
死後に必要な整理資金とは?最低限の費用とその工面方法|葬儀・供養・死後事務委任まで解説
公開日: 2024.7.19 更新日: 2025.5.12
目次
死後にかかる費用には何がある?
本人が準備しておきたい費用(葬儀・供養・死後事務委任など)
遺族が一時的に負担する費用(立て替えや日常の付随費)
第三者に委託することで発生する費用(死後手続き・実務代行)
最低限の費用はいくらかかるのか?
火葬式や直葬を選んだ場合の目安(10~25万円程度)
区民葬や市民葬を利用した場合の費用例
死後の事務手続きにかかる報酬相場(5~20万円)
墓の費用を抑える方法(納骨堂・樹木葬・永代供養)
公的制度で利用できる給付金や支援
葬祭費給付金(国民健康保険加入者向け)
埋葬料給付金(会社員など健康保険組合加入者向け)
葬祭扶助(生活保護世帯・要件あり)
これらの制度を申請する際の必要書類と注意点
死後の費用をどう工面する?整理資金の備え方
貯金(使途を明確にした名義管理)
死亡保険(葬儀費用特化型や一時金タイプ)
葬儀信託(葬儀社との事前契約)
必要に応じて、遺言やエンディングノートに明記
死後事務委任とは?できることと費用目安
死後の事務を信頼できる第三者に任せる制度
死後の費用を工面する上での死後事務委任の意義
任せられる内容(役所手続き、葬儀手配、遺品整理など)
委任契約の結び方と報酬相場
遺言と異なる点、注意点(委任できない事項もある)
費用の負担を抑えるにはどうすればいい?
葬儀形式を見直す(家族葬・直葬など)
市民葬・区民葬など自治体制度の活用
公共霊園・共同墓などの低価格な供養方法を検討
デジタル遺品やサブスクリプションの生前解約
まとめ|自分らしい最期のために「整理資金」を考えよう
人生の最期に関わる費用は、遺された家族や親しい人にとって精神的な負担だけでなく、経済的な負担にもなり得ます。現代では、個人が元気なうちに「整理資金」を用意しておくという考え方が広まりつつあります。これは単なる「貯金」ではなく、自身の死後に必要となる支出を見据え、計画的に準備しておく資金のことです。
この整理資金の準備には、何にどれくらいの費用がかかるのかを正しく把握することが第一歩です。特に、葬儀や供養、死後の事務手続きは大きな出費となるため、具体的な内容を知り、可能な限り事前に対策を講じておくことで、遺族の負担を軽減できます。
本記事では、死後に必要となる費用の内訳から最低限の相場、公的支援の活用方法、そして死後事務委任制度の活用に至るまで、整理資金にまつわる全体像を詳しく解説していきます。
死後にかかる費用には何がある?
死後に発生する費用は、本人の準備状況や家族構成、委託の有無などによって大きく異なります。大きく分類すると、以下の3つに分けられます。
本人が準備しておきたい費用(葬儀・供養・死後事務委任など)
まず考慮すべきは、亡くなった直後に必要となる葬儀や供養の費用です。これらは一般的に家族が一時的に負担することになりますが、事前に整理資金として用意されていれば、遺族の経済的・心理的な負担を軽減できます。
₋・葬儀費用₋:通夜・告別式・火葬などの儀式にかかる費用
₋・供養費用₋:四十九日法要、納骨、墓地の使用料など
₋・死後事務委任契約の費用₋:死後に必要な手続きを代行してもらうための契約費用
これらをあらかじめ想定し、必要な金額を貯蓄や保険で備えておくことが整理資金の基本となります。
遺族が一時的に負担する費用(立て替えや日常の付随費)
突然の逝去であれば、家族が一時的にさまざまな費用を立て替えることも珍しくありません。代表的なものとして、以下が挙げられます。
・遺体の搬送費や霊安室の利用料
・返礼品や会食など葬儀に付随する雑費
・公共料金や家賃などの支払い継続
このような日常生活に直結する支出も、遺族にとっては大きな負担となるため、事前の資金計画が重要です。
第三者に委託することで発生する費用(死後手続き・実務代行)
近年増加しているのが、身寄りのない高齢者や単身世帯による「死後事務委任」の利用です。これにより、死後の煩雑な事務手続きを信頼できる第三者に依頼することが可能となります。
委託される業務には以下のようなものがあります。
・死亡届の提出、保険や年金の解約手続き
・自宅の片付けや遺品整理
・未払い費用の精算や関係者への通知
これらの業務に対しては報酬が必要となるため、契約前にしっかりと金額を把握し、整理資金として準備しておくことが望まれます。

最低限の費用はいくらかかるのか?
