
喪主必見!お布施の正しい渡し方|お礼の言葉まで徹底解説
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葬儀や法事を執り行う際、喪主として準備すべきことは多岐にわたります。その中でも特に「お布施」の取り扱いは、葬儀や法事において重要な役割を果たします。しかし、正しい渡し方やマナーについて十分に理解している方は意外と少なく、不安や疑問を抱える場面も多いのが実情です。
本記事では、喪主として知っておきたいお布施の渡し方を中心に、金額や表書きの書き方、お礼の言葉、さらには葬儀や法事におけるお布施の意味まで徹底的に解説します。この記事を読めば、自信をもって儀式を執り行えるようになりますので、ぜひ参考にしてください。
お布施を渡すタイミングや渡し方
タイミングに決まりはないが、注意点を知ろう
お布施を渡すタイミングには厳格な決まりがないため、ある程度柔軟に対応することができます。一般的なタイミングは以下の通りです。
1.葬儀の前
葬儀が始まる前に渡すことで、安心して儀式を執り行ってもらえます。この場合、儀式の合間に渡す必要がなくなるため、相手も気を遣わずにすみます。
2.葬儀終了後
忙しい場合や渡し忘れてしまった場合は、葬儀終了後に渡しても問題ありません。ただし、渡すタイミングが遅くなるほど、事前に挨拶を済ませていないことに対する気まずさが増してしまうこともあります。
3.法事の場合
法事においても、読経が始まる前、または終了後に渡すことが一般的です。特に法事の場合は、僧侶が他のスケジュールを抱えていることが多いため、事前に相談して適切なタイミングを確認すると安心です。
渡し方のマナー
お布施を渡す際のマナーを守ることは、遺族としての信頼感や印象を向上させます。以下のポイントに注意して渡しましょう。
・お布施を直接手渡ししない
直接手渡しすることは避け、切手盆や袱紗を使用するのが基本です。直接渡す行為は失礼にあたる場合があるため注意が必要です。
・丁寧な言葉遣いを心がける
お布施を渡す際には、感謝の気持ちを込めた挨拶を添えるのが礼儀です。具体的な言葉遣いについては後述します。
・葬儀社や家族と連携する
渡すタイミングや方法について、葬儀社や家族と事前に打ち合わせをしておくとスムーズです。
切手盆に載せて渡す方法
切手盆の役割と選び方
切手盆は、お布施や祝儀・不祝儀袋を載せて渡す際に使用する小型の漆塗り盆のことです。お布施を渡す行為を形式的に整え、相手に対する敬意を表現するための重要なアイテムとなります。
切手盆を選ぶ際には、次のポイントを考慮しましょう:
・サイズ感
切手盆は、不祝儀袋をしっかり載せられる程度の大きさを選ぶことが重要です。大きすぎるものはかえって不格好に見えるため、適切なサイズのものを用意しましょう。
・素材と色
漆塗りのものや黒を基調とした落ち着いたデザインのものを選ぶと良いでしょう。派手なデザインや色味のものは、不祝儀の場面には適していません。
お布施の置き方・向き
切手盆にお布施を置く際の注意点は以下の通りです:
1.不祝儀袋の向き
僧侶が座っている正面に向けて文字が読めるように置きます。
2.袱紗を使用する
袱紗に包んだまま切手盆に載せ、開いて渡します。袱紗の使用は、丁寧さを示すだけでなく、不祝儀袋を汚さないための配慮でもあります。
3.両手で切手盆を持つ
片手で持つことは避け、必ず両手で切手盆を支えながら渡しましょう。
袱紗に載せて渡す方法
お布施を渡す際には、切手盆を使用するのが正式なマナーですが、万が一切手盆が用意できない場合、袱紗を代用して渡すことも可能です。袱紗は、不祝儀袋を包んで持ち運ぶための布ですが、そのままお布施を差し出す際にも使用できます。以下に、具体的な方法を解説します。
袱紗の選び方
お布施を渡す際に使用する袱紗は、葬儀や法事の場にふさわしいものを選ぶ必要があります。
1.色やデザイン
葬儀や法事では、紫色、黒、グレーなどの落ち着いた色味の袱紗を選びましょう。派手な柄や装飾があるものは避けるのが基本です。紫色の袱紗は、慶事・弔事のどちらにも使えるため便利です。
2.素材
絹や麻などの上質な素材が好まれますが、近年では化学繊維製の手頃な袱紗でも問題ありません。
袱紗を使ったお布施の渡し方
切手盆がない場合は、袱紗を広げてそのままお布施を載せ、代用品として使用します。以下に、正しい渡し方の手順を示します。
