
目次
高齢者が賃貸住宅を借りにくい理由と対策|安心して暮らせる物件選びのポイント
高齢者は賃貸住宅を借りられない?その理由とは
事故や孤独死のリスク
経済力が低い
保証人がいない
高齢者が賃貸契約をスムーズに進めるコツ
家族の協力を得る
家賃債務保証を利用する
3. 高齢者が安心して暮らせる賃貸物件の条件
家族や身内の家から距離が近い
家賃に無理がない
医療機関との距離が近い
バリアフリー化されている
買い物がしやすい
公共交通機関へのアクセス
共同スペース
高層階を避ける
併せて確認しておきたい賃貸物件のポイント
ランニングコスト
コンセントの位置と数
収納の確認
高齢者が受けられる家賃補助について
高齢者が受けられる家賃補助制度
高齢者世帯賃貸住宅家賃助成
住居確保給付金
住居確保給付金の支給額
まとめ|高齢者も工夫次第で快適な賃貸暮らしが可能
最後に
高齢者が賃貸住宅を借りにくい理由と対策|安心して暮らせる物件選びのポイント
近年、高齢者の一人暮らしが増加する中で、「賃貸住宅を借りにくい」という問題が浮き彫りになっています。特に高齢になると、賃貸契約がスムーズに進まなかったり、希望する物件を借りられなかったりするケースが多くあります。その背景には、大家や不動産会社が高齢者に対して持つさまざまな懸念が関係しています。
例えば、「孤独死が発生したらどうするのか」「家賃の支払い能力はあるのか」「保証人がいないと契約できない」といった不安から、高齢者の入居を敬遠する大家も少なくありません。その結果、高齢者が新しい住まいを見つけることが難しくなっているのです。
しかし、適切な準備と対策を講じることで、高齢者でもスムーズに賃貸住宅を借りることが可能です。本記事では、高齢者が賃貸住宅を借りにくい理由を詳しく解説したうえで、契約をスムーズに進めるためのコツや、安心して暮らせる物件の条件、利用できる制度について解説していきます。
高齢者は賃貸住宅を借りられない?その理由とは
年齢を重ねると、賃貸住宅を借りる際のハードルが高くなることがあります。これは、大家側が高齢者に対して「入居中に問題が起きるのではないか」と不安を抱えているためです。具体的にどのような理由で高齢者の入居が難しくなるのか、詳しく見ていきましょう。
事故や孤独死のリスク
高齢者が一人暮らしをする場合、健康上のリスクがつきまといます。特に以下のようなケースが大家にとって懸念材料となります。
急な病気や体調不良による事故
高齢になると、持病や突然の体調悪化が原因で倒れてしまう可能性が高くなります。例えば、脳梗塞や心筋梗塞は発症後すぐに治療しないと命に関わる病気ですが、一人暮らしの場合、発見が遅れる可能性があります。
転倒事故のリスク
加齢によって筋力が低下し、転倒のリスクが増えます。特に浴室や階段などは転倒事故が多発する場所です。転倒して骨折すると、入院が必要になり、最悪の場合、寝たきりの生活になってしまうこともあります。
孤独死の発生
日本では、孤独死が社会問題となっています。特に賃貸物件で孤独死が発生すると、大家にとっては大きな問題になります。事故物件として扱われることで、その後の入居者募集が難しくなり、家賃の値下げや長期間の空室リスクが発生します。そのため、「高齢者には貸したくない」と考える大家が増えているのです。
こうした背景から、大家や不動産会社は高齢者の入居に慎重になりがちです。
経済力が低い
高齢者の収入は、主に年金に依存しているケースが多く、現役世代と比べると収入が安定していないとみなされることがあります。
年金収入だけで家賃を払えるのか
高齢者の年金収入は、個人差がありますが、一般的に月10万〜20万円程度が多いとされています。しかし、家賃が高額になると、生活費を削る必要が出てくるため、経済的な負担が増えます。
貯蓄の有無が審査のポイントに
賃貸契約の際、審査では「安定した収入があるか」が重視されます。そのため、家賃に対して十分な貯蓄があるかどうかがチェックされることもあります。預金通帳のコピーを求められることもあり、十分な貯蓄がないと審査に通らない可能性があります。
