お盆の過ごし方で恥をかかないために|してはいけないことと正しい供養の心得

2025.7.14

  • 葬儀
  • 相続
  • 終活
  • 費用
  • 宗教
  • お墓

はじめに|お盆のタブーを知っておくことの大切さ

お盆は、日本人にとって先祖を敬い、感謝の気持ちを捧げる大切な行事です。毎年8月中旬にあたるこの期間、多くの家庭では仏壇に灯りをともし、精霊棚を飾り、家族そろってお墓参りをするという習慣が根付いています。しかし、お盆には地域差や宗教的背景からくる「してはいけないこと」や「気をつけるべき作法」が存在します。 こうしたお盆のタブーを知らずに過ごすと、年配の親族や地域の方々に対して無礼になってしまうこともあります。「知らなかった」では済まされない場面もあるため、事前に最低限のマナーを学ぶことが重要です。 本記事では、お盆に避けるべき行為、正しい供養の作法、さらには初盆(新盆)ならではのマナーまで幅広く解説します。これを読めば、お盆の基本的な過ごし方が理解でき、恥をかくことなく心を込めてご先祖様を迎える準備が整うでしょう。

お盆にしてはいけないこと6選|知らずにやると非常識?

お盆には、先祖の霊が帰ってくるという信仰が根付いています。そのため、普段は問題ない行動であっても、お盆の時期には控えるべきとされるものがあります。ここでは、特に注意したい6つの「してはいけないこと」を紹介します。

海や川などの水辺に行く

お盆期間中に水辺へ出かけることは、霊的に良くないとされています。「水は霊を引き寄せる」と信じられており、特に海や川では先祖の霊だけでなく、迷える霊も集まりやすいとされます。また、古くから「お盆の時期は水難事故が多い」とされるのもこの信仰に基づくものです。小さなお子さんや高齢者を連れての水遊びは避けたほうが安心です。

釣りや虫取りなどの「殺生」行為

お盆は供養の時期であり、すべての命に対して感謝と敬意を表す期間とされています。そんな時に釣りや虫取りなど「命を奪う行為」をするのは、供養の精神に反する行為とみなされます。とくに小さな子どもに「命の大切さ」を教える機会にもなりますので、この時期は自然に触れるにしても「見て楽しむ」程度にとどめるのが良いでしょう。

引っ越しや家の大掃除・模様替え

引っ越しや大規模な模様替えは、家のエネルギーを大きく動かす行為です。お盆は霊が一時的に帰ってくるとされるため、家の中を落ち着かせた状態にしておくことが大切です。こうしたタイミングでの大きな環境変化は、「霊が落ち着けない」とされ、避けられる傾向があります。どうしても必要な場合を除き、お盆明けに予定をずらすのが無難です。

結婚式や入籍などのお祝い事

お盆は静かにご先祖を迎え、感謝と祈りを捧げる時期です。そのため、結婚式や入籍といった「慶事」は、避けるべきとされています。これは「喜びごとは不祝儀と対立する」とされるためです。もちろん、事情によってはこの時期しか都合がつかないこともあるかもしれませんが、地域や家族の考え方を尊重し、慎重に判断するべきです。

トゲや毒のある花を飾る

お盆のお供えに使う花(供花)は、故人やご先祖への敬意を込めたものです。そのため、バラやアザミなどトゲのある花や、毒性のある花は不適切とされます。供花としては、菊やリンドウ、カーネーションなどが一般的で、色合いも白や淡い色が好まれます。花選びひとつにもマナーがあることを知っておきましょう。

針仕事や刃物を使う作業

お盆期間中は、針仕事や料理での包丁など「尖ったもの」「切るもの」を使う行為も避けるのが良いとされます。これは、鋭利なものが「霊を遠ざける」と信じられているためです。また、「家族を断ち切る」「縁を切る」ことを連想させる行為ともされ、縁起を気にする地域では特に敬遠されます。 このように、日常では何気ない行動が、お盆という特別な時期にはタブーとなることがあります。年配者との世代間ギャップを埋めるためにも、これらの知識を持っておくと安心です。

