霊園に入るには?申し込み・準備・納骨式まで徹底ガイド|都立霊園の制度も紹介

霊園に入るには?申し込み・準備・納骨式まで徹底ガイド|都立霊園の制度も紹介

公開日: 2024.7.22     更新日: 2025.5.21

はじめに|霊園への納骨、まず何から始める?

節目である納骨を迎えるにあたり、多くの方が「何から始めればよいのか」と戸惑うことでしょう。新たにお墓を探している方、または他の霊園から移すことを考えている方にとって、霊園の種類や手続きは一見複雑に感じられるかもしれません。しかし、全体の流れを把握すれば、準備はスムーズに進められます。

本記事では、「霊園の種類」「申込方法」「納骨までの流れ」を順を追ってご案内します。特に東京都内で霊園を検討されている方には、都立霊園の制度についても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

霊園の種類と特徴

霊園を選ぶ際には、その運営主体や特徴を理解することが重要です。主に「公営霊園」と「民間霊園」に大別されます。

公営霊園とは

公営霊園は、自治体が管理・運営する霊園です。使用料が比較的安価で、宗教や宗派を問わず利用できる点が特徴です。ただし、申込期間が限定されており、抽選制であることが多いため、希望する霊園の募集スケジュールを事前に確認する必要があります。また、居住要件が設けられている場合があり、申込者が一定期間その自治体に居住していることが条件となることがあります。

具体例として、東京都が運営する都立霊園には以下のようなものがあります。

・八柱霊園(千葉県松戸市):広大な敷地を有し、自然豊かな環境が魅力です。

・多磨霊園(府中市):都内最大級の霊園で、歴史的な背景もあります。

・小平霊園(東村山市):アクセスが良く、整備された園内が特徴です。

これらの霊園は、定期的に使用者の募集が行われており、申込には居住要件や抽選などの条件があります。

民間霊園とは

民間霊園は、宗教法人や企業が運営する霊園です。公営霊園に比べて、デザインや立地、埋葬形態の選択肢が多く、利用者のニーズに合わせた多様なサービスが提供されています。申し込みは随時可能で、比較的スピーディに契約が進む点も魅力です。

例えば、宗教法人が運営する霊園では、伝統的な仏教様式のお墓から、現代的なデザインのものまで幅広く選べます。また、企業が運営する霊園では、ペットと一緒に入れるお墓や、永代供養付きのプランなど、現代のライフスタイルに合わせたサービスが充実しています。

ただし、費用面では公営霊園よりも高額になる傾向があるため、予算とのバランスを考慮することが重要です。

霊園に入るために必要な準備まとめ

霊園に入るには主に以下のような準備が必要です。

・ 希望の霊園を選定(公営か民間か、立地・費用など)

・必要書類の準備(遺骨埋葬許可証、住民票など)

・霊園への申し込み(公営:抽選あり/民間:見学・契約)

・墓所の整備(墓石設置や管理料の支払い)

・納骨式の準備(僧侶・石材店との調整、当日の持ち物確認)

・改葬の場合は「改葬許可証」の取得も必要

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霊園の申し込み方法(新規の場合)

新たに霊園を利用する場合、申し込みから使用許可を得るまでにはいくつかのステップがあります。以下に、一般的な流れを説明します。

希望する霊園を絞る

まず、自分や家族の希望に合った霊園を選定します。以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

公営か民間か:費用や手続きの違いを比較検討します。

費用感:予算に合った霊園を選びます。

立地:自宅からのアクセスや周辺環境を確認します。

継承条件:将来的な継承者の有無や条件を確認します。

特に公営霊園を希望する場合は、募集スケジュールが限られているため、事前に情報を収集し、スケジュールを把握することが重要です。

資料請求・現地見学・相談

希望する霊園が決まったら、資料を取り寄せたり、現地を見学したりして、詳細な情報を収集します。

公営霊園:申請書の入手や資格条件の確認が必要です。各霊園の管理事務所や自治体の窓口で資料を受け取ることができます。

民間霊園:現地見学を通じて、施設の雰囲気やスタッフの対応を確認し、契約に進むことが一般的です。民間霊園では、見学から契約までが比較的スピーディに進む傾向があります。

