2025.3.12
喪主の決め方と優先順位
喪主の決定基準と判断ポイント
喪主を決めるときの優先順位とは
喪主と施主の違い
喪主の主な役割を解説
1. 役所での死亡手続き
2. 葬儀の準備
3. 葬儀の日程や費用の決定
4. 寺院との連絡
5. 代表のあいさつ
6. 香典返し
喪主のマナー
1. 服装は正喪服または準喪服
2. アクセサリーは基本的につけない
3. 髪型は清潔感のあるものに
4. 精進落としでは出席者にお酌をする
5. 香典を受け取らないなら香典辞退の連絡をする
喪主を決める際のよくある質問
1. 子どもが未成年だった場合、喪主は誰がやる?
2. 喪主をやりたくない場合、断ることができる?
3. 家族や親族がいない場合の喪主の決め方は?
まとめ
葬儀を執り行う際、「喪主(もしゅ)」は中心的な役割を担います。しかし、「喪主は誰が務めるべきなのか?」「どのように決めればよいのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。特に、突然の 訃報に直面した場合、遺族は短時間のうちに喪主を決定しなければならず、混乱することも少なくありません。 本記事では、喪主の決め方や役割、マナーについて詳しく解説し、適切な判断ができるようサポートします。
喪主を決める際には、一般的に血縁関係の近さや故人の遺志が重視されます。 喪主の決定は、葬儀全体の流れを左右するため、事前に話し合っておくことが理想的ですが、急な訃報の場合は、速やかに判断しなければなりません。 喪主の決め方の基本的な考え方 喪主とは、葬儀全体の代表として故人を弔う責任を持つ人のことを指します。喪主は、葬儀の手配、弔問客への対応、寺院や葬儀社との連絡など、多くの役割を担います。 喪主を決める際には、次のような要素を考慮するのが一般的です。 1.故人との関係の深さ ・配偶者や子どもなど、故人と最も近い立場にある人が務めるのが基本です。 2.家族や親族の意向 ・故人の意向だけでなく、残された家族が納得できる形で決定することが大切です。 3.葬儀の準備・対応が可能か ・喪主は多くの手続きをこなさなければならないため、健康状態や時間的な余裕も考慮する必要があります。 4.経済的な負担 ・葬儀には費用がかかるため、経済的に対応できるかどうかも考慮されることがあります(施主と分担することも可能)。 それでは、具体的に喪主を務め る人の優先順位について見ていきましょう。
喪主を務める人の優先順位は、一般的に次のような順序で考えられます。
① 配偶者(夫・妻) 最も優先されるのは、故人の配偶者です。配偶者は、故人と最も近い存在であり、生前の意思を最も理解していることが多いため、喪主として選ばれるのが一般的です。 ただし、配偶者が高齢で体力的に負担が大きい場合や、精神的に務めるのが困難な場合は、子どもが喪主を務めることもあります。 ② 長男(または長女) 配偶者がすでに他界している場合や、喪主を務めるのが難しい場合は、長男が喪主を務めることが多いです。日本では、長男が家督を継ぐという考え方が根強く残っており、伝統的に長男が喪主を務めるケースが多く見られます。 近年では、長男でなくても、家族の中で適任と思われる人が喪主を務めるケースも増えています。長女が家督を継いでいる場合や、他の兄弟姉妹が積極的に引き受ける場合は、柔軟に決定されることもあります。 ③ 次男・次女などの直系親族 長男・長女が不在の場合や、辞退した場合は、次男・次女が喪主を務めることがあります。最近では、家族の形が多様化しているため、「長男でなければならない」という固定観念にこだわらず、話し合いの上で決定するケースも増えています。 ④ 故人の親・兄弟姉妹 故人に配偶者や子どもがいない場合、故人の親が喪主を務めることがあります。ただし、故人の親が高齢である場合は、兄弟姉妹が喪主を務めることもあります。 兄弟姉妹が喪主を務める場合、年長者が務めるのが一般的ですが、実際には家族間の話し合いによって決められます。 ⑤ 甥・姪、親族代表者 故人に近い親族がいない場合は、甥や姪が喪主を務めることもあります。また、親族全体の代表として、特定の人物が喪主を務めるケースもあります。 ⑥ 友人・知人、法人代表者 故人に家族や親族がいない場合は、友人や知人が喪主を務めることもあります。特に、独り身だった方や、遠方に家族がいる場合などは、親しい友人や知人が喪主を務めることがあります。 また、故人が会社の経営者であった場合、法人の代表者や関係者が喪主を務めることもあります。
