葬儀のマナー総まとめ:参列時の心得から香典・服装・作法まで徹底解説

葬儀のマナー総まとめ:参列時の心得から香典・服装・作法まで徹底解説

公開日: 2024.4.23     更新日: 2025.2.19

葬儀とは、故人を偲び、その魂を弔う大切な儀式です。遺族にとっては、故人との最後の別れとなるため、参列者は故人への敬意を示しつつ、遺族の気持ちに寄り添う姿勢を持つことが求められます。しかし、葬儀は日常的に行われるものではなく、多くの人が「何をすればよいのかわからない」「どのように振る舞えばよいかわからない」と戸惑う場面が少なくありません。

葬儀には、服装、参列のマナー、香典の渡し方、焼香の仕方など、多くの決まりごとが存在します。これらを知らずに参列すると、故人や遺族に対して失礼にあたることもあります。そのため、事前に正しいマナーを理解し、落ち着いて対応できるようにしておくことが大切です。

本記事では、葬儀の基本的な流れやマナー、立場別の注意点などを詳しく解説していきますので、いざというときの参考にしてください。

葬儀の基本マナー

葬儀の場では、何よりも「故人への敬意」と「遺族への配慮」が重要です。静かに振る舞い、慎み深い態度を心がけましょう。

ここでは、葬儀の基本マナーについて詳しく解説します。

お通夜と告別式の違い

葬儀には、大きく分けて「お通夜」と「告別式」の2つの儀式があります。それぞれの目的や意味を理解し、適切なふるまいをすることが大切です。

お通夜

お通夜とは、故人が亡くなった日の夜から翌日の告別式までの間に行われる儀式です。もともとは遺族や親族が故人とともに最後の夜を過ごすためのものでしたが、近年では一般の参列者も訪れ、短時間のうちにお焼香をして帰る「半通夜」の形が一般的になっています。お通夜の目的は「故人の冥福を祈り、最後の夜を共にすること」にあります。

告別式

告別式とは、故人との最後の別れをする正式な儀式です。一般的には僧侶による読経や焼香が行われ、続いて遺族・参列者が焼香をして故人を見送ります。その後、火葬場へと移動し、荼毘(だび)に付されます。告別式は公の場での別れの儀式となるため、参列する際には服装や言葉遣いに特に注意する必要があります。

参列時の心得

葬儀に参列する際には、以下の点に注意しましょう。

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時間厳守

葬儀の開始時間に遅れることは失礼にあたります。最低でも開始15分前には到着するようにしましょう。やむを得ず遅れる場合は、静かに会場に入り、遺族に迷惑をかけないようにします。

静かに行動する

葬儀の場では、私語は慎み、物音を立てないよう心がけます。携帯電話は必ずマナーモードに設定するか、電源を切っておくことがマナーです。

遺族へのお悔やみの言葉

遺族にお悔やみを述べる際は、「このたびはご愁傷様でございます」「お悔やみ申し上げます」といった言葉を静かに伝えます。長々と話し込むことは避け、簡潔に述べることが大切です。

香典を持参する

参列する際には、香典を持参するのが一般的です。ただし、遺族が「香典辞退」としている場合には無理に渡す必要はありません。

焼香の作法を守る

宗派によって焼香の作法は異なるため、前もって確認しておくと安心です。

お通夜・告別式のマナー

葬儀の場では、服装だけでなく、立ち振る舞いや作法も重要です。特に、お通夜や告別式では、参列者が一堂に会し、故人を偲びながら弔意を表します。この際、正しいマナーを守らなければ、故人や遺族に対して失礼になってしまうこともあります。

ここでは、お通夜と告別式それぞれの意味や流れ、参列時のマナーについて詳しく解説します。

お通夜のマナー

お通夜とは、故人が亡くなった日の夜から翌日の告別式までの間に行われる儀式です。本来は、親族や近しい人々が夜を徹して故人とともに過ごし、冥福を祈るものでした。しかし、現代では「半通夜」と呼ばれる形式が一般的になり、午後6時~8時頃の2時間程度で区切られることが多くなっています。

お通夜は告別式とは異なり、比較的カジュアルな服装でも許容されることが多いですが、それでも最低限の礼儀は必要です。遺族や喪主への対応も含め、慎重に振る舞いましょう。

お通夜の流れ

お通夜は以下のような流れで進行します。

受付で記帳・香典を渡す

・会場に到着したら、まず受付で記帳を行います。

・記帳の際には、住所や名前を丁寧に記入し、香典を渡します。

・香典を渡す際は、「このたびはご愁傷様でございます」とお悔やみの言葉を添えます。

着席・読経

・受付を済ませたら、指示された席に着席します。

・開式後は、読経が行われることが多いので、静かに耳を傾けます。

焼香

・読経の途中や終了後に、参列者が順番に焼香を行います。

喪主・遺族へのお悔やみ

・お通夜の終了後、喪主や遺族に対して軽くお悔やみを述べることが一般的です。

・ただし、長々と話すのは避け、簡潔に「このたびはご愁傷様でございます」と伝えます。

退出

・退出時は、静かに行動し、騒がしくならないように心がけましょう。

・可能であれば、遺族に会釈をしてから退席すると丁寧な印象を与えます。

告別式のマナー

告別式とは、故人を正式に送り出すための儀式です。お通夜とは異なり、より厳粛な雰囲気の中で執り行われます。一般的には僧侶による読経、焼香、弔辞の読み上げなどが行われ、最後に棺の蓋を閉じ、故人を火葬場へと送ります。