手順
1.袱紗を広げる
僧侶の前で袱紗を丁寧に開き、不祝儀袋を取り出します。
2.袱紗をそのまま使う
袱紗を平らに広げ、その上に不祝儀袋を載せます。この状態で、袱紗が切手盆の役割を果たします。
3.両手で差し出す
袱紗に載せたお布施を両手で持ち、差し出します。相手から見て不祝儀袋の表書きが正しく読める向きに置くように注意してください。
4.感謝の言葉を添える
お布施を差し出す際に、簡単な感謝の言葉を述べましょう。
例:「本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」
お礼の言葉を述べる際のポイント
お布施を渡す際に添える挨拶は、感謝の気持ちをシンプルかつ丁寧に伝えるものです。長々とした言葉は避け、簡潔で心のこもった言葉を心がけましょう。
挨拶の例文
・葬儀の場合
「このたびはお忙しい中、読経をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。」
「本日はお世話になります。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
・法事の場合
「本日はお忙しいところお越しいただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
「いつもご丁寧にご対応いただき、心より感謝申し上げます。本日も何卒よろしくお願いいたします。」
注意点
・敬語を適切に使う
敬語を用いるのは当然のマナーです。ただし、過度に堅苦しい表現を避け、自然で心のこもった言葉を選びましょう。
・立ち居振る舞いに注意
挨拶をする際は、相手の目を見て少し頭を下げるなど、丁寧な立ち振る舞いを意識してください。
お布施の内訳と金額の目安
お布施の内訳
お布施は、感謝を形として示すものであり、葬儀や法事において大切な役割を果たします。その内訳にはさまざまな項目があり、それぞれの意味や相場を理解しておくことが重要です。以下に、お布施の主要な内訳を具体的な金額の相場とともに解説します。

1. お布施(読経料)
お布施の基本的な部分を占めるのが「読経料」です。葬儀や法事において、僧侶が読経を行うことへの謝礼を指します。読経は故人の成仏を祈る重要な儀式であるため、感謝を込めて適切な額を包む必要があります。
相場:
・葬儀・告別式:10万円~50万円(全国平均26万円程度)
・四十九日法要:3万円~5万円
・納骨法要:3万円~5万円
・新盆・初盆法要:3万円~5万円
・一周忌法要:3万円~5万円
・三回忌以降の法要:1万円~5万円
※地域や宗派、寺院の慣習によって相場は異なるため、事前に確認することをおすすめします。
2. 戒名料(戒名の授与に対する謝礼)
戒名料は、故人に戒名を授けていただく際の謝礼です。戒名とは仏教で故人が仏弟子となるための名前を意味し、そのランク(格式)によって金額が大きく異なります。「院号」などの高位の戒名は格式が高いため、相場も高額になります。
戒名料の相場(戒名のランク別):
・信士・信女:10万円~20万円
・居士・大姉:30万円~50万円
・院号居士・院号大姉:50万円~100万円以上
※戒名のランクや寺院の規模に応じて金額が異なりますので、事前にお寺に相談するのが良いでしょう。
3. 御車代(僧侶の交通費)
御車代とは、会場まで移動するための交通費を包むものです。特に遠方からお越しいただく場合やタクシーを手配した場合には、相場以上の金額を包む場合もあります。
・相場:5000円~1万円程度
※遠方の場合は交通費実費に応じて増額します。
4. 御食事代(僧侶の食事に代わる謝礼)
葬儀や法事の際、僧侶の食事を用意するのが難しい場合に、食事の代わりに包む謝礼です。特に、法事で僧侶が複数回訪問される際に用意されることが多いです。
・相場:5000円~1万円程度
5. 初七日法要のお布施
葬儀の後、最初に行われる法要が初七日法要です。近年では、葬儀と同日に初七日法要を行うケースも多く、別途お布施を包む場合と、葬儀のお布施に含める場合があります。
・相場:3万円~5万円程度
お布施の金額を決める際のポイント
1. 地域や宗派の慣習を確認する
地域や宗派によって、お布施の金額には違いがあります。例えば、浄土真宗では戒名を付ける習慣がないため、戒名料は不要な場合もあります。寺院の慣習や地域の一般的な相場を把握することが大切です。