葬儀では「喪主(もんしゅ)」と「施主(せしゅ)」という言葉が使われますが、これらの役割には違いがあります。 ・喪主(もしゅ) 喪主は、故人の代表として葬儀を執り行う責任を負う人です。弔問客への対応、挨拶、葬儀の全体的な取りまとめなどを担います。 ・施主(せしゅ) 施主は、葬儀の費用を負担する人のことを指します。多くの場合、喪主と施主は同一人物であることが一般的ですが、場合によっては別の人が施主となる こともあります。たとえば、長男が喪主を務めるが、葬儀費用は親族全体で負担し、その代表者が施主を務めるといったケースもあります。 喪主と施主の役割が分かれることもあるため、事前にしっかり話し合って決めておくことが大切です。
喪主は、葬儀の中心となり、さまざまな手続きを進める重要な役割を担います。喪主の具体的な役割を理解しておくことで、円滑に葬儀を進めることができるでしょう。
葬儀を執り行うためには、まず故人の死亡を役所に届け出る必要があります。喪主または親族がこの手続きを行います。 死亡届の提出 死亡届は、死亡診断書(または死体検案書)とともに、市区町村役場に提出します。死亡診断書は、病院で死亡した場合は医師が、事故や不審死の場合は警察が作成します。 ・提出期限:死亡から7日以内 ・提出先:故人の本籍地・死亡地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役場 火葬許可証の申請 死亡届を提出すると、役所から「火葬許可証」が発行されます。この許可証がないと火葬できないため、喪主または親族が必ず受け取ります。 火葬後は、「埋葬許可証」が発行され、納骨時に必要となります。
喪主は、葬儀の準備を進める役割を担います。 葬儀社の手配 多くの場合、葬儀社 に依頼して準備を進めます。葬儀社を決める際には、次のポイントを考慮するとよいでしょう。 ・料金の明確さ:見積もりを確認し、追加費用が発生しないかチェックする ・対応の良さ:喪主や遺族の意向を尊重し、スムーズに進行できるか ・サービスの充実度:火葬場の手配、僧侶の紹介、祭壇の準備などを含めたプランがあるか 葬儀の規模と形式の決定 主な葬儀形式 ・一般葬:親族・友人・仕事関係者など幅広い参列者を迎える伝統的な形式 ・家族葬:家族や親しい親族のみで行う小規模な葬儀 ・直葬(火葬式):通夜や告別式を行わず、火葬のみを行う形式 ・社葬:企業が主催する葬儀で、会社関係者が多く参列 喪主は、故人の遺志や遺族の希望を考慮しながら、適切な形式を選びます。
日程の決定 葬儀の日程は、次のような要素を考慮して決めます。 ・家族・親族の都合 ・僧侶や宗教者のスケジュール ・火葬場の空き状況 一般的に、通夜は亡くなった翌日または翌々日に、葬儀・告別式はその翌日に行われます。 葬儀費用の決定 葬儀には、大きく分けて以下のような費用がかかります。
項目 | 費用相場(全国平均) |
---|---|
総額 | 約120万~200万円 |
葬儀一式費用(祭壇・会場・運営費) | 75万~100万円 |
飲食接待費(通夜振る舞い・精進落とし) | 15万~30万円 |
返礼品(香典返し) | 10万~20万円 |
火葬費用 | 5万~10万円 |
僧侶へのお布施(読経・戒名料など) | 10万~50万円 |
喪主は、施主と相談しながら、予算内で適切な葬儀を計画する必要があります。 葬儀の費用について、より詳しく知りたい方は下記リンクの記事をご覧ください。
葬儀の総額はいくら?葬儀ごとの費用相場と負担を減らす方法
仏教の場合、葬儀では僧侶による読経が行われます。喪主は、以下の点について寺院と連絡を取る必要があります。 ・戒名の依頼:戒名料は宗派や寺院によって異なり、10万〜100万円以上が相場 ・お布施の準備:読経料やお車代、御膳料(僧侶の食事代)を含める ・四十九日法要の相談:葬儀後の法要日程について確認する 最近では、菩提寺がない場合でも、葬儀社が僧侶を紹介してくれるケースが増えています。
