終活の始め方|人生の最期を安心して迎えるための準備ガイド

終活の始め方|人生の最期を安心して迎えるための準備ガイド

公開日: 2024.5.24     更新日: 2025.3.4

終活とは、自分の人生を振り返り、最期を自分らしく迎えるための準備をすることです。

エンディングノートの作成や財産の整理、医療・介護の意思表示など、やることは多岐にわたりますが、早めに始めておくことで、家族に迷惑をかけず、安心して充実した人生を送ることができます。

本記事では、終活の目的やメリット、始めるタイミング、具体的な進め方について詳しく解説しています。

終活を前向きに捉え、これからの人生をより豊かにするためのヒントにしてください。

終活とは?その目的とメリットを知る

終活とは、人生の最期をより良く迎えるための準備を行う活動のことです。自分の人生を振り返り、残りの時間を充実させるとともに、死後に家族が困らないように様々な手続きを整えます。ここでは、終活の意味や目的、そして始めることで得られるメリットについて詳しく解説します。

終活の意味と目的

終活とは、単に「死の準備」をすることではなく、「人生の締めくくりを自分らしく迎えるための活動」を指します。以下のような目的があります。

残りの人生を充実させるための準備

終活を通じて、自分のこれまでの人生を振り返り、これからの時間をどう過ごすかを見つめ直すことができます。例えば、やり残したことをリストアップして実行する、会いたい人に会う、趣味に没頭するなど、自分らしく生きるための計画を立てられます。また、終活はポジティブな活動でもあり、過去を整理することで前向きな気持ちになれることが多いのも特徴です。

家族への負担軽減とトラブル回避

自分が亡くなった後の手続きは、多岐にわたります。遺産相続の手続きや葬儀の準備、デジタル遺品の整理など、家族が慣れない作業をするのは大きな負担です。終活でこれらの準備をしておくことで、家族は悲しみの中でもスムーズに手続きを進められます。また、遺産相続に関して明確にしておくことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

終活を始めることで得られる3つのメリット

終活を始めることで、次のようなメリットを得られます。

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気持ちの整理ができ、前向きに生きられる

終活を通じて、自分の人生を振り返ることができます。これまでの経験を整理し、自分が大切にしてきたものや価値観を再確認することで、今後の人生をどう生きたいかが明確になります。また、エンディングノートに希望を書き記すことで、気持ちの整理ができ、残りの人生を充実させるための意欲が湧いてきます。

家族間の相続トラブルを未然に防ぐ

相続問題は、家族間のトラブルの原因になりやすいものです。終活で遺言書を作成したり、遺産分割の方法を決めておくことで、相続争いを未然に防ぐことができます。また、生前に家族へ意思を伝えることで、相続に対する誤解や不満を解消でき、円満な家族関係を保つことができます。

老後の不安を軽減し、安心した生活を送れる

終活を進めることで、老後に必要なお金の見通しを立てたり、介護や医療に関する方針を決めたりすることができます。また、自分の死後の手続きが明確になっていることで、漠然とした不安が軽減され、今を安心して暮らせる環境を整えられます。

終活はいつから始めるべき?タイミングと年齢

終活は、年齢に関係なく誰でも始めることができます。しかし、タイミングを見極めることで、より効果的に進めることが可能です。ここでは、終活のベストな開始時期と、年齢別の進め方について詳しく解説します。

終活のベストな開始時期

終活を始めるタイミングには、いくつかのきっかけがあります。特に以下のようなタイミングが適しています。

定年後から始めるのが一般的

定年を迎えると、仕事から解放されて時間的な余裕が生まれます。また、人生の節目として、自分の今後の生活設計を見直す良い機会でもあります。60歳を過ぎると、老後の生活を具体的にイメージしやすくなり、終活への意識も高まるため、定年後から始めるのが一般的です。