参列者は、お通夜よりもフォーマルな服装を着用し、より慎重な振る舞いを心がけることが求められます。

告別式の流れ

受付で記帳・香典を渡す

お通夜に参列していない場合は、ここで香典を渡します。

着席・読経

指示された席に静かに着席し、僧侶の読経を聞きます。

焼香

参列者が順番に焼香を行います。

火葬場へ出発

遺族と近親者が棺を運び、火葬場へ向かいます。

葬儀の服装マナー

葬儀では、故人への敬意を示すために、適切な服装を選ぶことが大切です。また、アクセサリーや小物の選び方にも注意が必要です。

ここでは、参列者の服装マナーについて詳しく解説します。

男性の服装

男性が葬儀に参列する際の基本的な服装は、黒のスーツです。ただし、どのようなスーツでもよいわけではなく、格式やデザインに気をつける必要があります。

スーツ

・黒の無地のスーツ(光沢や装飾のないもの)

・シングルまたはダブルのスーツ(ダブルはより格式が高い)

・ジャケットとパンツのセットで統一感のあるもの

シャツ

・無地の白いワイシャツを着用

・ボタンダウンシャツは避ける

・派手な柄やステッチが入っていないもの

ネクタイ・靴

・黒無地のネクタイ(光沢のないもの)

・ネクタイピンは使用しない

・黒の革靴(紐付きのものが望ましい)

・ローファーや派手なデザインの靴は避ける

・靴下も黒無地のものを選ぶ

女性の服装

女性の場合は、黒のワンピースやスーツを着用するのが一般的です。露出を抑え、落ち着いた服装を選ぶことが重要です。

ワンピース・スーツ

・黒無地のワンピース、またはスカートスーツ

・スカート丈は膝が隠れる程度が望ましい

・ノースリーブは避け、必ず袖のあるものを選ぶ

ストッキング・靴

・黒のストッキングを着用(柄なし)

・靴は黒のパンプス(ヒールは3~5cm程度)

・オープントゥやピンヒールは避ける

アクセサリー

・基本的にはアクセサリーは身につけない

・どうしてもつける場合は、真珠のネックレス(1連のみ可)

・指輪は結婚指輪のみ可

子どもの服装

子どもが葬儀に参列する場合、フォーマルな服装を意識する必要があります。

男子学生の服装

・制服があれば制服を着用

・黒や紺のズボンに白シャツが基本

・靴は黒い革靴またはローファー

女子学生の服装

・制服がある場合は制服を着用

・ない場合は、黒や紺のスカートと白いブラウス

・黒のストッキングまたは黒い靴下を着用

幼児・乳児の服装

・小さな子どもは喪服を着用しなくても問題ない

・できるだけ落ち着いた色の服を選ぶ(黒・紺・グレー)

季節別の服装のマナー

夏の葬儀の服装

・男性は長袖のシャツを着用し、ジャケットを脱ぐ場合もあり

・女性は半袖のワンピースでも可だが、過度な肌の露出は避ける

・汗をかいても清潔感を保つようにする

冬の葬儀の服装

・男性は黒のコートを着用(ダウンジャケットや派手なコートは避ける)

・女性は黒いロングコートを選ぶ(ファーや装飾のないもの)

・厚手のストッキングやインナーを着用して防寒する

小物のマナー

服装だけでなく、持ち物や小物の選び方にも注意が必要です。

数珠

・仏教の葬儀では数珠を持参する

・宗派によって数珠の形状が異なるため注意

・持ち方は左手にかけ、焼香時に軽く手に持つ

バッグやハンカチ

・バッグは黒の布製で、光沢や装飾がないものを選ぶ

・ハンカチは白または黒の無地のものを使用(派手な柄はNG)

アクセサリー・時計

・時計はシンプルなデザインのもの

・香水はつけない、または控えめにする

香典・供花のマナー

葬儀に参列する際、多くの人が迷うのが「香典」と「供花」に関するマナーです。香典は、故人への供養の気持ちを示すとともに、遺族の負担を少しでも軽減するための金銭的な援助の意味を持ちます。一方供花は、故人への敬意を示し、祭壇を飾るために供えるものです。しかし、香典の金額や供物の選び方には、地域や宗教による違いがあり、適切なマナーを知っておかないと失礼にあたることもあります。

ここでは、香典の基本的なマナー、供花の選び方などについて詳しく解説します。

香典のマナー

香典とは、故人への供養の気持ちを込めて遺族に渡す金銭のことです。「香」とは線香や花を供えることを意味し、もともとは現物の供物を贈る習慣がありましたが、現在では金銭を渡す形が一般的になりました。

