため、必ずしも省略できるとは限りません。
そのため、利益相反の可能性が少しでもある場合は、原則として特別代理人の選任を検討しておくのが安全です。

特別代理人とは?役割と選任される人の条件
特別代理人の役割|「中立の立場」で未成年の利益を守る
特別代理人とは、未成年者と他の相続人(多くの場合は親)との間で利益相反があるときに、未成年者の利益を守るために選任される第三者の代理人です。その最も重要な役割は、未成年者が不利益を被ることなく、適切な相続分を確保できるようにすることです。
たとえば、相続財産の中に複数の不動産や預貯金があり、誰がどの資産を相続するかを決める必要がある場合、特別代理人は中立的な立場で未成年者にとって最善と考えられる選択を行います。これは単に金額の多寡にとどまらず、将来的な管理のしやすさ、維持費用、換金性なども考慮されます。
また、遺産分割協議書の内容をチェックし、未成年者の権利を不当に侵害していないか確認する役割もあります。未成年者が小さくて事情を理解できない場合であっても、その利益は最大限に守られるよう、法律上の仕組みとしてこの制度が機能しています。
誰がなれるの?|祖父母・親族・弁護士などが候補に
特別代理人には、未成年者と利害関係のない信頼できる大人が選ばれます。多くの場合、以下のような人が候補となります。
・祖父母やおじ・おばなどの親族(親ではない)
・弁護士や司法書士などの法律の専門家
・親の友人や知人などで信頼のおける第三者
ただし、誰でもなれるわけではありません。たとえば、すでに他の相続人の利益を代理していたり、相続財産の分割に関わっていたりする人物は、利益相反の恐れがあるため不適格とされることがあります。
特別代理人は、未成年者にとって真に「第三者」である必要があります。したがって、候補者は未成年者と親しく、かつ相続において中立性を保てる人物であることが求められます。
家庭裁判所は、申立て時に提示された候補者が適切かどうかを慎重に審査します。不適切だと判断された場合は、他の人物を選任することもあります。
家庭裁判所が選任し、本人の同意は不要
特別代理人の選任は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所が行います。これは法律に基づいた公的な手続きであり、未成年者本人や親の同意は必要ありません。
申立ては、通常、親が行います。提出する書類には、候補者の情報、相続の内容、利益相反の有無、未成年者の状況などが含まれます。
審理を経て、裁判所が「この人ならば未成年者の利益を適切に代表できる」と判断した場合に、正式に選任がなされます。選任された後は、特別代理人が遺産分割協議に参加し、必要に応じて裁判所と連絡を取りながら手続きを進めていきます。
このように、特別代理人は未成年者の代わりに遺産分割協議を進めることができる唯一の法的代理人となるため、その選任は極めて重要であり、慎重な判断が求められるのです。
特別代理人の選任手続き|準備から家庭裁判所の審理まで
必要書類一覧と取得方法
特別代理人を選任するためには、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。その際に必要となる書類は、以下のように多岐にわたります。これらを漏れなく準備することで、手続きがスムーズに進みます。
主な必要書類
申立書:家庭裁判所所定の様式で、選任の理由や候補者の情報などを記載します。
戸籍謄本:被相続人(亡くなった人)および相続人全員の戸籍謄本が必要です。未成年者との親子関係を証明するためにも必須です。
住民票または戸籍の附票:未成年者および候補者の住所確認のために提出します。
相続関係図:相続人の構成を図式化したもの。親族関係が一目でわかるように記載する必要があります。
財産目録:相続財産の内容と評価額を一覧にした書類。預貯金、不動産、有価証券などを詳細に記載します。
利害関係人の同意書(必要に応じて):他の相続人が選任候補者に同意する旨を記載した書類です。
