盆提灯とは?選び方・飾り方・宗派の違い・処分方法まで徹底網羅ガイド

2025.6.9

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目次

はじめに:なぜ今「盆提灯」を知る必要があるのか?

日本の伝統行事の中でも、とりわけ家族の絆や先祖供養の文化を色濃く反映するのが「お盆」です。そして、そこで登場するのが「盆提灯」です。 しかし、現代のライフスタイルの変化に伴い、盆提灯に関する正しい知識を持つ人は減りつつあります。仏壇のある家庭が少なくなり、核家族化が進む中で「盆提灯って必要なの?」「誰が買うの?」「宗派によって違うの?」といった疑問を抱く人も多いのが現状です。 本記事では、初心者にもわかりやすく、しかも伝統と最新事情の両方を踏まえた形で、₋盆提灯に関する全知識を完全網羅₋します。これさえ読めば、誰でも自信を持ってお盆の準備が整います。

そもそも「盆提灯」とは何か? 〜その意味と起源〜

盆提灯はご先祖様の「道しるべ」

盆提灯とは、お盆に先祖の霊が迷わず家に戻ってこられるように灯す、いわば「光の道しるべ」です。仏教の教えに基づき、日本独自の風習として長い歴史を持っています。 お盆期間中に灯される盆提灯は、先祖の霊が一時的に現世へ戻るための目印となり、子孫たちが心を込めて迎え入れる重要な役割を担います。₋迎え火・送り火と共にお盆の三大アイテム₋ともいえます。

盆提灯の歴史的背景

盆提灯の起源は、古代インドの盂蘭盆経(うらぼんきょう)にまで遡ります。日本においては平安時代から貴族の間で先祖供養が行われていたと言われています。江戸時代になると一般庶民にも広まり、₋盆棚・迎え火・盆提灯という現在の形が定着₋しました。

盆提灯の種類一覧|正しい選び方のための基礎知識

盆提灯には実に多くの種類が存在します。正しい選び方のために、まずは基本となる分類を理解しましょう。

1. 使用目的による分類

種類用途
初盆(新盆)提灯故人が亡くなって初めて迎えるお盆に使用。主に白紋天。
通常盆提灯2年目以降のお盆に使用。柄入りの美しい装飾。

2. 形状による分類

形状特徴
吊り提灯天井や鴨居に吊るすタイプ。伝統的で荘厳な雰囲気。
置き提灯床の間や仏壇前に置くタイプ。設置しやすい。
回転灯電気式で中の絵柄が回転し幻想的な光を放つ。

3. 材質による分類

材質特徴
木製(桜・杉・黒檀など)高級感と耐久性がある。
紙製(和紙・絹張り)伝統的だが湿気に注意が必要。
プラスチック製 軽量で扱いやすく、現代の住宅に向いている。

4. 柄による分類

盆提灯には多彩な柄が施されています。  ・秋草(桔梗、萩、撫子、桜など)  ・家紋入り  ・蓮・菊など仏教的モチーフ

5. 宗派別の違いに注意

宗派盆提灯の扱い
浄土真宗飾らないか、非常に簡素に飾る
真言宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗等基本的に盆提灯を用意する

初盆(新盆)の盆提灯:白紋天とは?

白紋天の特徴

・色:白無地(または家紋入り) ・使用期間:初盆の1年のみ使用 ・意味:故人の魂が初めて家に帰る清浄な道しるべ 白紋天は、人生で一度きりの大切な提灯であり、親族が贈るのが通例です。最近では家族で用意するケースも増えています。

白紋天のマナー

・使用後は処分するのが基本 ・複数飾っても問題ないが、スペースに注意 ・初盆のため早めに準備開始(3ヶ月前目安)