定年後に始めることで、体力的にもまだ余裕があり、無理なく準備を進められる点もメリットです。

身近な人の死や、大病をきっかけに始めるケース

配偶者や身近な人が亡くなったり、大病を患ったりした場合、それをきっかけに終活を考える方が増えています。

身近な人の死を経験することで、自分の最期について真剣に考えるようになり、「自分の死後、家族に負担をかけたくない」「元気なうちにできることをしておきたい」という意識が芽生えます。また、大病を経験したことで、自分の健康や介護に対する備えが必要だと実感するケースも多いです。

年齢別の終活の進め方

終活は、年齢やライフステージに応じて進め方を工夫することがポイントです。以下は、年代ごとの進め方の例です。

50代:情報収集と意識の共有

50代は、まだ体力的にも気力的にも余裕がある時期です。この年代では、終活に関する情報収集を行い、自分自身の考えを整理することから始めるのが良いでしょう。

エンディングノートや遺言書の存在を知り、それぞれの役割を理解することが大切です。また、終活に対する考えを家族に共有することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

例えば、「自分が希望する葬儀の形式」「相続についての意向」など、家族と話し合っておくことで、終活を円滑に進める基盤ができます。

60代:エンディングノートの作成

60代は、定年後の生活に慣れ、ゆとりのある時間を過ごせるようになる年代です。この時期には、具体的な終活の準備を始めることが推奨されます。

特に、エンディングノートの作成がおすすめです。エンディングノートには、財産の情報、連絡先、医療・介護に関する希望、葬儀の形式、メッセージなどを記入します。

エンディングノートは法的な効力はありませんが、自分の意思を残すことで、家族が迷わずに対応できるため、非常に有効です。また、書き進める中で、自分自身の考えを整理することができ、今後の生き方にも影響を与えることがあります。

70代:財産整理と遺言書の準備

70代は、体力や判断力の衰えを実感しやすい時期です。この年代では、財産整理や遺言書の準備を本格的に進めましょう。

財産整理では、預貯金、不動産、有価証券、保険などの資産をリストアップし、把握しておくことが重要です。これにより、相続時の手続きがスムーズになり、家族の負担を軽減できます。

また、遺言書を作成しておくことで、相続に関する自分の意思を明確に伝えることができます。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った方法を選びましょう。

特に、財産の分け方に複雑な事情がある場合は、専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

終活の進め方|最初にやるべきこと

終活を始めるとき、何から手をつければ良いのか迷うことが多いでしょう。まずは、基本となるステップを押さえ、順番に進めていくことが大切です。ここでは、終活の最初にやるべきことについて、具体的な手順を紹介します。

スタートはエンディングノートから

エンディングノートは、終活を始めるうえで最も基本的で重要なツールです。まずはエンディングノートを作成することから始めましょう。

エンディングノートとは、自分の希望や意思を家族に伝えるためのノートです。法的な効力はありませんが、家族が困らないように情報を整理しておくために役立ちます。

エンディングノートには、以下のような内容を記載します。

・自分の基本情報(氏名、生年月日、住所、連絡先)

・緊急連絡先(家族、友人、医師など)

・財産に関する情報(預貯金、保険、不動産、有価証券など)

・医療・介護に関する希望(延命治療の有無、介護施設の希望など)

・葬儀やお墓に関する希望(葬儀の形式、葬儀社の指定、埋葬方法)

・デジタル遺品の管理(SNSのアカウント、パスワードなど)

・最後に伝えたいメッセージ(家族や友人への手紙、感謝の言葉)

エンディングノートは一度書いて終わりではありません。定期的に見直しを行い、情報が古くならないように更新することが大切です。

資産の棚卸しと整理

終活では、資産の棚卸しを行い、財産の状況を把握することが重要です。これにより、相続の準備がスムーズに進み、家族間のトラブルを防ぐことができます。

財産目録の作成方法

財産目録は、所有しているすべての資産を一覧にまとめたものです。財産目録を作成することで、相続時に必要な書類の準備が楽になり、相続税の計算もしやすくなります。

財産目録には、以下の情報を記載します。

預貯金:銀行名、支店名、口座番号、口座の種類(普通預金、定期預金など)