死後にかかる費用は多岐にわたりますが、できるだけ負担を抑えたいと考える人も少なくありません。ここでは、整理資金を準備するうえで把握しておくべき最低限の費用相場を紹介します。
火葬式や直葬を選んだ場合の目安(10~25万円程度)
もっとも費用を抑えた形式として知られるのが、通夜や告別式を行わずに火葬のみを行う「火葬式」や「直葬」です。この形式であれば、費用は10万円~25万円程度に収まることが多く、以下のような費用が含まれます。
・遺体搬送・安置費用
・火葬場の使用料
・最低限の納棺・納体サービス
ただし、宗教者による読経や参列者への配慮を必要としない前提であり、家族や親族の理解が不可欠です。費用を重視する一方で、後のトラブルを避けるためにも、生前に意思を明確にしておくことが重要です。
区民葬や市民葬を利用した場合の費用例
各自治体が提供する「区民葬」「市民葬」制度を活用することで、標準的な葬儀を割安に行うことができます。これらは提携している葬儀社を通じて、一定のサービスがセットになって提供される仕組みです。
たとえば、東京都内の一部区では以下のような費用設定となっています。
・棺、骨壷、白木位牌など一式:約6万円前後
・祭壇使用料、遺影写真、寝台車などを含めても、合計20万円~30万円程度
自治体によって内容は異なりますが、明朗な料金体系と手厚いサービスを提供している場合が多く、整理資金を効率的に活用したい人にとっては有力な選択肢です。
死後の事務手続きにかかる報酬相場(5~20万円)
死後事務委任契約を活用する際、契約内容や依頼範囲によって報酬が大きく変動します。一般的な相場は5万円~20万円程度で、依頼内容のボリュームに応じて費用が増減します。
たとえば、以下のような項目を委任する場合、それぞれに見合った費用が発生します。
・死亡届の提出・火葬許可申請などの基本手続き:3~10万円
・遺品整理、公共料金の解約、住宅明け渡しなど:10~20万円
契約時には、具体的な業務内容と報酬の内訳を文書で確認し、整理資金に組み込んでおくと安心です。また、遺品整理は実費清算のケースもあるため、必ず見積もりや契約書を確認しましょう。
墓の費用を抑える方法(納骨堂・樹木葬・永代供養)
供養にかかる費用も、従来の「墓地を買って建墓する」スタイルから、より簡素で費用を抑えた形式に移行しつつあります。中でも人気が高まっているのが以下の供養方法です。
₋・納骨堂₋:屋内型の納骨施設で、永代供養付きプランも多い。費用相場は30万~80万円程度。
₋・樹木葬₋:墓石の代わりに樹木の下に埋葬する自然葬スタイル。20万~50万円程度。
₋・永代供養墓₋:寺院などが管理し、合祀されることで管理負担が不要。10万円から可能な場合もある。
これらの方法は、墓守がいない、継承者がいないという現代のニーズに合致しており、整理資金の設計においても柔軟性を持たせる選択肢として検討できます。
公的制度で利用できる給付金や支援
死後に必要な費用をすべて自費でまかなうのは負担が大きいため、利用可能な公的支援制度を活用することは非常に有効です。条件を満たせば数万円から十数万円の給付が受けられるため、整理資金の一部として見込むことができます。
葬祭費給付金(国民健康保険加入者向け)
故人が国民健康保険に加入していた場合、遺族(葬儀を行った者)に対して「葬祭費給付金」が支給されます。支給額は自治体によって異なりますが、一般的には1万円〜7万円程度です。
申請には以下の書類が必要です。
・死亡診断書または火葬許可証のコピー
・葬儀を行ったことがわかる領収書や会葬礼状
・故人および申請者の保険証番号・口座情報
申請期限は多くの自治体で「死亡日の翌日から2年以内」と定められているため、速やかな申請が求められます。
埋葬料給付金(会社員など健康保険組合加入者向け)
故人が会社員など被用者保険(健康保険)に加入していた場合、埋葬料または埋葬費が支給されます。金額はおおむね5万円が上限で、家族に支給される「埋葬料」、もしくは第三者に支給される「埋葬費」となります。
以下の書類を揃える必要があります。
・健康保険証の写し
・死亡診断書または死亡届の写し
・埋葬費用に関する領収書(第三者が立て替えた場合)
