後悔しない「安い戒名」の選び方|費用相場とランクの違いを知り、トラブルなく納得できる戒名を選ぶための基礎知識

後悔しない「安い戒名」の選び方|費用相場とランクの違いを知り、トラブルなく納得できる戒名を選ぶための基礎知識

公開日: 2024.7.31     更新日: 2025.8.20

なぜ「戒名は高い」と感じるのか?

戒名料って、どうしてこんなに高いのだろう――
親の葬儀を経験した方なら、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。その「高い」と感じる背景には、慣習的な相場の不透明さや宗派ごとの違い、さらには寺院と信者の関係性が影響しています。

戒名とは、故人が仏門に入った際に与えられる仏教上の名前であり、仏式葬儀や法要で重要な役割を果たします。その由来や意味、宗教的な価値は大きい一方、費用をめぐって「損をした」「納得できなかった」と感じる方が少なくありません。

特に仏教や菩提寺との関係が薄い現代的な家庭では、「戒名=数十万円」という印象が強く、ネットや知人の話で知った「もっと安い戒名もあるのでは?」という期待と、「安すぎないか?」という不安が交錯します。

本記事では、戒名の費用相場を丁寧に解説するとともに、「安い戒名」を探す際の信頼できる手段、そして後悔しないための選び方を深掘りしていきます。

戒名のランク別相場と費用の内訳を理解しよう

戒名にはランクがある?「信士」と「院号」でこんなに違う

戒名には複数のランクがあり、位号(いごう)によって格付けされます。主なものとして「信士/信女」「居士/大姉」「院号付き戒名」があります。

信士・信女は一般的には最も安価。しかし、居士・大姉は社会的地位や年齢を加味して授与される中・上位ランクです。さらに「○○院○○居士/大姉」といった院号付きの高位ランクになると、費用は大きく跳ね上がります。

平均価格はいくら?全国相場の目安を知る

ランク

相場目安(戒名料のみ)

信士/信女

約3万〜20万円

居士/大姉

約30万〜50万円

院号付き戒名

約50万〜100万円以上

多くの寺院では、戒名料だけでなく読経、お布施、法要費用などをセットで提示するため、総額を見るとさらに高額に感じられます。

価格に含まれるもの:お布施・読経・戒名料の違いとは

戒名料とは本来「戒名の授与料」を指しますが、実際には以下のような費用が含まれていることが多いです。

  • 戒名そのものの授与

  • 葬儀・法要時の読経や僧侶派遣

  • お布施(僧侶への謝礼)

  • お香典返しや会場費など、広義の費用に含まれるケースも

特に注意したいのは「戒名料」「お布施」「読経料」が分離して記載されていない場合。合計金額だけを提示されて何にいくら払っているのか分からないと、不安や後悔につながりやすくなります。

ネットで依頼できる「安い戒名」の実態と仕組み

「ネット戒名」とは?仕組みと利用の流れを解説

「ネット戒名」「オンライン戒名授与サービス」は、菩提寺と所属関係が薄い方を対象に、通信やWeb申し込みで戒名を授与するサービスです。寺院や僧侶と直接関わらず、比較的低価格で利用できる点が特徴です。利用の一般的な流れは以下のようになります:
申し込み → 希望情報(故人の名前・一字・家族構成)入力 → 戒名作成 → メールや郵送で授与 → 必要に応じて読経手配

価格帯の一例:1万円〜5万円でも依頼可能

近年、インターネットを通じて戒名を依頼できるサービスが増加しており、費用も従来の菩提寺を通す形式に比べて格段に抑えられています。とくに「信士」「信女」といった基本的なランクの戒名であれば、1万円台から5万円前後で依頼できるサービスが多く見られます。

これは、従来のように葬儀や法要とセットになっているのではなく、純粋に「戒名の授与」のみを独立して提供していることが理由のひとつです。加えて、固定した檀家制度に依存しない運営スタイルのため、維持費や人件費が抑えられ、価格に反映されやすくなっています。