香典を渡す際には、以下の点に注意しましょう。

香典袋を袱紗に包んで持参する

・袱紗は紫、紺、グレーなどの落ち着いた色を選ぶ

・香典袋を直接バッグやポケットから出すのは失礼にあたるため、必ず袱紗に包んでおく

受付で渡す場合

・受付で「このたびはご愁傷様でございます」と一言添えながら両手で渡す

・袱紗を開き、香典袋を取り出して渡す(袱紗の上からそのまま渡さない)

・名前を記帳し、静かにお辞儀をして受付を離れる

喪主や遺族に直接渡す場合

・香典は受付で渡すのが基本だが、受付がない場合は喪主や遺族に渡すこともある

・この場合も「このたびはご愁傷様でございます」とお悔やみの言葉を述べながら渡す

・遺族が香典を辞退している場合は、無理に渡さないようにする

香典を辞退された場合の対応

近年、「香典辞退」の風習が広がりつつあります。遺族から「香典は辞退させていただきます」と事前に案内があった場合は、以下の対応を考えましょう。

・香典を持参せず、受付で会葬のみを伝える

・供花や供物を贈ることで弔意を表す

・後日、喪中はがきが届いた際にお悔やみの手紙を送る

無理に香典を渡すことは遺族の意向に反する可能性があるため、注意が必要です。

供花のマナー

供花は、葬儀の際に祭壇に飾る花を指します。一般的には白菊やユリ、カーネーションなどの落ち着いた花が選ばれます。

香典を渡す際には、以下の点に注意しましょう。

・遺族の意向を確認し、供花を受け付けているか確認する

・葬儀社や花屋に依頼し、式場へ直接届けてもらう

・供花の札には「○○一同」「○○会社一同」と記載するのが一般的

葬儀形式別のマナー

葬儀の形式は一般的なものだけでなく、家族葬や直葬、密葬など、さまざまな形があります。

ここでは、葬儀形式別のマナーについて詳しく解説します。

家族葬のマナー

家族葬とは、親族やごく親しい友人のみが参列する、比較的小規模な葬儀のことです。近年では「静かにお別れをしたい」という理由から、家族葬を選択する人が増えています。

家族葬に招かれた場合は、遺族の意向を尊重し、マナーを守ることが大切です。以下のポイントに注意しましょう。

香典は事前に確認する

・家族葬では、香典を辞退するケースが多い

・訃報の際に「香典辞退」と記載されていたら持参しない

・香典を受け付けている場合は、一般的な葬儀と同様のマナーで渡す

控えめな服装と態度を心がける

・服装は一般の葬儀と同じく、喪服または準喪服を着用する

・長居せず、必要最低限の弔意を伝えたら退出する

遺族が弔問を希望しない場合は無理に訪れない

・家族葬の後に「弔問はご遠慮ください」と案内があった場合は、訪問を控える

・弔意を示したい場合は、後日、手紙や弔電を送るとよい

直葬のマナー

直葬とは、通夜や告別式を行わず、遺体を直接火葬場に運び、火葬のみを行う葬儀の形態です。

・直葬は基本的に身内のみで行うため、参列者を制限する場合が多い

・参列を希望する場合は、遺族の意向を事前に確認することが必要

・直葬後に遺族宅を訪問する際は、事前に連絡を入れるのが礼儀

密葬のマナー

密葬とは、遺族や親しい関係者のみで葬儀を行い、後日、改めて本葬(お別れの会など)を開く形式のことです。著名人などの葬儀では、密葬の後に一般の参列者を招いたお別れの会が行われることが多いです。

・密葬に招かれた場合は、一般的な葬儀と同様の服装で参列する

・参列できなかった場合は、後日の本葬(お別れの会)に出席するか、弔電を送る

・香典は密葬では辞退されることが多いため、事前に確認することが望ましい

葬儀に参列できない場合のマナー

どうしても葬儀に参列できない場合は、遺族に対して適切な形で弔意を伝えることが大切です。

弔電を送る

弔電は、葬儀が行われる前日までに手配するのが理想的です。「故人のご冥福をお祈りいたします」など、簡潔で丁寧な言葉を選びましょう。

例文

「突然の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。○○様のご冥福をお祈りいたします。」

メールや手紙を送る

手紙やメールで弔意を伝える場合、以下のポイントに注意しましょう。

・忌み言葉(「重ね重ね」「また」「再び」など)は避ける。

・簡潔で、心のこもった文章を書く。

手紙の例文

「拝啓

このたびは○○様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。

本来であれば直接お伺いし、ご焼香を申し上げるべきところ、やむを得ず参列できず申し訳ございません。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

敬具」

まとめ

葬儀は、故人との最後の別れを惜しみ、遺族に寄り添う場です。そのため、適切なマナーを守り、故人と遺族に敬意を払うことが何よりも重要です。

・遺族の意向を尊重し、控えめな態度を心がける。

・形式だけでなく、心のこもった弔意を伝えることが大切。

・宗教・宗派や地域の違いを理解し、適切な作法を守る。

葬儀は誰にとっても避けては通れない人生の儀式です。マナーをしっかり学び、いざというときに故人や遺族に対して失礼のない対応ができるよう心がけましょう。

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