保証人がいない
賃貸契約では、通常「保証人」を求められます。しかし、高齢者の場合、親族がすでに他界していたり、親族との関係が希薄だったりするケースも多く、保証人を見つけるのが難しいことがあります。
また、保証人がいたとしても、高齢の親族が保証人になる場合、「その保証人自身も高齢であるため、十分な支払い能力がないのではないか」と判断されることもあります。その結果、保証人の条件を満たせず、契約が難航することもあります。
このように、健康リスクや経済的な不安、保証人の問題が重なり、高齢者は賃貸住宅を借りにくくなっているのです。

高齢者が賃貸契約をスムーズに進めるコツ
高齢者が賃貸契約をスムーズに進めるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、具体的な対策を紹介します。
家族の協力を得る
家族の協力を得ることで、大家や不動産会社の不安を軽減し、契約をスムーズに進めることができます。
連帯保証人になってもらう
可能であれば、子どもや兄弟姉妹に連帯保証人になってもらいましょう。連帯保証人がしっかりした収入を持っている場合、審査が通りやすくなります。
緊急連絡先を確保する
物件を探す際、緊急連絡先を求められることが多いです。家族の誰かに緊急連絡先になってもらうことで、大家の安心感につながります。
同居の可能性を示唆する
将来的に家族が一緒に住む可能性があることを伝えると、大家の不安が軽減されることがあります。
家賃債務保証を利用する
保証人を見つけるのが難しい場合や、親族に負担をかけたくない場合は、家賃債務保証会社(保証会社)を利用する方法があります。
家賃債務保証とは?
家賃債務保証とは、借主が家賃を滞納した際に、保証会社が大家に対して家賃を立て替える制度です。つまり、保証会社が借主の支払い能力を補填することで、大家は安心して高齢者に部屋を貸すことができるのです。
家賃債務保証を利用するメリット
(1) 保証人不要で契約がスムーズに進む
保証会社を利用することで、大家が求める保証人がいなくても契約を進めやすくなります。これにより、「保証人がいないから借りられない」という問題を解決できます。
(2) 大家の不安を軽減できる
家賃の滞納リスクが減ることで、大家の不安を和らげることができます。特に年金収入のみで生活している高齢者の場合、保証会社の審査を通過すれば契約しやすくなります。
(3) 将来の支払いトラブルを防ぐ
もし病気や入院などで家賃の支払いが遅れた場合でも、保証会社が立て替えてくれるため、トラブルを防ぐことができます。
家賃債務保証を利用する際の注意点
(1) 保証料が必要
保証会社を利用するには、初回保証料(家賃の50%〜100%程度)と年間保証料(1万円〜2万円程度)がかかることが多いです。そのため、家賃とは別にコストが発生する点に注意しましょう。
(2) すべての物件で利用できるとは限らない
物件によっては「特定の保証会社しか利用できない」「保証会社の審査基準が厳しい」などの条件があるため、事前に確認が必要です。
(3) 審査に落ちる可能性もある
保証会社によっては、年金収入だけでは審査に通らない場合があります。そのため、契約時には貯蓄額や収入証明をしっかり準備しておきましょう。
このように、保証会社を活用すれば、高齢者でも賃貸契約をスムーズに進めることができます。ただし、コスト面や審査基準には注意が必要です。
3. 高齢者が安心して暮らせる賃貸物件の条件
高齢者が賃貸住宅を借りる際は、「借りられるかどうか」だけでなく、「安全に快適に暮らせるか」も重要なポイントです。ここでは、高齢者が住みやすい賃貸物件の条件を詳しく解説します。
家族や身内の家から距離が近い
高齢者が一人暮らしをする場合、万が一の際にすぐに駆けつけてもらえるよう、家族や親族の家から近い物件を選ぶのが理想的です。
メリット
・体調不良時のサポートが受けやすい
例えば、急に体調が悪くなったときに、家族がすぐに駆けつけられる距離にいると安心です。
・日常的なサポートをお願いしやすい