加入している健康保険組合や協会けんぽの支部によって詳細が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
葬祭扶助(生活保護世帯・要件あり)
生活保護を受給している世帯が葬儀を行う場合、生活保護法に基づいて「葬祭扶助」を受けることができます。これは自治体が定める最低限の葬祭費用を負担してくれる制度で、支給額は約20万円前後です。
ただし、以下のような条件があります。
・葬祭を行う者または故人が生活保護の受給者であること
・火葬式や直葬など、簡素な形式に限る
・自治体や福祉事務所が事前に内容を確認・承認していること
申請は葬儀前に行う必要があるため、突然の死去に備えて、整理資金の中に制度活用を織り込むことが推奨されます。
これらの制度を申請する際の必要書類と注意点
いずれの制度でも共通して求められるのは、故人との関係性、葬儀実施の証明、銀行口座情報などの提出です。スムーズな給付を受けるためには、以下の点に注意が必要です。
・死亡診断書や火葬許可証は必ず控えを取っておく
・領収書は宛名・日付・金額が明確なものを保管
・申請窓口がどこにあるかを生前に調べておく
このような公的制度をうまく活用すれば、整理資金全体の負担を確実に軽減することができます。
死後の費用をどう工面する?整理資金の備え方
死後に必要な費用をあらかじめ備えることは、本人にとっても遺された家族にとっても大きな安心材料となります。ここでは、整理資金をどのように準備すればよいのか、実践的な方法を紹介します。
貯金(使途を明確にした名義管理)
もっともシンプルな方法が「貯金による備え」です。しかし、単に銀行口座に預金しておくだけでは、相続発生後に凍結されてしまう可能性があります。そのため、以下の点に注意して準備することが重要です。
・整理資金として明確に分けておく(別口座を用意する)
・信頼できる家族に存在を伝えておく
・遺言やエンディングノートにその目的と金額を明記する
たとえば、「この普通預金口座には葬儀費用として50万円を積み立てている」と記録しておけば、葬儀後のトラブル回避にもつながります。
死亡保険(葬儀費用特化型や一時金タイプ)
生命保険は、死後すぐに給付される可能性があるため、整理資金の確保手段として非常に有効です。とくに、以下のようなタイプが費用工面に向いています。
・定額の一時金タイプ:契約時に定めた金額(例:100万円)が遺族に支給される
・葬儀費用特化型保険:保険会社が提携葬儀社と連携し、現物支給的に葬儀を実施する
前者は汎用性が高く、後者は費用が明確で準備が簡単というメリットがあります。ただし、保険金の受け取り手続きを遅らせないために、受取人の設定や書類の保管が重要です。
葬儀信託(葬儀社との事前契約)
近年注目を集めているのが、葬儀信託という仕組みです。これは、指定した葬儀社と契約を結び、生前に一定の金額を預けることで、死後にその資金をもとに葬儀を執行してもらう制度です。
・一般的な信託金額:30万円~100万円
・契約内容は事前に細かく取り決める(形式、返礼品、送迎など)
葬儀信託は資金使途が明確なうえ、信託銀行などが管理するため、信頼性が高くトラブルも少ないのが特徴です。特に身寄りが少ない人や、家族に煩わせたくない人に適しています。
必要に応じて、遺言やエンディングノートに明記
整理資金の目的や使用方法については、口頭での伝達だけでなく、文書での明記が推奨されます。遺言やエンディングノートに記載しておくことで、次のようなメリットがあります。
・相続人間のトラブル防止
・死後事務委任契約の意向が明確に伝わる
・公的支援の申請がスムーズになる
エンディングノートには、「葬儀は直葬でよい」「納骨は納骨堂で」「○○保険から費用を充ててほしい」など、具体的な希望を書くことができ、整理資金の意図を正確に反映できます。
死後事務委任とは?できることと費用目安
近年注目されている「死後事務委任」は、信頼できる第三者に死後の手続きを依頼する制度です。これは遺言とは異なり、法的拘束力を持つ委任契約として成立します。身寄りがない、あるいは家族に負担をかけたくないという人にとって、整理資金の運用方法のひとつとして有力な選択肢です。