また、居士・大姉といった中位ランクの戒名でも、5万円〜7万円程度で依頼できるケースがあり、これまで「数十万円は当たり前」とされていた価格帯から見ても、大幅にコストを抑えた選択肢が可能となっています。

さらに、最上位の院号付き戒名であっても、10万円前後で授与してもらえる事例も存在します。従来の高額な印象からは想像できないかもしれませんが、これは各サービスがユーザーに価格明細を明確に提示しているため、予算に応じた最適な選択がしやすくなっていることを意味します。

つまり、現代の戒名は「高くて当然」という時代から、「希望に合わせて選べる」時代へと変わりつつあるのです。もちろん価格だけで判断すべきではありませんが、選択肢の一つとして知っておくことで、より納得できる戒名選びができるようになります。

なぜ安くできる?お寺と信者の関係が背景に

このような低価格が可能な理由には、以下のような背景があります:

サービス提供側は、所属寺院が確立されていないケースを対象に、「戒名授与のみ」に特化している
読経や法要は別途オプション対応とし、戒名料だけを明確に分けて提示
契約宗派を限定せず幅広く対応可能なため、規模や効率を活かして低価格を実現

ただし、こうした形態では「菩提寺」から「付けてもらった戒名」を認められないケースがあり、納骨や法要時にトラブルになる可能性もあります。

気をつけたいポイント:どんな寺院か?読経は含まれるか?

ネット戒名を利用する際、特に注意すべき点は以下の通りです:

どの宗派のお坊さんが戒名を授与するのか明示されているか
読経や卒塔婆・法要の手配が別料金であるか、サービスに含まれているのか
事前に菩提寺(ある場合)への確認を求められているか
授与後のキャンセルや返金規定が明確か

申込時にこれらの情報が透明でない場合、後で「戒名だけもらって法要で問題が…」という懸念につながります。

「安くても安心」な戒名を選ぶための3つのポイント

1. 相手がどんな寺院かを事前に調べる

ネットやパンフレットに掲載されている寺名・宗派・僧侶名を確認し、Webで検索して評判や実績を調べましょう。口コミやレビューで「○年前に利用したが問題なかった」「菩提寺に確認済」などがあると安心できます。

2. 適切なランクを選び、家族とも相談する

戒名のランクは人生・社会的背景や家族の希望により選びましょう。「信士・信女」が最も一般的ですが、「居士/大姉」以上を望む親族もいます。事前相談がトラブル回避に繋がります。

3. 形式や信仰心より「故人らしさ」を大切に

戒名の意味としては、故人の人柄や趣味、一字(故人が生前に込めた文字)などを取り入れることが増えています。安価に授与できるサービスでも、故人らしさや希望を反映できるかどうか確認しておきましょう。

トラブルを避けるための注意点とQ&A

「菩提寺がある場合」は必ず確認を

既に先祖代々の墓がある、または檀家として関係のある菩提寺が存在する場合、ネットなどで戒名を依頼する前に、必ずそのお寺に相談しましょう。多くの寺院では、自分の関与しない戒名を「認めない」あるいは「納骨・供養を受け入れない」とするケースがあります。

実際、「インターネットで授かった戒名は受け入れられない」と言われてトラブルになる例は珍しくありません。特に墓地に納骨する場合や法事を依頼する際、菩提寺との調整が必要です。最悪の場合、別の墓を用意する羽目になることもあるため、事前確認は必須です。

安く済ませたことで後悔した事例と、その対処法

「費用が安いから」とネット戒名を選んだものの、後々以下のような後悔に繋がることがあります:

  • 家族や親族から「戒名が立派でない」「恥ずかしい」と指摘された

  • 納骨の際に菩提寺と揉めた

  • 読経が含まれていないことに後で気づき、別料金が発生した

  • 故人の希望と異なる名前を付けられた

こうした後悔を防ぐには、利用する前に「何が含まれていて、何が別料金なのか」「誰が戒名を付けるのか」をしっかり確認し、可能であれば事前にサンプル戒名を確認させてもらいましょう。