保険:保険会社名、契約内容、保険金の受取人

有価証券:株式、投資信託、社債などの銘柄、数量、証券会社の情報

不動産:土地・建物の所在地、名義、評価額

貴金属・骨董品:種類、数量、保管場所

債務・借入金:借入先、残高、返済方法

財産目録を作成する際は、証明書類(通帳、不動産登記簿、保険証券など)を確認しながら正確に記入しましょう。

預貯金、保険、有価証券、不動産などの整理

財産目録の作成とともに、それぞれの財産を整理していきます。

預貯金の整理

・使っていない口座は解約して、管理をシンプルにする

・遺言書で相続先を明確にしておくことで、スムーズな遺産分割が可能

保険の見直し

・保険金の受取人を確認して、必要に応じて変更する

・無駄な保険がないか、加入している保険の内容を見直す

有価証券の整理

・株式や投資信託の名義変更手続きの確認

・売却するか、相続させるかを決めておく

不動産の整理

・名義が自分のものであることを確認

・売却する、不動産信託にする、相続させるなどの方針を決める

これらの資産の整理を行うことで、相続手続きがスムーズに進み、家族の負担を軽減できます。

遺言書の作成

終活を進める中で、遺言書の作成は避けて通れない重要なステップです。遺言書を作成することで、遺産分割の方法を明確にし、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

遺言書の種類

自筆証書遺言

自分で書く遺言書。手軽だが形式に厳格なルールがある。

公正証書遺言

公証人が作成する遺言書。法的に強固で、紛失の心配がない。

秘密証書遺言

内容を秘密にして公証人に保管してもらう。利用は少ない。

遺言書作成時の注意点と有効性

・法的効力を持たせるため、書式や内容に注意が必要。

・専門家に確認してもらうことで、無効になるリスクを防ぐ。

生前整理のすすめ方|身の回りのものをスッキリ

生前整理は、終活の中でも特に重要なステップです。自分の身の回りのものを整理整頓し、不要なものを処分することで、日々の生活がスッキリするだけでなく、家族にとっても負担を減らすことができます。ここでは、生前整理の進め方と具体的な方法について詳しく解説します。

身の回りの整理整頓と断捨離

生前整理の基本は、身の回りのものを整理整頓し、不要なものを処分することです。これを行うことで、暮らしがシンプルになり、心の整理にもつながります。

断捨離とは、「断」=不要なものを断つ、「捨」=不必要なものを捨てる、「離」=物への執着から離れる、という考え方に基づいた整理法です。

終活における断捨離では、次のステップで進めると効率的です。

アイテム別に整理する

・衣類、本、食器、家具、思い出の品など、カテゴリーごとにまとめる

・一度にすべてを整理しようとせず、少しずつ進めることで負担を減らす

いるもの・いらないものを仕分ける

・今後使うものと使わないものを明確に区別する

・思い出の品は、写真に撮ってデータ化することで、現物を手放しやすくする

処分方法を決める

リサイクル:まだ使えるものはリサイクルショップやフリマアプリを活用

寄付:不要な衣類や家具は、寄付を受け付けている団体に送る

廃棄:壊れているものや使えないものは、ルールに従って廃棄する

家族に確認する

・特に思い出の品や貴重品は、家族に確認してから処分する

・家族が引き取りたいものがあるかを聞いておくことで、後悔を防ぐ

断捨離は、精神的な負担が大きい場合があります。無理をせず、自分のペースで進めることが大切です。また、体力に自信がない場合は、遺品整理業者や片付けのプロに依頼するのも一つの方法です。