死後の事務を信頼できる第三者に任せる制度
死後事務委任契約とは、生前に弁護士、司法書士、行政書士、信頼できる知人などと契約を結び、自分の死後に発生する実務的な手続きを委任するものです。依頼先は法人や専門機関である場合も多く、契約内容によって実行範囲や費用が異なります。
この制度は、法的には「準委任契約」に該当し、生前に作成し公正証書化することで、死後確実に効力を発揮するものになります。
死後の費用を工面する上での死後事務委任の意義
死後事務委任の最大の意義は、本人が亡くなった後も、自身の希望に沿った形で対応がなされるという点です。とくに以下のような人にとって有効です。
・単身者や高齢者世帯で、頼れる親族がいない人
・家族には煩雑な手続きを委ねたくない人
・葬儀や供養方法を自身で指定したい人
整理資金をこうした契約に充てることで、死後の混乱を未然に防ぐことが可能になります。
任せられる内容(役所手続き、葬儀手配、遺品整理など)
契約によって依頼できる内容は多岐にわたりますが、主に以下のような業務が含まれます。
・死亡届の提出、火葬・埋葬許可申請
・葬儀の手配、遺体の搬送や安置
・遺品整理、公共料金・賃貸住宅の解約手続き
・住民票や健康保険の抹消、年金・保険金の手続き支援
また、ペットの引き取り手配やSNSアカウントの削除など、近年のライフスタイルに即した対応も可能となっています。
委任契約の結び方と報酬相場
死後事務委任契約は、信頼できる第三者に死後の事務手続きを依頼する契約であり、書面で明確に内容を定めることが重要です。特に、契約内容を公正証書として作成することが推奨されます。これにより、契約の信頼性が高まり、死後の手続きが円滑に進む可能性が高まります。
₋契約書作成にかかる費用₋
契約書の作成に関する費用は、依頼先や契約内容によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
・契約書の原案作成費用:約4万円~5.5万円(税込)
・公証人手数料:約1.1万円~1.5万円(契約内容や財産額により変動)
・証人費用:1人あたり約1万円~1.5万円(2人必要な場合が多い)
これらの費用を合計すると、契約書作成にかかる初期費用は約6万円~8万円程度となることが一般的です。
₋死後事務の執行にかかる報酬₋
死後事務の執行に関する報酬は、委任する内容や範囲によって大きく異なります。以下は一般的な報酬の目安です。
・基本的な死後事務の報酬:20万円~50万円程度
・遺品整理や不動産の処分などの追加業務:別途費用が発生し、内容により数万円~数十万円程度
具体的な報酬額は、依頼する内容や業務の範囲、依頼先の専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)によって異なります。契約前に詳細な見積もりを取得し、内容を確認することが重要です。
₋契約時の注意点₋
₋・契約内容の明確化₋:委任する業務の範囲や報酬、支払い方法などを明確に定めることが重要です。
₋・信頼できる受任者の選定₋:受任者には、信頼できる専門家や団体を選ぶことが望ましいです。
₋・契約書の保管₋:契約書は、公証役場での保管や信頼できる第三者に預けるなど、適切に保管することが推奨されます。
死後事務委任契約は、死後の手続きを円滑に進めるための重要な手段です。契約内容や費用について十分に理解し、信頼できる受任者と契約を結ぶことで、安心して最期を迎える準備が整います。
遺言と異なる点、注意点(委任できない事項もある)
遺言は財産分与や遺贈のような「法律行為」を指定できるのに対し、死後事務委任契約は「事務処理」の範囲に限られます。つまり、以下のような点に注意が必要です。
・財産の分与や遺贈は委任できない(遺言で行う必要がある)
・委任契約は報酬が発生するため、実行者が不在にならないよう備えが必要
・受任者が亡くなったり辞退するリスクを考慮し、予備の委任先も検討する
したがって、死後の希望を叶えるためには、遺言と死後事務委任の両方を組み合わせるのが理想的です。いずれにしても、整理資金にこうした契約にかかる費用を含めておくことが、安心と信頼につながります。
費用の負担を抑えるにはどうすればいい?