盆提灯の選び方

盆提灯を選ぶためのステップ

ステップ1|まずは「飾る場所」を決める

盆提灯は基本的に仏壇まわり、床の間、精霊棚(盆棚)、または玄関などに飾ります。飾る場所によって、適切なサイズや設置方法が変わります。

設置場所適した提灯
仏壇前(和室・仏間)大型の置き提灯や吊り提灯
床の間中型〜大型の置き提灯
精霊棚の両脇1対(左右対称)
玄関吊り提灯・迎え火提灯

マンション・洋室の場合は、コンパクトサイズやモダン提灯が適しています。

ステップ2|「初盆(新盆)」か「通常盆」かを確認

盆提灯選びでは、初盆かどうかが非常に重要な分岐点です。

初盆(新盆)の場合

  ・白紋天(しろもんてん)が正式   ・白無地または家紋入りの白提灯を用意する   ・原則として初盆の1回のみ使用

通常盆(2年目以降)

  ・絵柄入りの盆提灯が一般的   ・秋草柄・蓮柄・桔梗柄など季節感あるデザインが定番   ・数年使用可能 ※最近では白紋天+柄入り提灯の併用もよく行われています。

ステップ3|「盆提灯の種類」を選ぶ

盆提灯は、形状によって種類が分かれます。それぞれにメリット・デメリットがありますので、設置場所や好みに合わせて選びましょう。

吊り提灯

  ・天井や鴨居から吊るす伝統的スタイル   ・昔ながらの厳かな雰囲気   ・設置には吊り金具やフックが必要

置き提灯(床置き型)

  ・床の間・仏壇前・精霊棚の両脇に置くタイプ   ・設置が簡単で現代住宅に最適   ・コンセント式・電池式もあり

回転灯

  ・内部の模様がゆっくり回転し幻想的な光を演出   ・電動式が主流   ・暗い部屋に映える

ステップ4|「デザイン・材質」を選ぶ

デザイン(絵柄)

  ・秋草(桔梗・萩・撫子):最も定番   ・蓮:浄土を象徴する仏教的な花   ・家紋入り:格式高い仕上がり   ・故人の好みに合わせた柄も可

材質

材質特徴
和紙製伝統的で上品。湿気に弱いので保管に注意。
絹張り高級感あり。高価だが非常に美しい。
プラスチック製軽量で扱いやすく現代向き。劣化も少ない。
木地(桜・杉・黒檀等)高級感があり長持ち。価格は高め。

木地の色

  ・仏壇の色と合わせると統一感が出ます。   ・黒檀・紫檀・桜材・杉材など。

ステップ5|「宗派の考え方」に配慮する

盆提灯は宗派によって必要性が異なります。

宗派盆提灯の必要性
浄土真宗 飾らない or 非常に簡素に済ませる
真言宗・曹洞宗・日蓮宗・臨済宗・浄土宗など基本的に用意する

迷ったら事前に菩提寺に確認するのが確実です。

価格帯の目安

グレード価格帯(1基あたり)
初盆用白紋天3,000円〜10,000円
通常盆提灯(標準)10,000円〜50,000円
高級木製・家紋入り50,000円以上

通販サイトではセット割引や早期割引も充実しています。

盆提灯選びのよくある失敗例と注意点

失敗例① 飾る場所のサイズを測らずに購入してしまう

具体例   ・「実物が届いたら思ったより大きくて仏壇の前に置けなかった」   ・「吊り提灯を買ったけど、天井に吊り下げ金具が付けられなかった」   ・「マンションのリビングに置こうとしたが天井高が足りなかった」 注意点・対策   ・設置予定の場所を事前に正確に計測する   ・特に高さ(床から天井までの距離)は重要   ・吊り下げる場所がない場合は置き提灯に変更するのも手

失敗例② 宗派の違いを確認せずに購入してしまう

具体例   ・浄土真宗なのに大型の盆提灯を購入してしまった   ・菩提寺から「うちの宗派は提灯は要りませんよ」と指摘された 注意点・対策   ・宗派ごとに盆提灯の考え方が異なる    浄土真宗は特に注意が必要(簡素化する傾向が強い)   ・迷ったら菩提寺に電話・訪問して確認する

失敗例③ 家紋の注文間違い

具体例   ・家紋のデータを提出し忘れた   ・家紋の名称を勘違いして違う柄で納品された   ・家族内でどの家紋を使うか統一できていなかった 注意点・対策   ・₋正式な家紋データ(画像・資料)を用意する₋   ・家族・親戚内で「使用する家紋」を事前に確認しておく   ・家紋入りは納品まで時間がかかるので早めの注文が必要