買い物や病院の付き添い、掃除や家事の手伝いなど、ちょっとしたサポートを頼みやすくなります。
・孤独を感じにくい
家族が近くにいることで、定期的に会うことができ、孤独感を和らげることができます。
注意点
家族の家に近い物件があまりにも高額だと、経済的に負担が大きくなるため、家賃とのバランスを考慮することが大切です。
できるだけ家族が頻繁に訪問しやすいエリアを選ぶと良いでしょう。
家賃に無理がない
高齢者の賃貸物件選びでは、「家賃が年金収入や貯蓄と見合っているか」が非常に重要です。
家賃負担の目安
一般的に、「家賃は月収の30%以下」が理想とされています。例えば、月15万円の年金収入がある場合、理想の家賃は4万〜5万円程度になります。
家賃を抑えるコツ
・築年数が古い物件を狙う
新築や築浅物件よりも、築年数が10年以上の物件の方が家賃が低くなりやすいです。
・郊外や地方の物件を検討する
都心よりも、郊外や地方の方が家賃が安いことが多いです。特に、公共交通機関が発達しているエリアなら、郊外でも生活しやすいでしょう。
・UR賃貸や公的住宅を活用する
高齢者向けの住宅支援制度を利用すれば、家賃が抑えられる場合があります。(詳しくは「4. 高齢者が賃貸物件で利用できる制度」で解説します)
医療機関との距離が近い
高齢者になると、病院やクリニックに通う機会が増えるため、医療機関が近い物件を選ぶことが重要です。
病院が近いメリット
・急な体調不良時にすぐに診察を受けられる
・通院が負担にならない(特に整形外科・内科・眼科など)
・薬局が近いと、薬の受け取りが便利
選ぶべき医療機関
・総合病院が徒歩圏内にあるか
・持病がある場合、入院設備のある病院が近いと安心です。
・かかりつけ医を見つけやすいか
長く付き合える内科や整形外科が近くにあると、健康管理がしやすくなります。
注意点
病院が近いと便利ですが、大きな病院の近くは救急車の音がうるさい場合もあるため、騒音問題を考慮しましょう。
バリアフリー化されている
高齢者が安心して暮らせる賃貸物件の条件として、バリアフリー設備が整っているかどうかは非常に重要です。加齢とともに足腰が弱くなり、転倒のリスクが高まるため、できるだけ安全に生活できる環境を選びましょう。
バリアフリー物件のポイント
以下のような設備が整っているかどうかを確認しましょう。
① 段差の少ない設計
室内に段差があると、つまずいて転倒するリスクが高まります。
玄関・廊下・浴室・トイレなど、できるだけ段差が少ない物件を選びましょう。
② 手すりの設置
廊下やトイレ、浴室に手すりがあると、転倒を防ぐことができます。
手すりがない場合、大家に相談して取り付けられるか確認すると良いでしょう。
③ 滑りにくい床材
フローリングは滑りやすいため、クッションフロアや滑り止め加工された床材が理想的です。
特に浴室は水に濡れると滑りやすくなるため、滑り止めマットを設置するのも有効です。
④ 引き戸の採用
開き戸よりも引き戸のほうが、スペースを取らず開閉がしやすいため、高齢者に適しています。
車椅子を利用する可能性がある場合も、引き戸のほうが利便性が高まります。
⑤ エレベーターの有無
階段の上り下りが負担になるため、2階以上の物件を選ぶ場合はエレベーター付きかどうかを確認しましょう。
ただし、エレベーターがあっても停電時に動かなくなる可能性があるため、高層階は避けるのが無難です(詳しくは「3-9. 高層階を避ける」で解説します)。
⑥ 自動ドアやスロープの有無
玄関が自動ドアになっていると、杖を使っている方や車椅子の方でも出入りがしやすくなります。
スロープがあると、階段を使わずに移動できるため、足腰が弱ってきたときに助かります。
バリアフリー物件を探すコツ
・「シニア向け賃貸」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」を検討する
→ 高齢者の生活を考慮した設計がされているため、安心して暮らせます。
・内見時に実際に歩いてみる
→ 段差の有無や手すりの位置を確認し、自分にとって住みやすいか判断しましょう。
