生命保険と税金の基礎知識:課税の種類や非課税ポイントを徹底解説!

生命保険と税金の基礎知識:課税の種類や非課税ポイントを徹底解説!

公開日: 2024.7.23     更新日: 2025.1.23

生命保険と税金の基礎知識:課税の種類や非課税ポイントを徹底解説!

生命保険は、将来のリスクに備える大切な手段です。しかし、保険金や給付金を受け取る際、「税金がかかるのか」「どのような種類の税金が課されるのか」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。本記事では、生命保険と税金に関する基礎知識を整理し、課税の種類や非課税となるポイントをわかりやすく解説します。

生命保険には3種類ある!基本をおさえよう

生命保険は、大きく分けて「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」の3種類に分類されます。それぞれの特徴や目的に応じて、保険金や給付金が支払われる仕組みが異なり、課税される税金の種類も変わってきます。以下では、各保険の概要を解説します。

1. 死亡保険

死亡保険は、被保険者が亡くなった場合に家族や指定された受取人に保険金が支払われる保険です。万が一の際の生活費や教育費などを補う目的で利用されることが多く、生命保険の中でも最も一般的な種類です。契約形態によっては、相続税対策としても活用できます。

2. 生存保険

生存保険は、被保険者が一定期間生存している場合に、満期保険金や年金などが支払われる保険です。個人年金保険や老後資金を準備するための保険がこれに該当します。一部の契約では、所得税控除などの税制優遇を受けられることがあります。

3. 生死混合保険

生死混合保険は、死亡保険と生存保険を組み合わせた保険で、被保険者が死亡した場合には死亡保険金、生存した場合には満期保険金が支払われます。たとえば、学資保険や終身保険の一部が該当し、貯蓄型の保険として利用されることが多いのが特徴です。

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生命保険で受け取ったお金に税金はかかる?

生命保険で受け取るお金に税金がかかるかどうかは、主に受け取る人の立場や契約者・被保険者・受取人の関係によって異なります。保険金や給付金には非課税となる場合もありますが、課税対象となる場合には「所得税」「贈与税」「相続税」のいずれかが適用されます。以下では、受け取り手による税金の違いを詳しく解説します。

受け取り手による税金の違い

生命保険における税金の種類は、保険料負担者・被保険者・受取人の関係で決まります。この3者の関係によって、受け取った保険金が所得税・相続税・贈与税のどれに該当するかが決まる仕組みです。

【基本構図】

保険料負担者 … 保険料を支払う人

被保険者 … 保険の対象となる人(例:病気や死亡のリスクに備える人)

受取人 … 保険金を受け取る人

受け取る保険金

保険料負担者

被保険者

受取人

税金の種類

死亡保険金

所得税・住民税

息子

贈与税

相続税

満期保険金

夫または妻

相続税

夫または妻

妻または息子

贈与税

個人年金保険の年金

夫または妻

所得税・住民税

夫または妻

贈与税 2年目以降は 所得税・住民税

生命保険で受け取るお金に課される可能性のある税金は、全て一定の控除額が存在します。

非課税になる給付金・保険金とは?

生命保険の中には、非課税となるお金もあります。以下に、代表的な例を挙げます。

入院給付金や手術給付金

医療保険やがん保険で支払われる給付金は、治療目的で使用されるため、原則として非課税です。

法定相続人が受け取る死亡保険金(非課税限度額内)

上記の非課税限度額の範囲内であれば、相続税はかかりません。

災害死亡保険金

天災や災害による死亡保険金は、特別な場合として非課税になることがあります。

受け取ったお金にかかる税金を減らす方法

1. 死亡保険金の非課税枠を活用する

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、これを利用することで相続税を軽減できます。受取人を法定相続人に設定し、非課税枠を最大限活用することが重要です。また生命保険には「実損填補」という考え方がないため、複数の生命保険に加入することで、非課税枠を有効に使うことができます。

2. 一時所得として受け取る満期保険金の課税額を減らす

満期保険金や解約返戻金は「一時所得」として課税され、特別控除額(最大50万円)を差し引くことで課税額を抑えられます。保険料を多く支払う契約内容にすることで、一時所得額を減らすことができます。適切な契約設計が、所得税の軽減につながります。

3. 贈与税の節税方法

贈与税の基礎控除額(年間110万円)を活用し、保険料の贈与を計画的に行うことで贈与税の負担を軽減できます。保険金の受け取りを複数年に分けることで、課税対象額を小さくすることも可能です。法定相続人以外の受取人がいる場合は、契約内容の見直しが必要です。

4. 生命保険料控除を利用して毎年の税負担を軽減

生命保険料控除は、所得税や住民税の負担を軽減するための制度で、「一般の生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類があります。2012年(平成24年)に制度が改正されており、旧制度と新制度で控除額の計算方法が異なるため、加入した契約の時期によって適用される控除額が変わります。以下で、旧制度と新制度の違いを詳しく解説します。

生命保険料控除における旧制度と新制度の違い

旧制度(2011年12月31日以前の契約)

旧制度では、「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類が対象となり、各控除の最大控除額は以下の通りです。

控除額の上限

所得税:各控除区分で最大5万円(合計最大10万円)

住民税:各控除区分で最大3.5万円(合計最大7万円)

控除額の計算方法(所得税の場合)

支払った保険料に応じて、以下の計算式で控除額が決まります。

支払保険料の金額

控除額の計算方法

25,000円以下

全額

25,001円~50,000円

支払保険料 × 1/2 + 12,500円

50,001円以上

一律 25,000円

新制度(2012年1月1日以降の契約)

新制度では、「一般の生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類が対象となり、控除対象が拡充されています。一方で、各控除区分ごとの控除額の上限は旧制度よりも引き下げられました。

控除額の上限

所得税:各控除区分で最大4万円(合計最大12万円)

住民税:各控除区分で最大2.8万円(合計最大8.4万円)

控除額の計算方法(所得税の場合)

支払った保険料に応じて、以下の計算式で控除額が決まります。

支払保険料の金額

控除額の計算方法

20,000円以下

全額

20,001円~40,000円

支払保険料 × 1/2 + 10,000円

40,001円以上

一律 20,000円

旧制度と新制度の併用について

2012年以前の契約分(旧制度適用)と、2012年以降の契約分(新制度適用)が混在している場合、両制度の控除額を合算できます。ただし、合計額には以下の上限が設定されています。

所得税:最大12万円

住民税:最大7万円

まとめ:生命保険の税金対策を賢く活用しよう

生命保険の受け取りには、所得税・相続税・贈与税の3種類の税金が関係しますが、契約形態や受け取る金額、非課税制度を理解することで、税金を抑えることが可能です。特に、法定相続人が受け取る死亡保険金は非課税枠が大きいため、相続税対策として生命保険を活用するのも有効な手段です。

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