現地見学では、実際の墓所の広さや周囲の環境、管理状況などを自分の目で確認することが大切です。また、スタッフとの相談を通じて、不明点や不安な点を解消しましょう。

使用許可の取得

申し込みが完了すると、以下のような手続きを経て使用許可が得られます。

公営霊園:申込期間終了後、抽選や資格審査が行われ、当選者には使用許可証が交付されます。抽選結果は、郵送やインターネットで通知されます。

民間霊園:申し込み後、契約手続きが進められ、墓所使用契約書が交付されます。契約後、墓所の使用が可能となります。

使用許可証や契約書は、今後の手続きや納骨に必要な重要書類ですので、大切に保管してください。

他の霊園から移す(改葬)の場合

既に他の霊園に埋葬されている遺骨を別の霊園に移す場合、改葬手続きが必要となります。改葬には、以下のような書類や手続きが求められます。

埋蔵証明書:現在の墓地管理者から発行される、遺骨が埋葬されていることを証明する書類です。

受入証明書:新たに遺骨を受け入れる霊園から発行される、遺骨の受け入れを承諾する書類です。

改葬許可申請書:改葬を希望する旨を記載した申請書で、現在の墓地所在地の市区町村役場に提出します。

これらの書類を揃え、改葬許可証が発行されると、新たな霊園での納骨が可能となります。

また、改葬に伴い、以下のような準備も必要です。

・移転先での墓所準備:新たな墓所の契約や整備を行います。

・納骨式や閉眼供養:遺骨の移動に際して、宗教的な儀式を行うことが一般的です。僧侶への依頼や親族への連絡など、事前の準備が求められます。

改葬は、遺骨の移動だけでなく、精神的な区切りをつける意味でも重要な手続きです。家族や関係者と十分に話し合い、慎重に進めましょう。

都立霊園利用者向け:施設変更制度とは

東京都が運営する都立霊園では、特定の条件を満たす利用者に対して、「施設変更制度」という制度が設けられています。この制度は、承継者がいないなどの理由で墓じまいを考えている使用者が、既存の墓所を返還し、合葬式墓所に改葬できる制度です。

施設変更制度の概要

対象者:都立霊園の使用者で、承継者がいない、または将来的に墓所の維持が困難と考えられる方。

改葬先:合葬式墓所(合葬墓)への改葬が可能です。合葬墓は、複数の遺骨を一緒に埋葬する形式で、個別の墓石は設けられませんが、費用を抑えることができます。

申請時期:年3回、例年7月・10月・12月に申請を受け付けています。

生前申込:利用者本人や配偶者も、将来その合葬墓に生前申込が可能です。

利用のメリット

費用の軽減:合葬墓への改葬により、使用料や管理料が不要となります。

刻字サービス:合葬墓には、故人の名前を刻むサービスがあり、個別の供養が可能です。

将来的な安心:承継者がいない場合でも、合葬墓に改葬することで、永続的な供養が確保されます。

なお、合葬墓があるのは「小平霊園」「八柱霊園」であり、多磨霊園は2025年度の申込対象外となっているため、利用を検討される方は該当霊園の情報を事前に確認することが重要です。施設変更制度は、墓じまいや将来的な不安を抱える高齢の利用者にとって、大きな安心材料となる制度です。

納骨前後に必要な準備とは?

霊園の申し込みや契約が終わった後は、いよいよ納骨式の準備に入ります。納骨は単なる埋葬行為ではなく、故人とのお別れの儀式でもあります。そのため、精神的にも物理的にもきちんと準備を整えることが大切です。

納骨式の前に準備すべきこと

納骨式の前に行うべき主な準備は以下の通りです。

寺院への連絡

納骨式で僧侶による読経を依頼する場合は、早めに寺院へ連絡を入れて日程を調整します。菩提寺がある場合はその住職に依頼し、ない場合は霊園や葬儀社から紹介を受けることも可能です。

石材店との確認

墓石の蓋を開ける作業や、納骨スペースの整備は通常石材店が担当します。事前に石材店と納骨日を調整し、必要な作業内容を確認しておきます。

会食や参列者の人数調整

親族や親しい友人を招く場合、人数を把握して会食の準備を進める必要があります。会食は形式的ではありますが、遺族間の絆を深める場にもなります。

持ち物一覧

納骨当日に必要な物品は次の通りです。忘れ物がないようにチェックリストを作成すると良いでしょう。

・遺骨埋葬許可証(火葬時に発行される)

・墓地使用許可証または使用契約書

・お布施(読経を依頼する場合)