・管理会社や大家にバリアフリー対応を相談する
→ 手すりの取り付けや床材の変更が可能か確認するのも一つの方法です。
買い物がしやすい
高齢者が快適に生活するためには、スーパーやコンビニなどの買い物施設が近くにあることが重要です。特に車を手放した後は、徒歩や自転車で行ける範囲に買い物スポットがあると便利です。
チェックすべきポイント
徒歩圏内にスーパーがあるか(目安として徒歩10分以内が理想)
コンビニやドラッグストアが近いか(急な買い物に便利)
商店街や市場があるか(生鮮食品を安く購入できる)
宅配サービスを利用しやすいか(ネットスーパーの対応エリアかどうか)
注意点
スーパーが近くても、階段が多いと移動が大変になるため、坂道や段差の少ない道を確認する
夜間の治安が良いかどうかも重要(暗い道が多いと危険)
公共交通機関へのアクセス
高齢になると、車の運転が難しくなるケースが増えます。そのため、徒歩圏内にバス停や駅があるかどうかは、物件選びの重要なポイントになります。公共交通機関へのアクセスが良い物件を選ぶことで、日常生活の利便性が大きく向上します。
公共交通機関が重要な理由
① 車を手放した後も移動しやすい
高齢になると、運転能力が低下し、免許を返納する人も増えています。
そのため、最寄り駅やバス停が徒歩圏内にある物件を選ぶことで、移動手段を確保できます。
② 病院やスーパーへのアクセスが楽になる
医療機関や大型スーパーが遠い場合でも、バスや電車を利用できると負担が軽減されます。
特に、頻繁に通院する必要がある高齢者にとっては、最寄りの駅やバス停の位置が重要です。
③ 交友関係を維持しやすい
公共交通機関が発達していると、家族や友人との交流がしやすくなります。
「移動が面倒だから外出しない」という状況を防ぐことで、孤独感を軽減する効果も期待できます。
公共交通機関のチェックポイント
① 最寄りのバス停や駅までの距離
徒歩5分以内が理想ですが、10分以内であれば十分実用的です。
実際に歩いてみて、道が平坦かどうかも確認しましょう(坂道や階段が多いと移動が大変になる)。
② バスや電車の本数
最寄りのバス停や駅の本数をチェックし、日常生活に支障がないか確認しましょう。
田舎のエリアでは、バスの本数が極端に少ない場合があるため、運行ダイヤを事前に調べておくことが重要です。
③ シルバーパスや割引制度の有無
高齢者向けの交通割引制度がある自治体もあります。
例:東京都の「シルバーパス」
→ 70歳以上の東京都民は、一定の金額を支払えばバス・都営地下鉄などが乗り放題になります。
こうした制度を活用できる地域なら、移動の負担を減らせます。
④ タクシーの利用しやすさ
バスや電車が不便な場合、タクシーがすぐに呼べるかどうかも重要です。
駅や病院の近くにタクシー乗り場があると便利ですし、最近では「シニア向けタクシーサービス」を提供する自治体も増えています。
共同スペース
高齢者が賃貸住宅を選ぶ際には、「共同スペース」が充実しているかどうかも重要なポイントです。特に、一人暮らしの場合は、他の住人と交流できる環境があると孤独感を軽減できます。
共同スペースがあるメリット
① 住民同士の交流が生まれる
一般的な賃貸住宅では、隣人との交流が少ないため、高齢者は孤立しがちです。
しかし、ラウンジや共用キッチンがあると、自然と住人同士の交流が生まれやすくなります。
② 緊急時に助けを求めやすい
共同スペースがある物件では、住人同士が顔見知りになりやすいため、体調が悪いときやトラブルがあったときに助けを求めやすくなります。
管理人が常駐している場合は、何か問題が発生した際に迅速に対応してもらえる可能性が高くなります。
③ 食堂やカフェがあると便利
高齢者向けの賃貸住宅では、共用の食堂やカフェが設置されているケースもあります。
料理が負担に感じるようになった場合でも、共用の食堂を利用すれば、バランスの良い食事を確保できます。
共同スペースのチェックポイント
① どんな設備があるか確認する
ラウンジ、共用キッチン、カフェ、食堂など、どのような共同スペースがあるのかチェックしましょう。
