
納骨を自分で行うには?手続き・持ち物・注意点まで実例でわかる完全ガイド
公開日: 2024.10.18 更新日: 2025.9.1
目次
はじめに
お墓への納骨は自分でしてもよいのか?
自分で納骨をするメリット・デメリット
メリット
デメリット
納骨を自分で行う前に必要な手続き
管理者へ事前連絡
埋葬許可証を準備
納骨室(カロート)の状態を確認
僧侶を呼ぶか検討
親族の了承を得る
自分で納骨をする流れ
香炉・供物台などの移動
納骨室の開封
骨壺の納骨
お供え・焼香・黙祷などの供養
納骨室を閉じる
自分で納骨する際の持ち物チェックリスト
埋葬許可証(必須)
印鑑(手続き書類がある場合)
喪服または平服
お供え物
線香・ろうそく・数珠
タオル・軍手
お布施(僧侶を呼ぶ場合のみ)
持ち物チェック表
自分で納骨する場合の注意点
墓石や拝石が重く危険な場合は無理しない
指定石材店以外の作業が禁止されている霊園もある
目地止め(コーキング)されている場合は自力で開けられない
他の墓を傷つけたり汚したりしないよう細心の注意を
天候にも注意
自分で納骨しない方がよいケース
お墓に指定業者が決まっている
墓石が大きく・重く動かせない構造になっている
石材が接着されており工具が必要な場合
体力や安全面に不安がある、または高齢者のみでの作業になる場合
自分で納骨したい人が知っておくと安心なこと
霊園の管理事務所や寺院に事前に相談するのが一番確実
宗教儀礼を省いても違法ではないが、親族間の理解形成が大切
費用を抑えたい場合は僧侶の読経を省略・お布施なしの選択肢もある
無宗教・樹木葬・納骨堂の場合、最初から「自分で納骨」が前提のことも多い
まとめ
関連リンク
はじめに
身内の葬儀や火葬が終わり、いよいよ納骨を控えている中で、「納骨は自分でできるのか?」「業者に頼まずに費用を抑えたい」と考える方が増えています。近年では、形式ばった儀式よりも家族の気持ちを重視し、シンプルで実務的な供養を選ぶ人が少なくありません。背景には、葬儀全般の簡略化の流れや、費用面での現実的な課題があるといえるでしょう。
納骨は、故人の遺骨を正式にお墓に納める重要な儀式であり、法律的にも決められた手続きが必要です。しかし、その方法は必ずしも専門業者に依頼しなければならないわけではありません。条件を満たせば、家族が自分たちの手で納骨を行うことも可能です。
この記事では、お墓への納骨を家族だけで行いたい方に向けて、必要な手続き、準備物、納骨の流れ、注意点までを実例を交えてわかりやすく解説します。宗教的儀礼を重視するかどうかにかかわらず、納得できる形で故人を供養したいと考える方に役立つ内容となっています。
お墓への納骨は自分でしてもよいのか?