これらの書類は、市区町村役場、法務局、金融機関などで入手・作成することが可能です。たとえば、戸籍謄本は本籍地のある役場で取得でき、財産目録については相続財産の内容に応じて不動産登記簿謄本や銀行の残高証明書をもとに作成します。
選任申立ての流れ(申請~審理~決定)
特別代理人の選任手続きは、以下のステップで進められます。
1. 書類の準備と提出
まずは、前述の必要書類をすべて揃え、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。書類に不備があると補正が求められるため、提出前にしっかり確認しましょう。
2. 審理の開始
書類受理後、家庭裁判所による審理が行われます。これは非公開の書面審理が原則で、原則として申立人や候補者が出廷する必要はありません。ただし、裁判所が必要と判断した場合には、事情聴取のために呼び出されることもあります。
3. 選任の可否決定
裁判所は、提出された資料をもとに、候補者が未成年者の代理人として適切かどうかを判断します。選任が認められれば、正式に「選任審判書」が交付され、特別代理人としての活動が可能になります。
この一連の流れには、早ければ2週間程度、長ければ1〜2か月程度かかることがあります。手続きに時間がかかる可能性があるため、相続手続きのスケジュールには余裕を持たせておくことが重要です。
費用の目安|申立手数料・弁護士報酬がかかることも
特別代理人の選任にかかる費用は大きく分けて2種類あります。
1. 家庭裁判所への申立手数料
選任申立てそのものには大きな費用はかかりません。収入印紙で1,200円程度、郵便切手代が数百円~1,000円程度が一般的です。つまり、裁判所に支払う金額は数千円で済むケースが大半です。
2. 特別代理人候補者への報酬
候補者が親族である場合は、無償で引き受けてもらえることもありますが、弁護士や司法書士などに依頼する場合は、別途報酬が発生します。相場は事案の複雑さによりますが、10万円〜30万円程度が一般的です。
この報酬は、相続財産の中から支払われる場合もありますし、申立人が立て替える場合もあります。いずれにしても、選任前にしっかりと費用の見積もりを取っておくことが望ましいです。
特別代理人を立てずに進めるとどうなる?|協議の無効リスク
未成年の相続人がいるにもかかわらず、特別代理人を立てずに遺産分割協議を行ってしまった場合、協議自体が無効と判断される可能性があります。これは、民法に基づく「代理権の制限」および「利益相反行為の無効」に関する規定によるものです。
たとえば、親が自分の子ども(未成年)を代理して遺産分割協議に署名したとしても、その協議内容が親自身の利益と重なる場合は利益相反となり、法的に有効な協議とは見なされません。結果として、その遺産分割協議書を用いて不動産の名義変更や相続登記を行ったとしても、後から「無効である」とされる可能性があるのです。
このようなケースでは、最悪の場合、すでに行った登記の取り消しや、再度の協議、裁判沙汰などに発展するリスクがあります。相続人の一部が「無効な協議だった」と主張し、家庭裁判所に遺産分割審判を申し立てると、当初の協議は事実上やり直しとなり、手続きが長期化・複雑化します。
さらに、相続人同士の関係にもひびが入ることになりかねません。感情的な対立が激化すれば、相続争いが泥沼化することもあります。したがって、「未成年の相続人がいる」という事実が確認できた時点で、必ず特別代理人の必要性を検討し、法的に正当なプロセスを踏むことが重要です。
未成年者が相続放棄する場合の注意点
相続放棄は法定代理人(親)が家庭裁判所に申立て
相続放棄とは、被相続人の財産(プラスの財産もマイナスの財産も含む)を一切引き継がないという法的手続きです。未成年者が相続人になった場合、通常は親がその法定代理人として相続放棄の手続きを進めます。
