火葬時に副葬品としてNGな物とは?選び方とマナーを徹底解説

2025.3.14

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火葬の際に故人と一緒に副葬品を入れることは、日本の文化の一部として根付いています。しかし、すべての物が副葬品として適しているわけではありません。知らずにNGな物を入れてしまうと、火葬場でのトラブルや故人の供養に悪影響を及ぼす可能性があります。本記事では、副葬品の基本的な意味や選び方、注意すべき点を詳しく解説します。

1. 副葬品とは?

副葬品とは、故人と共に棺に納められる品々のことを指します。これは、故人の旅立ちに際しての祈りや感謝の気持ちを込め、最後のお別れの証として添えられるものです。日本では古くからの習慣として副葬品が存在し、時代や地域、宗教によってその意味や内容が変化してきました。

本来の副葬品の定義

古代日本では、死後の世界でも故人が不自由なく暮らせるようにと、副葬品として生活に必要な道具や財産が納められてきました。たとえば、弥生時代や古墳時代には、土器や装飾品、武具などが副葬品として選ばれていた記録があります。これらは、死後の世界でも困らないようにという信仰や、故人の地位や功績を示す意味合いもありました。 また、仏教の影響を受けるようになると、経典や仏具など、宗教的な意味を持つ副葬品が納められるようになりました。副葬品は単なる「物」ではなく、故人の生前の生活や価値観、そして遺族の想いが込められた大切な存在だったのです。

現代の副葬品の定義

現代の日本においても、副葬品は故人への想いを形にする大切な文化です。ただし、火葬が一般的となった現代では、火葬炉で燃えやすく、安全性に配慮した品が選ばれるようになっています。 故人の趣味や思い出を象徴するものが選ばれる傾向にありますが、選び方には注意が必要です。

副葬品 分類

2. 副葬品を入れるタイミング

副葬品をいつ棺に入れるべきかは、意外と迷うポイントかもしれません。基本的には、故人を棺に納めるときか、出棺直前のタイミングで副葬品を入れるのが一般的です。

棺に故人を納めるとき

故人を棺に納めるときに、副葬品を一緒に入れるのが一般的です。この場面では、遺族が直接手渡しで副葬品を納めることができるため、故人への想いを込める時間となります。 納める際の流れは以下のようになります。 1.故人の身支度を整える ・旅立ちの装いとして、故人に死装束や愛用の衣服を着せます。 2.棺に故人を納める ・丁寧に故人を棺に納め、安らかに休めるよう整えます。 3.副葬品を入れる ・故人が大切にしていた物や、思い出の品などを丁寧に納めます。 このタイミングで副葬品を入れることで、故人に対する感謝や祈りの気持ちをしっかりと届けることができます。

出棺直前に入れる

副葬品は、出棺直前に入れることもあります。これは、告別式などを終えた後、棺の蓋を閉じる直前に行われることが多いです。 このタイミングで副葬品を入れるメリットは、最後の最後まで故人と一緒に過ごし、想いを込めた副葬品を納められる点です。また、遺族の中で「やはりこれも入れたい」という思いが出てきた場合も、このタイミングであれば対応が可能です。 ただし、出棺直前は葬儀の進行が慌ただしくなることもあるため、事前に副葬品を準備し、確実に入れ忘れがないよう注意しましょう。

火葬場での副葬品の追加は不可

火葬場に到着してから副葬品を追加することは、原則としてできません。火葬炉の安全管理の観点からも、出棺前までに確実に副葬品を納めておく必要があります。 そのため、「副葬品は納棺の儀または出棺直前に確実に納める」ことを心がけましょう。

3. 副葬品におすすめの物

1. 手紙やメッセージカード

故人に対する感謝や祈りの言葉を手紙に託すのは、昔からよく行われている習慣です。 ・家族全員が手紙を書いて入れることで、最後のお別れの気持ちを伝えることができます。 ・小さなメッセージカードでも問題ありません。書く内容に決まりはなく、率直な気持ちを綴りましょう。