・塔婆(供養のために寺院で用意)

・線香・ろうそく・ライター

・位牌や写真(希望に応じて)

・白い布やハンカチ(遺骨を包むため)

地域や宗派によって細かい準備物は異なりますが、これらは一般的な持ち物として準備しておくと安心です。

当日の流れ

納骨式当日は、一般的に以下のような流れで進みます。

施主からの挨拶

納骨式の冒頭に、施主(喪主や長男など)が参列者へ向けて簡単な挨拶をします。感謝の気持ちや故人との思い出などを交えて話すと、場の雰囲気も和らぎます。

納骨

石材店の立ち会いのもと、墓石の納骨スペースを開けて遺骨を収めます。多くの場合、骨壷を収めた後に布などで覆い、再び蓋をします。

僧侶の読経・焼香

僧侶による読経が始まり、続いて焼香を行います。参列者が順番に焼香を済ませることで、供養の気持ちを形にします。

会食(希望に応じて)

納骨式の後に、希望者のみで会食を行うこともあります。故人の思い出話を共有しながら、静かに時を過ごすことができます。

納骨式は形式的なものではありますが、家族にとっては故人を送り出す最後の重要なセレモニーです。心を込めて準備し、穏やかに故人を見送ることができるようにしましょう。

状況別|今すぐやるべきことは?

霊園に関する準備は、現在の状況によって優先順位が変わります。ここでは、代表的な3つのケースに分けて、今すぐに取るべき行動を整理します。

新規で霊園に入りたい方

まず最初に行うべきは、希望霊園の種類と立地条件を絞ることです。家からのアクセス、予算、宗教的条件などを考慮して候補をいくつか選び、資料を取り寄せましょう。

公営霊園を希望する場合は、申込時期が年に1~2回と限られているため、募集スケジュールの確認が最優先事項です。申込方法も詳細に把握して、必要書類の準備を進めましょう。

民間霊園を選ぶ場合は、随時申し込みが可能ですので、気になる霊園の現地見学を早めに実施し、比較検討してから契約を進めるとよいでしょう。

改葬(他霊園からの移動)をしたい方

改葬を行う場合は、以下の3つの機関と同時並行で調整する必要があります。

・現在の墓地の管理者(埋蔵証明書の取得)

・移転先の霊園(受入証明書の取得)

・市区町村役場(改葬許可証の申請)

これらの書類を整えることで、法的にも新しい霊園への納骨が認められます。申請手続きには時間がかかる場合もあるため、できるだけ早めに着手することが肝要です。

また、移転に際しては閉眼供養や再納骨など宗教的な儀式も必要になる場合があります。寺院や家族と相談しながら、計画的に進めましょう。

都立霊園利用中で継承者がいない方

現在都立霊園を利用しており、将来的にお墓の継承者がいないという方には、前述した施設変更制度の利用が有効です。

この制度を使えば、個別墓所を返還し、合葬墓に改葬することで管理費や承継者問題から解放されます。制度の詳細を東京都の公式サイトなどで確認し、必要書類を揃えて申請を進めましょう。

また、生前申込制度も活用すれば、自身の将来の供養まで見据えた準備ができます。早めに行動することで、精神的にも安心を得られるでしょう。

まとめ|安心して納骨を迎えるために

霊園の選定から申し込み、納骨式の準備に至るまで、一連の流れには多くのステップがあります。しかし、それぞれの工程を正しく理解し、段階的に進めていけば、誰でも納得のいく納骨を実現することが可能です。

・最初の一歩は「どこに納骨したいか」を決めることです。立地や費用、宗教条件などを踏まえ、自分や家族に合った選択をしましょう。

・公営霊園は抽選や条件付きですが、費用が安く宗教を問わない点が魅力です。一方で、民間霊園は自由度が高い反面、費用に幅があります。

・改葬や墓じまいを考える場合は、法的手続きだけでなく、精神的な整理や儀式の準備も重要です。

・都立霊園を利用中で承継者がいない方は、施設変更制度を活用すれば、費用を抑えた形での改葬と供養が可能です。

最後に、納骨式という大切な儀式を家族で整え、故人を心から見送ることが、遺族にとっても新たな一歩となります。

霊園への納骨は一生に何度も経験することではありませんが、だからこそ悔いのないよう、しっかりと準備をして臨むことが大切です。本記事がその一助となれば幸いです。

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