相続放棄は「自己のために相続があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所に申立てる必要があります。この期間を過ぎると、放棄が認められなくなる場合があるため、注意が必要です。
親が放棄の申立てを行う際には、未成年者本人の意志は問われず、また未成年者に不利益がないと判断されれば、裁判所は原則として放棄を認めます。
放棄で親の取り分が増える場合は「特別代理人」必要
相続放棄の手続きも、実は利益相反のリスクを含んでいます。たとえば、親が相続人であり、かつ未成年者も相続人である場合、子どもが相続放棄をすることで結果的に親の取り分が増えるケースが考えられます。
このような場合、「親が子の放棄を代理する」ことによって、親の利益が拡大するため、利益相反が成立します。したがって、このような状況では、遺産分割協議と同様に、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てを行う必要があります。
手続きとしては、相続放棄の申立てと同時、またはその前に特別代理人の選任申立てを行い、選任された代理人が未成年者の代理で放棄の申立てを行うという流れになります。
【全員放棄】親と子で放棄する場合の流れ
相続人全員が放棄する場合、すなわち親も子も相続を放棄するというケースでは、それぞれが個別に放棄申立てを行う必要があります。この際、未成年者については、通常通り親が代理して申立てを行います。
しかし、この「全員放棄」が親の利益になるかどうかによって、特別代理人の要否が分かれます。たとえば、親が先に放棄し、その結果として親に一切の取り分がない場合、未成年者の放棄によって親の取り分が増えることはありません。こうしたケースでは、利益相反が生じないと判断されるため、特別代理人が不要になることもあります。
ただし、判断が難しい場合は、事前に家庭裁判所または専門家に相談することが強く推奨されます。利益相反の有無は、相続財産の構成や相続人の関係性などによって微妙に変わるため、安易な判断は避けるべきです。
未成年者控除を活用した相続税の軽減方法
未成年者が相続人となる場合、相続税の計算において「未成年者控除」という特別な減税措置が適用されることがあります。この控除を活用することで、未成年者が負担する相続税額を大幅に軽減できる可能性があるため、相続税申告の際には必ず検討すべき項目です。
未成年者控除とは|相続税額から最大180万円の控除
未成年者控除とは、相続税法に基づく特別控除の一つで、相続人が未成年である場合、その年齢に応じて一定額が相続税から控除される制度です。具体的には、相続発生時点での年齢が18歳未満である未成年者が対象となり、「18歳-相続開始時の年齢」×10万円が控除されます。
たとえば、相続開始時点で15歳の子どもが相続人になった場合、「18-15=3」より、30万円の控除を受けられることになります。年齢が低いほど控除額は大きく、最大で180万円(0歳児)まで控除が可能です。
この控除は、相続税の「納税義務者1人あたり」に適用されるため、複数の未成年者が相続人となっている場合は、それぞれに適用されます。
要件と申請方法
未成年者控除を受けるためには、相続税申告書を提出する際に以下の情報を記載し、必要書類を添付する必要があります。
主な要件
相続開始時点で未成年(20歳未満)であること
相続人であること(養子も含むが、法定相続人の数制限に注意)
日本国内に住所があること(相続人が日本国外在住の場合は適用外になることも)
申告書への記載方法
・「相続税申告書 第1表」および「第2表(税額控除に関する明細)」に、該当控除額を記載
・戸籍謄本または住民票など、未成年であることを証明する書類を添付
控除額は、相続税額から直接差し引かれるため、課税遺産額に対する課税率が高いほど、大きな税負担軽減効果があります。専門家に相談しながら正確に計算・申請することが望ましいです。
他の相続人との配分への影響は?