残したい物の選び方

すべてを捨てる必要はありません。自分にとって本当に大切なものは、残しておくことも考えましょう。残したい物の選び方のポイントは次のとおりです。

思い出の品は厳選する

・写真や手紙、子どもの作品など、思い出深いものは無理に捨てる必要はありません。ただし、すべてを残すのではなく、特に大切なものを厳選することがポイントです。

価値のあるものは家族に引き継ぐ

・宝石、骨董品、貴金属などの価値があるものは、家族に相続させるか、事前に譲渡することを考えましょう。

・遺言書に明記しておくことで、相続時のトラブルを防ぐことができます。

使用頻度で判断する

・1年以上使っていないものは、今後も使わない可能性が高いため、手放す判断をしましょう。

残したい物を決めたら、エンディングノートにその旨を記載しておくと、家族が迷わずに処分できます。

デジタル終活のすすめ

現代の終活では、デジタル終活が欠かせません。SNSやメール、オンラインバンキング、サブスクリプションサービスなど、デジタルデータを整理することで、死後のトラブルを未然に防げます。

SNSアカウントやデジタルデータの整理

SNSアカウントやデジタルデータは、放置しておくと乗っ取りや悪用のリスクがあるため、適切に管理することが必要です。

SNSアカウントの整理

・使っていないアカウントは削除する

・よく使っているアカウントは、最期のメッセージを準備することも可能

・FacebookやInstagramなどは、死亡後の管理者(追悼アカウント管理者)を設定できる

デジタルデータの整理

・パソコンやスマホ内のデータ(写真、動画、ドキュメントなど)を整理する

・残したいデータは外付けハードディスクやクラウドに保存する

・不要なデータは削除しておく

パスワードの管理と引き継ぎ方法

デジタル終活で最も重要なのが、パスワードの管理です。アカウントを管理するために、家族がパスワードを知る必要がある場合があります。

パスワード管理ツールを使用する

・パスワード管理ツールを使用することで、複数のパスワードを安全に管理できます。

エンディングノートに記載する

・重要なアカウントのログイン情報をエンディングノートに記載しておく

・セキュリティの観点から、エンディングノートの保管場所を家族に伝えておく

専門業者に依頼する

・デジタル遺品整理を専門とする業者もあるため、自分で整理するのが難しい場合は、専門家に依頼するのも一つの方法です。

デジタル終活を行うことで、死後のトラブルを防ぎ、家族がスムーズに手続きを進められます。

医療・介護の準備

終活の中でも、医療と介護の準備は非常に重要です。自分の最期をどのように迎えたいか、どのような医療を受けたいか、また、介護が必要になったときの方針をあらかじめ決めておくことで、家族に迷惑をかけずに済みます。ここでは、医療・介護の準備の進め方について詳しく解説します。

医療の意思表示

終活を進めるうえで、医療や介護に対する意思表示をしておくことはとても大切です。

例えば、延命治療を受けるかどうかは、非常にデリケートな問題です。本人の意志を確認せずに延命治療が行われるケースも多く、家族がその判断を迫られることがあります。

そのため、エンディングノートにも延命治療の希望などを書いておくと良いでしょう。

エンディングノートは法的効力はありませんが、家族へのメッセージとして強い影響力を持ちます。

また文書に残すだけでなく、家族と十分に話し合っておくことが大切です。

特に、医療の現場で判断を迫られる家族にとって、事前に意思を共有していることは大きな助けになります。

介護方針の決定と施設の検討

介護が必要になった場合に備えて、介護方針を決めておくことも重要です。介護は、本人だけでなく家族にも大きな負担をかけるため、事前の準備が必要です。

例えば、介護が必要になった場合、自宅での介護か、施設での介護かを選択する必要があります。

自宅介護と施設介護のどちらを選ぶかは、本人の希望と家族の状況を考慮して決めましょう。特に、介護にかかる費用は大きいため、早めに資金計画を立てておくことが大切です。