2. 花

美しい花は、故人の旅立ちを彩るシンボルです。 ・生花で小さめの花束がおすすめです。特に故人が好きだった花を選ぶと、より想いが伝わります。 ・花言葉に意味を込めて選ぶのも良いでしょう。たとえば、「感謝」の意味を持つカーネーションなど。

3. 朱印帳

神社仏閣巡りが趣味だった故人であれば、朱印帳は思い出深い副葬品になります。 ・朱印帳は、故人が訪れた神社やお寺での記憶が詰まった特別な品です。 ・また、死後の幸せを祈る意味も込められており、故人の旅立ちを見守る役割があります。 ・小さめの朱印帳であれば、火葬にも問題ありません。 ただし、表紙が金属やプラスチックでできている場合は、表紙を外して中の紙だけを副葬品にするのがおすすめです。

4. お菓子や食べ物

故人が生前に好んでいたお菓子や食べ物も、心を込めた副葬品としておすすめです。 ・小さな和菓子や焼き菓子などは、火葬でも問題が少ないとされています。 ・包装紙は外して、中身だけを納めるようにしましょう。 ・故人が特に好んでいた食べ物のミニチュアやイラストを入れるのも良い方法です。 ただし、大きな食品や生ものは火葬には適さないため、避けるのが無難です。 副葬品は、故人との最後の思い出を形にする大切なもの。ルールとマナーを守りながら、心のこもった品を選ぶようにしましょう。

4. 副葬品に入れてもよい物が、注意が必要な物

1. 果物

故人が生前に好んでいた果物を副葬品に選びたいと考える方もいるでしょう。しかし、スイカやメロンなどの水分が多い果物は、不完全燃焼の原因になりかねません。 ・丸々入れることは避けましょう。 ・どうしても入れたい場合は、写真にするか、紙に包んで入れるなどの工夫をすると良いでしょう。 ・また、小さな果物や水分が少ないものを選ぶのも一つの方法です。 火葬時の安全性を考慮しながら、故人の好物を丁寧に選ぶことが大切です。

2. 写真

故人との思い出を込めて、写真を副葬品として選ぶ方は多いです。ただし、昔からの考え方としては「生きている人が写っている写真は避けるべき」とされています。 ・これは、「一緒にあの世へ連れて行ってしまう」という考えがあるためです。 ・そのため、故人の遺影や故人のみが写っている写真であれば問題ありません。 ただし、最近では考え方が少しずつ変わってきており、家族や友人との集合写真を入れる方も増えています。 ・この場合は、事前に家族や関係者に許可を取るのがおすすめです。 ・入れることで気持ちが落ち着く場合もあるため、遺族の意向を尊重して判断しましょう。 また、写真を納める際には、以下の点にも注意が必要です。 ・必ずフレームから外し、紙だけを納めること。 ・写真が大きすぎる場合は、小さめにカットするか、ミニサイズの写真を用意すると良いでしょう。 故人との大切な思い出を納める際には、マナーと配慮を忘れずに、心を込めて準備しましょう。

3. 洋服

故人が愛用していた洋服を副葬品として納めることは可能ですが、いくつかの注意点があります。 ・大量の洋服は避ける:大量に入れると不完全燃焼の原因になります。 ・金属やプラスチックの飾りがあるものは取り除く:これらの素材は燃えにくく、火葬に適していません。 ・天然素材(綿や麻)などの布製品が望ましいです。 ・サイズが大きい場合は、一部だけを切り取って入れるという方法もあります。 故人が愛した洋服を選ぶ際には、安全性を考慮しながら慎重に選びましょう。

4. 嗜好品

故人が愛用していたお酒やタバコなどの嗜好品も副葬品として選ばれることがありますが、こちらも注意が必要です。 お酒 ・紙パックのものであれば、火葬時に問題ありません。 ・しかし、ビンや缶、プラスチック容器は火葬に適していないため、入れることはできません。 ・燃えない素材の容器は、火葬炉を傷つける恐れがあるため避けましょう。 タバコ ・タバコ本体を少量であれば納めることは可能です。 ・ただし、ライターは絶対に入れてはいけません。 ・火葬時に爆発する危険性があるため、ライターは棺に入れないように注意しましょう。 嗜好品を選ぶ際は、素材や安全性に十分配慮することが大切です。