未成年者控除によって相続税額が減ること自体は、相続財産の分割には直接影響しません。控除は各相続人の納税義務に関する問題であり、相続人全体で共有する財産の配分には関係しないからです。
ただし、控除が適用された結果、未成年者の税負担が軽減され、他の相続人の納税額よりも著しく低くなると、心理的な不公平感が生じることがあります。こうした点も含めて、あらかじめ相続人同士で情報を共有し、納得の上で遺産分割協議を進めることが大切です。
また、税負担を抑えたいという観点から、あえて未成年者の相続分を多めに設定することを検討するケースもあります。ただし、その場合もやはり利益相反が発生しやすいため、特別代理人を通じて協議を行う必要があります。
相続に詳しい弁護士に相談すべきケースとは
相続手続きは、法律、税務、人間関係といった多くの要素が絡み合う複雑なプロセスです。とりわけ未成年者が相続人として関与するケースでは、通常以上の注意が求められます。以下のような状況では、迷わず相続に詳しい弁護士への相談を検討すべきです。
トラブルになりそうな場合(複数相続人・遺言書なしなど)
相続人が複数いて、かつ遺言書が存在しない場合は、遺産分割協議で意見が対立するリスクが高まります。さらに、相続人の中に未成年者がいると、特別代理人の選任やその後の協議内容についても慎重な判断が必要です。
親族間での関係性が良好であっても、金銭が絡むと争いに発展することは珍しくありません。初期段階で弁護士に相談し、法的な立場や選択肢を明確にしておくことが、結果的にスムーズな解決への近道になります。
相続放棄・名義変更など併せて行うケース
相続の手続きは、遺産分割協議だけではありません。不動産の名義変更、預貯金の解約、相続税の申告、相続放棄など、さまざまな事務手続きが関係してきます。これらの手続きを一括して進める必要がある場合には、法律と実務に通じた弁護士のサポートが不可欠です。
特に未成年者の代理を含む手続きは、ひとつひとつの判断に法的な裏付けが必要となるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めるべきです。
特別代理人選任の手続きを一括で任せたいとき
自分で家庭裁判所への申立てを行うのが不安、または時間的・精神的な余裕がないという方も多いでしょう。そういった場合には、弁護士にすべてを任せるという選択肢があります。
弁護士は、特別代理人の候補者として自らが就任することも可能ですし、代理人選任の申立てからその後の協議まで、すべてを一括で請け負ってくれるケースもあります。時間と労力を大幅に削減できるため、忙しい遺族にとっては非常に心強い支援となります。
まとめ|未成年の相続には必ず「特別代理人」の検討を
未成年者が相続人となる場合、その取扱いには特別な注意が必要です。通常、未成年者は単独で法律行為を行えないため、親が法定代理人として手続きを行いますが、親自身が相続人である場合には「利益相反」の問題が生じます。このような状況では、家庭裁判所に申し立てを行い、第三者である「特別代理人」を選任することが必須です。
親が代理できないことがあるという点は、あまり知られていない重要な事実です。遺産分割協議が無効になるリスクや、将来的な法的トラブルを回避するためにも、特別代理人の制度を正しく理解し、適切に活用する必要があります。
また、未成年者控除など、税制上の優遇措置も存在するため、相続税の軽減が可能なケースも多くあります。こうした情報を知らずに手続きを進めてしまうと、必要以上に税金を支払うことになったり、後から修正手続きを行う手間が発生したりする恐れもあります。
さらに、相続放棄をする際にも、未成年者が放棄することで親の利益が拡大するようなケースでは、やはり特別代理人の選任が求められます。親と子で「全員放棄」をする場合も、適切な手順を踏まなければ、放棄が認められないリスクがあります。
特別代理人制度は、面倒に思えるかもしれませんが、未成年者の権利を守るために極めて重要な制度です。相続は一生に何度も経験するものではなく、多くの人にとって慣れない手続きです。そのため、少しでも不安や疑問がある場合は、専門家に相談するのが賢明です。
弁護士や司法書士に相談することで、法的リスクを回避しながら、スムーズかつ確実に相続手続きを進めることができます。特に未成年者が絡む相続では、将来にわたっての安心を得るためにも、専門家の支援を受けながら慎重に対応していくことが大切です。
相続は「人の死」という感情的な要素を含む手続きだからこそ、冷静かつ法的に正確な判断が求められます。未成年者の利益を守ることは、すべての相続人にとっても安心と公平をもたらす第一歩です。まずは制度の正しい理解から始め、必要な対応を一つ一つ進めていきましょう。そうすることで、後悔のない相続を実現することができるはずです。
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