
在日中国人が日本で葬儀をするには?:手続きやメリット・デメリットなど徹底解説
公開日: 2024.11.18 更新日: 2024.11.22
目次
日本に住む中国人の方々が、家族や知人の葬儀を日本で行うことを検討する機会が増えています。しかし、日本と中国では葬儀の文化や手続きが大きく異なるため、どのように進めるべきか迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、日本で葬儀ができるのか、そのメリットとデメリット、費用、相談先について、日本と中国の葬儀文化の違いも比較しながら詳しく解説します。
在日中国人が日本で葬儀をするのは可能?
結論から言えば、在日中国人が日本で葬儀を行うことは可能です。日本には多文化や宗教に対応した葬儀社が増えており、中国式の葬儀や、故人の宗教・文化的背景を尊重した形式で葬儀を執り行うことができます。
ただし、日本国内で葬儀を行う場合、以下の点を考慮する必要があります。
・法的手続き:死亡届や火葬許可証の取得など、日本の法規に基づいた手続きを進める必要があります。
・文化的要望:中国式の伝統的な要素をどこまで取り入れるか、葬儀社と事前に調整が必要です。
・宗教的配慮:仏教、道教、キリスト教など、故人の信仰に基づいた対応ができる葬儀社を選ぶ必要があります。

日本で葬儀をするメリット
1. 手続きの簡略化
在日中国人が日本で亡くなった場合、遺体や遺骨を中国へ移送するよりも、日本で葬儀を行うほうが手続きを抑えられるケースが多いです。特に遺体移送には高額な費用と煩雑な書類手続きが必要です。
2. 参列者の利便性
家族や知人が日本に住んでいる場合、現地で葬儀を行うほうが移動の負担を減らせます。
3. 文化の融合が可能
日本の葬儀文化を取り入れつつ、中国式の伝統や儀式を組み合わせることができます。たとえば、紙銭や供え物の使用、道教の儀式など、個別の要望に対応する葬儀社もあります。
日本で葬儀をするデメリット
1. 費用の高さ
日本での中国式葬儀費用は高額になる傾向があり、平均で200万~300万円とされています。規模や内容によりますが、中国で行う葬儀費用と比べると高めです。
2. 文化や言語の違い
中国式の慣習や言語に対応できる葬儀社が限られる場合があります。また、日本独自の形式や習慣に戸惑うこともあるでしょう。
3. 中国での手続きが残る場合も
相続や親族関係の証明など、一部の手続きは中国でしか対応できないことがあります。
費用の目安
日本で葬儀を行う場合の費用は以下が一般的な目安です。
葬儀形式 | 費用の目安 | 内容 |
---|---|---|
家族葬 | 50万~100万円 | 近親者のみで行う簡易な葬儀 |
一般葬 | 150万~250万円 | 通夜と告別式を含む標準的な葬儀 |
中国式葬儀 | 200万~300万円以上 | 中国特有の儀式や供え物を含む大規模な葬儀 |
追加費用としては以下のようなものが考えられます。
・中国式供え物(紙銭、供物など)
・翻訳費用(書類や案内状の翻訳が必要な場合)
・遺骨の中国への返送手配
日本と中国の葬儀文化の違い
1. 供え物や儀式
中国式:紙銭や食品を供える、長時間の儀式が一般的。
日本式:焼香や献花が中心で、儀式は簡略化される傾向。
2. 服装の違い
中国式:白い衣装を着る場合が多い。
日本式:黒い喪服が一般的。
3. 期間と規模
中国式:葬儀が数日間にわたることが多く、親族全員が集まるのが一般的。
日本式:通夜と告別式の2日間が標準的。
葬儀を検討する際の相談先
1. 多文化対応の葬儀社
日本には、中国式や外国人向けの葬儀に対応した、以下のような葬儀社があります。
多言語対応:中国語や英語でのサポートが可能。
文化対応:宗教や文化的要望に合わせたプランを提案。
2. 行政書士や専門機関
葬儀に関連する法的手続きや相続に関しては、行政書士や弁護士に相談することをおすすめします。
3. 中国大使館や領事館
相続や公証書の取得についての情報提供や手続きのサポートを受けられます。ただし、死亡届を提出する制度はないため、具体的な手続きは相続人が進める必要があります。
在日中国人が亡くなった場合の手続きの流れ
1. 日本での死亡届の提出
在日中国人が亡くなった場合、日本の法律に従い、以下の手続きを進めます。
死亡届の提出
提出先:死亡地、本籍地、または届出人の住所がある市区町村役場
提出期限:死亡の事実を知った日から7日以内
必要書類:死亡診断書(医師が発行)、届出人の身分証明書
日本人の場合、死亡届は戸籍に反映されますが、外国人については日本に戸籍がないため、戸籍登録は行われません。
火葬許可証の取得
死亡届が受理されると、役所から火葬許可証が発行されます。この許可証をもとに火葬を行います。火葬後、埋葬許可証が発行され、遺骨の埋葬が可能になります。
2. 中国への死亡届の提出
中国では領事館を通じた死亡届の提出制度がありません。相続手続きにおいても、中国への死亡届の提出が必ず求められるわけではありません(日本の役所が発行する証明書で代用するなど)。
そのため提出の必要がある場合は、領事館を通すのではなく以下の方法で手続きを進めます。
1. 相続人が中国に行って届け出る
2. 中国にいる親族を通して死亡届を提出する
まとめ
日本で在日中国人の葬儀を行うことは、法的手続きを正しく進め、適切な葬儀社を選ぶことで実現可能です。日本で葬儀を行うことで、手続きの簡略化や参列者の負担軽減など、多くのメリットがあります。一方で、費用や文化の違いに注意が必要です。
スムーズに葬儀を進めるためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。文化の融合を尊重しながら、最良の形で故人を送り出すために、ぜひ適切な相談先を見つけてください。
(参照:https://samurai-law.com/cnsouzoku/sub01/)
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