② 実際に住んでいる人の雰囲気を確認する
共同スペースを見学すると、住民の雰囲気が分かります。
積極的に交流したい人向けの物件もあれば、適度な距離感を保てる物件もあるため、自分に合った環境を選びましょう。
③ 管理体制がしっかりしているか
共同スペースがある物件では、管理体制がしっかりしているかどうかも重要です。
清掃が行き届いているか、管理人が常駐しているかを確認しましょう。
高層階を避ける
高齢者が賃貸物件を選ぶ際には、できるだけ高層階を避けた方が安心です。特に、エレベーターがない物件では、階段の上り下りが大きな負担になります。
高層階を避けるべき理由
① エレベーターが止まるリスク
地震や停電が発生すると、エレベーターが使えなくなる可能性があります。
もし10階に住んでいた場合、階段での移動が困難になり、外出が難しくなることもあります。
② 災害時の避難が大変
高層階に住んでいると、火災や地震が発生した際に避難が遅れるリスクがあります。
低層階なら、万が一のときにもすぐに避難できるため安心です。
③ 日常の移動負担を軽減できる
2階程度の低層階なら、エレベーターがなくても移動が比較的楽になります。
買い物帰りなどで荷物を持っているときも、低層階なら負担が少なくなります。
併せて確認しておきたい賃貸物件のポイント
賃貸物件を選ぶ際、家賃や立地だけでなく、生活のしやすさや安全性を確認することも重要です。ここでは、高齢者がチェックすべきポイントを紹介します。
ランニングコスト
家賃以外にも、以下のようなランニングコストを考慮する必要があります。
・共益費・管理費(毎月1,000円〜1万円程度)
・電気・ガス・水道代(季節によって変動する)
・インターネット代(物件によって無料のところもある)
・介護サービス費(サ高住やUR賃貸では別途発生する場合あり)
物件を選ぶ際は、トータルでの支出をシミュレーションすることが大切です。
コンセントの位置と数
高齢者が賃貸物件を選ぶ際、意外と見落としがちなのが「コンセントの位置と数」です。近年はスマートフォンや医療機器の利用が増えており、適切な位置にコンセントがあるかどうかが快適な生活を左右します。
コンセントの位置をチェックする理由
① 医療機器の使用に影響する
CPAP(睡眠時無呼吸症候群の治療機器)や電動ベッドなど、高齢者が使用する医療機器の電源が取れるかどうかを確認することが重要です。
ベッドのそばにコンセントがあるかをチェックしましょう。
② 掃除機や家電の配置に影響する
掃除機をかける際に、コンセントが少ないと延長コードが必要になり、つまずくリスクが増えます。
特にキッチン周りは、電子レンジ・炊飯器・電気ポットなど複数の家電を使用するため、コンセントが足りるか確認しましょう。
③ 延長コードの使用が増えると危険
延長コードを使うと足を引っ掛ける危険があり、転倒事故につながる可能性があります。
コンセントが適切な位置にあるかを事前にチェックしておくことで、安全性を確保できます。
コンセントの確認ポイント
・ベッドの近くにコンセントがあるか?(医療機器やスマートフォンの充電用)
・リビングやキッチンのコンセントの数は十分か?
・廊下や玄関周りにもコンセントがあるか?(掃除機の使用を考慮)
もし、適切な位置にコンセントがない場合は、大家や管理会社に相談し、増設できるか確認するのも一つの方法です。
収納の確認
高齢者が快適に暮らすためには、収納スペースの使いやすさも重要なポイントです。
収納が重要な理由
① 荷物が多いと生活空間が狭くなる
長年暮らしていると、衣類や思い出の品などの荷物が増えがちです。
収納が不足すると、部屋に物があふれてしまい、転倒リスクが高まります。
② 取り出しやすい収納かどうかが重要
高い位置の収納(天袋など)は、踏み台を使わないと届かないため危険です。
かがまずに物を出し入れできる収納が理想的です。
収納のチェックポイント
・クローゼットの高さが使いやすいか?
・床に直置きせずに収納できるスペースが十分あるか?
・備え付けの収納が足りない場合、収納家具を置くスペースがあるか?
