
樹木葬とは?自然と共に眠る新しい供養方法
公開日: 2024.11.15
目次
樹木葬は、従来の墓石を使用した供養とは異なり、遺骨を土に還し、樹木や草花を墓標として供養する埋葬スタイルです。自然との調和を重視し、遺骨が土に還ることで環境に優しい埋葬を実現する方法として近年注目を集めています。
樹木葬の起源と背景
樹木葬は、比較的新しい供養方法です。高齢化社会の進展や核家族化の影響で、「墓の継承問題」や「費用負担の軽減」が課題となる中、よりシンプルで環境に優しい埋葬方法として生まれました。近年では、環境意識の高まりやライフスタイルの多様化を背景に選択する人が増えています。またプランにより異なりますが、墓じまいが不要で永代供養もセットになっている場合が多く、無縁墓になる心配がない点も注目されています。これにより、故人を安心して供養できる方法として多くの人々に支持されているのです。
樹木葬の主な特徴
1. 自然との共生
墓石を使わず、樹木や花などの自然物を墓標とすることで、自然の中に身を委ねるような供養方法です。遺骨が土に還るプロセスを通じて、自然との一体感や安らぎを感じられる点が特徴です。
2. 宗教的な縛りがない
宗教色が薄く、多くの人が利用しやすい供養方法です。仏教以外の宗教観や無宗教の方にも受け入れられています。
また基本的に永代供養がセットになっているため、墓の継承者がいない場合でも無縁墓になる心配がありません。墓じまいの必要がない点も安心できる要素の一つです。
3. 費用が比較的安価
伝統的な墓石を使用しないため、墓地の購入や建立にかかる費用を抑えられるケースが多いです。
4. 環境配慮
樹木葬は環境に優しいエコロジカルな埋葬方法として注目されています。墓地の開発や石材の使用を最小限に抑え、遺骨が土壌や植物の一部となることで、自然環境への負荷を軽減します。地球環境に配慮した選択肢として支持されています。
5. 供養の多様性
個別墓や共同墓、庭園型から里山型まで、多様な形式があり、個人の価値観やライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

樹木葬が選ばれる理由
自然回帰を希望する方に最適
遺骨を自然に還すというプロセスに共感する方が増えています。特に自然保護や環境問題への意識が高い方に支持されています。
家族の負担を軽減
墓石や大規模な供養施設を必要としないため、後世に残す費用負担や管理負担を軽減できます。
都市化に対応
合祀型の樹木葬は個々のスペースを必要としないため、墓地スペースが限られる都市部でも導入が進んでいます。このため、都市部においても身近な供養方法として利用できます。

樹木葬の種類:費用・メリット/デメリット・向いている人
樹木葬には、利用者のニーズや霊園の特徴に応じて、いくつかの種類があります。それぞれに特有のメリット・デメリットがあり、費用も異なります。以下に、代表的な5つの種類を詳しく解説します。
・個別樹木葬:専用の供養スペースを希望する方。
・共同樹木葬:費用を抑えつつシンプルな供養を希望する方。
・ガーデン型樹木葬:自然の美しさを重視する方。
・里山型樹木葬:自然そのものの中で眠りたい方。
・公園型樹木葬:利便性と自然の調和を求める方。