結論から言えば、納骨を自分で行うことは法的に可能です。日本では、遺骨の扱いに関して「墓地、埋葬等に関する法律」が適用されており、この法律のもとで火葬後の遺骨をお墓に納めるには「埋葬許可証」の提出が必須とされています。これは市区町村役場から交付されるもので、火葬を終えると火葬場で渡されるのが一般的です。
ただし、法的に可能だからといって、すべての霊園や寺院で自由に行えるわけではありません。霊園や寺院ごとに運営規則が存在し、以下のような条件が課されるケースがあります。
- 霊園や寺院の管理者(住職や管理事務所職員)の立ち会いが義務付けられている場合
- 墓石の開閉作業を、指定された石材店に依頼しなければならない場合
- 事前に納骨の希望日を申告し、承認を得る必要がある場合
また、お墓の構造によっては、素人が安全に開閉できるものではないこともあります。特に拝石や墓石そのものを動かさなければならない場合は重量が数十キロに及ぶこともあり、無理に行うと大きな事故につながる恐れがあります。
そのため、納骨を自分で行う際は、まず墓地や霊園の管理者に連絡を取り、ルールや必要な手続きを確認することが大切です。手続きが不十分だと納骨自体が認められないこともあるため、必ず事前に確認しましょう。
自分で納骨をするメリット・デメリット
自分で納骨を行うという選択には、費用面・精神的側面・実務的観点からのメリットがありますが、同時にリスクや不安要素も伴います。ここでは、実際に自分たちで納骨を行った人々の声や状況を参考にしながら、主なメリットとデメリットを整理していきます。
メリット
まず、自分で納骨を行う最大の利点は「費用を抑えられること」です。納骨に僧侶を招いたり、石材店に開閉作業を依頼したりすると、それぞれ数万円〜十万円単位の出費になることもあります。とくに都市部では人件費も高く、納骨の儀式だけで10万円以上の費用がかかるケースもあるため、自力で行うことによって大幅なコスト削減が可能です。
また、日程や進行を自分たちで柔軟に決められる点も大きなメリットです。業者や僧侶のスケジュールに合わせる必要がなく、家族の都合に応じた日取りで行えるため、慌ただしさを避け、気持ちを整えてからゆっくりと供養することができます。
さらに、形式にとらわれない小規模で静かな供養が可能です。たとえば、家族だけで墓前に集まり、黙祷やお線香を手向けるといった自由な形式で、落ち着いた時間を過ごすことができます。これにより、「送りたい気持ち」を大切にした、自分たちらしい供養が実現します。
デメリット
一方で、自分で納骨をする際にはいくつかの注意すべきリスクがあります。まず、墓石の取り扱いや納骨口(カロート)の開閉に危険が伴うことです。特に重い拝石や蓋石を手で持ち上げる必要がある場合、滑落や指の挟み込みなどの事故が起こる危険があります。無理をして行うと怪我だけでなく墓石の破損にもつながり、かえって高額な修理費が発生することもあります。
また、宗教的儀礼や作法を誤ってしまうと、親族間でトラブルが起こることがあります。特に仏教のしきたりを重視する家族がいる場合、僧侶を呼ばずに納骨を行うことに対して違和感や不満が生じることもあり、あらかじめ家族全員の意向を確認しておくことが大切です。
さらに、お墓の構造上、自力で納骨できない場合もあります。たとえば、墓石が接着剤や目地止め(コーキング)で固定されており、専門的な工具なしには開けられない場合や、石材の扱いに熟練した技術が必要な場合は、自力での作業は現実的ではありません。
こうしたリスクを踏まえると、自分で納骨を行うには、十分な事前準備と家族の理解、安全確保の工夫が不可欠といえるでしょう。自力で行うことが必ずしも「正解」ではないため、状況に応じて柔軟に判断することが求められます。
納骨を自分で行う前に必要な手続き
納骨を自分で行うことを決めた場合、まず欠かせないのが事前の準備と手続きです。これを怠ると、当日スムーズに納骨ができなかったり、最悪の場合は納骨自体が認められないこともあります。ここでは、自分で納骨を行う前に確認しておくべき手続きや準備について詳しく解説します。
管理者へ事前連絡