整理資金を準備するにあたり、すべてを高額なプランに頼る必要はありません。自身の価値観やライフスタイルに合った形で、無理なく、無駄なく費用を抑える工夫が可能です。ここでは、具体的に費用を抑えるための方法を紹介します。
葬儀形式を見直す(家族葬・直葬など)
葬儀費用は死後にかかる最大の支出のひとつですが、儀式の形式を見直すだけでも大きく削減できます。近年では、以下のような簡素な葬儀形式が選ばれています。
₋・家族葬₋:親族のみで行う小規模な葬儀。費用は一般葬の半額程度(30~60万円が目安)。
₋・直葬(火葬式)₋:通夜・告別式を省略し、火葬のみで完結。10~25万円で実施可能。
「簡素=冷たい」というイメージもありましたが、現在は「身内だけで静かに見送りたい」という考え方が主流になりつつあります。こうした選択肢を検討することで、整理資金に余裕を持たせることができます。
市民葬・区民葬など自治体制度の活用
各自治体では、住民向けに「市民葬」「区民葬」などの制度を用意しており、提携葬儀社を通じてリーズナブルな価格で葬儀を行うことが可能です。これにより、内容を標準化しながらも、費用は抑えられます。
たとえば、次のようなサービスがパッケージに含まれることがあります。
・棺、骨壷、位牌の提供
・ドライアイスや安置費用
・寝台車・霊柩車による搬送
制度の詳細は自治体ごとに異なりますが、情報収集を行い、事前に手続きや流れを把握しておくことが有効です。
公共霊園・共同墓などの低価格な供養方法を検討
お墓にかかる費用も見直しの余地が大きい分野です。特に以下のような供養方法を選択すれば、数十万円単位で費用を削減できます。
₋・公共霊園₋:自治体運営の墓地。民間墓地よりも管理費が安価。
₋・共同墓(合葬墓)₋:他人と同じ区画に納骨される方式。10万円前後から利用可能。
₋・樹木葬・自然葬₋:墓石を使わず自然と一体になる形式。環境配慮型としても注目。
これらの方法は、従来の「家族が代々守る墓」という考え方から脱却し、より現代的な生き方・逝き方に対応するものです。整理資金を無理に積み増すことなく、価値ある供養を実現できます。
デジタル遺品やサブスクリプションの生前解約
現代においては、デジタル遺品の整理も費用・手間の観点から重要です。パソコン、スマートフォン、SNSアカウント、クラウドストレージなど、死後も情報が残り続けることがあります。加えて、サブスクリプション型のサービス(動画配信、クラウドソフト等)は、毎月自動的に引き落とされるため、放置すればムダな支出となります。
以下の対策が有効です。
・契約中のサービス一覧を明記し、ID・パスワードを安全な形で保管
・信頼できる人に「デジタル遺産リスト」として共有
・不要なサービスは生前に解約しておく
これにより、死後の無駄な出費を抑えるだけでなく、遺族が対応に追われることも避けられます。整理資金の観点からも、「見えない支出」を事前に洗い出すことは極めて有意義です。
まとめ|自分らしい最期のために「整理資金」を考えよう
死後に必要となる費用は、葬儀や供養といった儀式的なものから、死後の手続きやデジタル遺品の処理といった実務的なものまで、多岐にわたります。こうした費用を事前に把握し、自分の意思を反映させながら備えておくことが、「整理資金」を準備するという行為の本質です。
整理資金の準備は、単なる経済的な備えにとどまりません。誰にどのような手続きをお願いしたいか、どのような形で供養されたいか、どんな人生の締めくくりを望んでいるかを、周囲に伝える重要な手段でもあります。こうした意思の表明は、遺された人々の混乱や負担を軽減し、心穏やかに最期を迎えることにもつながります。
この記事で紹介したように、葬儀の形式を見直す、市民葬を利用する、死後事務委任を活用する、また公的制度や死亡保険をうまく取り入れることで、費用は十分にコントロール可能です。また、デジタル時代に即した対策を含めることで、見落としがちな支出も削減できます。
準備の第一歩としては、まず自身の希望を書き出してみることから始めてみてください。エンディングノートや遺言、信頼できる家族・知人との会話が、整理資金の形成を具体的に進めるきっかけになります。
「自分が亡くなった後のことを考えるのはまだ早い」と感じる人も多いかもしれません。しかし、備えは早いに越したことはありません。不確かな未来に備えるのではなく、自分の生き方・死に方をデザインするための前向きな行動として、「整理資金」を見直してみてはいかがでしょうか。
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