友引の葬儀は避けるべき?六曜の意味と現代の考え方

2025.6.3

  • 葬儀

葬儀の予定を立てる際、「友引」という日を気にした経験はありませんか? 六曜(ろくよう)の一つである「友引」は、特に葬儀では避けられる傾向がありますが、実際に友引に葬儀をしてはいけないという決まりはありません。 とはいえ、地域の慣習や家族・親戚の意見、火葬場の運営状況によっては配慮が必要な場合もあります。 この記事では、友引に葬儀を行うべきか悩む方に向けて、六曜の意味や避ける理由、具体的な対応策などを解説します。

友引とは?六曜の意味と由来

六曜とは

六曜とは、「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つの暦注(れきちゅう)を指し、日本では冠婚葬祭などにおける縁起の善し悪しの判断基準として長く用いられてきました。もともとは中国の「小六壬(しょうりくじん)」という占術がルーツで、日本には鎌倉時代から室町時代にかけて伝わったとされています。 本来は武将たちが戦の吉日を選ぶために使っていたものですが、江戸時代後期になると庶民の間にも広まり、現在のようにカレンダーに六曜が記載されるようになりました。 それぞれの六曜には意味と「吉凶」の時間帯が設定されており、たとえば「大安」は一日を通して吉、「仏滅」は一日を通して凶とされます。「友引」はこの中でも特に複雑な意味合いを持ち、現代でもその扱いに注意が必要です。

友引の意味と時間帯の解釈

「友引(ともびき)」という名称は、「友を引く」という語感から、「不幸が友人に及ぶ」とされ、特に葬儀の場面で避けられる傾向があります。 しかし、元々の意味は「勝負がつかない日」「引き分けの日」といったもので、決して「悪い日」ではありません。むしろ、祝い事には適しているとされ、結婚式や引っ越しなどに選ばれることもあります。 六曜の中で、友引は「朝と夕が吉、昼が凶」とされています。特に11時~13時の時間帯は「凶」とされており、葬儀を行う場合はこの時間を避けるのが一般的です。 このように、友引の「不吉さ」は後付けの解釈によるものですが、現代においても多くの人がこれを信じており、結果的に葬儀の日取りにも影響を与えているのです。

なぜ友引に葬儀を避けるのか?

友を引く=不吉という意味合い

「友引」という言葉から、「故人が友を道連れにする」「参列者に不幸が及ぶ」といった印象を持たれる方は少なくありません。 この考えは迷信の一つに過ぎませんが、特に高齢の方の間では根強く信じられており、葬儀の日取りに大きな影響を与えています。 また、葬儀という場では、遺族や親戚だけでなく、近隣住民や会社関係者なども参加することがあるため、「気遣い」として友引を避けるケースも多いのです。 「縁起を担ぐ」という行為そのものが、参加者への配慮として機能しているとも言えます。 特に地方では「友引に葬儀を出すなんて非常識」と考える年配者も多く、日取りを決める際はこうした地域性を踏まえることが重要です。

地域や宗派による違い

六曜の考え方や重視の度合いは、地域や宗派によって大きく異なります。たとえば、  ・浄土真宗や日蓮宗では、六曜を一切考慮しない  ・親鸞聖人が「吉良日を視ることを得ざれ」、つまり迷信に惑わされてはいけないと説いていることから、友引の葬儀を気にしないとされています。  ・仏教以外の宗教(キリスト教など)では、六曜自体が意味を持たない  ・東京や大阪などの都市部では、「火葬場の空き状況を優先する」実務重視型が主流  ・地方(特に東北・九州)では、今なお友引を厳しく避ける慣習が残っている つまり、「六曜をどこまで意識するか」は、宗教的というより文化的・慣習的な要素が大きいのです。 そのため、葬儀を友引に行うかどうかを決める際は、「宗教」「地域性」「家族・親族の意見」の3つを丁寧に確認し、バランスよく判断することが求められます。

友引に葬儀を行うべきか

友引に葬儀を行う場合の対処法

友引人形とは?

友引に葬儀を行う際に使われる風習のひとつが「友引人形」です。これは、紙や布などで作られた人形を棺に入れることで、故人が“友を連れていかないように”と願うためのものです。 特に関西地方や中部地方では古くから見られる風習で、友引に葬儀をする場合には、この人形を入れて故人を送り出すことが一般的とされてきました。人形には「身代わり」という意味もあり、参列者への不安を和らげる役割も果たします。 葬儀社によっては、こうした人形を無料で提供しているところもあれば、オプション扱いで数百円〜数千円で用意される場合もあります。宗教的な意味合いは特にありませんが、遺族や参列者の気持ちの安定や安心感につながる大切な配慮となります。 「形にこだわりすぎる必要はないけれど、気になる人がいるなら準備しておく」—— これが現代の友引人形に対する基本的なスタンスだと言えるでしょう。