葬儀・お墓の準備

終活を進めるうえで、葬儀やお墓の準備は避けて通れない重要なポイントです。葬儀の形式や費用の目安を把握し、どのようなお墓を選ぶのかを事前に決めておくことで、家族に大きな負担をかけずに済みます。ここでは、葬儀・お墓の準備に関する情報を解説します。

葬儀の形式と内容を決める

葬儀は、人生の最期を見送る大切な儀式です。形式や内容をあらかじめ決めておくことで、家族が迷うことなく準備を進められます。

家族葬、一般葬、直葬の違い

葬儀にはさまざまな形式がありますが、大きく分けて 「家族葬」、「一般葬」、「直葬」 の3つの形式があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った形式を選びましょう。

家族葬

・親族や親しい友人だけで行う小規模な葬儀。

・参列者が少ないため、落ち着いた雰囲気で故人を偲ぶことができる。

・費用を抑えられるが、後日、参列できなかった人が弔問に訪れることがある。

一般葬

・親族に加えて、故人と関わりのあった人を広く招く葬儀形式。

・通常、通夜・告別式を行い、僧侶を呼んで読経を行う。

・規模が大きいため、費用が高くなりやすいが、弔問客への対応が一度で済むというメリットがある。

直葬(火葬式)

・通夜や告別式を行わず、火葬のみを行うシンプルな葬儀。

・宗教色が薄く、形式にとらわれないため、最近注目されている。

・費用が最も安く済むが、弔問の場がないため、後日にお別れの会を開くことがある。

選び方のポイント

参列者の人数:呼びたい人の人数を考慮して、形式を選ぶ。

費用の予算:予算に合わせて、無理のない形式を選ぶ。

宗教・宗派の確認:家族の宗教・宗派に合わせた形式にする。

故人の希望を優先する:事前にエンディングノートなどに記載しておくと、家族が迷わずに済む。

また葬儀費用には、「基本費用(祭壇、棺、霊柩車など)」、「実費(火葬費用、飲食費など)」、「寺院費用(読経料、お布施)」 の3つが含まれます。予算オーバーを防ぐためにも、各費用の内訳を確認しておきましょう。

お墓の種類と選び方

お墓の準備は、終活の中でも特に大きな決断となります。お墓にはさまざまな種類があるため、自分の希望に合ったものを選びましょう。

永代供養墓、樹木葬、納骨堂の違い

永代供養墓

・寺院や霊園が管理してくれるお墓。

・継承者がいなくても供養してもらえるため、おひとりさまや子供がいない家庭に人気。

・合祀される場合が多く、個別の墓石がないことがある。

樹木葬

・墓石の代わりに樹木を墓標として埋葬する形式。

・自然志向の人に人気があり、費用が比較的安い。

・継承の心配がないが、合祀される場合は後から遺骨を取り出せないことがある。

納骨堂

・遺骨を納める施設で、ロッカー式、仏壇式、自動搬送式などがある。

・室内で管理されるため、天候に左右されずに参拝できる。

・費用は50万〜200万円程度で、アクセスの良い都市部に多い。

契約内容の確認

・契約期間や継承者の有無を確認する。

・継承者がいなくなった場合の対応(無縁仏になるか、合祀されるか)を確認する。

・名義変更や墓じまいの手続きについても、事前に確認しておく。

終活をスムーズに進めるためのポイント

終活は、自分の人生を見つめ直し、最期を自分らしく迎えるための大切な準備です。しかし、いざ始めようと思っても、何から手をつければ良いのか迷うことが多いのも事実です。ここでは、終活をスムーズに進めるための具体的なポイントを紹介します。

家族と終活情報を共有する

終活を進めるうえで、家族との情報共有は欠かせません。終活は自分一人で完結するものではなく、家族との関わりが深く関係してきます。特に、医療・介護の希望や相続に関する内容は、家族が知らなければ意味を成さないため、しっかりと共有しておきましょう。