5. 千羽鶴

千羽鶴は、健康や長寿、平和の象徴として知られています。故人への祈りを込めて作られた千羽鶴は、副葬品として選ばれることもありますが、注意が必要です。 ・小さめにまとめた千羽鶴であれば、火葬時に問題ありません。 ・大きな鶴の場合は、数羽だけを選んで副葬品にするのがおすすめです。 ・特殊な素材や金属を使っていないかも確認し、紙製のものに限るようにしましょう。 また、千羽鶴は大量の紙を使用しているため、事前に葬儀社に確認しておくことが無難です。

5. 副葬品に入れてはいけない物

副葬品には、故人の思い出を込めてさまざまな物を選びますが、火葬時の安全性やマナーの観点から入れてはいけない物があります。誤って納めてしまうと、火葬炉のトラブルや遺骨への悪影響につながるため、注意が必要です。

1. 金属製品

金属製の副葬品は、火葬炉の中で燃えずに遺骨に付着したり、火葬炉を傷つける恐れがあります。 ・指輪やネックレスなどのアクセサリー類 ・時計、眼鏡などの生活用品 ・金属製の装飾が付いた品 金属類は基本的に避けるのがマナーです。どうしても入れたい場合は、事前に葬儀社に相談し、代わりに写真やイラストで気持ちを伝える方法も検討しましょう。

2. ガラス製品

ガラスは高温で割れたり飛び散る危険性があるため、火葬時に棺に入れることはできません。 ・コップや瓶などの食器類 ・ガラス製の装飾品や雑貨 万が一火葬炉内で破損すると、火葬炉の故障につながる恐れがあるため、絶対に避けましょう。

3. プラスチック製品

プラスチックは燃えにくく、有害物質や悪臭を発生させるため、火葬に適していません。 ・プラスチック製の人形やおもちゃ ・プラスチック製の装飾品 ・包装紙やフィルム また、ペットボトルなどの飲料容器もNGです。燃焼時の安全を考慮し、自然素材のものを選ぶようにしましょう。

4. 大きすぎる副葬品

棺に収まりきらないほどの大きな副葬品は、火葬炉の故障や不完全燃焼の原因となるため避けましょう。 ・大型のぬいぐるみ ・大きな装飾品や家具類 大切な品であっても、どうしても入れたい場合は、ミニチュアサイズの代替品を選ぶのがおすすめです。

5. 爆発の恐れがある物

火葬炉内で爆発の危険性がある物は絶対に入れてはいけません。 ・スプレー缶やライター ・電池やバッテリー ・香水やアルコール類 これらの物が爆発すると、火葬炉が大きく損傷するリスクがあります。タバコを副葬品とする場合も、ライターは絶対に一緒に入れないように注意しましょう。

6. ペースメーカー

ペースメーカーは必ず火葬前に取り外す必要があります。 ・ペースメーカーにはリチウム電池が内蔵されており、火葬時の高温によって爆発の恐れがあります。 ・爆発が起きると、火葬炉が損傷するだけでなく、遺骨にも影響が及ぶ可能性があります。 ・ペースメーカーの取り外しは、医師または専門業者によって事前に行われるのが一般的です。 ペースメーカーが装着されていた場合は、必ず葬儀社に事前に伝えておくことが重要です。

7. お金(硬貨・紙幣)