失敗例④ 納期遅延・品切れ

具体例   ・7月に入ってから注文したら在庫切れだった   ・名入れ・家紋入りで納品まで1ヶ月以上かかると知り焦った   ・初盆前日に届いたが、設置準備が間に合わなかった 注意点・対策   ・早めの準備が鉄則(5月〜6月上旬が理想)   ・家紋入り・名入れは特に納期が長くなる   ・余裕をもって1ヶ月以上前には手配完了を目指す

失敗例⑤ セット内容を確認せず不備が出る

具体例   ・提灯は届いたが、吊り下げ金具や電源コードが別売りだった   ・予備の電球や乾燥剤を準備しておらず後から買い足した   ・組み立て説明書がなく設置に手間取った 注意点・対策   ・セット内容を事前によく確認   ・必要部品(吊り具・電源・電球等)が含まれているかチェック   ・不安な場合は仏具店で直接相談・購入がおすすめ

失敗例⑥ 格安通販サイトで品質トラブル

具体例   ・安さに惹かれて購入したが、実物は写真と全然違った   ・組み立てたらすぐ壊れた、塗装が剥げていた   ・海外製で家紋加工精度が低かった 注意点・対策   ・信頼できる仏具店や国内老舗メーカーの商品を選ぶ   ・購入前にレビューを十分に確認する   ・家紋入りなどオーダーメイド品は店舗購入が無難

失敗例⑦ 保管方法を誤りカビ・破損が発生

具体例   ・湿気の多い押し入れに入れたら翌年カビが出た   ・乾燥剤を入れなかったため虫食い被害に遭った   ・組み立てたまま保管してスペースを無駄にした 注意点・対策   ・使用後は₋完全乾燥させてから保管₋   ・乾燥剤を必ず同封   ・分解して箱に収納(できれば元箱利用)   ・風通しが良く直射日光が当たらない場所に保管

失敗例⑧ 故人の好みを考慮し忘れる

具体例   ・故人が華やかな柄を好んでいたのに、無地の質素な柄を選んでしまった   ・孫たちが飾って違和感を感じた 注意点・対策   ・故人が生前好んでいた花や色、趣味を参考に選ぶ   ・最近はカスタマイズ可能なデザイン提灯も増加中

盆提灯の飾り方マニュアル

飾り付けの基本

1.設置場所の掃除    仏壇周辺・床の間を清掃し整頓。 2.精霊棚の設置    盆棚の両脇に左右対称に配置。 3.吊り提灯は高めに、置き提灯は仏壇左右に配置    均整が取れるよう配置。 4.回転灯は通気性に注意して設置

飾る期間

地域飾る期間
新盆(7月13日〜16日)関東・東日本の一部
旧盆(8月13日〜16日)全国大多数

何年間飾る?

 ・初盆:白紋天は1年限り  ・通常盆提灯:5〜10年使用が目安(劣化で買い替え)

盆提灯の片付け・保管・管理方法

片付けのタイミング

 ・送り火(8月16日夜)が終わったら片付け開始。

保管のコツ

 ・湿気厳禁(カビ防止)  ・乾燥剤を同封  ・専用箱に収納  ・高温多湿を避ける

長持ちさせるポイント

 ・和紙製品は特に除湿対策を強化  ・木地部分は乾拭き清掃

使わなくなった盆提灯の処分方法

1. お寺・神社でのお焚き上げ供養   もっとも正式で安心な方法。感謝を込めて供養。 2. 仏具店・葬儀社に依頼   一部店舗では有料回収を実施。 3. 自治体処分(最終手段)   魂抜き・お清めを行った後で可燃ゴミに出す。ただし推奨はされない。

盆提灯はどこで買う?