・収納が足りない場合、「収納付きベッド」や「壁掛け収納」を活用することで、省スペースでも収納力を確保する工夫ができます。
高齢者が受けられる家賃補助について
高齢者が賃貸住宅に住む際に、「家賃が高くて負担が大きい」と感じることは少なくありません。しかし、日本には高齢者向けの家賃補助制度がいくつか存在し、条件を満たせば自治体や国から支援を受けられる可能性があります。
ここでは、「高齢者世帯賃貸住宅家賃助成」 や 「住居確保給付金」 など、高齢者が活用できる家賃補助制度について詳しく解説します。
高齢者が受けられる家賃補助制度
高齢者が家賃補助を受ける方法は、大きく分けて以下の2つです。
・ 自治体が実施する「高齢者世帯賃貸住宅家賃助成」などの家賃補助制度
・国の支援制度である「住居確保給付金」
これらの制度を活用すれば、家賃負担を軽減し、安心して生活できる住まいを確保しやすくなります。
ただし、これらの制度にはそれぞれ対象条件や申請手続きがあるため、事前に詳細を確認することが大切です。
高齢者世帯賃貸住宅家賃助成
「高齢者世帯賃貸住宅家賃助成」とは、高齢者が民間の賃貸住宅に住む場合に、家賃の一部を自治体が補助する制度です。
この制度の目的
・高齢者が安定した住まいを確保できるようにする
・収入が限られている高齢者の経済的負担を軽減する
・高齢者の住居確保を促進し、孤立を防ぐ
対象者(給付条件)
「高齢者世帯賃貸住宅家賃助成」を受けるための主な条件は以下の通りです(自治体によって異なるため、詳細は各自治体に確認が必要)。
年齢条件
65歳以上の一人暮らし世帯または、65歳以上の人が1人以上いる世帯が対象になっていることが多い
所得条件
低所得世帯(例:住民税非課税世帯、生活保護受給者、年金生活者など)
その他の条件
自治体が定める一定の家賃基準を満たしていること
生活保護を受給していないこと(自治体によっては生活保護受給者も対象になるケースあり
住居確保給付金
「住居確保給付金」とは、失業や収入減少によって家賃の支払いが困難になった人を対象に、一定期間家賃を補助する国の制度です。
この制度は、高齢者が失業した場合や、年金収入だけでは家賃の支払いが難しくなった場合に利用できる可能性があります。
住居確保給付金の支給額
「住居確保給付金」の支給額は、世帯人数や居住地域によって異なります。
以下の条件を満たす必要があります
① 収入要件
世帯収入が、自治体が定める最低生活費+家賃額を超えないこと。
② 資産要件
世帯の貯金額が一定額以下であること。(単身世帯で50万円以下など)
③ 就職活動の実施
受給中は、ハローワークでの求職活動が義務付けられる。(ただし高齢者の場合、一部緩和措置あり)
申請手順
・住んでいる自治体の窓口(福祉事務所など)で相談する
・必要書類(収入証明・貯蓄残高証明・賃貸契約書など)を準備する
・申請書を提出し、審査を受ける
審査に通過すれば、家賃分が大家へ直接支払われる(本人への振込ではない)
まとめ|高齢者も工夫次第で快適な賃貸暮らしが可能
高齢者が賃貸住宅を借りる際には、いくつかのハードルがあります。しかし、適切な対策を講じれば、安心して住める物件を見つけることは十分可能です。本記事のポイントをおさらいしましょう。
高齢者が賃貸を借りにくい理由
・事故・孤独死のリスクが懸念される
・経済力が低く、家賃の支払い能力を疑われる
・保証人がいないケースが多い
スムーズに賃貸契約を進めるコツ
・家族の協力を得る(保証人・緊急連絡先として)
・家賃債務保証会社を利用する
高齢者が安心して暮らせる物件の条件
・家族の家や医療機関に近い
・家賃負担が少なく、バリアフリー対応がされている
・防犯対策がしっかりしている(オートロック・防犯カメラなど)
・買い物がしやすく、公共交通機関のアクセスが良い
利用できる公的制度
・家賃債務保証制度を活用する
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を検討する
・UR賃貸の高齢者向け優遇制度を活用する
・自治体のシニア向け住宅制度を確認する
賃貸物件を選ぶ際のチェックポイント
・ランニングコストを考慮する(家賃+管理費+光熱費)
・コンセントの位置と数を確認する(医療機器・家電用)
・収納スペースが使いやすいかをチェックする
最後に
これからの日本は、高齢者が賃貸住宅に住むことが一般的になっていく時代です。高齢化社会が進む中で、大家や不動産会社も「高齢者に貸したくない」という考えから、「高齢者向けに安全で快適な住まいを提供する」という方向に変化していくことが期待されます。
しかし、現時点では「高齢者が賃貸住宅を借りにくい」状況が続いています。そのため、個人でしっかり対策を講じながら、事前に情報を集めて賢く住まい探しをすることが重要です。
もし「今の家が住みにくい」と感じているなら、少しでも早めに住み替えを検討し、安全で快適な住まいを見つける準備を始めましょう!
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