初盆(新盆)に特有のタブー|とくに注意すべきマナー

初盆(新盆)は、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことを指し、非常に重要な供養の機会とされています。通常のお盆よりも重みがあり、親族や知人が集まって法要を営むことが多いため、マナー違反は避けたいところです。特に気をつけたいタブーを以下に整理します。

初盆の意味

初盆は故人が仏の世界へ旅立ってから最初に戻ってくる機会とされ、通常のお盆よりも丁寧な供養が求められます。そのため、法要や飾りつけ、接客の仕方まで慎重に行う必要があります。地域や宗派によって異なりますが、共通して守るべきマナーがあります。

白提灯を飾らない

初盆では、白い提灯(白提灯)を玄関や仏前に飾るのが一般的です。これは「初めて帰ってくる故人の霊が迷わず家に戻ってこられるように」との意味が込められています。これを飾らないのは、大切な目印を失うことに等しく、大変失礼とされるため、忘れずに用意しましょう。

初盆法要を行わない

本来、初盆は菩提寺の住職を招き、読経や法要を営むことで故人を手厚く供養する機会です。これを省略してしまうのは、供養を怠っていると受け取られることがあるため、事前に親族と相談し、計画的に準備することが必要です。

ロウソクの火を息で吹き消す

仏前のロウソクや線香の火を「息で吹き消す」のはマナー違反とされています。息には不浄があるとされるため、専用の道具や手でそっとあおいで消すのが正しい作法です。見落としがちな行為ですが、意識して丁寧に振る舞いましょう。

肉や魚などの動物性食品を避ける

初盆の供物や食事には、精進料理を基本とするのが一般的です。動物性食品は「殺生」を連想させ、供養の精神に反するとされるため、控えるのが無難です。ただし、地域や宗派によってはこの点が緩やかである場合もあるため、事前に確認を取ると安心です。 これらのタブーは、すべて「故人の霊を敬う」という気持ちを形にするための配慮です。形式だけにとらわれるのではなく、心を込めて一つ一つの行動を丁寧に行うことが、何より大切です。

お盆期間中の日常生活での注意点

お盆は特別な宗教的行事であるため、日常生活にもさまざまな配慮が求められます。特に以下の点に注意することで、周囲と調和を保ち、敬意を持って期間を過ごすことができます。

食事

お盆中の食事は、基本的に「精進料理」が理想とされます。動物性の食品を避け、野菜中心の料理で過ごすことが、ご先祖様への敬意を示すとされます。仏壇や精霊棚に供えるお供物も同様に、肉や魚を避け、果物や餅、団子、干菓子などが一般的です。ただし、地域によっては動物性食品を含むお供物を用意するところもあり、親族の習慣に従うのが無難です。

服装

お盆の期間中は、派手な服装や肌の露出が多い格好は避けましょう。たとえば仏前での供養やお墓参りの際には、落ち着いた色合いの服装がふさわしく、袖付きのシャツや長ズボン、スカートなどが望ましいです。子どもにも、できるだけ派手なデザインは避けるように伝えましょう。

外出

旅行やレジャーなど、娯楽目的での外出は控えるのが望ましいとされています。お盆はご先祖様が一時的にこの世に戻ってくるとされる時期ですので、できるだけ家で過ごし、仏前で手を合わせる時間を持つのが理想です。仕事の都合などで外出せざるを得ない場合もありますが、その際は家族と役割分担をして、供養の時間を確保する工夫をしましょう。

精霊棚・仏壇前でのふるまい

精霊棚や仏壇の前では、私語や笑い声を控え、神聖な空間として敬う気持ちを持ちましょう。とくに小さな子どもがいる家庭では、仏壇の意味や供養の大切さを教えるよい機会でもあります。正座して手を合わせるなど、基本的な作法を親が率先して行うことで、自然と子どもにも伝わります。 こうした日常生活での心がけは、ご先祖様への敬意だけでなく、周囲の人々との円満な関係を築くためにも重要です。日々の行動一つひとつが供養の一部であると捉え、丁寧に過ごすように心がけましょう