また、親族には選定理由とサービスの内容を説明しておくと、後の誤解を防げます。

親族間トラブルにならないための伝え方と配慮

戒名にかかる費用を抑える選択は合理的ですが、親族の中には「立派な名前をつけるべきだ」「費用を惜しむのは故人に失礼」と感じる人もいます。とくに年配者や仏教に詳しい方ほど、伝統を重んじる傾向があります。

このような場合は、次のような工夫をしましょう:

  • 戒名の意味や思いをしっかり伝える(例:「故人が質素を好んだから」)

  • 複数の選択肢を提示し、家族で話し合って決定する

  • 金額だけでなく「内容の丁寧さ」や「信頼性」を強調する

決して「安さだけを理由にした」と思われないよう、「後悔しないために調べた結果」として丁寧に説明すると、納得されやすくなります。

信頼できる「安価な戒名依頼先」の見極め方

口コミ・実績・宗派明記があるかをチェック

信頼性の高いサービスは、公式サイトに以下のような情報を明示しています:

  • 運営会社や僧侶の実名・顔写真

  • 所属宗派(浄土宗、曹洞宗など)

  • 授与した戒名の実績数

  • 利用者の声・口コミ・レビュー

特に「創業年数」や「仏教系の法人かどうか」も信頼性を見極めるポイントとなります。

電話相談や事前見積りができるかもポイント

戒名の依頼に際して、事前に相談ができる体制があるかどうかは非常に重要です。電話やメールでの対応が丁寧な業者は、戒名の背景や希望にも柔軟に対応してくれる可能性が高いです。

また、料金の内訳が明確に提示され、納得した上で申し込めるようになっているかも確認しましょう。

価格だけでなく「説明の丁寧さ」を見る

どれだけ安価でも、問い合わせに対する返答が曖昧だったり、宗派や戒名の意味について十分な説明がなされない業者は避けるべきです。逆に「なぜこの戒名が選ばれたのか」「故人の特徴をどう反映したのか」を具体的に説明してくれる業者であれば、安心して依頼できます。

形式だけでなく、精神的な納得感が得られるサービスかどうか――それが、安価な戒名選びで最も大切な視点です。


「安くても安心」な戒名を選ぶための3つのポイント.png

まとめ:安価でも「納得できる戒名」を得るために

「戒名は高いもの」という固定観念は、多くの人にとって精神的な負担と経済的なプレッシャーの両方をもたらします。しかし、現代では選択肢が増え、費用を抑えながらも故人を丁寧に弔う方法が広がっています。

特にインターネットを通じた戒名授与サービスは、菩提寺との縁が薄い現代家庭にとって、有効な選択肢となり得ます。信頼できるサービスを選び、戒名の意味を理解し、家族との合意を得ることで、安価であっても「後悔しない戒名」を手にすることが可能です。

戒名に求められるのは、形式的な格や料金の高さよりも、故人への想いとそれを象徴する名前としての価値です。その本質を理解すれば、「安い戒名=劣った戒名」ではないことが分かります。

重要なのは、故人の人柄や生き方にふさわしい名前を、納得できる形で授けてもらうこと。そのために、相場を知り、選択肢を調べ、家族と話し合い、信頼できる依頼先を見極める努力が必要なのです。

安価な戒名を選ぶことは、決して「手を抜くこと」ではありません。むしろ、費用と向き合いながら、最も意味のある供養を模索する行為こそが、現代における新しい供養の形と言えるでしょう。

関連リンク

位牌の費用はいくら?選び方と価格のポイント

仏壇がなくても大丈夫!位牌の置き方・供養方法を丁寧に解説|費用やスペースがなくてもできる方法とは?

法要の準備完全ガイド|流れ・必要なもの・費用・マナーを詳しく解説

納骨堂と永代供養の違いとは? その意味と選び方を徹底解説

遺影とは何か?後悔しないための準備・選び方・処分法ガイド

この記事を共有

  • Xでシェア

  • LINEでシェア

  • Facebookでシェア