2. お寺に直接相談する
お布施の金額に迷った場合は、直接お寺や葬儀社に相談してみましょう。多くの場合、お布施の額について明確な指針を教えてもらえます。
3. 家族間で話し合う
お布施の額は喪主だけで決める必要はありません。家族と相談し、負担を分担しながら準備することも重要です。
お布施の準備と正しい書き方
不祝儀袋の選び方
お布施を包む際には、特別な不祝儀袋を用意します。選ぶ際のポイントは以下の通りです:
・水引の有無
お布施には水引がないシンプルな不祝儀袋を使用します。水引があるものは慶事や香典に用いられるため、不適切です。
・色やデザイン
白無地、または黒白のデザインが適しています。派手な色や装飾がある袋は避けましょう。
お布施の表書きの書き方
お布施の金額は、不祝儀袋の中に入れる中袋に記入します。以下のルールを守りましょう:
・金額は漢数字で記入
「壱萬円」「参萬円」「拾萬円」など、旧字体の漢数字を使用します。最後に「也」を添えるとより正式な表現となります(例:「壱萬円也」)。
・記入する位置
金額は中袋の表面に縦書きで記入し、裏面には喪主の住所や氏名を書きます。
お札の取り扱い
・新札を用意する
お布施には、新札を用いるのがマナーとされています。お布施は僧侶への感謝を形にしたものですので、折れや汚れのない清潔なお札を準備することが大切です。ただし、必ずしも新札でなければならないというわけではありません。手元に旧札しかない場合でも、汚れや破損がないものであれば問題ありません。
また、新札が準備できなかった場合でも、感謝の気持ちが何よりも重要です。清潔な状態でお札の向きを揃え、丁寧に封入することで、気持ちのこもったお布施として渡すことができます。
・向きを揃える
お札は、肖像がある面を表側にし、向きを揃えて入れるのが基本です。これは見た目を整えるだけでなく、相手への配慮を表す重要なマナーの一つです。
葬儀・法事におけるお布施の意味
お布施とは、仏教における重要な修行の一つであり、「布施(ふせ)」と呼ばれる行為の中核を成すものです。「布施」とは、仏教の教えに基づき、自分の財産や労力を他者に施し、見返りを求めずに行う行為を指します。この行為には、物質的な施しだけでなく、心の施しや言葉の施しも含まれています。
仏教におけるお布施の意義
お布施の根本的な意味は、施しを通じて「執着」を手放すことにあります。物に対する執着や利己的な欲望を捨てることで、心の平安や悟りへの道が開かれると考えられています。つまり、お布施は単なる金銭的なやり取りではなく、施す側にとっても精神的な修行であるといえます。
葬儀や法事においては、この精神を基に、僧侶の読経や戒名を授けてもらうことへの感謝の気持ちを金銭で表すのが「お布施」となります。この行為は、故人の安らかな成仏を願うとともに、自分自身の心を清める意味も込められています。
葬儀や法事でのお布施の役割
葬儀や法事におけるお布施は、次のような意味や役割を持ちます:
1.僧侶への感謝
僧侶が行う読経や儀式は、故人の成仏や遺族の癒しに深く関わる重要な行為です。その労に対する感謝を表すものとして、お布施を渡します。
2.故人への供養
お布施を通じて、故人の冥福を祈り、供養の心を形にします。これは仏教における「施し」の精神そのものです。
3.仏教の教えを支える
お布施は、僧侶や寺院が仏教の教えを広める活動を支える大切な財源でもあります。このため、施す側は仏教の教えや寺院の活動を尊重する気持ちを持って渡すことが重要です。
お布施を施すことの心構え
お布施は、故人や僧侶への「感謝の気持ち」を形として表す行為です。そのため、「いくら包めばいいか」や「形式ばかり気にする」といった表面的な部分にとらわれるのではなく、純粋な気持ちで準備を整えることが大切です。
特に、葬儀や法事のような場では、僧侶や寺院に対する感謝の心を忘れず、お布施を手渡す際には丁寧な言葉を添えることで、仏教の教えや礼節を重んじた行動が取れるでしょう。
まとめ
お布施は、僧侶への感謝と仏教への敬意を示す重要な儀式の一部です。本記事では、お布施の渡し方や金額、マナーについて詳しく解説しましたが、重要なのは心からの感謝の気持ちです。事前にしっかり準備を整え、安心して葬儀や法事を執り行えるようにしましょう。
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