正しい供養のしかた|お盆に「やるべきこと」3選

お盆期間中に避けるべきことを理解したうえで、積極的に取り組むべき供養の実践もまた重要です。形にとらわれることなく、心を込めて行動することが、ご先祖様への最大の敬意となります。ここでは、特に大切にしたい「やるべきこと」を3つに分けて紹介します。

お墓参り(正しい手順と作法も簡単に紹介)

お盆といえばお墓参りが最も代表的な行事のひとつです。霊園やお寺の墓地へ出向き、ご先祖様の霊に感謝の気持ちを伝える行為は、日本人の心に深く根付いた供養のかたちです。 正しいお墓参りの流れとしては、まず墓石の掃除から始めます。バケツに水を汲み、雑巾やたわしを使って、苔や汚れを落としましょう。特に墓石の正面や彫刻部分を丁寧に洗うことが大切です。 掃除が済んだら、花を飾り、線香やロウソクに火を灯します。この時、前述のようにロウソクの火は息ではなく、手であおいで消すのが作法です。最後に手を合わせて、感謝と祈りの気持ちを捧げます。無言のまま祈ってもよいですが、故人との思い出や感謝の言葉を心の中で語りかけるのもよいでしょう。

仏壇や精霊棚のお掃除とお供え

自宅に仏壇や精霊棚がある家庭では、この場所を丁寧に掃除し、心を込めてお供えをすることが大切です。仏壇内は、乾いた布でホコリを取り除き、仏具や位牌を清潔に保ちます。お線香立てやロウソク立てなどの小物も磨きましょう。 精霊棚は、お盆限定で設けるご先祖様の“帰省場所”のようなものです。一般的には真菰(まこも)のゴザを敷き、その上に位牌、供物、灯明などを配置します。きゅうりの馬やナスの牛を飾る風習は、祖霊が速やかにこの世とあの世を行き来できるようにとの願いが込められています。 供える食べ物は、果物、団子、饅頭、そうめんなど、地域により異なりますが、いずれも「旬」や「故人の好物」が重視されます。お供え後は、お下がりとして家族でいただくことが一般的です。

家族や親族との団らん・読経・写経など

お盆の供養には、家族や親族で静かに過ごす時間も大切な一部です。単に仏前に手を合わせるだけでなく、皆で読経を行ったり、写経に取り組んだりすることで、心を落ち着かせ、先祖への感謝を再認識することができます。 仏教では「読経」は故人の魂を浄化する力があるとされ、子どもにも簡単な短いお経を一緒に唱えさせると、自然と宗教的な行事への理解が深まります。また、写経は心を整える行為として近年再評価されており、故人との対話のような時間を持つことができます。 また、お盆は家族や親族が一堂に会する貴重な機会でもあります。故人の思い出話を語り合うことで、世代を超えた絆を再確認でき、今を生きる自分たちの存在も見つめ直すことができるのです。何より、こうした団らんこそが「供養の心」を育む原点といえるでしょう。

地域や宗派による違いもある|迷ったときの対処法

お盆の過ごし方やタブーには、宗派や地域によって細かな違いがあります。たとえば、関東と関西ではお盆の時期が1か月違う場合もあり(東京は7月、地方は8月が多い)、供養の形式や使う道具にも違いが見られます。こうした違いを理解しないままに行動すると、知らずに失礼なふるまいをしてしまうことがあります。 全国共通と思われがちな供養の作法でも、実際には以下のような相違点があります。

事項地域による違い例
お盆の時期東京:7月13日〜16日/他地域:8月13日〜16日
供花の種類白一色を好む地域もあれば、色花を使う地域も
精霊棚の飾り馬と牛を飾る習慣のない地域もある
お供え物果物中心の地域もあれば、菓子を重視する地域も

こうした違いに直面したときは、親族に確認するのが第一です。しかし、事前に最低限の知識を持っていれば、確認する際の会話もスムーズになり、敬意を表す姿勢が伝わります。 それでも判断に迷う場合は、寺院や地域の年配者に相談するのがもっとも確実です。お寺の住職や長年その地域に住む人々は、地域ごとの慣習に精通しており、適切なアドバイスを得ることができます。 また、インターネットの情報に頼る場合は、できるだけ信頼性の高い仏教団体や寺院の公式サイト、または地域の自治体の文化ガイドなどを参考にするのが安全です。SNSや掲示板などは個人の意見が混在しているため、慎重に判断する必要があります。 迷ったときは「心を込めることが何より大切」という原点に立ち返り、形式にとらわれすぎず、敬意と感謝の気持ちを大切にする姿勢を忘れないようにしましょう。