火葬場の営業状況

友引に葬儀を行う際、最も注意しなければならないのが火葬場の営業日です。 多くの火葬場では、友引を定休日としていることが少なくありません。これは、単に「縁起を気にする」という理由だけでなく、需要が減ることを前提としたスケジュール管理が背景にあります。 たとえば:  ・東京都内の多くの火葬場(町屋斎場・堀ノ内斎場など)は友引を休業日に設定  ・神奈川県の一部地域では稼働しているが、予約が埋まりやすい  ・地方では、99%の火葬場が「友引=定休」となっているケースも このため、友引当日は通夜だけを行い、葬儀・火葬は翌日以降に行う「二日葬」形式が一般的です。火葬場の予約状況によっては「三日葬」になるケースもあります。 計画を立てる際には、まず葬儀社と連携して、火葬場の営業状況と空き枠を確認することが必要です。また、火葬場が使えない場合でも、通夜式や告別式のみを先に行い、火葬は後日という対応も可能です。

どうしてもこの日に行う場合のマナー

どうしても友引の日に葬儀を行わざるを得ない場合には、以下のようなマナーや配慮を心がけましょう。 1. 参列者への説明 事前に案内状や口頭で「友引であることをご承知おきください」と一言添えることで、誤解や不安を回避できます。参列者に不安を与えないためにも、誠意ある言葉を添えることが大切です。 2. 式の時間帯に注意 六曜上では友引の「昼(11~13時)」が凶とされているため、その時間帯を避けて葬儀を行うと安心です。実際、多くの式場ではこの時間帯を避けたスケジュール調整を行っています。 3. 形式や宗派に配慮 宗派によっては六曜を気にしないところもあります。特に浄土真宗や日蓮宗では、六曜を迷信として扱っており、問題視しない場合が多いです。この点についても、あらかじめ僧侶や寺院に確認しておくと安心です。 4. 親族や年配者への心遣い 年配者の中には、友引を非常に気にする方も少なくありません。特に義理の親族やご近所に対しては、「急な事情でやむを得ずこの日程になりました」と柔らかく伝える配慮が必要です。

よくある質問|友引と葬儀に関するQ&A

Q1. 友引の日に通夜をするのは問題ないですか?

A. 問題ありません。 通夜は「お別れの前夜」であり、火葬を行う日とは異なるため、友引でも通夜を行うことに問題はありません。 むしろ、友引の日に通夜を行い、翌日の六曜が「先負」や「仏滅」などであれば葬儀・火葬をその日に行うという二日制がよく採用されます。

Q2. 仏滅と友引、どちらが葬儀には適していないのですか?

A. 一般的に「友引の方が避けられる」傾向にあります。 「仏滅」は一日を通して凶とされる日ですが、葬儀に関してはむしろ「仏に見送ってもらう」という意味合いで、抵抗感が少ない人もいます。 一方、友引は“他人に不幸が及ぶ”というイメージがあるため、葬儀には不向きとされることが多いのです。

Q3. 友引に葬儀をしても、法的な問題や罰則はないのですか?

A. 一切ありません。 六曜は暦注にすぎず、宗教的・法的な拘束力は全くありません。したがって、友引に葬儀を行ったとしても、法律違反にもならず、宗教的な罰則なども一切存在しません。 大切なのは、遺族や関係者の理解と同意を得ることです。

Q4. 火葬場が友引で休みの場合、どうすればいいですか?

A. 通夜や告別式のみを行い、火葬は翌日に行うのが一般的です。 火葬場が定休日であることはよくあるため、事前に葬儀社が日程調整を行います。「二日葬」の形式にして対応するのがもっとも現実的な方法です。 また、地域によっては一部の火葬場が友引でも営業している場合もあるため、早めの確認が重要です。

Q5. 若い世代は友引をあまり気にしないって本当?

A. はい、傾向としてはあります。 特に30代以下の世代では、「六曜」を知らない、あるいは重要視しない人が増えています。 しかし、年配の親族や地域社会では未だに根強い信仰があるため、自分たちが気にしなくても周囲への配慮は必要です。

まとめ:友引の葬儀で大切なこと

友引に葬儀を行うことは、法律や宗教的に禁じられているわけではありません。 しかし、六曜という暦注に基づいた文化的な風習や、地域の慣習、親族や参列者の心情に配慮することが重要です。 友引を避けることが望ましい場面もあれば、火葬場や日程の都合上、やむを得ず友引に実施するケースもあります。 そのような場合でも、  ・時間帯(11〜13時)を避ける  ・友引人形の活用  ・参列者への説明  ・火葬場の営業確認 といった点を押さえることで、無用な不安やトラブルを避けることができます。 最も大切なのは、「故人を思い、心を込めて見送る気持ち」です。 形式や迷信にとらわれすぎず、家族と参列者が安心できる選択を心がけましょう。

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