家族会議の開催と話し方のコツ

家族会議を開いて、終活に関する情報を共有することは、非常に効果的です。ただし、終活の話題はデリケートな内容が多いため、話し方に工夫が必要です。

タイミングの選び方

・年末年始やお盆など、家族が集まるタイミングを利用する。

・堅苦しい雰囲気にならないよう、食事の後などリラックスできる場面を選ぶ。

話し方のコツ

・「自分のため」というよりも、「家族のため」を強調して話す。

例:「私がいなくなった後に、みんなが困らないように準備をしておきたい」

・ポジティブな言い回しを使う。

例:「残りの人生を充実させるために、やりたいことを整理している」

・全部を一度に話そうとせず、エンディングノートを活用して少しずつ共有する。

例:「エンディングノートに書いた内容を見てくれる?」と切り出す。

共有する内容

・医療・介護の希望(延命治療の有無、介護施設の希望など)

・相続に関する考え(財産の分け方、遺言書の内容)

・葬儀の希望(形式、参列者、予算)

・デジタル遺品の管理(SNSアカウント、パスワードの保管方法)

家族に共有することで、終活の意図を理解してもらい、将来的なトラブルを防ぐことができます。また、家族の意見を聞くことで、自分では気づかなかった課題が見えてくることもあります。

おひとりさまの場合の対策

家族がいない場合や、家族と疎遠になっている場合でも、終活は必要です。おひとりさまの終活では、以下の対策を講じておくことが重要です。

信頼できる友人に共有する

・身近に信頼できる友人がいる場合は、エンディングノートを共有しておく。

・緊急連絡先や医療・介護の希望、葬儀の形式を伝えておくことで、万が一の時に対応してもらえます。

専門家に依頼する

・「死後事務委任契約」 を利用して、死後の手続きを専門家に依頼する。

遺品整理、銀行口座の解約、デジタル遺品の処理などを代行してもらえます。

・「任意後見契約」 を結び、認知症などで判断能力が低下した場合に備える。

財産管理や医療・介護の手続きを代行してもらえるため、安心して生活できます。

行政サービスを活用する

・地域包括支援センターや社会福祉協議会が提供する、高齢者向けの相談サービスを利用する。

・「見守りサービス」 を利用して、定期的な安否確認を行ってもらう。

おひとりさまの場合、身近な家族がいない分、専門家や行政サービスをうまく活用して、安心できる終活を進めることがポイントです。

専門家を活用する

終活には、法律や税金、不動産の知識が必要な場合が多く、専門家のサポートを受けることで、スムーズに進めることができます。

弁護士

・遺言書の作成・確認、相続トラブルの防止、相続放棄の手続き

・相続人間の揉め事が予想される場合や、複雑な遺産分割が必要な場合に依頼すると安心です。

司法書士

・遺言書の保管、相続登記の手続き(不動産の名義変更)

・相続に関する書類作成を代行してもらえるため、手続きがスムーズに進みます。

ファイナンシャルプランナー(FP)

・老後の資金計画、相続税対策、保険の見直し

・節税対策や、資産を効果的に活用するためのアドバイスを受けられます。

専門家に依頼する際は、複数の見積もりを比較し、信頼できる相手を選ぶことが大切です。また、初回相談を無料で行っている専門家もいるため、まずは相談してみるのも良いでしょう。

おわりに

終活は、自分の人生を見つめ直し、最期を自分らしく迎えるための大切な準備です。決して暗いものではなく、残りの人生をより充実させるための前向きな活動と考えることができます。

終活を始めることで、自分らしい最期を迎える準備が整い、心にゆとりが生まれます。

エンディングノートの作成、遺言書の準備、生前整理、医療・介護の意思表示、相続対策など、やることは多岐にわたりますが、一歩ずつ進めていけば大丈夫です。

終活を通じて、これからの人生をさらに充実させ、悔いのない人生を送ってください。

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