敬意を持って、お盆を心穏やかに迎えるために

お盆という期間は、表面的には多くのマナーや作法に囲まれていますが、最も大切なのは形式ではなく「心」です。タブーを避け、正しい供養の手順を守ることも大切ですが、それはあくまで「形」の部分であり、本質は故人と向き合う心の姿勢にあります。 たとえば、仏壇に向かって手を合わせる行為一つとっても、「ちゃんと線香を立てたから大丈夫」と安心するのではなく、「今日も無事に過ごせたことをありがとう」といった思いを込めることが供養の本質です。これは、たとえ立派な精霊棚や供花がなかったとしても、小さな供物と心からの祈りがあれば、十分な供養になり得るということです。 現代では、ライフスタイルの多様化により、仏壇のない家や、核家族化によって親族が集まることが難しい家庭も増えています。それでも、「自宅でできる小さな供養」は可能です。たとえば、仏壇の代わりに写真立てを飾り、花とお菓子を供えて手を合わせるだけでも、立派な供養のひとつです。 また、最近ではオンラインでの法要や、リモート読経サービスなども利用可能となっており、物理的な距離に関係なく、心を通わせることができる時代になりました。これは、忙しい現代人にとって「できる範囲で供養をする」ための大きな助けとなります。 供養は、「こうしなければいけない」という義務感で行うものではなく、「自分にできる形でご先祖を敬う」ことに意味があります。だからこそ、形式に縛られすぎず、今の自分の環境や状況に合った方法で、心を込めて故人を思い出し、感謝の時間を持つことが大切です。 このように、敬意を持って心穏やかに過ごすお盆は、自分自身の心を整える大切な時間でもあります。目に見える供養の形を通して、目に見えない「絆」を感じ取ること。それこそが、お盆という行事が今もなお受け継がれている理由なのかもしれません。

まとめ|最低限のマナーを押さえて安心してお盆を迎えよう

お盆は、年に一度、ご先祖様と心を通わせることのできる貴重な期間です。忙しい現代社会において、宗教的行事が形式的になりがちですが、お盆の意味を見直し、心を込めて迎えることには大きな意義があります。 まずは、「お盆にしてはいけないこと」をしっかり理解し、うっかり非常識な行動を取らないように注意を払いましょう。海や川への外出、殺生行為、慶事の実施など、避けるべき行動は意外と多く、それぞれに意味が込められています。知らずにマナー違反をしてしまわないよう、事前に確認しておくことが重要です。 次に、「やるべきこと」にも積極的に取り組みましょう。お墓参りや仏壇の掃除、家族での読経など、形式よりも心を込めた行動が大切です。無理にすべてを完璧に行う必要はありませんが、自分にできる範囲で、丁寧に行う姿勢を持つことが何より重要です。 また、地域や宗派によって供養の方法やタブーに違いがあるため、不安な点があれば親族や寺院に相談するのが安心です。インターネットや書籍などから得られる情報もありますが、実際の慣習をよく知る人の意見が最も信頼できます。 そして何よりも、供養の本質は「故人を思う心」にあります。立派な供花や豪華な食事があっても、心がこもっていなければ意味がありません。逆に、簡素な形でも気持ちがこもっていれば、それは十分に立派な供養といえます。 このお盆、ぜひ一度立ち止まって、自分のルーツを感じ、ご先祖様への感謝を伝える時間をつくってみてはいかがでしょうか。それは、年配の親族との関係をより良くするだけでなく、あなた自身の心を豊かにする時間にもなるはずです。

この記事を共有

  • Xでシェア

  • LINEでシェア

  • Facebookでシェア

一覧に戻る

タグ一覧

  • 葬儀
  • マナー
  • 相続
  • 終活
  • 費用
  • 宗教
  • 家族
  • 服装
  • ライフプラン
  • ペット
  • 法要
  • お墓

TOPへ