霊園や寺院の管理者への連絡は必須です。特に民営霊園や寺院墓地では、納骨の日程や時間をあらかじめ申請し、許可を得なければならないことが多いです。管理者は、納骨に必要な書類や立ち会いの有無を確認し、場合によっては作業の手配を行います。
また、霊園によっては「必ず管理事務所の職員立ち会いのもとで納骨すること」と規定している場合もあるため、勝手に作業を進めるとトラブルの原因になります。事前連絡を怠らないことが、納骨を滞りなく行うための第一歩です。
埋葬許可証を準備
納骨には「埋葬許可証」が必要です。これは火葬を終えた際に火葬場で交付されるもので、遺骨を正式にお墓へ納める際の必須書類です。もし紛失してしまった場合は、市区町村役場で再発行の手続きを行う必要があります。
この書類を霊園や寺院の管理者に提出することで、初めて納骨が可能となります。埋葬許可証がないと、法律上、納骨を行うことはできません。
納骨室(カロート)の状態を確認
納骨を行うお墓の納骨室、いわゆるカロートの状態を確認しておくことも重要です。カロートの入り口がどのように塞がれているのかを知っておくと、当日の作業がスムーズに進みます。
拝石を外すだけで入れる構造もあれば、石材を複数枚取り外さなければならない場合もあります。石の重さは数十キロになることが多く、無理をすると落下や破損の危険があるため、必ず家族で協力し、可能であれば事前に管理者や石材店に相談しておくと安心です。
僧侶を呼ぶか検討
納骨の際に僧侶を呼ぶかどうかも重要な検討事項です。仏教のしきたりに従う場合は僧侶による読経が一般的ですが、必ずしも呼ばなければならないという法律上の決まりはありません。
ただし、親族の中に宗教的儀礼を重視する方がいる場合、僧侶を呼ばずに納骨を行うと不満が生じることもあります。家族で話し合い、全員が納得できる形を選ぶことが円満な供養につながります。
親族の了承を得る
最後に、納骨の方法について親族全員の了承を得ておくことが大切です。特に年配の親族は伝統的な形式にこだわる傾向が強く、無宗教形式で納骨を行うことに違和感を覚える場合もあります。
後々のトラブルを避けるためにも、事前に「どのような流れで行うのか」「僧侶を呼ぶかどうか」「どんな供養を行うか」を丁寧に説明し、合意を形成しておくことが不可欠です。
以上の手続きをきちんと踏まえることで、自分で納骨を行う準備が整います。形式を簡略化する場合でも、手続きや安全面は決して軽視してはいけません。
自分で納骨をする流れ
必要な手続きを終え、準備が整ったら、いよいよ納骨を実際に行う段階に入ります。ここでは、自分で納骨を行う際の一般的な流れを具体的に紹介します。霊園や寺院のルール、お墓の構造によって多少の違いはありますが、多くの場合は以下の手順で進められます。
香炉・供物台などの移動
まず、カロートの入り口を塞いでいる香炉や供物台を移動させます。これらは多くの墓所でお墓の正面に配置されており、納骨口を開ける際に邪魔になる場合があります。
香炉や供物台は石や金属で作られているため重量があり、無理に持ち上げると怪我をする恐れがあります。2人以上で慎重に移動させるようにしましょう。
納骨室の開封
次に、納骨室(カロート)の入口を開けます。多くの場合、拝石や蓋石を持ち上げる必要がありますが、その重量は数十キロになることも珍しくありません。石材が濡れていると滑りやすいため、乾いたタオルや軍手を用意しておくと安全です。
また、霊園によっては目地止め(コーキング)をしていることがあり、この場合は専用工具がなければ開けられません。管理事務所や石材店に事前に確認しておきましょう。
骨壺の納骨
カロートが開いたら、故人の骨壺を丁寧に中に安置します。骨壺は落下させないよう、しっかり両手で抱えて運び入れます。
カロート内には既に他の家族の骨壺が納められている場合が多く、スペースの都合で新しい骨壺がそのまま入らないこともあります。その場合、骨壺を小さいサイズに替えるか、骨袋に移し替える方法が取られることがあります。これについては、必ず家族で事前に相談しておきましょう。
お供え・焼香・黙祷などの供養
骨壺を安置した後は、供養の時間を持ちます。形式に決まりはなく、数珠を手にして黙祷する、ごく短い焼香を行う、故人の好物を供えるなど、家族の気持ちを大切にした方法で行って構いません。