喪主は、通夜や告別式の際に、参列者へのお礼を述べる挨拶を行います。 挨拶のタイミング ・通夜終了後(通夜振る舞いの前) ・告別式の最後(出棺前) ・精進落としの席で 挨拶例などは下記リンクの記事にも乗っているため、ぜひご覧ください
喪主が避けるべき忌み言葉とは?適切な言葉選びと挨拶のマナー
香典返しとは、香典をいただいた方に対するお礼として品物を贈ることです。 香典返しの相場 香典返しの金額は、いただいた香典の3分の1から半額程度が目安です。
香典額 | 香典返しの相場 |
---|---|
5,000円 | 2,000円程度 |
10,000円 | 3,000〜5,000円 |
30,000円 | 10,000円前後 |
香典返しの品物には、お茶や海苔、カタログギフトなどが一般的です。
喪主は、葬儀の代表として弔問客や僧侶と接する機会が多いため、適切な服装や振る舞いが求められます。特に、服装や身だしなみ、参列者への対応などは、故人への敬意を示す大切なポイントとなります。
喪主の服装は、基本的に 「正喪服」または「準喪服」 を選ぶのが一般的です。
服装の種類 | 特徴 | 喪主での着用可否 |
---|---|---|
正喪服 | 最も格式の高い喪服。黒のモーニング(男性)や黒無地の着物(女性) | ◎ 推奨 |
準 喪服 | 黒のスーツ・ワンピース(男女ともに) | ◎ 可 |
略喪服 | ビジネススーツに近いデザインの黒い服 | △ 適切ではない |
男性の服装 ・正喪服:黒のモーニング、白シャツ、黒ネクタイ、黒の靴下・革靴 ・準喪服:ブラックスーツ、白シャツ、黒ネクタイ、黒の靴 女性の服装 ・正喪服:黒無地の着物、またはフォーマルな黒のワンピース・アンサンブル ・準喪服:黒のワンピースやスーツ(光沢のない素材) 注意点 ・スカート丈は膝下が基本 ・ストッキングは黒色 ・靴はシンプルな黒のパンプス(ヒールは低め)
喪主は、華美な装飾を避け、できるだけシンプルな身だしなみを心がける必要があります。 ・結婚指輪は可(ただし装飾の少ないものが望ましい) ・パールの一連ネックレスは可(二連以上のものは「不幸が重なる」とされるため避ける) ・腕時計はシンプルな黒や銀色のものを選ぶ ゴールドや派手な宝石を使ったアクセサリーは、葬儀の場にふさわしくありません。
喪主は多くの参列者と接するため、清潔感のある髪型を心がけましょう。 男性の髪型 ・短髪の人は、しっかり 整える ・長髪の人は、後ろでひとつに結ぶ ・整髪料は最小限に(派手なセットは避ける) 女性の髪型 ・髪が肩にかかる場合は、黒のゴムやピンでまとめる ・ハーフアップやゆるいまとめ髪はNG ・派手なヘアカラーは黒に戻すか、落ち着いた色合いにまとめる
「精進落とし」は、葬儀後の会食のことで、喪主や遺族が参列者に対するお礼を込めてもてなします。 お酌のマナー ・目上の方には、両手で丁寧にお酌する ・無理に勧めるのではなく、「お疲れさまでした」と一言添える ・自分も少し飲むことで、和やかな雰囲気を作る 食事中の話題としては、故人の思い出話や感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
最近では、「香典を受け取らない」というケースも増えています。その場合は、事前に参列者へ明確に伝えておくことが大切です。 香典辞退の伝え方 ・案内状に明記する:「誠に勝手ながら、ご厚意は辞退させていただきます」 ・葬儀社を通じて伝える:「喪主の意向で、香典の受け取りは控えさせていただきます」 ・受付で伝える:「お気持ちだけありがたく頂戴いたします」 香典辞退の理由は特に述べる必要はありませんが、遺族の意向として丁寧に伝えることが大切です。
喪主を決める際には、家族構成や事情によって迷うことが多いものです。「長男がいない場合は?」「喪主を辞退できる?」「親族がいない場合はどうする?」など、さまざまな疑問が寄せられます。