1. 個別樹木葬
個別樹木葬は、一人または家族単位で専用の樹木を墓標として使用するタイプです。専用スペースを確保し、独立した供養が可能です。
・費用相場
30万円~100万円
都市部や人気霊園では費用がさらに高額になる場合があります。
・メリット
独立した供養空間
家族専用の樹木を墓標とするため、故人や家族に特化した供養が可能です。
継承の安心感
家族全員が同じ樹木の下で眠ることができ、継承に対する安心感を提供します。
管理が不要
墓地や樹木の手入れは霊園側が行うため、利用者は手間がかかりません。
・デメリット
費用が高額
他の樹木葬に比べて費用が高く、都市部のアクセス良好な霊園ではさらに高くなる傾向があります。
立地に制約
都市部では個別樹木葬を提供している霊園が少なく、選択肢が限られることがあります。
・向いている人
家族単位での供養を希望する方。
費用が高くても専用の供養スペースを確保したい方。
都市部やアクセスの良い場所で家族が訪れやすい霊園を探している方。
2. 共同樹木葬
複数の故人が一つの樹木を共有し、合祀・合葬するタイプ。個別の墓標が不要なため、費用を抑えることができます。
・費用相場
5万円~30万円
最も費用が安価な樹木葬スタイルです。
・メリット
費用が安い
他の利用者と墓標を共有するため、コストを大幅に抑えられます。
管理が不要
墓地や樹木の手入れを霊園が行うため、利用者の負担が少ないです。
シンプルな供養
個別墓にこだわらない方にとっては、無駄がなく合理的な供養方法です。
・デメリット
個別供養ができない
故人専用の供養スペースがないため、特別感を求める方には向きません。
改葬が困難
遺骨を後から移すことが難しいため、移動や再供養を想定している場合には不向きです。
・向いている人
個別の供養スペースにこだわらない方。
費用を抑えたい方やシンプルな供養を希望する方。
墓地や供養の手入れを自身で行いたくない方。
3. ガーデン型樹木葬
整備された庭園内に花壇や樹木を配置し、その近くに遺骨を納骨するスタイル。自然の美しさを重視した樹木葬です。
・費用相場
20万円~80万円
・メリット
景観の美しさ
四季折々の自然を楽しめる庭園での供養は、訪れる人に癒しを与えます。
家族で訪れやすい
公園のように整備された環境で、家族や友人が気軽に立ち寄れる雰囲気があります。
環境と利便性の両立
自然回帰を重視しつつ、利便性の高い供養が可能です。
・デメリット
維持費用が高い
庭園の維持や景観管理のための費用が上乗せされる場合があります。
都市部では高額化
人気エリアや整備された庭園では費用がさらに高額になる傾向があります。
・向いている人
四季折々の自然環境を楽しみたい方。
家族や友人が訪れやすい環境を求める方。
美しい景観と自然の調和を重視する方。
4. 里山型樹木葬
人工的な手入れを最小限にし、自然のままの森林や里山に遺骨を安置するタイプ。エコロジー志向の強い供養方法です。
・費用相場
10万円~50万円
・メリット
自然との一体感
森林や里山の中で自然と共に眠ることができます。
費用が安価
管理が最小限のため、費用を抑えられる傾向があります。
環境保全に貢献
自然環境の保護や里山の維持に貢献できます。
・デメリット
アクセスが不便
自然豊かなエリアにあるため、訪問が難しい場合があります。
自然の変化に左右される
樹木や森林の状態が自然の影響を受けやすく、変化を受け入れる心構えが必要です。
・向いている人
環境保護を重視する方。
自然の変化を受け入れられる方。
都市部から離れても構わない方。
5. 公園型樹木葬
都市部やアクセスの良い場所に設置された霊園で、整備された環境の中で供養を行うスタイル。
・費用相場
15万円~60万円
・メリット
利便性が高い
都市部の霊園に多く、家族が訪れやすい環境です。
整備された環境
公園のように美しく整えられた空間で供養ができます。
選択肢が豊富
公園型は普及しているため、多くの霊園から選べます。
・デメリット
費用が中程度から高め
都市部の人気エリアでは費用が高くなる傾向があります。
管理費用が必要
景観維持のためのコストが上乗せされる場合があります。
・向いている人
都市部で利便性の高い場所を希望する方。
清潔感のある供養空間を重視する方。
家族や友人が頻繁に訪れることを想定している方。
まとめ
樹木葬は、自然回帰を重視しつつ、多様なスタイルから選ぶことができる現代的な供養方法です。それぞれの種類には特徴があり、費用、供養スタイル、訪れやすさに違いがあります。
家族の意向や予算、立地条件を考慮し、最適な供養スタイルを選択してください。
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