僧侶を招いて読経をお願いする場合は、このタイミングで行われます。無宗教形式で行う場合でも、静かに手を合わせるだけで十分に心を込めた供養になります。
納骨室を閉じる
供養を終えたら、納骨室を閉じます。拝石や蓋石を元の位置に戻し、香炉や供物台を正しい位置に配置します。石を戻す際は指を挟まないように十分注意してください。
また、元の位置に戻した後、ズレやガタつきがないかを確認します。きちんと閉じられていないと、雨水が入り込んだり、倒壊の原因となる恐れがあります。最後に掃除をして、きれいな状態で納骨を終えると良いでしょう。
自分で納骨する際の持ち物チェックリスト
納骨を自分で行う際には、事前に必要な持ち物をしっかりと準備しておくことが大切です。当日になって不足があると、作業が滞ったり、儀式が不完全になったりする恐れがあります。ここでは、必須のものから、あると安心なものまでを整理してご紹介します。
埋葬許可証(必須)
納骨において最も重要なのが「埋葬許可証」です。これがなければ、納骨そのものが法律上認められません。必ず当日持参し、管理者へ提出しましょう。万が一紛失している場合は、市区町村役場で再発行が可能です。
印鑑(手続き書類がある場合)
霊園や寺院によっては、納骨の際に書類への署名・押印を求められることがあります。事務手続きをスムーズに行うために、認印を持参しておくと安心です。
喪服または平服
服装は必ずしも喪服でなければならないわけではありませんが、一般的には落ち着いた色合いの服装が望ましいとされています。霊園や寺院によっては礼節を重んじる場所もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
お供え物
故人が生前好んでいた食べ物や飲み物、または花を用意することで、より心を込めた供養ができます。ただし、生ものやアルコールは霊園によって禁止されている場合もあるため、事前に確認しておく必要があります。
線香・ろうそく・数珠
線香やろうそくは、納骨の際の供養に欠かせません。風が強い日にはろうそくに火がつきにくいため、ライターや風防付きマッチを持参すると便利です。数珠は仏式の場合に特に必要ですが、無宗教形式でも持参すれば厳かな雰囲気を演出できます。
タオル・軍手
納骨室の開閉時や墓石を扱う際には、軍手があると滑り止めや怪我防止に役立ちます。また、タオルは石材を拭いたり、汗を拭いたりするために便利です。特に夏場の納骨では必需品といえるでしょう。
お布施(僧侶を呼ぶ場合のみ)
僧侶を呼んで読経をお願いする場合は、お布施を準備しておきましょう。金額は地域や宗派によって異なりますが、相場としては2万円〜5万円程度が一般的です。お布施は袱紗に包んで渡すのが礼儀とされています。
持ち物チェック表
持ち物 | 必要度 | 備考 |
埋葬許可証 | 必須 | 忘れると納骨不可 |
印鑑 | 場合による | 書類手続きがある霊園で必要 |
喪服・平服 | 高 | 落ち着いた服装を選ぶ |
お供え物 | 中 | 禁止物の確認が必要 |
線香・ろうそく・数珠 | 高 | 仏式で特に重要 |
タオル・軍手 | 中 | 安全確保と清掃に有効 |
お布施 | 任意 | 僧侶を呼ぶ場合のみ |
これらを事前にリスト化して準備しておくことで、当日の納骨を安心して進めることができます。
自分で納骨する場合の注意点
納骨を自分で行う際には、想定外のトラブルや事故を防ぐために、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。安全面だけでなく、霊園や寺院の規則、周囲への配慮なども含め、細心の注意を払うことが大切です。
墓石や拝石が重く危険な場合は無理しない
納骨室を開くために墓石や拝石を動かす必要がある場合、その重量は予想以上です。数十キロにもなる石材を無理に動かすと、腰を痛めたり、指を挟んだりする危険があります。特に高齢者や力に自信のない方が無理をするのは非常に危険です。どうしても重い石を扱わなければならない場合は、管理者や石材店に依頼することを検討しましょう。
指定石材店以外の作業が禁止されている霊園もある