古くは、三途の川の渡し賃として六文銭を棺に納める風習がありました。特に、北海道など一部の地域ではこの風習が今も残っている場合があります。しかし、現代においてはお金を副葬品として納めることは基本的にNGとされています。 ・硬貨は燃えにくく、「貨幣損傷等取締法」に抵触するため、火葬に入れることは法律違反となります。 ・紙幣は法律の適用外ですが、器物損壊罪に該当する可能性があり、葬儀社によっては許可されないケースが多いです。 ・さらに、現代には「文」という貨幣単位は存在せず、マナーとしても現金の副葬は避けられています。 そのため、どうしても渡し賃としての意味を持たせたい場合は、以下のような工夫がおすすめです。 ・紙に印刷した六文銭を納める ・紙製のレプリカの六文銭を使用する このようにすれば、伝統的な意味合いを大切にしながらも、安全かつマナーに配慮して副葬品として納めることが可能です。

8. 燃えにくい・有害物質を含む物

燃え残りや有害物質を発生させる可能性があるものも避けましょう。 ・塩化ビニール製品 ・ゴムやシリコン製品 ・科学薬品や特殊な化学素材 これらは、遺骨や火葬炉に悪影響を与えるリスクがあるため、絶対に避けましょう。

6. 副葬品として入れられないものの対処法

故人の思い出の品を副葬品として納めたいと考える方は多いでしょう。しかし、火葬時の安全性や法律、マナーの観点から入れられない物も存在します。では、そのような場合はどのように対処すべきなのでしょうか。

1. 写真や手紙で想いを伝える

副葬品として納められない場合は、故人への想いを写真や手紙に託す方法もおすすめです。 ・副葬品として納めたい物があれば、その思い出を綴った手紙を添えると、気持ちを伝えることができます。 ・入れられない物の写真を用意し、故人に「この思い出を大切にします」という気持ちを込めるのも良いでしょう。 こうした手紙や写真は火葬に適しており、安全に納めることができます。

2. 思い出の品は自宅で供養する

どうしても火葬に納められない物は、自宅で大切に供養する方法もあります。 ・故人が愛用していた品を、仏壇や祭壇に飾る。 ・定期的にお線香をあげたり、お花を供えることで、故人の思い出を偲ぶ。 ・大切に保管し、時折手に取って故人との思い出を振り返る。 こうすることで、火葬に納められなくても、故人への感謝の気持ちを忘れずに過ごすことができます。

3. お焚き上げを利用する

入れられない副葬品は、お焚き上げ供養を利用するのも一つの方法です。 ・ぬいぐるみや人形など、気持ちがこもった品は、丁寧に供養してから処分するのが一般的です。 ・最近では、葬儀社が人形供養を実施している場合もあります。依頼すれば、適切に供養してもらえるので安心です。 大切な品であればあるほど、丁寧に供養して送り出すことが供養の形の一つです。

4. 遺族の間での形見分けを行う

副葬品として入れられない物の中でも、遺族の思い出が深い品であれば、形見分けをして大切に持っておくのも一つの方法です。 ・故人が愛用していた物を遺族で分け合い、大切に保管する。 ・形見として持ち歩ける小物やアクセサリーに加工するという選択肢もあります。 こうすることで、故人の想いを日常の中で感じながら過ごすことができます。

5. 葬儀社に事前相談する

「これを副葬品として入れたいが大丈夫か?」と迷った場合は、必ず葬儀社に事前相談をすることが大切です。 ・安全性や法律、マナーの面で問題がないか確認してくれます。 ・代用品の提案や、適切な供養の方法もアドバイスしてもらえます。 事前の確認によってトラブルを未然に防ぎ、安心して故人を送り出すことができます。 副葬品は、故人の最後の旅立ちを見送る大切な品です。しかし、火葬のルールや安全性を守ることも重要です。もし入れられない物がある場合は、今回ご紹介した方法で、故人への想いを大切に伝えていきましょう。

まとめ

副葬品は、故人への想いを形にする大切な品ですが、火葬時の安全性や法律、マナーを考慮することが重要です。燃えやすい素材を選び、不完全燃焼や爆発のリスクがある物、法律に抵触する物は避けましょう。特に、硬貨は「貨幣損傷等取締法」に違反し、ペースメーカーは爆発の危険があります。迷った場合は葬儀社に相談し、代用品や供養の方法を検討しましょう。故人の旅立ちを穏やかに見送るために、適切な副葬品選びを心がけましょう。

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