・仏具専門店   品質が高く、専門知識も豊富。試し置き可能。 ・百貨店・量販店   品揃えが広く初心者も安心。 ・インターネット通販   価格帯が幅広くレビュー参考になる。 ・地域葬祭業者   初盆パックとして一式提供されることも。 購入時期  ・遅くとも6月末〜7月上旬には注文  ・初盆は早めの手配(3ヶ月前目安)

宗派別:お盆・盆提灯の違い

浄土真宗  ・本来お盆の行事自体を重視しない  ・盆提灯は省略する場合が多い  ・仏前読経のみの場合も 浄土宗・真言宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗  ・盆提灯を通常通り飾る  ・宗派ごとに読経や迎え火作法の違いあり

よくある質問(FAQ)

Q1:盆提灯は必ず1対揃えないといけませんか? A: 正式には左右対称の1対(2つ)で飾るのが伝統的ですが、スペースや予算の事情で1つだけでも失礼には当たりません。特に現代のマンションやアパートでは、1つだけ飾るご家庭も多くなっています。 Q2:親戚が盆提灯を贈ると聞きましたが、自分で買ってもいいですか? A: 本来は親戚・親類が供養の気持ちで贈る習慣がありますが、近年は家族が準備するのが一般的になっています。特に初盆の場合は、親戚と事前に話し合っておくと重複を避けられます。 Q3:お葬式で使用した霊前灯をお盆で使っても大丈夫ですか? A: 基本的には使用可能です。ただし、霊前灯は葬儀専用、盆提灯はお盆専用と本来の役割が異なるため、できればお盆専用の提灯を新たに用意するのが望ましいとされています。 Q4:新盆(初盆)だけど、柄物の提灯を飾ってもいいですか? A: 新盆では白無地の「白紋天(しろもんてん)」が正式ですが、白紋天に加えて柄物の盆提灯を一緒に飾る家庭も増えています。特に両脇に柄入り提灯を置くと華やかさが増します。地域風習や宗派によって判断し、迷ったら菩提寺や仏具店に相談すると安心です。 Q5:マンションや洋間にも盆提灯を飾れますか? A: 飾れます。最近はコンパクトサイズの置き提灯や、洋室向けにモダンデザインの盆提灯も多数販売されています。LED内蔵タイプや電池式も便利です。 Q6:盆提灯は何年間使用できますか? A: 初盆用の白紋天は1年のみ使用が基本です。通常の盆提灯は特に決まりはなく、劣化状況を見て5年〜10年程度で買い替えるのが目安です。和紙製は湿気に弱いため、保管状態が良いと長持ちします。 Q7:盆提灯はいつ準備すればいいのですか? A: 遅くともお盆の1ヶ月前(6月中旬〜7月初旬)までには準備を終えるのが安心です。初盆の場合は3ヶ月以上前から注文・相談を始める方がゆとりを持って準備できます。 Q8:使わなくなった盆提灯はどう処分すればよいですか? A: もっとも正式なのは、お寺や神社でのお焚き上げ供養です。仏具店や葬祭業者でも引き取りを行う場合があります。一般ごみでの処分はなるべく避け、お清めや供養を行ってから手放すのが礼儀とされています。 Q9:盆提灯の正しい保管方法は? A: 高温多湿を避けた風通しの良い場所に保管します。乾燥剤を入れた専用の箱に入れると、カビや虫食いを防止できます。特に和紙製品は湿気に注意しましょう。

最新動向|現代の盆提灯事情

省スペース型・モダン盆提灯  現代住宅事情に配慮し、コンパクト・モダンデザインが人気上昇中。    ・LEDライト内蔵型    ・コンセント式・電池式    ・洋室インテリアに馴染む北欧風デザインも登場 通販サイトの活用拡大    ・Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングでも人気    ・実店舗にない珍しいデザインも豊富    ・口コミを活用可能 若年層の盆文化離れ    ・30代以下では「盆提灯の存在を知らない」人も急増中    ・逆に正しい知識を持つことが今後より重要に

まとめ:盆提灯は「心」を灯す日本文化の象徴

盆提灯は、ご先祖様への感謝、家族のつながり、そして命の尊さを感じるための大切な道具です。ただ飾るだけでなく、そこに込められた意味を理解することで、お盆という行事は何倍も深いものになります。  ・正しい種類を選ぶ  ・宗派の違いを理解する  ・適切に保管・処分する これらを実践すれば、あなたも立派な「お盆マスター」です。

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