多くの霊園や寺院では、お墓の構造物を扱う際に「指定石材店」を利用するよう規定されています。これは墓石の破損や事故を防ぐためであり、勝手に作業を行うと規則違反となることがあります。自分で納骨を希望する場合でも、事前に管理者へ確認し、許可を得ることが必須です。
目地止め(コーキング)されている場合は自力で開けられない
墓石や拝石がコーキングで固定されている場合、素人では取り外せません。無理に外そうとすると石を傷つけたり、カロートの破損につながる恐れがあります。こうした構造のお墓では、必ず専門業者に依頼するのが賢明です。
他の墓を傷つけたり汚したりしないよう細心の注意を
納骨作業中は、周囲のお墓や参道を汚さないように配慮することが求められます。石材を扱う際に泥や砂が飛び散ったり、線香やろうそくの灰が他の区画に落ちることもあるため、清掃道具を持参すると安心です。マナーを守ることで、他の利用者とのトラブルを防ぐことができます。
天候にも注意
雨天や強風の日は、納骨作業に適していません。石材が濡れて滑りやすくなったり、ろうそくに火がつかないなど、さまざまな問題が発生します。また、夏場の猛暑時には熱中症のリスクもあるため、十分な水分補給と休憩を取りながら作業を進める必要があります。
こうした注意点を意識することで、納骨を自分で行う際の不安やリスクを最小限に抑えることができます。安全を最優先に、焦らず慎重に行うことが大切です。
自分で納骨しない方がよいケース
納骨を自分で行うことは可能ではありますが、すべての状況において適しているわけではありません。体力的、技術的、また制度的な面から考えても、専門業者や僧侶に依頼した方が安全かつ確実に納骨できるケースが少なくありません。ここでは、自分で納骨を行わない方がよい代表的なケースについて解説します。
お墓に指定業者が決まっている
多くの霊園では、墓石の設置や修繕、納骨口の開閉などの作業について、あらかじめ「指定石材店」が定められています。この指定業者制度は、墓地内での事故や破損、管理不備を防ぐ目的で設けられているもので、個人で勝手に作業を行うことが禁止されています。
このような霊園では、たとえ納骨自体を自分で行いたいと希望しても、管理者の許可を得られなければ作業に着手することはできません。無理に進めようとすると、管理規約違反として注意を受けるか、今後の使用に制限がかかる可能性もあります。
墓石が大きく・重く動かせない構造になっている
お墓の構造によっては、納骨口の蓋が非常に重い石材で覆われており、複数人でも安全に持ち上げることが困難なケースがあります。特に古い墓や和型墓石などでは、50キロ以上の重量がある蓋石を手で持ち上げなければならないこともあり、非常に危険です。
力任せに動かそうとすると、怪我のリスクだけでなく、墓石の破損という取り返しのつかないトラブルを引き起こす可能性があります。このような場合は、安全性を最優先し、石材店に依頼するのが最も賢明な判断です。
石材が接着されており工具が必要な場合
現代の墓石では、雨水や汚れの侵入を防ぐため、石と石の隙間をコーキング材(目地止め)で密閉していることが少なくありません。このような構造のお墓は、一見すると拝石が取り外し可能に見えても、実際には専用の工具がないと開けることができません。
また、無理に工具を使って剥がそうとすると、墓石の表面を傷つけたり、コーキングを破損させてしまう可能性もあります。こうした細部まで配慮された構造の墓は、専門知識と経験を持つ石材業者に任せるべきです。
体力や安全面に不安がある、または高齢者のみでの作業になる場合
納骨作業には、墓石の移動、骨壺の持ち運び、供養の準備など、一定の体力と注意力が求められます。とくに夏場や冬場の気候条件が厳しい時期には、体力的な負担が大きくなり、熱中症や低体温症のリスクも増加します。
高齢の親族のみで納骨を行おうとすると、ちょっとした段差でつまずいたり、重い物を持ち上げて腰を痛めたりする危険性があります。こうした場合は、家族や若い世代の協力を得るか、無理せず専門業者に依頼することをおすすめします。
これらのケースに該当する場合は、無理に自分で納骨をしようとせず、必要に応じて専門家のサポートを受けることが、故人への敬意を守るうえでも重要な判断となります。