Q. 故人の子供が未成年の場合、喪主は誰が務めるべきですか? A. 一般的には、未成年の子どもに代わり、親族の中で最も適任な人が喪主を務めます。 喪主は、葬儀の手配や弔問客への対応、金銭管理など多くの責任を負う立場であるため、未成年の子どもが喪主を務めるのは現実的に難しい ことが多いです。そのため、次のような順番で代わりの喪主が選ばれるのが一般的です。 未成年の子どもがいる場合の喪主の候補 1.祖父母(故人の親) 配偶者がいない場合、故人の親(未成年の子どもから見た祖父母)が喪主を引き受けることが多いです。 2.叔父・叔母(故人の兄弟姉妹) 祖父母が高齢または他界している場合は、故人の兄弟姉妹(子どもから見た叔父・叔母)が喪主を務めることがあります。 3.親族の中で適任な人 近しい親族がいない場合は、親戚の中で最も適した人が喪主を務めることになります。 未成年の子どもが形式上の喪主になる場合 ・「故人の子どもが正式な喪主となり、祖父母や叔父・叔母が代行する」というケースもあります。 ・この場合、未成年の子どもが形式的に喪主として扱われるものの、実際の運営は大人の親族が担います。 未成年の子どもが喪主になることは可能ですが、現実的には、親族がサポートする形が一般的です。
Q. 事情があって喪主を務めたくないのですが、辞退することはできますか? A. はい、喪主を辞退することは可能です。 喪主には精神的・肉体的な負担がかかるため、「自分には務まらない」と感じる場合は、家族や親族と相談し、別の人に引き受けてもらうことができます。 喪主を辞退する主な理由 ・精神的な負担が大きい → 配偶者が故人を失ったショックで喪主を務められない場合 ・健康上の理由 → 高齢や病気で喪主の役割を果たせない場合 ・遠方に住んでいて対応が難しい → 急な葬儀に間に合わない場合 喪主を辞退する場合は、親族間で十分に話し合い、代わりの喪主を決めることが大切です。また、辞退しても、葬儀の準備や手続きに協力することで、家族としての責任を果たすことができます。
Q. 故人に家族や親族がいない場合、誰が喪主を務めるのでしょうか? A. 友人や知人が喪主を務める場合や、自治体が対応するケースがあります。 故人に家族や親族がいない場合、以下のような方法で喪主を決めることになります。 ① 友人や知人が喪主を務める 故人と親しかった友人や知人が、喪主を引き受けることがあります。この場合、葬儀の費用は故人の遺産から支払われることが多いですが、事前に遺言などで指定されていない場合は、喪主が負担するケースもあります。 ② 会社の代表者が喪主を務める 故人が企業の代表や従業員であった場合、勤務先の代表者や同僚が喪主を務めることもあります。特に、仕事上の関係が深かった場合は、会社が葬儀を手配することもあります。 ③ 自治体が火葬・埋葬を手配する(行旅死亡人制度) 親族や知人が誰もいない場合、自治体が「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」として火葬や埋葬を行います。 この場合、 ・役所が死亡届を提出 ・火葬・埋葬は自治体の費用で行われる ・遺品や遺産は、自治体が管理する 家族がいない場合は、事前に信頼できる人に喪主を依頼しておくか、エンディングノートに希望を記載しておくとよいでしょう。
喪主は、故人を見送り、遺族を代表する重要な役割を担います。一般的には配偶者や長男・長女が務めますが、状況に応じて兄弟姉妹や親族、場合によっては友人や自治体が対応することもあります。 喪主の主な役割には、死亡届の提出、葬儀の準備、弔問客への対応などがあり、精神的・肉体的な負担も大きいため、家族や関係者と協力しながら進めることが大切です。また、喪主には正喪服や準喪服の着用、華美な装飾を避けるなど、適切な服装やマナーも求められます。 喪主を務めることは責任のある立場ですが、故人への敬意と感謝の気持ちを持ちながら、丁寧に対応することが最も重要です。葬儀は遺族に とって大切な節目となるため、喪主として落ち着いて役割を果たし、故人を心を込めて送り出しましょう。
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