自分で納骨したい人が知っておくと安心なこと
納骨を自分で行う場合、法的には可能であっても不安を感じる人は少なくありません。とくに初めて経験する方にとっては、手続きの流れやお墓の構造、親族間での合意形成など、心配な点が多くあります。ここでは、納骨を安心して行うために知っておくと役立つことを整理します。
霊園の管理事務所や寺院に事前に相談するのが一番確実
自分で納骨を行いたいと考えたとき、まず最初にすべきことは管理者への相談です。霊園や寺院ごとにルールは異なり、立ち会いが必須のところもあれば、家族だけで行える場所もあります。事前に相談することで、「必要な書類」「許可の取り方」「当日の注意点」などを具体的に教えてもらえます。
また、相談する過程で「どこまで自分でできるのか」「石材店に依頼しなければならない範囲はどこか」といった線引きを確認できるため、安心して当日を迎えることができます。
宗教儀礼を省いても違法ではないが、親族間の理解形成が大切
納骨の際に僧侶を呼ばず、無宗教形式で行うことは法律的に問題ありません。ただし、親族の中には「きちんとお経をあげるべき」と考える方もいます。そうした価値観の違いが、後々の感情的なトラブルにつながることも少なくありません。
無宗教形式を希望する場合は、「故人の意思を尊重したい」「費用を抑えて家族で落ち着いた時間を持ちたい」といった理由を丁寧に説明し、できるだけ全員の理解を得ることが大切です。
費用を抑えたい場合は僧侶の読経を省略・お布施なしの選択肢もある
納骨でかかる費用の中でも大きな割合を占めるのが、僧侶へのお布施です。地域や宗派によっては数万円から十万円近くになることもあります。費用を抑えたい場合は、僧侶を呼ばず家族のみで納骨を行う選択肢も現実的です。
近年では「直葬」や「家族葬」の増加に伴い、納骨も簡略化するケースが増えており、供養の形式が多様化しています。そのため、僧侶を呼ばないこと自体が特別なことではなくなりつつあります。
無宗教・樹木葬・納骨堂の場合、最初から「自分で納骨」が前提のことも多い
近年人気が高まっている樹木葬や納骨堂では、従来の墓石を動かす必要がないため、納骨を家族だけで行うスタイルが一般的です。管理者が立ち会うだけで、骨壺を安置したり、専用の棚に納めたりする方法が多く、作業も簡単です。
また、無宗教形式を前提とした納骨堂や永代供養墓では、読経や大掛かりな儀式を行わず、静かに手を合わせるだけで納骨が完了します。こうした選択肢を選ぶことで、安全面や費用面の負担を大幅に軽減することができます。
こうした点を理解しておけば、自分で納骨を行う際の不安を和らげ、家族全員が納得できる方法で故人を見送ることができるでしょう。
まとめ
納骨を自分で行うことは、日本の法律上可能であり、多くの家庭で選択肢のひとつとなりつつあります。しかし実際に行う際には、霊園や寺院の規則、お墓の構造、安全面、そして親族の意向など、複数の要素を慎重に考慮しなければなりません。
自分で納骨を行う最大のメリットは、費用を抑えつつ、自分たちの都合や希望に合わせた供養ができる点にあります。形式ばった儀式を避け、家族の気持ちを中心にした静かな納骨が可能になることも、多くの人にとって魅力的です。
一方で、墓石や拝石の重量、安全性の確保、指定石材店制度、宗教的作法への配慮といった課題も存在します。無理をして作業を進めると、怪我や破損、さらには親族間の感情的なトラブルにつながる恐れもあります。そのため、事前の管理者への相談と、親族全員の理解形成は不可欠です。
近年では、樹木葬や納骨堂といった、あらかじめ簡素化された供養方法も広まり、家族だけで安心して納骨を行える環境も整いつつあります。こうした選択肢を検討することで、安全面や費用面の負担を軽減しつつ、納得のいく供養を実現できるでしょう。
大切なのは、形式にとらわれることなく、故人を思い、心を込めて供養することです。納骨を自分で行うか、専門家に依頼するかは家庭ごとの事情によって異なりますが、最終的に家族全員が納得し、故人にふさわしい形で見送れる方法を選ぶことが何より重要といえます。
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